Afghanistan 4

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このページは去年(2000年)の11〜12月の状況です。最新情報をご確認ください。そこにある注意書きを必ず読んでください。アメリカの一般国民をうらまないでください。歴史教科書に「広島への原爆投下は、ほんのわずかな被害で大きな平和をもたらした」と書かれ、そういう視点から教育を受けています、そして、そっちがむしろ世界の常識だからです。言い換えれば、どちらの側にも、完全な情報があるわけでないのです。どこであれ、自分の国がした「悪いこと」を「なかった」とは言い張らないまでも、国民に対し積極的に「こういうことをした」と宣伝する政府は、まずないでしょう。

2000.11.23

[af]街角の風景

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「商品を計る商人」……買い手もじっと見つめている。アフガニスタンの街角。背景の建物は、みなもろそうだが、どれもそれなりに、こぎれいに保たれているようだ。

人間の生活って、さりげない。ものを取引したり、料理したり、歌ったり、笑ったり、冗談いったり……。アフガニスタンのカンダハルでは、最近こんな冗談がはやってるって:「あるアパートの二階の住人が、夜中に大きな音をたてて靴をぬいだ。一階の人は苦情を言った。次の日の夜、二階の住人は帰ってくると、片方の靴を脱いだ。大きな音をたてて。そのとき、一階の人から注意されたことを思い出して、もう一方の靴は、そっと脱いだ。けれど一階の人は、片方の靴がどさりと落ちるのを聞いて、もう一方は、いつ落ちるのだろうかと、一晩中、聞き耳を立てていた」(微苦笑)

1998年に巡航ミサイルを撃ち込まれたにもかかわらず、今のところ、現地の人は、けっこうアメリカに好意を持ってるようです。それにしても、内戦がようやく終わるかと思ったら、今度は、また外国の侵攻とは(というか、内戦が終わる=ラバニ派が完敗することを、望んでいない国々が攻めこむわけですが……)。今回はパキスタンがアメリカに「もうパキスタンの領空を使って攻撃しないでくれ」と言ってます。今度はロシアやらも組んだ「多国籍軍」になりそうなので、北から行くんでしょうか。

国連の現地職員は、いちおう、アメリカの侵攻が始まったら、ただちに引き上げられるように準備してるそうです。

引用した写真の出典:Afghan Pictures Gallery 1 ジョークの出典:Afghans on edge, fearing a strike by US (By John Donnelly)


2000.11.25

[af]映画「タイタニック」がブーム、カブール

題名のとおりです。ちょっと前にそういう記事が出て、世界中どこでも恋愛ドラマってヒットするんだなぁと思う一方で、なんか象徴的で、いたたまれない気もしました。モスクでの特別のお祈り「アメリカのミサイル攻撃から守ってください」の話を思い出したり、絶対に逃れられない運命のなかでのちいさなストーリー(アンナ・カヴァンの「氷」のような)というものを連想したり。

余談ですが、フェイザーバードのテレビ局では「カブールからフィルムを持ち出した。今はタリバン政権下で映画は禁止されている」なんて言ってたけど、実際にはカブールの人も娯楽映画を見ているみたいです……。

さて、半とし前の5月にもロシア空軍が出動準備しました。KALININGRAD, May 26 (Itar-Tass) - 「ロシア空軍は、アフガニスタン国内の反逆者訓練基地を襲撃するために必要な全てを持っている」と、空軍最高司令官コルヌコフ氏が語った。「ロシアの最高指導者の決定と政治的決断があれば、任務は遂行されるであろう」なんてのがありました(アフガニスタンのページより)。

あのときよりいっそう差し迫っている理由は、

……といったあたりでしょうか。海軍サイトのこんな記事からも何となく分かることですが、「正義と平和と自由の名のもとにテロを憎み、復讐心に燃えてる」ような部分があります。その純朴でアグレッシブなところが、アメリカ文化のいいとこなんですけど、まったく無関係のアフガニスタンの一般の人々としては、ひどく迷惑な話でしょう(平和な国なら圧力をかければ、その国の大衆も自分たちの政府に不満をつのらせるでしょうが、そういう状態では、ないのだから……)。

それプラス、このまま春になるとラバニ完敗という可能性が高いこと。軍事援助したアメリカとしては、せっかっく作ったラバニ政権、ホントにダメなのかぁ、とは思うでしょう。タリバンとしては、フェイザーバードをサイゴンと改名するといいのかも。

掲示板にも何度か書いたように、アフガニスタンの内戦の戦闘がタジキスタンに時々はみでて、そのことで中央アジアの国々が不安に感じるのは当然だと思います。もちろん、ロシアが「重大な懸念」を表明するのには、もっと高レベルの政治的判断があるわけでしょうけれど、タジキスタンの国境付近の現地では、素朴になんとかしてほしいと思ってるでしょう。戦闘が押されて国境まで来たのだから、押されている(負けている)ほうを応援すればいいか?というと、それじゃいかにもその場しのぎで、理屈としては、もちろんこんな軍事介入で平和になるわけない……。たてまえのレベルでは、まったく理屈がとおらないけれど、本音は、まぁわかるし、要するに、さしあたっては、アメリカもロシアも、現在の流れでのアフガニスタンの内戦終結(タリバンによる統一達成)を望んでないわけです。言い換えれば、戦争が長引くことを望んでるわけです。このことは各紙も報じている通りです。

