レビューまとめ読み[051-100]

2004-05-20

Webデザインひらめきブック グラフィックパーツ編

単なる素材集として利用するのであれば、誰でも使えます。画像素材作成のテクニック集として用いるなら、プロを目指す方に向いています。

本書のタイトル・装丁などは個人向けの雰囲気ですが、内容は結構ハードです。高級なソフトをバリバリ使い、作りたい画像素材を次々に完成させていくのです。個人で Web サイトを作成している方は、ホームページビルダー付属のウェブアートデザイナーや Windows 標準のペイントを使っているわけで、本書の前提とする環境を構築するのは金銭的にも技能的にもしんどいでしょう。

レイアウト篇は解説抜きでも完成度の高いテンプレート型素材集として素人にも有用でしたが、本書から解説を抜くと画像素材集としては少々高値です。本書の個々の解説はそれほど高度なものではありません。ただ、使う道具は高級です。したがって、プロを目指して勉強中の方や駆け出しのプロのスキルアップに最適です。あるいは本職の方でも、きちんと読むと新しい知見があるかもしれません。画像作成の道は奥が深いですから。

各々が実力に合わせて活用できる本です。きれいな本ですから、眺めて楽しむ、という使い道もありえます。

ホームページ・ビルダーVersion8パーフェクトマスター

中級者向けのホームページビルダー解説書です。既刊書中、最も詳しく多くの内容を扱っています。本書はひとつひとつの機能を丹念に拾い、それぞれに操作画面の写真を添えて端的な解説を付した辞書的な本です。パーフェクトマスターシリーズらしく、初級者でも利用できるよう基本操作は非常にていねいです。

本書は HPB の機能についてはマイナーなものまでほぼ網羅していますが、高度な利用法についてはあまり解説がありません。HPB を使いこなせば Web サイトの高度な運営・管理ができます。そのためには無数の機能を適切に取捨選択しソリューションを構築するノウハウが必要とされますが、それは本書の領分ではないのでご注意下さい。(ソリューション志向の解説書には「ホームページ・ビルダーVersion8ハンドブック」がありますがレベルは初中級です)

本書の構成は、解説項目が詳細多岐にわたる他はふつうの解説書とあまり変わりません。解説には一貫した流れがあり、頭から順に読んでいくことも可能です。基本操作は第2章にまとまっており、最初の1冊としても使えます。分量の割に低価格でお買い得です。HPB のバージョンアップにあわせ解説書もバージョンアップしたいとお考えの方には、とくにお勧めできます。けれども、初級者はやはり身の丈にあった本を買うべきでしょう。

これで完璧 ホームページ・ビルダー8

初級者向けのホームページビルダー解説書です。類書と比較して200ページほど厚いのですが、必ずしも扱っている内容が多いわけではありません。

他社が入門者向け書籍と初級者向け書籍を別の商品としていることには理由があります。入門者にもていねいにわかりやすく、そしてすっきりとした余裕のある紙面レイアウトにしたい……と考えていくと、どんどんページが増えます。250頁前後に収めるためには、ていねいさをそのままに項目数を絞るか、説明を端的にして項目数を維持するか、という選択になります。

本書は、頁数増を諦め、ていねいに豊富な内容を解説した一冊です。説明の展開がよく見えるので、最初からきちんと読んでいけばすいすい進むことができます。しかし、それでも464頁は長いというべきでしょう。作成した Web サイトを WWW に公開する手順が後半になるまで紹介されない(しかもあまり目立っていない)といった難点もあります。

しかしながら、厚い本に取り組む意欲があるならば、本書はお勧めできます。あるいは、ある程度慣れている(全部を読む必要はない)方にも向いています。

ホームページの作成と公開 ホームページビルダー8対応

ホームページビルダーの初級者向け解説書です。本書には HPB8 の体験版が付属していますから、HPB を買わなくても本書を読み進めることができます(ただし体験版はインストール後1ヶ月程度経つと使えなくなります)。最近、HPB の体験版が付属している本は珍しいですね。

2色刷りの地味な本で、内容は堅実です。よく読んでいけばフルカラーの類書と内容に差異はないことに気付きますから、ちょっと値段が気になるかもしれません。しかし版型がA5ということもあり、電車の中などでも読みやすいでしょう。体験版や役立つサンプルも付録していますから、本書を選ぶ価値はあります。

解説書としての特徴は、辞書型ではなく通読型だということでしょう。基本的に最初のページからきちんと読んでいくことを前提に書かれています。読むだけでもいいのですが、操作手順をきちんと手で追うと、しっかり理解できるはずです。本書は「標準モード」を解説しているので、学んだ技能を先々まで活かせるでしょう。

第3章まで頑張って読めば、自分の Web サイトを完成できます。そこまでは頑張って読むことを勧めます。それ以降は、やる気が出たらまた読めばよいでしょう。

2004-05-25

ユニバーサルHTML/XHTML

(1)ユニバーサルな情報共有手段としての正しいHTMLの解説、(2)XML関連の応用も含めた可能性を持つ文書としてのHTML、(3)利用者に適切に情報を伝えるためのウェブの制作方法という観点で、HTMLの全容を解き明かす本格的な HTML 解説書です。

本書は表紙や紙面のレイアウトが示すように、思想書あるいは研究書に近い存在です。平易で実用的な Tips を多数含みますが、それらは一貫した流れの中で登場しています。本書の主眼は知識の切売ではなく、ユニバーサルな情報共有への総合的な理解を深めていくことにあります。著者が HTML の解説を超えて情報のデザインへと筆を進め、アクセシビリティやユーザビリティに頁を割くのはそのためでしょう。

概念の解説に軸足を置きつつ、実務にすぐ役立つ内容も多く紹介する本書ですが、皮相な知識(HTML や CSS のブラウザ実装など)や具体的なアプリケーションの実例にはほとんど触れていません。実務への応用を主目的に購入するのは誤りです。また初心者の最初の1冊にも不向きです。HTML を「正しく使いたい」方に、私は本書をお勧めします。

A Better Design Webページ リ・デザインブックII

あの名作が3年の時を経て帰ってきました。首を長くして待っていた読者の期待を裏切らない素晴らしい一冊です。今回も個人運営のWebサイトを超一流のプロがリニューアル。序論と概説が用意され、ケース毎にコンセプトワークの様子と代案が示されるなど内容が深化、コラムも充実しています。

本書の想定読者層はWebサイトの作成・運営経験のある初級者・中級者です。そこで画像素材の入手方法や使用するソフトなどに一定の制約が設定されています。しかし著者は妥協しません。サイトの雰囲気にぴったりのフォント→自作/視覚的に直感的に選択できる画像→自作/親しみやすく印象に残るロゴマーク→自作/etc 積極果敢な姿勢に素人の読者は圧倒されます。いずれも親切な解説付ですが、素人は容易に真似できません。

著者は確信犯でしょう。思い描くアイデアの現実化は至難の業です。しかし相応の技量(画像の処理は圧巻)があれば、厳しい制約の中でも100%を目指せることを本書は示唆しています。技量の不足は努力で埋められます。制約を言い訳にして諦めないことが大切。さあ今日も頑張ろう、と勇気付けられる一冊です。

2004-06-02

究極のホームページ裏ワザ入門HTML MANIAX

本書はそのタイトルとは裏腹に、非常に真っ当な内容の Web サイト作成入門書です。HTML や CSS の基礎をきっちり学ぼうといった趣旨の本ではなく、すべては Web サイト作成の道具として紹介していくのが本書のスタイルで、幅広い技術を最低限知っておくべき勘所をきっちりセレクトして解説しています。

