原寸大(76KB), 撮影: 久保田さん
このFAQはアフガン問題をほんの少しは知ってる人がよくつっこむ部分についてのものです。アフガン紛争について、ぜんぜん知らないかたは、アフガン紛争ダイジェスト版(短い)を読んで体力をつけると吉。
一般的にいえば、とにかくアフガン問題は、難しいということ。そんなんじゃ答になってないと思うかもしれないが、 とにかく善玉と悪玉が内戦してるみたいな、おちゃらけた単純な話じゃあないんです。 6+2といわれる、「周辺」諸国が複雑に関係している。 6のほうは、まあいい。パキスタン、イラン、トゥルクメニスタン、ウズベキスタン、タジキスタン、中国、の、 ホントにアフガニスタンと国境を接して、物理的に関係ある国々。問題は+2(アメリカとロシア)のほう。 ロシアは旧ソ連で国境を接していたのでともかくとしても、 この+2にアメリカなんていう全然地理的にも文化的にも関係ないのが「当事者」づらして入ってるところからして、 よく考えると変だと思うでしょう。
で、アメリカ寄りの報道は、いくらでもあるんだから、わざと少しアンティテーゼとして別の角度から書いたほうが、 考えが深まって良いと思います。仏像破壊ねたにしたって、ちゃんちゃらおかしいと思うのは、 それまで、毎晩、凍死者が出ている、一晩でひとつのキャンプだけで百人以上、亡くなった、 そういうことがぜんぜんニュースにならない国なのに……ということは、 子どもが毎晩、飢えて衰弱死してゆくことなんかは、あんまり「おもしろみ」がなくて、 仏像をぶっこわすのほうが「センセーショナルで視聴率がとれる」ってんでしょうかね。 CNNなんかは政治的プロパガンダなんだろうけど、日本のメディアは、よくわからん。 とにかく、やりきれない部分がありますよ。前からアフガニスタンを見ている者としては。 本文でも書きましたが。 そういうことを指摘する声があっていいはずだし、あなたにも言いたいけれど、 仏像になったら「文化遺産を守れ」と騒ぐ、それは多いにけっこう、だが、子どもたちが毎晩、死んでるのに対しては、 なんか言った?1ミリでもなんか感情を動かしてくれたんですか?なんかメディアの尻馬に乗って、 みんなが騒いでるんでいっしょになって騒いで楽しんでるだけじゃないの?子どもたちを守れ、 ユニセフは国連は安保理は何をしとるのか、と、そういう非難の気持ちを持ったことありますか?
そりゃあ、こっちだって、あの仏像にいかなる考古学的価値があるのか、そもそもシルクロードの東西交流が、とか、 アフガニスタンの仏教美術がいかにユニークか、たぐいまれなるギリシャ様式と東洋の様式の共存……とか、 図版をあげて説明して、こんなユニークな文化遺産を破壊するとは、いかにもったいない話か、と。 そういう話は、はっきりいって、反タリバン宣伝をやってる連中より、こっちのほうがもっと適切にできる。 あれらの連中は、単に反タリバンのプロパガンダで仏像破壊をとりあげてるだけで、 女性の人権問題もそうだけれど、政治の道具としてしかみてないふしがあるが、 わたしたちは、アフガニスタンの遺跡の本なんか、前から手元にあって、 アフガニスタンの文化にもっとまじめに興味を持ってるわけで、 あえて言えば、騒いでいるあなたがたのだれよりも、たぶん、アフガン文化に共感してるわたしがいちばんつらいのだ。 いろんな意味で。 たぶんだけど。 だって、あなたは、仏像が破壊されようが、されまいが、将来、アフガニスタンに旅行して遺跡めぐりの旅をしますかね。 壊してもったいないって言ったってさ、実際、あってもみにいきやしないものでしょう、一般人にとっては。 たぶん、そのへんが違う。 けれど、今は、みなさん、仏像破壊は悪だ、一色で、 ほかの視点がほとんど抜け落ちているんだから、アフガン問題にまじめにコミットする立場としては、 その欠けているところを、冷静に指摘する側にまわらざるを得ないわけです。 この気持ちが分かりますか。分かっていただけますか。いちばん泣きたいのは、わたしですよ。 あなたは来週には、もうアフガンのことを忘れてしまうかもしれない。それでいいんだから……。
また、記事のほんの一部だけを読んで誤解してる人がおられるが、筆者は「アメリカ嫌い」じゃないですよ。 具体例をあげれば、MI5の件のときは、cryptomeを守ったアメリカのISPにすごく敬意をいだいたし、 麻薬ねたでいえば「君は宇宙飛行士になりたいかい?じゃあドラッグはやめたほうがいいよ。理由はね……」 というあの若者むけのNASAのキャンペーン、すごくクールでかっこいいと思ってるし、 自由の女神なんかも好きだし(偶像崇拝だな)、 SETIも好きだし、 あと、アフガン問題でも重要な役割をになっているNGO団体なんかは、けっこうアメリカにあったりします。 そもそも、反米的とか親米的とか、なんで、君たち、そこまで物事を単純二分法で割りきれるわけ? アメリカのこの部分は、 すごく好きだけれど、これこれは好ましいと思えない、とか、そういうほうが当たり前でしょう? 大国だから好きとか嫌いとか、 何主義だからどうとか、そんなこと関係ないよ。ひとつひとつの事例についての個別的な感覚があるわけで、 「アメリカだからいけない」とか「イスラム原理主義だからいけない」とか、それは思考停止に等しいのでは? お尋ねしますが、 イスラム原理主義って何なんですか? そのこと考えてみたことある?