コメント:アフガンの武装勢力というのは、もとをただせば、ソ連の軍事介入時代に、アメリカが育てた反共ゲリラだったわけで、そのことはアメリカのCIA公式サイトにも、日本の外務省サイトにも書いてあるとおりです。ソ連と戦ったラデン氏らは、当時としては、アメリカからみて英雄だったわけです……。まぁそれを言うならラバニ大統領も数奇な運命ですけれど。アメリカのつごうしだいで「英雄(キーパーソン)」になったり「悪いテロリスト」になったりしたのは、ユーゴスラビアのミロシェビッチ前大統領もでした。

いずれにしても、ラデン氏はアフガニスタン人じゃないし、ましてやアフガニスタンがアメリカに対するテロを行ったわけでもないのですから、少なくともたてまえとしては、アフガニスタンに侵攻するのは論理的じゃないんです。


2000.11.29

[af]ただのうわさですが

独立系の(?)ニュースサイトtehelka.comが、どういうつもりか、Russians troops back in Afghanistan という記事を出してます。現時点では非常にあやしい内容に見えるのですが(ほかのニュースサイトには、まったく出てない内容)、なにやら「ロシア軍が、ウズベキスタン国境からアフガニスタンに入った。反タリバン側を助けている。イラン、インド、アメリカ、ウズベキスタンが協力し、反タリバン側は有利に戦っている」などと書いてあります。内容的には、ありうる話だけれど、これはデマでしょう。タロカン、フェイザーバード、クンドゥズで激戦と書いてあるけど、タロカンあたりの情報は、いつも錯綜(さくそう)していて、半分以上はデマです。ちなみにタリバン側は「タロカンでは平和が回復して99%の住民は避難先から自宅に戻った」と発表してます(ここ)。


2000.11.30

[af]多国籍軍、土曜に侵攻開始との未確認情報

日本時間、午前3:05の臨時ニュースです。掲示板2で書いた「多国籍軍」ですが、冗談じゃなくなって来ました。……ニュースソースを確かめるので、ちょっとお待ちください。

Multinational offensive against Taliban likely

By Mahendra Ved Times of India 11-24-2000

NEW DELHI: With fighters of Ahmed Shah Masoud in the vanguard, a multinational counter-offensive is likely to be launched against Taliban troops in northern Afghanistan. The likely date is Saturday, diplomatic sources said on Thursday.

The concerted operation is planned by the US, Russia, Iran and Afghanistan's Central Asian neighbours, notably Tajikistan and Uzbekistan. It may include the use of helicopter gunships to cut off the Taliban's supply lines.

3:20 複数のメディアで流れています。が、土曜というのは、単なる憶測では、ないでしょうか。可能性があるのは事実ですが、いつ軍事行動を起こすかは極秘でしょう。BBC、CNN、NYタイムズ、Wポストなど、西側には出てません。報じてるのは、Times of India、The Economic Times(インド)、DAWN(パキスタン)です。The concerted operation is planned by the US, Russia, Iran and Afghanistan's Central Asian neighbours, notably Tajikistan and Uzbekistan. It may include the use of helicopter gunships to cut off the Taliban's supply lines.と書いてあります。カザフスタン発、カザフスタンは加わらない。上の引用とつじつまは合ってます。しかし、アメリカが、こんな大統領選挙の中途半端なときに先頭に立つもんでしょうか。形はロシア主導でやるんでしょうか。NATO軍もなんとかなんていう話も書いてあります。Laden link そのものは、まだ調査中と出ています。これは調査中でしょう。もし証明されれば大々的に騒ぐに決まってるから。銃を向けてから「銃を向けるのが正しいという証拠を早く探せ」と後ろに言うのも変ですが。

3:30 Times Of India の記事、直リンク、ディレクトリが/today/なので揮発しそうですが、いちおう。追記:こっちのリンクがアーカイブ内

Multinational offensive against Taliban likely 多国籍軍のタリバンへの軍事行動の可能性

By Mahendra Ved NEW DELHI: With fighters of Ahmed Shah Masoud in the vanguard, a multinational counter-offensive is likely to be launched against Taliban troops in northern Afghanistan. The likely date is Saturday, diplomatic sources said on Thursday. マスドの兵(※ラバニ派=反タリバン北部同盟のこと)を援護して、多国籍軍によるタリバンに対する軍事行動があるかもしれない。北部アフガニスタンでのことです。土曜日にあるかもしれません。このことは、外交筋が木曜日に明らかにしました。