少ない頁数で相当に高い到達点を狙いますから、内容はかなり駆け足です。しかし、きちんと順を追って読んでいけば、心配無用です。エッセンスを抽出し枝葉を切り落としているため、ひとつひとつの解説はレイアウトも文章も余裕があります。ただしコアな内容ばかり扱っているので、読み落しは厳禁です。とくに Chapter00〜01 はきっちり理解してから先へ進んでください。

従来、今すぐ簡単に Web サイトを作りたい、マウスオーバーの特殊効果なども使いたい、といった需要に対応する書籍の多くはひどいものでした。不勉強な著者が HTML や CSS を「とにかく**できさえすればいい」という発想で非効率かつ不正に用い「裏技」と称してきたのです。装丁や構成において従来の書籍を踏襲しつつ、効率的かつ正当な説明を貫いた本書は、多くの類書を過去の遺物として葬り去る傑作だと思います。

冒頭に述べた通り、しっかり基礎固めをしたい入門者にはお勧めできません。パソコン自体に不慣れな入門者には「できるホームページHTML入門」を、一般の入門者には「HTMLとスタイルシートによる最新Webサイト作成術」を勧めます。

超図解 無料でつくるホームページ入門

Web サイト作成の入門書です。HTML の解説を中心として、無料サーバやレンタル CGI の利用法、フリーソフトや無料の画像素材提供サイトの紹介など、幅広い内容を扱っています。

フルカラーで画面写真が豊富、手順をきちんと追う解説は親切ですし、作業フローも適宜用意され情報が整理されています。紙面構成が少々窮屈な印象がある他は、概ね読者に不満はないでしょう。入門書ですが、多くの読者はこの一冊で満足されるかと思います。

しかし、私は本書を高く評価しません。著者の HTML や CSS への理解が古く、正しい使い方を解説していないからです。説明通りに作業すれば説明通りの結果が得られますから、初心者は本書に問題を感じないでしょう。しかし正しい方法を知る者から見ると、本書の解説する手法の非効率と応用のしにくさは明らかです。先々、アクセシビリティや SEO など高度な課題に取り組む際、必ず再勉強が必要になります。

入門者には「できるホームページHTML入門」を、初級者には「HTMLとスタイルシートによる最新Webサイト作成術」を勧めます。

超図解 HTMLでつくるホームページ入門

HTML の入門書です。FTP の解説もあるので本書一冊で Web サイトの作成手順は一通り学べますが、総合解説書をご希望なら、姉妹書「超図解 無料でつくるホームページ入門」を勧めます。HTML の解説はほぼ同じですから、姉妹書の方がお得だと思います。

フルカラーで画面写真が豊富、パソコンの普及とともに一世を風靡しパソコン系入門書の歴史を塗り替えた超図解シリーズの一冊として、本書はそつなくまとまっています。しかし残念なことに、本書の解説は時代遅れです。HTML は正しく使った方が効率がよく、応用もしやすいことが以前より知られていました。しかし HTML の理念は理屈っぽく直感的でないため、初心者に正しい方法を説明するのは無理と考えられてきました。そのため、現在も多くの解説書が嘘とごまかしだらけの説明をしています。

しかし易しく正しい入門書「HTMLとスタイルシートによる最新Webサイト作成術」がヒットし、不可能伝説は迷信だったことが判明しました。さらにインプレスの「できるシリーズ」から「できるホームページHTML入門」が刊行されて成功し、著者の勉強と工夫次第で「超図解シリーズ」の読者層にも正しい解説が受け入れられることがわかりました。

理解できるなら、正しい解説の方がよいに決まっています。私は本書を勧めません。

基本はかんたんホームページ

ホームページの解説書を謳っていますが、実際には HTML の入門書です。そして注意すべきは、著者は HTML の「基本」を誤解しています。本書において「ホームページ」とは「HTML 文書」と読み替えればよいのですが、当然、著者は「ホームページ」の存在意義、あるべき姿についても誤解しています。

HTML の本質は「多くの環境で情報を共有するための手段」です。HTML 文書はもちろん、PC 向け視覚系ブラウザでの閲覧だけを想定して作るものではありません。これが「基本」です。文書を装飾して見栄えをよくする方法の解説を「基本」とする著者は、根本的に誤っています。このため本書の解説はどんどん本道から外れていきます。それでも読者は思い通りの Web サイトが完成すれば喜びますが、私は本書を高く評価しません。

結局、アクセシビリティや SEO といった高度な課題に取り組む際には HTML をきちんと再勉強する必要が生じます。易しく正しい入門書には「HTMLとスタイルシートによる最新Webサイト作成術」や「できるホームページHTML入門」(超初心者向け)などがあります。本書を読み終えて満足されるなら話は別ですが、その先を考えるならば、「基本」を正しく解説している本を勧めたいところです。

はじめてのホームページ―HTML入門

HTML の入門書です。旧版から著者が交代したので内容の刷新に期待していたのですが、大筋で変化ありませんでした。辞書的利用に適した構成、フルカラーの紙面、すっきりとして見やすいレイアウトなど、よく工夫されている点も多いだけに残念です。

本書は古いタイプの解説書で、HTML の各要素を文書の装飾用途に用います。見出し、段落、箇条書きなどの基本は押さえていますが、なぜそういった要素を用いるべきか、きちんと説明しません。改行で段落を区切り、font 要素で見出しを表現するといった手法が何故誤りか、どのような不都合があるか、教えないのです。仕様違反の多い本書のサンプルから推察するに、おそらく著者は仕様書を読んでいません。だから HTML を誤解しているのだと思います。

本書の解説を鵜呑みにしても、IE などの視覚系ブラウザでそれらしく見える HTML 文書を作成するには困りません。しかし本書の手法は非効率で、応用もきかないのです。パソコン初心者でも問題なく読める易しく正しい入門書「できるホームページHTML入門」を比較検討されることを勧めます。

はじめてのホームページ・ビルダー Version8

初級者向けのホームページビルダー解説書です。基本をコンパクトにまとめ、興味深い機能の解説に後半部を充てています。HotMedia やスタイルシートの活用法など、従来の初級解説書では割愛されがちだった部分も解説されています。ただし HPB8 の全機能を解説すると800頁以上になりますから、本書も内容を絞っています。

初心者の方は、第2章まで読み終えたら第8章へ進みましょう。頑張れば1日で Web サイトを公開できます。中級者の方は前半をさらっと読み流し、第5〜7章をじっくり読むと新しい発見があるのではないでしょうか。

ところで、本書は柱に章題と各項のタイトルが刷り込まれており、頁をパラパラめくるだけで目次を参照せずに目的の解説にたどり着けます。フォント、色使い、レイアウト、図版などブックデザインは端正で落ち着いています。どこでも配置モードをおまけ的に扱い、標準モードを基本に解説しているのも良心的です。

基本事項の速習を目指す方、全機能解説はオーバースペックだけれども他の初級解説書ではちょっと満足できないという方にお勧めします。

超図解 ホームページ・ビルダーVersion8 総合編

初級者向けのホームページビルダー解説書です。類書と比較してサイトの公開・更新・管理についての解説が充実しています。第2章で早速、テンプレートを利用したサイトの作成・公開を扱っていることは特筆に値します。これは Web ページの作成そのものよりも、サイトの公開・管理で躓く人が多い事実を反映したものです。フルオリジナルの Web ページを作成したい方も、第2章を読み飛ばしてはいけません。

第4章「サイトの管理」までは必ずきちんと読むことを勧めます。類書の多くはサイト管理の話題をオマケ程度に扱っています。そのため初心者はサイトの公開・更新・管理についてよく理解せず、非効率な作業を繰り返して混乱に陥りがちです。本書は序盤に地味な説明が続きますが、「良薬口に苦し」と申します。本当に大切な内容をきちんと伝えようとしたエクスメディアの英断を、読者は無駄にすべきではありません。