もし、「反米的」宣伝をしたいなら、この前のイラク空爆のときなんかにこのページで大々的にやってますよ、 やっぱりあの国は暴力主義だとかなんとか。でも、イラクの問題はイラクの問題で、アフガン問題とは、 またべつのロジックがありますから。 最近、戦争もなく欲求不満で血に飢えてるあなたがたは、 利権好きたちの宣伝にまんまと乗せられて「タリバンは、仏像を破壊した」=「タリバンは、すべてにおいて悪い」= 「タリバンを殺すのは正しい。反タリバン北部同盟を応援しよう」 と短絡するんでしょうが、 わたしは「アメリカはイラクを空爆した」→「けれど、アメリカは、常に悪いわけじゃないし、 イラク空爆にも多少の理は、あるんだろう」という当たり前の思考で動きますから。 「不意打ちの空爆は好ましいことではないし、人道的でもない。でも、なぜそうしたのか、まず言い分を聞いてみよう、 背景や経緯をさぐってみよう」と、 そのくらい考えますから。
0 なんで石仏をぶっこわしたんですか? → 現時点では未解明。定説なし。 「国内のヒンドゥー教の偶像は壊さない」とのムタワキル発言(最新情報:KABUL, Mar 14 (Reuters) )で、 ますます謎が深まった感じ。いずれにせよ、国連の追加制裁、NYオフィス強制閉鎖といった無茶なごり押し (これはアナンも反対してた)、国際的支援の立ち後れと避難民キャンプでの凍死者の続出―― という流れと、少なくとも間接的には関係するでしょう。 また、モスクが壊されても誰も怒らないのに仏像だとなぜ、とか、 子どもが死んでるのに食糧を送らないくせして仏像保護のためなら百万ドル出す、とかで、 いろいろな行き違いもあって不条理感をつのらせてる人々がいる、って点は、 一般的な感覚でもある程度は理解可能でしょう。 一般のアフガン人としても、 タリバン政府には「偶像破壊なんかにカネと時間を使ってないで、 そんなことよりまず食糧事情を改善してくれ」って感じと。ただ、 食糧事情には国連の経済制裁がきいてるし(空爆のおどしで通貨アフガニが暴落したのもある)、 異常気象で極端な不作だった去年を引きずってるし、 農家は麻薬撲滅でケシを作れなくなって「カネは前払いしたんだぞ。どうしてくれる」 な麻薬業者(いちばんの元締めはヨーロッパの組織?)に娘を売るしかなかったり、 子どもたちが凍死してから「緊急援助」と称して毛布を送ってくるまぬけはいるし(墓に毛布かけれってか)、 まあ、いろいろあるよね。とにかく「宗教問題」は、ほんの一部、むしろ事後的な意味づけというのが現時点での妥当な見方では。 たぶん二十年後の歴史学者も、意見が一致しないと思います。 例えば昭和天皇だって、スターリンだって、なぞだらけでしょ、いまだに。 杉原千畝とかですら、なんか変な論争あるし。 まぁ、オマル師の日々の生活や内面を赤裸々につづった秘密日記でも発見されればべつですが……。
1 タリバン(タリバーン)とその思想について → 1994年ごろのとんでもない状態との比較でいえば、 当時としては、肯定的な働きをしたという認識。 もちろん否定的な部分もあり。 いずれにせよ、「このこころみは長期的には変更を迫られるでしょう」(去年11月の記事より)。理由 → テレビ禁止とか一般大衆がついてこれないから。 もし仮に厳格主義で政権を作れても(仮定)、だんだん譲歩するようになるでしょう。
「純粋」な意味で、現時点でいちばん現実的な選択は、タリバン暫定政権を(2年後の普通選挙実施などを条件に) 国際的に承認して、実効支配しているタリバン政府を通じて、必要なとりくみを行うことでしょう。 簡単にいえば「北風と太陽」――アフガニスタンのページでは繰り返し使ってる比喩ですが。 問題は「純粋な意味で」とは、どういうことか。というと、つまり、素朴にアフガニスタンのためを思えば、ということです。 もっとはっきりいえば、トゥルクメニスタン→パキスタンのガスパイプラインの権益 (数十億ドル?