The concerted operation is planned by the US, Russia, Iran and Afghanistan's Central Asian neighbours, notably Tajikistan and Uzbekistan. It may include the use of helicopter gunships to cut off the Taliban's supply lines. 軍事行動は、アメリカ、ロシア、イランおよび中央アジア諸国――とくにタジキスタンとウズベキスタン――によって計画されています。タリバンの補給線を絶つため重装ヘリコプターが使われるかもしれません。

アフガニスタンと周辺諸国の位置関係(8kb)

While Pakistani newspapers on Thursday carried reports suggesting a role for India, including the logistic support from its air bases, sources in the government were tight-lipped. パキスタンの新聞が木曜、我が国インドも関与するのではないかと示唆しました。兵站(へいたん)協力などにおいてです。しかし我がインド政府は口をつぐんでいます。

However, they indicated that the action might have been been prompted by apprehensions that the Taliban offensive against Masoud's forces may spill over to Tajikistan and Uzbekistan. タリバンのマスド軍への攻撃が、タジキスタンやウズベキスタンにも影響することを恐れての軍事介入のようです。

The US is so far believed not to be ready to get directly involved. It may leave it to Russia and the Central Asians. Yet, a direct US role is not being totally ruled out in the context of its resolve to get Osama bin Laden. In a report from Washington in Pakistani daily The Nation, journalist and Afghanistan watcher Ahmed Rashid said US action was "imminent", since the Clinton administration now believes that Laden or his men were involved in last month's attack on USS Cole. アメリカは今のところ、直接参加する準備が整っていないと見られる。ロシアと中央アジア諸国が主導することになるかもしれない。とはいえ、ラデン氏の件があるので、アメリカ主導の可能性も残っている。アメリカからのレポートによると、アフガニスタン問題に詳しいジャーナリストいわく、米軍の行動は差し迫っている、なぜなら、クリントン政府は、今、USS Coleの件にラデン氏が関与していると確信しているからだ(※実際、ほぼ確信しているらしい、そしてラデン氏が5%でも関与していたら軍事行動を起こすと初めから言っていました)

Rashid has said that unlike in 1998 when US ships in the Gulf fired missiles in a one-day action against Laden's hideouts, the US would coordinate action possibly using air bases in Tashkent and Tirmiz in Uzbekistan. The Taliban has amassed troops along the border close to Tirmiz. American officials told Rashid that the operations this time may go on for several days. このジャーナリストは、さらに次のように分析しています。1998年のアメリカのアフガニスタン攻撃では、単に外洋の米戦艦から巡航ミサイルをぶっぱなしただけでしたが、今回は、ウズベキスタンの空軍基地を使用して、多国籍の共同作戦になるのではないか。アメリカの政府担当者複数がこのジャーナリストに「今回の作戦は何日がかりかになる」と告げたという。(※この分析は、もっともらしい。掲示板2でも同じことを書きました)

There has been a flurry of diplomatic activity in several world capitals. Pakistan, the Taliban's principal supporter, is being advised by other Islamic nations to avoid a confrontation. Sources in New Delhi said Pakistan may be forced to review its operations in northern Afghanistan, where its military officers are allegedly involved. いくつかの国の首都では、現在、外交活動が急激に行われています。タリバン側を支援するパキスタンですが、「対決を避けるように」と他のイスラム諸国から要請されているそうです。パキスタンは北部アフガニスタンでの戦闘に関係していると言われていますが、そのことも問題になるでしょう(※ラバニ側は、よく相手のことを「タリバン・パキスタン合同軍」という言い方をしています。ホントかは分かりませんが)

Detailed discussions have taken place between the US and Russia, Russia and China and earlier this week, between Russia and India. At a recent secret meeting in Frankfurt, the Americans issued their last warning to the Taliban. すでに今週初め、米ロ間、ロシア中国間、で詳細な打ち合わせ済みのようです。またロシアと我が国インドの間でも会談が持たれています。フランクフルトでの秘密会談では、アメリカはタリバン側に最後通告をしたと見られています。

4:00 もとねたは、パキスタンのThe Nationと書いてあります。Economic Times の記事。この直リンクも揮発しそうなURIですが。

US, Russia get ready to hit Bin Laden アメリカとロシアはラデン氏攻撃準備完了

ISLAMABAD THE United States and Russia are putting together a multilateral coalition to strike at the camps of Saudi renegade Osama bin Laden and other extremist groups in Afghanistan, says a lead story in the Pakistan daily The Nation. 米ロはラデン氏の基地を攻撃する準備を完了した、とパキスタンの日刊紙が伝えました。

The Washington-datelined story said the Clinton administration has privately determined that bin Laden was behind the bombing of the US warship -- the USS Cole -- on October 12 in Yemen, which killed 17 American sailors and wounded 39. Coleへのかみかぜテロの背後にラデン氏がいると、クリントン政府は私的に(何?)つきとめた。(※「内偵」っていうと何となくもっともらしいけど、言葉じゃなく概念を考えると、意味とろろ。パキスタンやアフガニスタンが「具体的な証拠を示してもらいたい」って繰り返すのも、うなずける。西側一般国民なんかは、すでに洗脳ずみだから「調査したらやっぱりあれが黒幕でした」で当座は通せるけど、二十年後の歴史家からみてまたぞろ汚点にならないかどうか)