本書は300頁を越え初級解説書としては厚めですが、付属アプリケーションや新機能の解説はあっさりしています。とくに付属アプリの解説は限定的です。その一方で新機能は概ねフォローされています。HPB8 の全てを扱えば800頁以上になるので、内容の絞込みは必然です。初級書にはそれぞれ重点の置き方に特徴がありますから、よく目次を見て適当なものを選ぶことを勧めます。

速効!図解 ホームページ・ビルダー Version 8

初級者向けのホームページビルダー解説書です。速効!図解シリーズは紙質が上品で軟らかく、本が閉じにくい特徴があります。ブックデザインやレイアウトと同様、本シリーズは他社の初級書シリーズに「一歩先んじる内容」を狙っているようです。ていねいな図解で構成される基本構成は標準的ですが、ところどころに興味深い一文が配されています。

本書は初心者の方にもすんなり読めるよう、WWW の概念からきちんと説き起こしているのですが、構成には多少の難があります。初心者の方は、第4章まで読んだら、第10章へ進んでください。第5〜9章は、Web ページを充実させる各種技術の解説であり、読まなくても支障ありません。しかし第10章は必ず読まねばならないのです。順番通りに読んでいくと、第10章にたどり着く前に力尽きてしまう恐れがあります。

HPB8 の機能は多岐にわたるので、本書一冊で全てを扱っているわけではありません。しかし、静止画像やアニメーション素材の作成方法など、主な補助機能は一通り説明されていますから、たいていの方は本書一冊で満足されるでしょう。流れを見失わないようレイアウトがよく工夫されており、読みやすい本です。強烈な特徴のないベーシックな解説書ですが、安心してお勧めできます。

2004-06-20

できるホームページ・ビルダー8

HPB8 の初級解説書です。できるシリーズは入門レベルのユーザを主な対象層としているため、細かい操作をきちんと図解する親切な解説に定評があります。また解説に一貫した流れがあり、現在地を見失いにくくなっています。他書でしばしば遭遇する「あれっ? 今、何をしたいんだっけ」という当惑と縁遠いのです。ですから、興味のあるページだけをつまみ読みするのではなく、最初のページから順に通読することを勧めます。

本書は第5章まで読めば基礎を一通り仕上げ Web サイトを完成できるようになっています。後半はステップアップ講座ですから、読まなくても大丈夫です。300ページを越える本ですが、安心してください。

解説の多くは、標準モードの操作に割かれています。標準モードは応用が利く代わりとっつきにくいのですが、テンプレートの活用、どこでも配置モードとステップを踏むので、スムーズに習得できるでしょう。また、まとまった内容を持つ Web サイトを作るための考え方や、コンテンツの更新方法など、運営技術についても多くの情報が織り込まれていますので、本書で学んだことは先々まで役に立つでしょう。

本書は基本の習得に主眼を置き、付属ツールや応用機能の解説はほとんどありません。HPB を極めたい方には、「ホームページ・ビルダーVersion8パーフェクトマスター―Version8/7/6.5完全対応」をご紹介しておきます。本書には HTML の簡単な解説が付録しています。HPB を離れ、HTML 文書の直接生成に進まれる方には、「HTMLとスタイルシートによる最新Webサイト作成術」をお勧めしておきます。

今日からはじめるやさしいホームページ作り―ホームページ・ビルダー8 SCC books

HPB8 の入門書です。大きな紙面に余裕のあるレイアウトはきれいで見やすく、解説書を読み慣れない初心者にも安心です。情報が絞り込まれており、すっきり読み進められます。きちんと手順を追えば、流れを見失うことなく、すいすいと理解できるでしょう。

ていねいな解説を心がけつつ、余白が多くページも少ない本書は、類書中、最も到達レベルが低い本のひとつです。ですから、本書を読破しても、他書の半分くらいの内容しか理解できたことになりません。しかし私は、初心者の方には本書をお勧めします。なぜなら、HPB の機能の大半は「使えれば便利だけれど、なくても困らない」ものだからです。本書の内容さえしっかり身につければ、ふつうに Web サイトを作り上げていくには不自由しません。分量の多い本に手を出して挫折するよりも、基本に的を絞った本をよく読む方がよいはずです。

ただし、本書は「どこでも配置モード」をベースに解説していますから、注意が必要です。とっつきやすい代わりに、応用が利きません。「標準モード」をベースに解説した入門書「超図解 わかりやすいホームページ入門 ホームページ・ビルダーVersion8編」をご紹介しておきますので、比較検討されることを勧めます。できるだけ簡単な本を探しているなら、本書を選んでください。ほんの少し挑戦してもいいなら、超図解を選びましょう。

フリーで使えるホームページ素材集2nd 第3巻

「夏」をテーマにした素材集です。プロ仕様ではなく、まったくのアマチュア向けですのでご注意ください。つまり加工を前提としていませんので、最初から解像度などが Web 用になっているわけです。

現在、ネット上でよく探せば、無数の画像素材が無料で公開されていることに気付かれるかと思います。しかし「夏」というテーマで本書と同等の種類の素材を見つけるのはそれなりに骨です。手間と時間を買う、という発想で本書を利用されるなら、お金を出して本書を買う意義も出てきます。低速回線の利用者や、Web 検索があまり得意でない方にとっては、値段分の価値は十分にあるでしょう。

本書には3000点以上の画像素材が収録されており、眺めていても楽しい本です。つらつら見ていくうちに、リニューアルのアイデアがわいてくるかもしれません。プロの仕事では素材からデザインを考えるのはイレギュラーな手順ですけれども、趣味の Web デザインならば「この画像素材を使いたい」という思いを起点にデザインを考えていくのも楽しいのではないでしょうか。

フリーで使えるホームページ素材集2nd 第4巻

「アニメーション画像」をテーマにした素材集です。アマチュア向けなので、どの素材も加工せずそのまま用いることを前提とした仕上がりになっています。

現在、Web で検索すれば、無料の画像素材が無数に見つかります。しかし、希望通りのアニメーション画像を見つけるのは容易ではありません。1点ずつ、アニメーションを確認していかねばならないからです。またアニメーション画像は静止画像よりファイルサイズが大きい場合が多く、低速回線の利用者は検索に疲れます。

本書は1000点以上のアニメーション画像をきれいな図解で紹介しており、お望みの画像を便利に探せます。1000点以上という数字は必ずしも十分なものではないのですが、あまり無茶をいわなければ、大抵の用途には足りるのではないでしょうか。

きれいな本なので、ぼんやり眺めるだけでも楽しいかもしれません。とはいえ、ネット通販にリスクのある本のひとつではあると思います。一度は書店で手にとって、内容を確認された方がよいかもしれません。

全部無料でつくるはじめてのホームページ For Windows XP/Me/98

Web サイト作成の初級解説書です。無料ソフトを駆使し、初級者にも扱いやすい便利な制作環境を整えながら Web サイトの作成を進める総合チュートリアルを1冊にまとめており、かなり濃い内容です。入門レベルから使えるということになっていますが、少なくともパソコン自体に不慣れな方には勧めません。

本書はHTML、スタイルシート、JavaScript、画像・動画の加工、サーバの確保、各種フリーソフトの操作方法、フリー素材とテンプレート……趣味の Web サイト作成に有用な知識の大半をカバーしています。基礎体力のある方ならば、本書は頼りがいのある1冊となるでしょう。

ただ本書の解説は駆け足で、初心者向けの嘘とごまかしが多分に含まれています。とりあえず趣味で Web サイトを作るには問題ありませんが、情報の共有についてまじめに考えていくならば、結局、1から勉強しなおす必要があります。堅実に地歩を固めていきたい方には「HTMLとスタイルシートによる最新Webサイト作成術」をお勧めしておきます。

