本当に起業して成功してしまう人がいるのが問題といえば問題なのですが、「あなたにもできる」風の煽りに乗せられないことが大切です。何とか健康法のようなもので、実際に成功者はいるのですけれども、ではその人が「ふつうの人」だったのかどうか、その成功体験を一般化できるのか、よく考えねばなりません。
メルマガで起業する、という本がたくさん書かれた時代がありました。メルマガは基本的に過去の資産が死蔵されていくから、スタートダッシュに失敗したらもうダメだという傾向があるが、ブログなら記事がきちんと検索エンジンに引っかかるから、以前失敗した人でも大丈夫、と著者は説明します。しかし結局のところ、本質的には文章を書いて起業しようという話なのです。だから、本を書いて起業、ミニコミを発行して起業、といった本も過去にはたくさんあって、死屍累々であるという事実は押えておくべきです。
書くツールはどんどん進化してきましたが、有用な文章まで自動で生み出す機械はありません。これは著者も認めている通りで、つまるところ書けない人には書けない。
だから本書の読者の大半は、起業などしないでしょう。本当に起業される方は、本気で検討されるだろうから、私がここで苦言を呈する必要もないだろうと思います。それでも、老婆心ながら、ブログは趣味にとどめおくのが賢明です、と申し上げておきます。
なお、本当に誰でもスズメの涙程度に稼げるアフィリエイト広告などについてもページが割かれていますので、趣味のブログでも本書の購入代金程度は取り戻せるかもしれません。