"What is now being determined is if bin Laden specifically set up the operation, provided the explosives and gave the direct order for carrying out the bombing or that he just gave the order some months ago and local groups carried it out," the paper said quoting an unnamed US official. 「今、直接実行犯なのか犯行を指示しただけかを調査中です」とのこと(この記事、確かにどっかに出てました)

The paper said that though US officials are not directly admitting it, other Washington-based counter-terrorism experts say that Washington and Moscow are expected to cooperate in any military action. 消息筋によるとアメリカとロシアは共同で軍事行動を行うもようである。ただしアメリカ政府は直接にはそうだとは発表していない――と同紙は伝えている。

The US also wants to use NATO’s Partnership for Peace alliance, which includes the Central Asian Republics of Uzbekistan, Kazakhstan and Kyrgyzstan as part of any multilateral force. 「平和の同盟軍」(笑)のためにアメリカはNATOの参加も望んでいるという話。ウズベキスタン、カザフスタン、キルギスタンは軍事行動に参加する(※と書いてあるが、カザフスタンは、この話を否定してます)

The US is now looking for concrete evidence of the degree of his involvement, the paper said. However, Washington is unlikely to make a public disclosure until it first initiates a military strike against bin Laden. アメリカは決定的な証拠(ラデン氏関与の)を発見しようと懸命になっているが、軍事行動のほうは、実行開始前には情報を出さないだろう――と同紙。

The paper quoted another US diplomat involved in the investigation as saying that “Retaliation is inevitable, nobody gets away with killing 29 Americans.” 同紙はまた、「復讐は避けられない。我がアメリカ国民を殺したやつは、逃げられないのだ」という米外交官の談話を引用している。(※これは、掲示板2にも書きました。また、ずっと前にも同じようなことを米政府高官が言っていました)

Twelve Americans were killed in August 1998 when bin Laden’s forces allegedly bombed the US embassies in Tanzania and Kenya, which resulted in US missile strikes on bin Laden’s camps in Afghanistan. 1998年、12人のアメリカ人が殺されたタンザニアとケニヤの大使館テロ事件では、報復としてアフガニスタンへのミサイル攻撃が行われた。

Since the USS Cole was rammed on October 12 by an explosive-packed dingy manned by two Arab suicide bombers while it was refueling in the Aden harbor, the US government has placed all its forces in the Gulf on the highest state of alert and renewed its offer of a $5 million reward for any information on bin Laden’s whereabouts. 今回の自爆テロの話。デルタ警戒。そしてラデン氏には五百万ドルの賞金がかけられている(※アメリカのモスト・ワンティッドです)

The paper also said that US and British intelligence operatives are now working overtime in trying to establish links between bin Laden and these latest extremist-related incidents. ラデン氏の関与を証明しようと、アメリカとイギリスの情報機関が今、徹夜を繰り返している。

Earlier this month, Taliban Deputy Foreign Minister Mullah Abdul Jalil held a secret meeting in Frankfurt with senior US State Department and counter-terrorism officials, where the US is believed to have issued a final ultimatum to the Taliban to hand over bin Laden or face the consequences. 今月初め、フランクフルトでアメリカの高官とタリバン政府の外務大臣代理が会談している。その席で、アメリカ側は、ラデン氏を引き渡せさもなくば、という最後通告をしたと見られる。

Taliban military assets possibly airports, ammunition dumps and military bases will also be attacked. -- IANS タリバン側の軍事施設――空港、弾薬集積所、軍事基地も攻撃目標になるでしょう。

U.S. seeks alliance with Moscow for raid on bin Laden

追記ですが、この記事が引用されたようです。引用部分を太字にしておきました。ふつか前の記事です。ロンドンのアーカイブに落としてあります:
http://www.mion.f2s.com/AOP/aop1122.htm

UPI, Wed 22 Nov 2000

The United States is seeking Russia's help to carry out military action against the bases of Osama bin Laden, wanted by U.S. authorities for his alleged role in bomb attacks against two U.S. embassies in Africa in 1998. Washington is also requesting help from several central Asian states in such a mission, The London Telegraph reported Wednesday. The Telegraph said a counter-terrorism expert in Washington said an agreement to launch joint military action against bin Laden's bases in Afghanistan has been hard to reach. "Coalition building is important, but it's proving difficult," he said. Bin Laden has also been named as a suspect in the bombing last month of the USS Cole in the southern Yemeni port of Aden.