ところで、本書は一般的な図解中心の解説書の体裁を取っていますが、少し古い本になるものの「無料裏技(タダワザ)ホームページ」は文章中心の解説で同等の内容を扱っています。機会があれば読み比べてお好みの本を購入されてはいかがでしょうか。

ホームページ・ビルダー8逆引き大全500の極意―ホームページ・ビルダー6.5/7/8対応

HPB8 の中級解説書です。HPB はほぼ毎年バージョンアップしていますが、基本操作は ver6 以降ほとんど変化していません。付属ツールや編集モード、応用機能が増えているだけなのです。したがって、旧バージョンの利用者にとって、バージョンアップのたびに1から解説する本を買うのは、いささか無駄があります。本書は、基本操作はマスターしている方が、知りたいことだけをサッとひいて活用するための本です。

2色刷の地味な紙面ですが、本書の対象層には問題はないでしょう。大半の項目が1ページにまとめられており、初心者向け解説書にありがちな「くどさ」がありません。もちろん必要な解説と画面写真はきちんと載っていますから、作業に迷いはありません。

版型が小さく、レイアウトに余裕が少ないのですが、本のコンパクトさとの兼ね合いを考えれば許容範囲でしょう。ただ、もう少し軽く薄く柔らかい紙を使ってほしかったと思います。

本書は HPB のバージョンアップにあわせて増補改訂され続け、今回とうとう500項目にまでなりました。ずいぶん多いようですが、実際に使ってみると、まだ不足を感じることがあります。しかし項目をみだりに増やせば、需要の小さなページが際限なく増え、本は重くなり、値段も上がっていきます。過剰な期待は禁物です。たいていの人の、たいていの問題は本書が解決してくれます。コンパクトな本なのです。それで満足すべきでしょう。

フリーで使えるホームページ素材集2nd 第1巻

アマチュア向けの Web 用画像素材集です。本書には小物画像を中心に、5000点以上の素材が収録されています。Web で検索すれば無料の素材が無数に見つかりますが、カタログでサッとひける便利さ、簡単にお望みの素材を入手できる手軽さを考えるなら、本書の購入は決して損になりません。時は金なりといいますが、表面的な有料・無料だけで物事を考えないほうがよいでしょう。

本書は基本的にプロユースを想定していないので、無加工で使えるよう仕上げられています。その代わり、購入者が自分でいじるには向きませんので、ご注意ください。

さて、5000点という数字は、じつのところ十分に多いとはいえません。あなたの希望にぴったりの画像は、なかなか見つからないだろうと思います。私は数万点の素材を所有していますが、やはり同様です。つまり、既存の画像からぴったりのものを探すには数万点でも足りないのであって、だからプロは多くのケースにおいて自分で素材を作るのです。ただ、アマチュアは自作するといっそう悲惨なことになりがちなので、そこそこいい感じの素材が見つかったところで満足すべきです。その点に留意すれば、本書は非常に有用でしょう。

本書は総合的な素材集ですが、写真素材とアニメーション画像の収録数は多くありません。同シリーズからそれぞれの特集が出ていますから、興味のある方はそちらも検討なさってください。

ホームページ・ビルダーVersion8ハンドブック

HPB8 の初級解説書です。かなりの大部ですが、到達レベルは高くありません。じっくりと本格的な解説に取り組んでいるため、ゆったりとした展開になっているのです。

本書の特徴は、各章とも作例を通して機能を学んでいく構成にあります。目次は類書と同様、機能別に整理されていますが、本文が違います。類書では機能が主、作例が従となっているところ、本書はその逆なのです。「**というサイトを作りたい。そのためには**という機能を理解する必要がある」……全編、この手順で解説が進みます。

ソリューション志向を明確に打ち出した HPB8 の解説書としては正統派ですが、学習者の負担がいささか大きいのが本書の欠点です。これは本格的であろうとする解説書が常に直面する問題です。本書の読者は、たくさんの解説を読み通す学習力、もしくはよい指導者を必要とするでしょう。

しかし、本書が唯一の IBM 監修書であることには注意すべきです。本書をマスターすれば、同じ初級者といえども、より深いレベルで HPB を理解できます。多くの作例にきちんと取り組むため、一筋縄でいかない実際に起きる様々の問題に対応する力が養われるからです。豊富な解説は、決して単なる冗長ではありません。

ホームページ・ビルダーで作る 動くホームページ ハイパー

HPB 用の素材集です。本書の特徴は「動き」を実現する素材に特化していることです。JavaScript などを駆使した特殊効果の素材を豊富に収録しており、楽しい内容に仕上がっています。

本書が紹介するような特殊効果が訪問者に歓迎されるかという点については疑問がありますが、趣味の個人サイトは作者自身が楽しければそれでいいのだというのも一面の真実です。Web サイトに手軽に「動き」を取り入れたい方には、一度手にとってみる価値があるのではないでしょうか。

ただし、過剰な期待は禁物です。本書は特別に高度なテクニックを紹介するものではありません。Web で検索すれば簡単にみつかるテクニックばかりといってもよいでしょう。しかし HPB で使えることを検証し、一貫した解説で一冊にまとめているところに本書の意義があります。

ホームページ・ビルダー8 スーパーリファレンス for Windows

HPB8 の初級解説書です。本書はタイトルや表紙・帯の売り文句が中級者向け書籍の雰囲気を演出していますが、実際には初級解説書なので注意が必要です。肥大化した HPB の全機能を解説して400ページ以内に収まるわけがないのであって、実際、多くの機能が解説されていません。逆に、仮にこの厚さで全機能を解説していたとすれば、詰め込み過ぎの紙面となっていたに違いありません。

本書はタイトル通りのリファレンスブックです。通読型の解説書としては今ひとつで、初心者が最初からきちんと読んでいくと挫折するでしょう。個別項目の解説は詳しいのですが、項目間の連携が薄く、また本全体を貫く解説の流れがないのです。本書はソフトに付属する解説書で基本を抑えた人が、より詳しく知りたい項目をつまみ読みしたり、前バージョンの利用者がバージョンアップにより追加された新機能だけを学んだり、といった用途に最適化されています。正しく使えば有用な本ですから、よく使い方を考えて選択なさってください。

本書のレイアウトは非常に開放感があり、そこが気に入る方も多いかもしれません。また、本に何かとメモをする方にも向いています。HPB の初級者向けリファレンスは本書以外になく、ユニークな本です。個性をよく理解してから購入されることを勧めます。

2004-06-21

無料でできる簡単ホームページ作り

Web サイト作成の初級解説書です。現在、初級者向けパソコンのほとんどは Windows 機であり、Office Personal がバンドルされています。そんな状況を反映し、多くのパソコンに最初から入っているワープロソフト Word を使用して Web サイトを作成する方法をていねいに解説したのが本書です。

「Wordと付属のCD-ROMの素材だけで、気のきいたホームページを作れるガイド/HTMLを使わないので手軽に誰でも始められる」というコンセプトをよく実現している1冊です。その意味では、決してダメな本ではなく、Word による Web サイト作成の解説書としては決定版といってもよいでしょう。

しかし惜しむらくは、著者が認めている通り、HTML 文書を思い通りに作成するには結局のところ HTML を勉強し、HTML を直接に記述する他ないということです。第1歩の敷居を下げるという意味では有用な本書ですが、それならばウェブログのレンタルサービスなどを利用する方がよほど簡単なのですし、HTML の解説書もかなり良くなってきた現在、最初から HTML の勉強に取り組むのは決して無謀な挑戦ではありません。

急がば回れとは申しますが、「できるホームページHTML入門」や「HTMLとスタイルシートによる最新Webサイト作成術」といった入門書に取り組むのが果たしてそれほど拙速なことなのか、一考を要するところです。ニッチな需要を狙った本なのかもしれません。

