MT の中級書です。MT3.1 まで対応しており、前半はテンプレートタグの詳細な事典、後半はオリジナルのテンプレートを作成し簡易 CMS として活用する方法の解説となっています。MT を CMS として用いる方は多くないでしょうが、私は全ての中級ユーザに本書を勧めます。
MT は暗中模索の時期を経てウェブログスタイルのデファクトスタンダードを築いたツールです。目標の不明確が、自由度の高い仕様に結実しました。MT 以降のウェブログツールの大半がシンプルで小さく、ウェブログにしか使えないのは、到達目標が明確だったからです。先駆者の苦労が、MT を孤高の存在としました。
前半のテンプレートタグ事典だけでも本書は至高の MT 解説書といえますが、真骨頂は後半の CMS としての MT を解説した部分でしょう。今、私たちは「ウェブログの形」について多くの先入観を抱いています。それ故に、テンプレートの本質について、実はよく理解していない。1からテンプレートを組み上げる演習を繰り返し、本書を読了したとき、ウェブログスタイルの巧緻とアイデアに驚嘆するでしょう。
「わかっている人」向けに書かれていることもあって、HTML と CSS がきちんと用いられているのも本書の特徴です。MT のデフォルトテンプレートは HTML の用法に難があることで有名です。本書の仕上げに、白紙の状態からウェブログスタイルのオリジナルテンプレートを作成すると、たいへん勉強になります。
本書はコンテンツの表現に多くを割き、インデックスの工夫はアッサリしています。これは MT の CMS としての弱点によるもので、実際、プラグインなしではあまり大したことはできません。このあたり不満のある方は、さらに WWW で情報を収集されることを勧めます。