Seventeen sailors were killed in the attack. "What is now being determined is if bin Laden specifically set up the operation, provided the explosives and gave the direct order for the bombing, or if he just gave the order some months ago and local groups carried it out," the counter-terrorism expert told the newspaper. But Washington is unlikely to make any public disclosure until it initiates a military strike against bin Laden. A U.S. diplomat involved in the investigation said: "Retaliation is inevitable, nobody gets away with killing 29 Americans." Besides the 17 U.S. sailors aboard the Cole, 12 Americans were killed in 1998 when bin Laden's forces allegedly bombed U.S. embassies in Tanzania and Kenya, resulting in a missile strike on his camps in Afghanistan. Intense diplomatic efforts were also under way in the region to garner support for a U.S.-Russian initiative to impose further sanctions on the Taliban, the extremist Islamic movement in Afghanistan, through the United Nations Security Council. But Russia has close political and military ties to the former states of Soviet central Asia, which feel threatened by the Afghans and the rebel movements based on their territory. --


[af]アフガニスタン・解説

わたしは、戦車、カラシニコフ、じらいを知っています。でも、「平和」というのがどんなものか知りません。見たことがないからです。でも、他の人から聞いたことがあります。

わたしは、たくさんの武器を知っています。武器は、バザールや、街や、学校のかべや、家の前や、バスの中や、どこでも見られるからです。

「平和」というのは鳥のようなものだと教えてくれた人がいます。また、「平和」というのは運だと教えてくれた人もいました。でも、それがどうやってやってくるのかは知りません。でも、「平和」が来ると、じらいの代わりに花が植えられると思います。 学校も休みにならず、家も潰されなく、死んだ人のことを泣くことがなくなると思います。

「平和」が来たら、家に帰るのも自分の家に住むのも簡単になると思います。銃を持った人が「ここで何をしている?」とかきかなくなると思います。

ダイジェスト版、アフガン紛争

1 ソ連。1978年、アフガニスタンでは革命政府が社会主義国家を作ろうとしたが、国民が激しく抵抗したので、ソ連に助けを求めソ連軍が来た。このままじゃアフガニスタンがソ連の仲間になってしまう、それは困るよ〜と思ったアメリカが反政府ゲリラ「ムジャヒディーン」を全面的に支援。武器をじゃんじゃか与え、アフガニスタン国内にゲリラ訓練施設を(アメリカが)作って、徹底的に、政府&駐留ソ連軍と戦わせた。

2 内輪もめ。ソ連軍は引き上げ、1992年にゲリラ「ムジャヒディーン」は政府を倒し、ラバニが大統領になった。が、政権をとったとたん「ムジャヒディーン」の内部で権力争いが起きた。勝ったとたんに「同盟軍」が内輪もめ、という、いつものパターン。長期のゲリラ闘争で各派とも気が荒くなっているし、アメリカが買ってくれた武器弾薬がそこらじゅうにくさるほどあるので、めちゃくちゃな内戦となった。各派とも略奪や強姦といった蛮行を繰り返した。

3 タリバン。このありさまを嘆いた神学校の若者たち(タリバーン)が1994年、「世直し運動」を始めた。その誠実な姿勢は多くの支持を集め、1996年には首都カブールを制圧、今ではアフガニスタンの95%を平定し、治安を回復させた。

4 アメリカのおもわく。アメリカが、巨額の軍事援助でソ連を追い出しラバニ政権をでっちあげたのは、もちろんアフガニスタンを自分のものにしたかったからだが、思わぬ展開でタリバン政権というのができてしまった。アメリカは、今度は、ムジャヒディーン各派を反タリバン同盟として戦わせているが敗勢濃厚、仕方ないので「タリバンは人権を侵害している」だの「テロを支援している」だの、けんめいにデマを流したりして各国がタリバン政権を承認しないように工作を続けている。また、(かつての共産圏に対する憎悪と同様)アメリカは、イスラム世界といろいろな意味で敵対関係にあり、アフガニスタンにおける神学生たちの勝利を認めたくない。ロシアも各地で宗教弾圧をこころみている関係上、アフガニスタンがイスラーム国となって他地域の精神的支えとなることを恐れている。

「女性の地位」の問題

反タリバン宣伝は、人権問題、テロ支援、麻薬問題、の3つの柱を持っています。人権問題からみていくと、とくには女性の地位の問題があります。イスラム社会における女性解放として、まじめにコミットしている人々もたくさんいる一方、単なるプロパガンダもあります。

タリバンが治安を回復させる前の混乱期には、ムジャヒディーン各派――これをアメリカは支持しているのですが――による無秩序な略奪、強姦、殺人が繰り返され、人権がどうこう以前の状態でした(例えばアムネスティのWOMEN IN AFGHANISTAN参照。日本語の資料としては、「カブール・ノート」がある)。タリバンがアフガニスタンにおける人権状況を大幅に改善したのは歴史的事実ですが、平和な西側先進国の文化からみると、受け入れがたい点が残っているのも確かです。