誰でもできる 無料ではじめるウェブログホームページ

ウェブログを利用した趣味の Web サイトを作成・運営する方法について総合的に解説した入門書です。もともと前提知識なしで(一定以上のクオリティーの Web サイトを)作成・運営できるのがウェブログの売りです。したがって本書も、解説の主眼を「はじめる」ではなく「機能を十分に活用する」「続ける」に置いています。

ウェブログ解説書は既に多数刊行されていますが、大半は既に Web サイトを持っている人の乗り換え需要を狙っていました。したがって、Web 関連技術の初歩や、サイト運営の「いろは」は既知のこととして省略されてきました。その点、本書は違います。全てが初めてという方を主な読者層として想定し、ほぼ全ての項目について1から説明しています。

本書は幅広い話題を扱っていますが、記事の投稿やカスタマイズの話題に関連して HTML と CSS の解説にかなりのページが割かれています。皮相的なレベルでは本書の解説に嘘はありませんが、本質的には難がありますので注意してください。アクセシビリティなど高度な問題を考える際には、1から再勉強する必要があります。

Web で得られない情報は本書の中にありませんが、初心者には有用です。同一著者による一貫した解説がまとめられた書籍は、理解がしやすく辞書的利用にも便利です。良い本だと思います。

2004-06-23

Movable Typeで今すぐできるウェブログ入門

ウェブログの中級解説書です。本書が発刊された当時、国内にウェブログレンタルサービスはまだなく、CGI を設置できるレンタルサーバの利用者か、英語に抵抗のない方にしかウェブログを扱うことはできませんでした。本書発刊当時、MovableType は高級なウェブログツールのうち日本語パッチが公開されていたほぼ唯一の存在であり、米国での評判を追い風として国内でも先進ユーザを中心に利用者を増やしていました。

本書はこうした時代背景のもとに制作された1冊であり、記述全般に黎明期の空気が漂っています。良くも悪くも、現在の入門ユーザには向かない本です。これからはじめる入門者ならば、まずはレンタルサービスを検討すべきであり、それならば他によい解説書(「誰でもできる 無料ではじめるウェブログホームページ」「ココログでつくるかんたんホームページ」「はてなダイアリーガイドブック」など)が既に出ています。また MovableType 自体も正式な日本語版ベータ(ver3)が既に公開されており、本書の内容は間もなく古びようとしています。

本書は MovableType の本格的な解説書であり、シンプルに明確にその基礎基本、重要資料の邦訳をまとめた傑作です。現時点でも右に出る本はありません。しかし現在の一般ユーザには、紙面構成も解説スタイルも、とっつきにくい本といえます。オライリー風の、技術書らしい技術書である本書は、今ではマニアックな商品といってもよいでしょう。本格的に学ぶ必要のない一般の方には、「ウェブログ☆スタート!」をお勧めします。

ウェブログで始める簡単スペシャルWebサイト

ウェブログの中級解説書です。内容は MovableType の解説に特化しており、本書1冊で MT に関するたいていの需要に応えます。類書に名作「Movable Typeで今すぐできるウェブログ入門」があり、選択に迷うところでしょう。

本書は国内のウェブログレンタルサービスが充実していない時期に発売されました。ベテランユーザが中心利用層だった発刊当初は初級者向けとされましたが、現在の視点からは中級者向けというべきでしょう。サーバの確保、インストール、日本語化、プラグインの導入までやってしまうのです。

本書は前述の名作と異なり、初級解説書風の解説スタイルを採用しています。紙面はモノクロですが画面写真は豊富です。高機能なサーバを借りる思い切りがあれば、初級者でも MT を導入できます。しかし、現在のウェブログ入門者は、もっと手軽に始めたいはずです。最近の入門書がいずれもレンタルブログを紹介しているのは偶然ではありません。

本書は過渡期に登場した不思議な解説書です。レンタルブログは使いたくない入門者が MT を設置し、十分活用したいなら、本書は最良の選択です。あなたが中級者なら、前述の名作を勧めます。MT の機能に深入りせず、それよりもウェブログ導入の利点について落ち着いて考えたい方には「ウェブログ☆スタート!」を勧めます。レンタルブログで手軽にブログライフを始めたい方には「ウェブログ超入門」を勧めます。

はてなダイアリーガイドブック―ウェブログでつながる新しいコミュニティ

はてなダイアリーの中級解説書です。はてなダイアリーの公式ヘルプは味気ない技術仕様書風になっています。それは誰でもヘルプなしで基本操作を理解できることの裏返しなのですが、中級者へのステップアップに壁があるのも事実でした。そこで有志による「はてなダイアリーガイド」の整備が進められましたが、例によってリンクの無限回廊と説明の洪水となっているのが実状です。本書は、中級者になりたい初級者のための本です。

ふつうに日記を書くだけなら、本書を読む必要はありません。世の中なんでもそうですが、はてなの便利な機能も、知らない分には不都合ありません。けれども、勉強すれば世界が広がります。中級者の書いた「ガイド」が結局、中級者専用となるのは UNIX の世界で見慣れた光景ですが、本書は「あれもこれも」の教育欲を抑え内容を絞って見通しをよくし、矛盾と混乱と手戻りを快刀乱麻で片付けスッキリとした解説書に仕上げています。

文章中心の解説に豊富な図版を織り込んだ本書のスタイルが「ガイド」に似ていることもあり、全部 Web 上で無料で公開されている内容ではないか、との評も聞かれます。しかし本の性質上それは当然のことであり、欠点ではありません。本書の美点は、一人の著者の技術センスによる統一された情報の取捨選択と整理の妙にあります。「ガイド」で挫折した方はぜひ、本書をパソコンのお供として再挑戦されることを勧めます。

本書は通読型の解説書としてはきついものがあるかと思います。コンセプトの都合上、内容の多くはおまけ機能の解説に終始します。序盤さえきちんと読んだなら、後はその時々の興味にあわせて関心のある項目だけを拾い読みしていけばよいでしょう。使い方を誤らなければ、たいへん有用な1冊ではないかと思います。

「はてな」ではじめるブログ生活―はてな公式ハンドブック

はてな」の初級解説書です。解説の大半ははてなダイアリーに割かれており、はてなアンテナのカスタマイズと活用法は第4章だけ、人力検索は紹介のみです。

本書ははてなの広報に解説を付したような構成になっており、バス旅行のガイド嬢が淀みなく語る観光案内のような整理された饒舌さで「はてな」の全体像を語りおろします。単色刷の地味な紙面ですが、字も余白も大きく、大きな図版も適宜挿入され、すいすい読み進められます。読物風に仕上げられているので、興味のある章は、一部につまらない項目があっても勢いで読み通した方がスッキリします。

本書は易しく軽い内容となっており、全内容をマスターしても「中級者に手が届く」程度にとどまります。中級者には全く物足りない内容かと思います。しかし Web で自習しているとリンクの海でおぼれがちな初心者にとって、1冊で完結している書籍は有用です。ただし、ある程度の基礎がある方には「はてなダイアリーガイドブック」を勧めます。

ところで、本書の読者は「はてな」会員でしょう。とすると、あまりに広報誌的な本書の内容に疑問も湧いてきます。ファンが友人・知人に「はてな」を勧めるために買う本、という印象もあります。

ウェブログ・ハンドブック―ブログの作成と運営に関する実践的なアドバイス

ウェブログの中級もしくは上級の解説書です。本書はウェブログを題材にして「いかに WWW で意見を発信していくべきか」を語った思想書であり、著者の価値観に賛同するかどうかに関わらず、読者に多くの示唆を与えます。