少なくとも米ロの2企業がこれを狙ってる)、 アフガン北部の天然ガスの権益、そして、「イスラム」との対立 (イデオロギー的にはアメリカも少し関係するが、現実的な意味では中央アジア〜カフカス周辺のいくつかの地域 {中国のシンチアン・ウイグル自治区、ロシアのチェチェン、インド/パキスタンのカシミール、 タジキスタンなど}の国内における、イスラム教徒ないし少数民族の地位の問題) 、軍需産業やテロ対策組織の思惑 (場合によっては麻薬対策組織もか。この人たちも仕事がなくなったら困るわけですが)、といった、ごたごたを度外視して、 純粋にアフガン人の幸福や人権のことを考えれば、ってことです。 もちろん、ロシアやアメリカや中国は、そんな優しいことは、してくれません。 だから難しいわけです。
2 麻薬問題:ここ数か月、とくに最近1か月で状況が大きく変わった。 これは国連の調査結果が出たのがまだ先月(2001年2月)のことだし、 自分の目で現地をかなりすみずみまで調べた調査団のメンバー自身が「信じられないけれど」と言っているくらいなので、 まあ、「事情通」のかたには、信じられないとは思います。 が、とにかく、タリバン政権は、完全にとは言わないまでも、「ほぼ」完全に、ケシ畑をなくしたようです、 UNDCPによると。
ケシ栽培を禁止して、実際かなり厳罰主義でのぞんだ、というのは、だいたい去年の春からと思います。 当時の記事は、「ここはケシの一大産地である」と断定しつつ、 「麻薬問題への取り組みもあるが、どこまでできるかは疑問が残る」という話でした。 このサイトでも、そう書いてます(2000年春)。それが実情だったから。 しかし、いま(2001年)お話するなら、「タリバン政府はケシ栽培を禁止したし、 それはタリバンの根本原則である禁欲的な戒律とも思想としてむしろ合致する方向性だろう (=一時期、ケシの利益を利用したり甘い規制で黙認してたとしても、 ほかに資金源がないとか農家の窮状を考えてやむなくだったのだろう)」と認定しないことには、 フェアじゃないでしょう。 くだいていえば――タリバンについての基本的な知見に照らすと、 音楽もダメ、テレビもダメ、異性もダメ、という感じのあの神学校から出てきたスーパーストイックな連中は、 もしほかに潤沢できれいな資金源があったなら、 絶対に麻薬なんて認めるはずなかったし、 実際、建前としては、そういう立場だったわけで、決して「あくどい」からケシを認めたとばかりもいえない、 なぜというに、アフガン農民がほかの選択をすることを困難にした責任の所在は、というと、 例えば経済制裁なら国連安保理あたり、内戦ならもろムジャヒディン諸派にあるわけで、 そのへんはタリバンのせいじゃないでしょう、かんがい用水路が破壊されたりしてるのは。 もし仮にですよ、以前はケシなんかなかったのに、タリバン政権になってからケシ栽培が始まった、としたら、 それはタリバンの責任かもしれない。でも実際は、というと、何世紀も前から、あへんは、やってるわけでしょ、 あのへんのアジア地域の習俗として。アメリカだって反ソ連軍のゲリラたちには、闘争資金確保のために、 ケシ栽培を認めていた(奨励していたとまで言えるかは微妙として)としか思えない。 そういう流れのなかでみると、タリバンは、むしろ激しく禁止の方向に動いた、 何世紀も前から当たり前のようにやってきたことに干渉した。という認識。
それにね、アフガン農民のケシ栽培を非難するのは、 大飢饉の餓死地域で人肉を食べてることを非難するようなふしがありますでしょう。 それは分かりますね。 ケシは、かんがいがなくても、荒れ地でも栽培できる作物なわけで。 (ある時期、ケシ栽培がさかんだった、という事実があるからといって、 アフガニスタンでは永遠にケシ栽培がさかんなのだと思いこんでいる人がいるとしたら、 それは、いかにも、ばかげたことでしょう。 その論理で行けば、日本では捕鯨がさかんというのは世界の常識、ですか。) で、それは、それで良いとして、ケシ栽培禁止でまたべつの問題が……。というのは、麻薬業者は代金を前払いしてくれるんですが、 農家ではカネをもらったあとで禁止のおふれがでてケシを作れなかったわけで、 非常に困った立場になってしまうわけです。