反タリバン宣伝では、「タリバンはイスラム原理主義でイスラム原理主義とは悪いものなので悪いのだ」という論理的には意味をなさない循環論法が用いられるのですが、この点からハッキリさせておきましょう。原理主義とは教典の戒律を厳格に守るという意味でしょうが(そしてその意味では、すべてのまじめな信徒は原理主義者ですが)、タリバンが女性の外出を制限しているのは、原理主義とは必ずしも関係ないです。教典(コーランとハディース)にない(しいてあると言うなら解釈技術的な)要素をたくさん含んでいます。第二に、コーランがとくに女性差別的なわけでもありません。当時の宗教は、キリスト教もそうですが、ある意味、女性差別的です。新約聖書にも教会では女は発言するなとか書いてあります。もちろんだから宗教は間違っているという意味じゃありません。第三に、コーランについて言うなら、モハメッドの時代の状況に照らせば、明らかに女性の地位を向上させる方向の教えでした。……とはいえ、平和が回復したなら、古い教典と現代の意識とのおりあいをつけるための、さまざまな再解釈や変革が試みられるべきでしょう。

現在、アフガニスタンは全体としては内戦下にあって、地雷を初め潜在的な危険は、いくらでもあります。1994年ごろの状況に照らせば、タリバンが「女性は、できる限り外出を控えるように」とか「どうしても外出しなければならないときも、できる限りひとりだけで外出しないように」という命令を出したのは、ある意味、当然のことです(決してイスラム教が女性の外出を禁止してるわけじゃありません。もっと単純に、女性の一人歩きは危険だった)。内戦が終結して社会が平和になっても女性の外出や社会参加が不当に制限されるとしたら、そのときこそ、女性解放の社会運動を起こせば良いでしょう。平和なアメリカあたりで「女性の就労の自由が侵害されている」などと、ぷんぷんのんきに怒っているのも、ちょっと筋違いな気がするし、なにより、まじめにジェンダー問題にとりくんでいる人々の誠意が、単に利権がらみでアフガニスタンに介入したいだけの人々に利用されてしまうとしたら、むなしいことです。ましてや「タリバン政府は女性の人権を侵害しているから、制裁をくわえる」などと言って、空爆したりするのは、とんでもないことです。

まじめな神学生であるタリバンたちとしては、女性が身近にたくさんいると「間違い」がおきやすいと恐れているのかもしれませんが、これはタリバンたちの弱さで、長期的には社会全体を「修道院」にするわけにもいかないでしょう。

それと、衣服などの問題でも「女性が抑圧されている」と訴える人がいますが、これはタリバンたちの問題というより、イスラム文化の前からの習慣です。実際、反タリバンの土地であるフェイザーバードでも、女性は、からだの線や顔を隠すようなかっこうをしているそうです(「[af]アフガニスタン最後のテレビ局の番組は?」)。あのチャドルというのは、ご存じのように、べつにアフガニスタンだけのものでもなく、イスラム文化圏の女性の民族衣装です。また当たり前のことですが、社会的、文化的に服装の制約を受けているのは、女性だけじゃありません。例えば日本では、一定の場合に男性のネクタイ着用が義務づけられていたりします。いずれにせよ、本来、軍事介入の口実になるほどの問題では、ないのです。いずれ時期が来れば、女性も男性も解放されるでしょう。アフガニスタンも、アフガニスタンを非難する先進諸国も、どちらも進むべき長い道を持っています。

「テロ支援」の問題

アフガニスタン国内のゲリラ訓練施設は、もとをただせばアメリカが(ソ連兵を殺させるために)作ったものです。日本の外務省のサイトにも書いてあるように、「ソ連軍駐留時代に米CIAによって建設されたゲリラ訓練施設が現在も存在すると言われ、これがアフガニスタン国外におけるテロ事件に結びついている、との指摘があります。98年8月に米軍がアフガニスタン国内を攻撃した際の目標も、これらの施設であり」……要するに、アメリカは、自分たちが建設したテロ支援基地をみて「世界のみなさ〜ん、アフガニスタンには、あんなものがあるんですよ!悪い国ですね〜」と、その(アメリカが自分で作った)基地を攻撃目標としてミサイルを撃ち込んだとさ。ばかな話……

麻薬の問題

アフガニスタンを含むこのあたりのアジア地域は、アヘンは良くないものだという知見が整う以前から、ケシを作って、アヘンを使っていたようです。ソ連軍駐留時代、アメリカがアフガニスタンの反政府運動を支援していたときも、資金調達のために、アメリカはケシの栽培を黙認していたようです。

しかしタリバンの時代になって、ケシの栽培は禁止されました。タリバンの中心は堅物の神学生たちで、世俗的な娯楽に厳しいです。もちろん麻薬遊びなんて問題外。国際的な承認を得るうえでも、きちんと取り締まって、いちゃもんをつけられる要素を減らそうとするのは、当然のことです。タリバン政府が麻薬問題に真剣にとりくんでいるのは、おおむね事実のようですが、現状、麻薬の問題が完全に解決されたわけでは、ありません。

麻薬流通のとりしまりを強めるには、もちろん、アフガニスタンの政府の努力を支援しなければいけません。具体的には、(いきさつはともあれ)ケシの栽培で生活をたててきた貧しい人々が、代替作物でやってゆけるようになるように、種子を提供したり、インフラの再建を進める必要があります。20年の内戦で、例えば畑に水を送る施設(かんがい)がたくさん破壊されたようなので、そういうところから手をつけないとならないでしょう(ケシは荒れ地でも栽培可能なのだそうです)。今年の日照りで、畑にまく大切な種子を最後の食べ物として食べてしまった農家も多いようです。