本書はていねいに書かれているので、基本的に「ウェブログはAだからBである。よってCすべきだ」という論理展開をきちんと踏みます。このとき「AだからB」は同意するとしても、「よってCすべき」かどうかは見解が分かれるはずです。Cは解決策として最良か? そもそもBは忌避すべきことなのか? 著者の筆致には迫力があり、ぼんやり読むと呑まれます。それも悪くはありませんが、じっくり読む方が後に残るものがあるでしょう。

初心者には本書をお勧めしません。本書が取り組む諸問題は簡単な解決策を許しません。だから著者はこのような(結構な分量の)本を書いたのです。しかし観念的にテーマを捉える読者は、「どうも面倒なようだからウェブログなんてやーめた」となりかねません。本書はヘビーユーザ向けです。ライトユーザには「ウェブログ超入門」もしくは「ウェブログ☆スタート!」を勧めます。

ところで本書は一部に可読性の低いページがありますし、ブックデザインも珍妙です。Go サインを出した編集者は反省すべきだと思います。星をひとつ引きました。

ウェブログ徹底活用ガイド―無料でできるホームページ大変革

ウェブログの初級解説書です。本書はレンタルブログの解説から説き起こし MT の設置へと進みます。「誰でもできる 無料ではじめるウェブログホームページ」とコンセプトが重なっており、選択に迷うところでしょう。

本書はココログ、はてなダイアリー、エキサイトブログ、goo ブログと4種類ものサービスを詳説しますが、この解説に一貫した流れがありません。なぜカスタマイズ等が難しいサービスから順に紹介するのでしょうか? これは本来逆順にし、段階を踏んで難題に取り組む構成とすべきでした。同じような説明をサービス毎に繰り返してページを無駄遣いした結果、本書はスタイルシートの体系的な解説を放棄しています。解説の見通しの悪さは全編にわたっており、モノクロの紙面とあいまって読みにくい本となっています。

本書の注目点は MovableType3.0 を解説していることでしょう。書籍では1番乗りとなります。また既刊書に解説のなかったエキサイトブログと goo ブログを取り上げていることも、それらのユーザには心強いかもしれません。しかし初心者には読みにくい本書がカスタマイズの余地が小さい初心者向けサービスを詳解し、それでいて MT3.0 に大きなページを割くという無定見な編集方針には疑問を感じます。

私は「誰でもできる 無料ではじめるウェブログホームページ」を勧めます。

オールカラー 最新実用HTMLタグ辞典

HTML と CSS の中級者向けリファレンスです。入門的記事は巻末に申し訳程度に添えられているのみで、冒頭からバリバリ項目が並びます。フルカラーでページが多く文字も小さめ、それでいて類書と値段が同等以下ですから、たいへんお得な感じはします。ページが多いのは、項目の立て方が細かく、また比較的まとまった分量のサンプルを紹介しているからです。

私は本書を勧めません。解説に難があるからです。著者は align 属性と text-align プロパティを並列に紹介します。div 要素と p 要素をまとめて紹介し、違いは前後の1行空きの有無(だけ)、と説明します。なぜ「同じ」結果を得る手法が複数あるのか、著者は解説しません。こうして本質的な理解を欠けば、必然的に文書の作成は非効率になります。そのことは本書のサンプルと著者の Web サイトのソースを見れば明らかです。単純な用語の間違いも散見されます。著者はもう少し仕様書を尊重すべきでした。

HTML と CSS を「主要な視覚系ブラウザのデフォルトスタイルによる表示結果」という皮相な観点から再整理した本書は、読者に「違う」ものを「同じ」と誤認識させます。わかりいいのは上辺だけで、これは結局、非効率の元凶となります。易しく正しい入門書「HTMLとスタイルシートによる最新Webサイト作成術」と「プチリファレンスHTML」を私はお勧めします。

2004-06-24

憧れのマイホームページを建てる。

Web サイト作成の初級解説書です。表紙とタイトルが示すように、本書は対象層を30〜50代に設定した珍しい入門書です。紙面レイアウトにも工夫が凝らされ、抽象的概念をきちんと伝えるため文章解説も適宜取り入れています。チャラチャラした本は恥ずかしく、かといって単色刷の本もとっつきにくいと感じていた方にとっては理想的な解説書といえます。

本書は1冊で初心者の希望を一通り満たすよう配慮されています。学習の材料・道具の一式が CD-ROM に入っているので探し物で予定外の手間を食うこともなく、解説に集中できます。本書の中核は HTML の解説ですが、それにとどまらず CGI レンタルサービスの紹介や更新の考え方など、幅広い内容を扱います。Amazon で「無料 ホームページ」と検索すると類書が多数出てきますので、比較検討されると面白いでしょう。

多くの類書と同様、本書の HTML 解説には難があります。HTML は多くの環境で情報を共有する効率的な手段です。文書を装飾する道具として HTML を扱う本書の解説は非効率を招きます。かつてと異なり、現在は初心者こそ妥協なく効率的で正しい手法を実践できる状況にあります。本書の完全な代替とはなりませんが、「HTMLとスタイルシートによる最新Webサイト作成術」を私は勧めます。

最近、HTML を正しく解説する新刊が増えています。同著者の本でも、旧著と新著で解説がガラッと変わった例があります。本書はよいコンセプトを持っているだけに、改訂版あるいは著者の新刊に期待する次第です。

ココログでつくるかんたんホームページ

ココログの初級解説書です。本書はニフティのレンタルウェブログサービス、ココログを紹介し、基本操作からカスタマイズの方法、高度な利用法までをフルカラーの図解で楽しくわかりやすく解説しています。

曲線が特徴的なかわいらしい紙面デザインは、とくに女性読者を意識したものでしょう。ウェブログツールも結局は日記ツールとして利用されることが多く、ココログも次第に女性利用者が中心となっていくでしょう。しかしココログは TypePad をベースにしており、高機能だが小難しい面があります。本書はこのギャップを埋める素晴らしい解説書です。

基本的に本書の内容は Web なら無料で得られます。中級者には物足りないでしょう。しかし初級者は基礎知識の不足のため Web 検索に苦労します。そしてバラバラの解説を自分の中でうまく統合できず、疲れてしまうものです。コンパクトに情報が整理されリンクの無限回廊がない解説書は、初級者の心強い味方です。

余白の多い本ですが、一気に全部を読もうとすると疲れます。たくさんの機能を全て使いこなす必要はありません。第4章以降は興味が湧いたときに読むことを勧めます。

例題50+演習問題50でしっかり学ぶHTML標準テキスト

HTML の初級解説書です。タイトルが誤解を招きかねませんが、本書は相当量の解説を含んでおり、練習帳というより本格的解説書と考えた方がよいでしょう。ページも内容も多く、1冊こなすには相当の学習時間を見込まねばなりません。講習会のテキストとして用いる場合には、内容を適宜省略する必要があります。

本書は都民講座のテキストをまとめたものですが、大変まずい内容です。著者はタイトルに「標準」と謳っていますが、本文は主要な PC 向け視覚系ブラウザのデフォルトスタイルに依存した解説に終始しています。これは HTML の仕様を策定する W3C の勧告に反した、非標準の解説です。

HTML を情報の共有ではなく視覚整形の道具として扱う著者は、一部のブラウザで望み通りの表示結果を得られさえすれば文法に頓着しません。著者は W3C の勧告を読んでおらず、自らの誤りに気付いていません。可能なら他書を検討すべきです。私は「HTMLとスタイルシートによる最新Webサイト作成術」を勧めます。

プロが教える!!初心者のためのホームページデザイン教室

Web サイト作成の良心的な入門書です。フルカラーの紙面で、きれいで見やすい Web ページの作り方を解説します。多くの類書と同様 HTML や CSS の解説がメインですが、技術先行のデザインではなくデザインのための技術という視点がぶれないのが本書の特徴です。

