本書は女子大生2人が恋人獲得に奔走した1ヵ月半を綴った人気ブログの書籍版です。著者は「一般人」を強調しますが、本名+顔出し+水着写真付なのでタレント本の趣き。「あいのり」「真剣10代 しゃべり場」などの素人参加型(とされる)テレビ番組の本に似た編集方針です。
もともと「悪あが記」は一般人のブログとしては異色の存在でした。地方テレビのレポーターと朝日新聞学生記者という2人だけに、エンターテインメントを意識した運営術は素人離れしていました。人気を集めた変顔写真は本書でも面白いアクセントとなっています。
ネットとブログの普及は、かつて WWW で主流派だったオタク系コンテンツの需要を相対的に減じ、より一般受けするコンテンツ(「侍魂」はその先駆者)の大きな需要を準備しました。現在、アルファブロガーの多くは実名・顔出しですし、新聞社系ニュースサイトが個人サイトを圧倒するアクセスを誇るなど、結局、既存メディアのキラーコンテンツがネットでも成功する構図が明白になりつつあります。
テレビで見飽きた(はずの)企画がクライマックスでは1日20万ページビューに達する人気ブログとなり、書籍版もそこそこ売れてしまう状況について、古株は釈然としないでしょう。けれども「テレビ50年の歴史は伊達ではなかった」のだと思います。ディープなネットユーザには勧めませんが、軽く楽しめる一冊。
ところで、規約に基づき無償転載された多数の読者コメントが、将来、火種とならないことを祈ります。