あへんはともかく、ヘロインは、ヨーロッパで消費されるものです。単純化していえば、ヨーロッパ人がほしがってアフガニスタンに作らせているものです。この取引で、いちばん儲けているのは、アフガニスタン人自身じゃないでしょう。また、アフガニスタンでのケシ栽培がなくなると、ただならぬ事態が発生するのはヨーロッパ(の裏社会)においてでしょう。これは人間の弱点にかかわることで、アフガニスタンだけが問題の原因であるわけでも、アフガニスタンでケシ栽培をやめれば問題が解決するわけでもありません。

「神の国」

神学生たちは、いわば地上に神の国を作ろうとしています。「神の教え」に従った社会を作ろうとしています。このこころみは長期的には変更を迫られるでしょうが、意図は、まじめなのであって、「タリバンはテレビや娯楽を禁止しているから、ゆるせない」などといって、軍事介入の口実になるような話じゃないでしょう。アメリカと旧ソ連の双方が、物質的なちからでこの国をもてあそび、荒廃させたことに対する反省と反動もあったと思われます。

「結局アメリカが悪い」とか「ソ連がいちばん悪かった」とか、だれが良いだの悪いだのの議論もあるのでしょうが、まぁ、それはそれ、という感じで、要するに、みな「まじめ」に考えているわけです。旧ソ連としては、すべての国家が社会主義経済を採用することが、貧富の差をなくし全体の幸福につながると考えていたわけで、アフガニスタンでの共産主義革命は当然、応援したでしょうし、「反政府ゲリラで困っている。助けてほしい」と要請されれば、ゲリラのテロ活動から国を守るため、軍隊まで派遣しました。結果として、このソ連軍の介入は、現在、一般のアフガニスタン人からもひどく恨まれているようですが、派遣されたソ連の軍人さんだって同じように家には小さな幸せを持っていたわけで、命令に従って中央アジアくんだりまで出動し、アメリカ製の武器を持ったゲリラにやられてむなしく死んだ人も多いでしょう。

アメリカとしては、ソ連の拡大を防ぐのが正義だと考えていたわけで、アメリカの権益(天然ガスのパイプライン)のためにも、莫大な軍事支援を行いました。あなただって数億円払って作らせた豪邸が、だれかに横取りされたらイヤでしょうし、それを取り返せる可能性があるとなれば法廷闘争でもなんでもやるでしょう。アメリカだってソ連を追い払ってラバニ政権を作るのは、たいへんな苦労だったわけで、ラバニが大統領におさまってくれれば、計画通りにパイプラインも作れるわけです。かなりぶは悪くなってきたものの、まだラバニが完敗したわけじゃない以上、反タリバンに全力をそそぐのは、当然のことです。

さらにまた、すでに見てきたように、タリバンの論理も明快です。ムジャヒディーン各派が蛮行を繰り返し国がめちゃくちゃになっているなかで、「これでは、いけない」と立ち上がった純粋な若者たちです。

タリバンの「人権侵害」というのは、平時であれば正当な批判である部分も多く、戦時なのでやむを得ない部分、また戦時とはいえゆるしがたい部分などもあると思いますが、アフガニスタンの歴史、また世界の歴史全般を考えても、紛争当事者としては、非常に良いほうと思えます。アフガン・ニュースを見ていると、ときどき反タリバン側の一部隊が、タリバン側に投降した(ねがえった)というニュースがありますが(今では、もとムジャヒディーンも、たくさんタリバンに加わっています)、投降した敵は、それなりに暖かく迎えるようです。前述のカブール・ノートにも「タリバンは新しい地域に進出する際、まず交渉によって無抵抗の中を進軍しようとした。進軍には現金も大量に使われた。金をもらった局地支配者は丸腰にされ、その地域から放り出された。交渉にも買収にも応じない場合は殲滅する。これがタリバンのやり方だった」とあります。

タリバンの学生たちというのは、決して(アメリカなどのイメージづくりにあるような)凶暴なテロリストでは、ありません。むしろ、1994年ごろの無秩序状態に照らせば、アフガニスタンの平和を回復した救世主といって良いほどです。ただ、さしせまった命の危険がなくなってみると、たしかに国を救ってくれたタリバンですけれど、いろいろ細かい点で、今度は、タリバンのやり方に対する不満も出ています。それも事実です。とくに異文化の者からみると、イスラームのやり方は「過酷」に見える点があるでしょう。でもイスラームは、なにもアフガニスタンだけのことじゃないですし、異なる文化の価値観を自分の感覚とあわないというだけで否定するのは好ましいことでは、ないでしょう。