本書は大きく3部構成となっています。Chapter1 で準備と概論をのべ設計図を描き、Chapter2 で基礎技術である HTML と CSS を学び、Chapter3 で画像や配色を学びつつ理想とするデザインの実現方法を探ります。要素技術の前に全体設計を解説する構成が、著者の意図をよく表しています。

よい Web サイトを効率的に制作するためには HTML と CSS を適切に用いるのがよい方法です。近年の状況変化を踏まえ、著者はヒット作「はじめて作るホームページ HTML編」から大胆に解説をアップデートしています。その一方で、初心者には CSS による複雑なレイアウトは実現し難い現状を鑑み、最小限度のテーブルレイアウトとの併用をも説明しています。ここは賛否両論ありましょうが、対象層を考えれば私はアリだと思います。

できるホームページHTML入門」「HTMLとスタイルシートによる最新Webサイト作成術」などと並び、新世代の入門書としてお勧めできる1冊です。

2004-06-25

スタイルシート スタンダード・デザインガイド

Web サイト作成の中級解説書です。「検索エンジンへの最適化」「ユーザビリティの向上」「より高いアクセシビリティの実装」を「Web標準準拠」により解決しつつビジュアルデザインとの両立をはかる、意欲的な内容です。抽象的な課題に具体的な指針と実現手法で答えた傑作であり、きちんと学びたい方にお勧めします。

従来、エビスコムの著書は CSS の解説に定評がありましたが、サンプルの HTML に安易に div 要素と span 要素が用いられる傾向がありました。それは本筋の解説に集中するため、枝葉の問題を敢えて避けるための選択でしたが、玉に瑕という印象は拭えませんでした。しかし本書はその欠点を克服し、HTML についても信頼できる解説となっています。

Web 標準の理解には様々な抽象的概念の理解が必要ですから、本書の解説は文章を軸とし、堅実さを貫いています。紙面はフルカラーで美しく、実践的な Tips が多数収録されるなど、気軽に楽しめる工夫も多く織り込まれていますが、初心者が手を出す本ではありません。HTML や CSS を知ってはいるが、正しく使いこなす能力が不十分、という方のための解説書です。

初心者には「HTMLとスタイルシートによる最新Webサイト作成術」を勧めます。

極悪ホームページ事典―裏HTML&裏JavaScript&裏XHTML&裏i‐mode&裏CGI

マニアックな商品です。タイトルはおどろおどろしいのですが、内容は他愛ありません。本書を読むと、WWW でこうした「裏技」が滅多に用いられないのは、それが技術的に難しいものだからではない、という事実に気付かされます。初心者をトラップに引っ掛けることに楽しみや喜びを見出せる人がそれほど多くないのでしょう。

ところで、本書はいたずらのネタを仕入れたい方に向けて書かれているのですが、一般読者にも一読の価値がないではありません。敵を知り、己を知れば、百戦危うからず……とはいえ、この手のトラップは知っていても引っかかるものです。大切なのは、トラップの仕組みと対処法を理解することです。

誰もが知りたいホームページ危ないトリック&トラップ

マニアックな商品です。一般の方には無用の本です。ただし、比較的落ち着いた筆致で書かれていること、利用技術ごとに内容がよく整理されていることから、トラップの仕組みと対処法を学ぶ本として活用する手があります。一読すれば「無闇に恐れる必要はない」という常識的な結論が得られるかと思います。そして、鉄人28号の教訓(=技術の良し悪しは使う者次第)はいつの時代も変わらないことに気付かされます。

HTML/JavaScript/CSSホームページ裏ワザ大辞典

中級者向けの Tips 集です。

裏ワザという言葉から何を想像するかは人それぞれでしょうが、本書は HTML/JavaScript/CSS を用いた Tips を 205 種類紹介する本です。デザインの中核を担いうる実践的なテクニックは僅かです。「タグ屋」と呼ばれるジャンルの Web サイト群で紹介される例が多いお遊び用途の単発 Tips が大半ですから注意してください。プロの方よりも、趣味の個人サイト製作者に向いています。

作成手順→技術解説→サンプル改造例のステップで、裏ワザテクニックの正確な理解ができる、というのが本書の売りです。しかし紙面ではしばしばキーポイント以外の記述が省略されています。必ずサポートサイトからサンプルをダウンロードして、ソースを確認してください。本書のタイトルを Web で検索するとサンプル集が見つかります。購入者以外でも閲覧できるので、事前に内容を確認されることを勧めます。

本書は眺めている分には楽しいのですが、そもそもここで紹介されているような Tips を閲覧者が喜ぶかどうかは疑問です。技術は使いようなので、うまくすれば役立つものとなりますが、安易に取り入れるとつまらない結果となりかねません。また、HTML や CSS の正しい使い方を学ぶ前にこうした応用編に飛びついてしまうのも危険です。よく考えて、活用してください。

プチリファレンス ホームページ作成Tipテクニック

初心者に人気の「タグ屋」と呼ばれるジャンルの Web サイト群があります。HTML や CSS や JavaScript などを駆使し、コピペだけで所定の効果を自分の Web サイトに取り入れられる Tips を紹介しているのです。しかし、技術の理解抜きで手軽に結果だけを得ようとする試みは、しばしば悲劇的結果を生んでいます。

本書は「タグ屋」で人気の「テクニック」を中心に、簡単なものから比較的高度なものまで、厳選された Tips を一定の解説を付して紹介しています。折り畳み型メニューや角丸テーブルなど、初級者には心惹かれる項目が並んでいるわけですが、サンプルデータを安易にコピペしようとお考えなら、リスクも承知してください。

本書はアイデア集であり、初級者がステップアップするための本でもありません。皮相な Tips の知識だけ増えても初級者は初級者のままで、それは自分で新しい Tips を生み出せないことからも明らかです。本書を一番楽しく読むのは初級者でしょうが、私はある程度の基礎がある方だけにお勧めします。

類書に「HTML/JavaScript/CSSホームページ裏ワザ大辞典」があります。意外にダブっていない収録項目があるので、目次等を比較検討されるとよいかもしれません。

読める!いじれる!HTML入門 ホームページ・ビルダー8編―オールカラーで楽しく学ぶ

HTML の入門書として書かれた本書ですが、ホームページビルダー(HPB)の中級解説書として読むことを勧めます。HTML を単に文書の装飾に用いる道具として扱っており、HTML の解説書としては評価できません。HTML について致命的な誤解を招き、非効率な利用法へと導くからです。

HPB で実現できないデザインは、意外に少なくありません。実現は可能でも操作手順は面倒、というケースもあります。しばしばこうした問題は、HTML を直接記述することで簡単に解決できます。本末転倒と感じるかもしれませんが、どんなツールも万能ではありません。ツールが生む不便も存在するのです。

本書は HPB の中で HTML を扱う手順、基礎知識、それにより何ができるのか、といったことを初歩から解説しています。HPB 活用の応用編として読むならば、有用な1冊といえます。先に非効率云々と述べましたが、それは HPB の中で HTML を用いる限り逃れ得ない問題ですから悩んでも仕方ありません。

そしてやはり HTML についてきちんと学びたい方には「HTMLとスタイルシートによる最新Webサイト作成術」など正統派の本を勧めます。

2004-06-26

最新 HTMLタグ使いこなし辞典

HTML の中級リファレンスです。著者は WWW 黎明期から HTML の解説書を書いているのですが、W3C の勧告を一度も精読していないようです。過去の著書と同様、本書にも情報の不足と不正確が目立ちます。最新仕様にきちんと対応したリファレンスは数少ない、と著者は述べていますが、本書もその他大勢の1冊といえます。

著者は基本的に HTML をブラウザでの表示結果を指定するものと考えており、文法規則に無頓着です。とくに表示結果の都合から説明できないルールには冷淡で、例えば要素の入れ子ルールは見事に無視されています。本書が示すサンプルには入れ子ルールに反するものが多数ありますから、参考にしてはいけません。