どうしょもなくて、仕方なく娘を売るしかなかった、とかの話も出てますが、 2000年から2001年にかけての餓死者のなかには、まじな話、ケシ栽培禁止の影響が入ってると思う。 仕方なかったといえばそれまでだが、このサイトで、繰り返し「代替作物を提供しなければ」と訴えているのも、 その点なんです。 これらは、いちおう記事本文で紹介していますが、最近の記事は時間がなくて、まだ日本語で読めるようになってません。 ごめんなさい……。 また、すべて、国連 UN Drug Control Programme (UNDCP) の調査結果によるかぎり、ということです。 もちろん調査団を買収したとか調査団に見つからないように、うまくごまかした、という可能性もゼロではないですが、 そういうことを言い出すと、すべてが不可知論になってしまうというか、まあ実際そうなんですが、 それを言ったら、アメリカが「アフガンはケシの一大産地だ」と宣伝してるのも、 ぜんぶ嘘かもしれないわけで(UNDCPが実は麻薬生産者からわいろをもらってーな話と確率的には同じくらいか? 冗談ですが)。 とにかく、今のところは、あやしい疑惑は出てません、出れば騒ぎになるでしょう。 アメリカなんて反タリバン宣伝したくてうずうずしてるんだから、 実際にケシ畑があったら「軍事衛星から撮影した証拠写真」とか出すと思いますが、 とにかく今のところ、あのアメリカでさえ「調査結果は疑わしい」としか言えない状態です (「調査結果は間違っている。やはりケシ栽培は続いている」とは、あのごり押しなアメリカですら100%断言できなくなっている)。 ――ちなみに、「動かぬ証拠」を出せないのは、ラディン氏問題も同じですが。
現在ではケシ畑がなくなったことが国連によって確認されています。国連の公式報告にも「The global supply of heroin declined in 2000, mainly because of the decline in
opium production in Afghanistan.」と明記されています。
http://www.odccp.org/pdf/document_2000-12-21_1.pdf
2001年6月の、国連DCPによるニュースレター「Afghanistan ends opium poppy cultivation」もごらんください。
2a 女性の人権問題も、タリバンが出現して発生したわけじゃないんです。 アムネスティのレポートとか、ウェブで読めるんで、みてほしいんですが、 ムジャヒディンの時代から「おまえは娘を学校に行かせたな。それは俺様のイスラム解釈にあわない」 などといって、父親を惨殺してるムジャヒディン兵士がいた。いろんな事情で、 かなりムジャヒディン側の蛮行はフィルターされてますが、 「ムジャヒディンはタリバンほど頑固じゃない」とか、 即断して良いのかどうか(だいいち、ムジャヒディン諸派も、 一時期あれだけ争ってたくらいだから、諸派によってイスラム解釈がずいぶん違うんじゃないですか。 だったら、タリバンvsムジャヒディンの2つのイスラム思想って割り切るのも、ホントはおかしい、 ムジャヒディンのなかにも過激なのと穏健なのがいて、それはタリバン側にも当てはまるはずですね――)。 何を根拠にそう判断するのか、よく考えてほしい。というのは、このページのいちばん下にも書いてあることですが、 A政権からB政権に変わって政治が良くなりましたか悪くなりましたか?というのは、 日本で考えてもアメリカで考えても分かるように、そう簡単に結論を出せる問題じゃないでしょう。 とくに、直接の現地事情が分かりにくく、 米ロ両大国が内戦両陣営の片方だけをしつように応援してその立場からメディアが動いている現状、 かなり意識的に補正して、情報のすみずみを点検する必要があるでしょう。 が、それにしても、タリバンは全く悪くない、とかは言えませんね。 精神的に相当、追いつめられていたのは分かるけど、仏像を壊したのは、政治的、外交的に、 逆効果としか思えない(ただ、たぶん、そのおかげで、あなたはアフガン問題に興味を持つようになったのかもしれない。 それなら、「国際社会よ、これ以上、無視するな!」というメッセージ性については、 少しは効果もあったのかもしれない)。