本書は紙面のデザインも単調で、読みにくくはないものの工夫のない印象があります。

標準HTMLパーフェクトリファレンス」は本書を完全に代替します。ABC 順に要素を並べる構成、中級者仕様の堅実な紙面、そして W3C 勧告に準拠し全項目を確実に収録……正確かつ十分な情報量とコンパクトなブックデザインを両立した傑作です。この本が登場した現在、本書を勧める理由はもはやありません。

HTMLによるホームページ作成

HTML の入門書です。パソコン教室のテキストに適したブックデザイン、構成となっており、その用途には非常に向いています。2色刷で余白の多い紙面はメモを書き込みやすく、話が前後しない1本道の構成も講義スタイルに合致します。第1章で Web サイト作成の流れを概観し、ファイル転送まで扱うのも英断でしょう。

本書の難点は、肝心の HTML の解説がまずいということです。PC 向け視覚系ブラウザでの表示結果にばかり注目した解説は HTML の本質を外しており、必然的に作業の非効率を招きます。表・リストの解説がリンクの解説の前にあるといった構成に、端的に本書の問題が表れています。なぜ W3C の勧告をないがしろにするのでしょうか。標準に準拠した解説は初心者にはわかりにくいという思い込みから、そろそろ解放されるべきです。

教室のテキストならばともかく、独習用の本を探している入門者には「できるホームページHTML入門」「プロが教える!!初心者のためのホームページデザイン教室」などの類書を勧めます。多少の知識と経験のある初級者の再学習には「HTMLとスタイルシートによる最新Webサイト作成術」を勧めます。

HTML Style Book

HTML の初級解説書です。若い女性読者を対象層とし、2色刷ながら可愛らしくセンスのいい紙面作りがなされています。デザインヒントや配色サンプルも、コンパクトな内容ながら参考になります。

本書は2002年発行にもかかわらず、1999年に勧告された HTML4 を新しい仕様として忌避し、HTML3.2 をベースに解説しています。2002年といえば Windows XP と IE6 が既に登場しており、時代錯誤の編集方針でした。しかし本書がおかしいのは、HTML4 で初めて採用された要素や属性も平気で紹介していることです。本書は情報の共有を追求した HTML4 の基本理念に反対しつつ、便利そうな要素技術は取り込むのです。

「見てすぐにわかる」本書の解説は、木を見て森を見ません。だから、読者は結局、森の中で道に迷います。HTML4 が示した様々なルールは、森の道しるべに相当します。読者は個々の要素の紹介にばかり目がいきがちですが、森の全体像を把握することの方が大切です。私は本書を勧めません。知識が体系化されず「わかったつもり」で終ってしまうからです。

プロが教える!!初心者のためのホームページデザイン教室」または「HTMLとスタイルシートによる最新Webサイト作成術」の検討を勧めます。

HTML…はじめの1冊 HTMLのすすめ―ソースを書くのが楽しくなる!

HTML の入門書です。2色刷の地味な紙面ですが、内容は良心的です。HTML は非常に誤解されやすい技術なので、多くの著者が間違いを平気で教えています。本書は初歩から HTML を解説する中で、ありがちな間違いを多く指摘し読者に注意を促します。きちんと読めば、とんだ誤解をすることなく学習を進められるでしょう。

本書の特徴は、解説編とリファレンス編がほぼ同じ分量となっていることでしょう。本の厚さといった観点からは否定論もありましょうが、使ってみれば意外に便利で、面白い構成だと思います。読んでみるとパッと見の印象よりも文字量が少なく、解説編はすいすい読めます。解説編のページ数は類書と比較して決して多くないので、最初から最後まで通読することを勧めます。

本書の欠点は、端的には解説内容の不足です。ブロックレベル要素とインライン要素の区別、要素の入れ子規則など、重要な解説がありません。サンプルをよく検討すればひどい間違いは犯さずにすみましょうが、不安は残ります。また「構造と装飾の分離」という HTML4 の大方針についても概念を示すのみで、解説と十分にリンクしていません。今後の課題、として投げ出しているのです。

本書はよい本ですが、入門者なら「できるホームページHTML入門」を、初級者なら「HTMLとスタイルシートによる最新Webサイト作成術」を同時に検討されるとよいでしょう。

よくわかるホームページ・ビルダーVersion8 (応用)

HPB8 の初級解説書です。余白が多く、単純明快で迷いのない紙面はパソコン教室のテキストに最適でしょう。

GUI による操作は直感的でわかりやすい代わりに手数が多い欠点があります。本書は画面写真のサイズを大き目に設定しているため、簡単な操作の解説でもどんどんページが進みます。本書は版型も大きくページもかなりあるのですが、読破には苦労しません。基礎編とあわせても、初級解説書の類書1冊と同等の内容に過ぎないことに注意してください。

とくに解説に難があるわけではありませんが、2色刷で内容の薄い本書は、独習用の本としては今ひとつコストパフォーマンスがよくないのではないでしょうか。入門者には「超図解 わかりやすいホームページ入門 ホームページ・ビルダーVersion8編」を、初級者には「できるホームページ・ビルダー8」を、中級レベルまで狙う初級者には「はじめてのホームページ・ビルダー Version8」をご紹介しますので、比較検討をお勧めします。

速効!図解ホームページ作成 HTML編

HTML の初級解説書です。画像処理やファイルの転送から Web サイトのメンテナンス・運営までを解説しており、本書1冊で Web サイトを完成できます。流れを見失いにくい工夫がされ、フルカラーながら目に優しい上品な紙面デザインのため、読みやすい本に仕上がっています。紙が柔らかくページが閉じにくいのも便利です。

しかし残念ながら、本書は解説に難があります。標準に準拠せず、HTML に装飾を担当させるため、本書は無数の要素を紹介し、読者の学習負担が大きくなっています。構造と装飾を分離し HTML に前者のみを担当させれば、初級者が学ぶべき要素は非常に限定されます。そして CSS に装飾を任せれば、基本を押さえるだけでも表現の幅が大きく広がります。

従来、HTML に加えて CSS まで扱うのは無謀だ、といった意見が強く、何でも HTML に担当させる非標準の解説が主流でした。しかし実際には、解説者に十分な技量があれば標準的な解説の方が学びやすいことが証明されつつあります。最近、毎日コミュニケーションズからも正統派の解説書が刊行されはじめました。本書の改訂版にも期待しています。

現時点では、易しく正しい入門書「できるホームページHTML入門」を優先的に検討されることを勧めます。

2004-06-27

速効!図解ホームページ作成 上級編

CSS と JavaScript およびそれらを組み合わせた DynamicHTML などを解説する本です。各技術分野の初級レベルを中心に扱いますが、一部の実践例は中級レベルです。姉妹書の HTML 編に対比して上級編というタイトルになっていますが、実際には浅く広い内容です。

紙面はフルカラーで見やすく整理され、説明もていねいですから、初級者は本書に満足できるかと思います。しかしきちんと学んできた方は、あまり感心しないでしょう。

CSS にせよ JavaScript にせよ、それらがどのような要請から生まれたものなのか、著者は正しく説明していません。だから、「こういう機能があるので使ってみよう」式の解説に終始します。中級の実践例も結局、「できるからやってみる」の域を出ません。「タグに影響されないでスタイルを適用するには」と題して DIV・SPAN 要素を紹介するくだりは、本書の欠陥を端的に示しています。

「なぜ?」「何のために?」という疑問を皮相なレベルで「解決」してしまうと、必ず足元をすくわれます。よく考えられた中級解説書として「スタイルシート スタンダード・デザインガイド」「WebがグンとよくなるJavaScript」をご紹介しておきます。