だってね、一般の避難民の立場からしても、アナンが視察にいったら、車に石を投げたっていうんですよ。 ごく一部の人だとは思うけれど、その気持ちも分かる気がする。 そりゃ、なんにも知らない人なら、アフガン難民ていうのは気が荒いのかな、とか、ぼけたことを考えるかもしれないけどね……。 国連、国際社会、国連安保理は、いったい何をしてくれたんですか。 武器は何億円、何兆円と流しこんでくれたが、それで大変な事態になったときの人道的支援なんていったら、 まあ、雀の涙でしょ。 23年、難民支援の仕事をしてる国連職員、 世界中の避難民をみてきたベテランが「これほどひどいありさまはみたことがない」と漏らすほどの、 それほどのありさまなんです。あなたの、ぬくぬくとした常識が通じない部分が多々あるんです。 ――「仏像保護のために$1000000出すっていうなら、 どうかそのおこぼれの$100で、私たちの避難所にトイレを作っていただけませんでしょうか。 くみとり式の簡易トイレで充分です。トイレをください。 それから飲める水をください。濁っていても、まずくてもいいから、とにかく、 飲み水を一杯ください。そして、できましたら……どうか子どもに毛布を……」 そういうことです。例えば。誇り高いアフガン族は、こんな状態になってすらハッキリと物乞いしないかもしれないけど、 みりゃ分かるでしょう。 つか、みなくたって、分かるでしょう、人間の生活に何が最低限必要かなんて。 シャワーなんて夢のまた夢と初めからあきらめてる。
3 「イスラム教は悪い」? → 世界に10億人も信者さんがいれば、言動や考え方も多種多様。
「イスラム教は」をみだりに主語に立てるのは「ヨーロッパ人は良いか悪いか」というくらい無意味でテイストレスな議論。
それは分かるよね。で、「ラディカルな急進派」が穏健派を批判しているとしても、それはそれ。
よくあること。逆にいえば、「穏健派のイスラム教徒」から支持されているかいないか?という観点も、
まったく同じ理由で無意味な議論だってのも分かるかな。
いや、ごめん、あなたが「穏健派イスラム教徒」だったら「我々は彼らを支持しない」と表明するのは、
もちろん自己の実存にかかわる重要なことでしょう。「真のイスラムは、そんなでない」という信仰=思想の表明だから。
いずれにせよ、信仰は自由ですからね。
自己の信仰や思想にしたがって自己の占有下にある偶像を破壊する権利と、
文化遺産を保護する権利と、ふたつの人権が衝突したという、
よくある事例でしょう。あえて表面的に言えば。
で、法的にいうなら、タリバンの占有権のほうが優先するんじゃないですか。ぜんぜん意味のない議論だけど。
(本音の議論としては、文化遺産にまじめにコミットしている人々の気持ちと、
それを単に政治的宣伝の道具に利用しようとしている人々のおもわくとを、分離することが肝心なんです)
4 歴史をみる視点:電子会議室とかでは、ちょっと強く言って「君は知らないが私は知っている。事実はこうなのだ」 と言ったもん勝ちみたいのがあるかもしれないけど、 アクティブな発言者によるスレッドだけみてると相手を論破したようにみえても、 冷ややかにみているROMの人もいるし、発言ていうのは長く残るものだから、 おたがい、あやふやな知ったかぶりはせず、思慮深くことばを選びたいものだよね(もちろん自戒をこめて)。 そして、歴史をみる視点については、べつに歴史上の専門用語や細かい年代とか「裏の事情」をひけらかさなくたって、 本質的なことは、いろいろ考えられると思うよ。分かる人には分かると思う。 つまり、最後に残るのは誠実さであり、それなりによく調べたうえで、 複雑な歴史上のできごとを、すっきり説明できるような透明な視座を提示することなんだと思う。 そして、窮極的には、それは「人間の探求」なんだと思う。 自分の頭で考え、自分なりに「こたえ」を出すってことなんだと。