アメリカによるマスコミ工作は見事です。CNNにこんな反タリバンの宣伝をやらせてるほどです。やらせてるといっても、CNNは、そうそう政府の圧力で動くメディアでもなく、これは記者が、本当にタリバンは悪いと信じて書いている記事なのでしょう(たぶん国連が制裁をしているということは、相手は悪者に違いないと思っている……警察につかまったのだから悪いことをやったのだ、と信じられる無邪気で素朴な平和の人々)。自分で作ったテロ基地をゆびさして「あ!テロ基地がある」と叫び、そこにミサイルを撃ち込んで「悪は滅びました。わたしは正義」というなんて、どう考えても変てこな話ですが、当時の記録を調べると、けっこうアメリカがやったことは正しいと考える人が多い(多かった)ようです。もっとも、アメリカ国内での反応は、ラディン氏の問題も考慮に入れないと、きちんと説明できないでしょう。それは、またいつか……。

冒頭の写真と手記は、もともとは無関係のものですが、創作的に組みあわせてみました。写真の出典は、UNHCR Chief Sadako Ogata's Visit To AfghanistanにあるAPの写真、手記は、カブール・ノート フラッシュバック編2にある「アフガン人の10歳の少年が書いた、こんな文章」をもとにしています。


2000.12.01

[af]あやしい雲行き

Russia, US, prepare unusual anti-Taliban sanctions: UNITED NATIONS (Reuters) - Despite U.N. efforts to start peace talks in Afghanistan, the United States and Russia want to impose an arms embargo against Afghanistan's Taliban rulers but not ban weapons reaching fighters opposing them.(「米ロ、異常な制裁を提案」国連発ロイター:アフガニスタンでの和平会談を開始しようという国連の努力を無視するかのように、アメリカとロシアは紛争当事者の片一方だけに制裁を課し、他方には武器供与を続けようとしている。)

制裁ねた

CNNに出た U.S., Russia seeks arms embargo against Afghanistan's Taliban あたりがよくある報道でしょう。「アメリカとロシアは、アフガニスタンを支配するタリバンへの武器禁輸を呼びかけた。テロ訓練施設を閉鎖させ、麻薬の取引をやめさせるためである」だって。知らない人が読むと「アフガニスタンというのは、そんなに悪い国なのか。ふむ平和のためには武器など供与すべきではない。アメリカもいいこと言うな。ふむふむ」と納得するかもしれないが(CNNの記者も純真にそう思っているのでしょう。罪のない報道)、 Boston Globe Online: Russia, US seeking to halt flow of arms to Afghanistan は、もうちょっとマトモで「決議草案は、(アフガニスタンの内戦の両陣営のうち)タリバン側だけを対象に武器禁輸を課すものになる、と、あるアメリカの職員は匿名を条件にうち明けてくれた」という記述がちょろっとある。ワシントンポスト U.S. and Russia Push Afghan Arms Ban は、さらに的確。冒頭からずばり「アメリカとロシアは、国連安全保障理事会において、アフガニスタンのタリバン政府への武器販売を禁止しようとしているが、他方において反タリバン側へは引き続き武器を供与しようとしている。このかたよった措置は、アフガニスタンの反政府ゲリラ側を支援するもので、内戦への不正な干渉である」。この分析が正しい。

ついでにいえば、そんなことをすると内戦が長引き、ろくなことが起こらない。和平交渉を仲介するには、どうしたって中立の立場でなければならない。うまくいけば内戦が終わりそうなきざしも出てきたのに、それを望まない人もいる。「人権」とか「麻薬」とか「軍事」の問題なら、アフガニスタンを国として安定させて相手の政府を承認して、きちんと外交ルートで交渉したほうが話が早いんだけど、それらは、政治的な口実にすぎないわけで。アフガン人の「基本的人権」をちょっとでも考えてたら、抵抗できない相手に外からミサイル79発も撃ちこまないって(1998年)

ロイターも add an arms embargo against the Taliban -- but not their opponents と指摘してる。CNNは、のろまだ。だいいち、もとをただせば、アフガニスタンの内戦で使われた武器って、アメリカが渡したものじゃん。10年前の自分に武器援助禁止命令を出せればいいのにね。

ロシアとアメリカの武器によって破壊された施設、アメリカが渡した武器による脅迫でめちゃくちゃになった人権状況を、いま北欧や日本が「人道的援助」で治してるわけで、CNNでさえ、「"We don't want your guns," says Barkatullah, 16, an orphan working as a waiter in a tea shop at Muqur, south of Kabul. "We want your help. The world has given us nothing but death."」なんて書いてます。例えば、麻薬と注射器を大量に配って、あとから「この国は麻薬に汚染されている」と非難するのがばかげているように、あんなに武器弾薬を渡し組織的なテロ訓練さえ指揮した本人が、なにを非難したいんでしょうね……。

「多国籍軍」に関するウワサ

インドのメディアは単なるお騒がせ者なのか、それとも西欧のメディアを出し抜くインディペンデントなのか? この前のうわさに続き、Times Of India が「反タリバン北部同盟がタロカンを奪回した」として、「反タリバン側は否定しているが、ロシアと中央アジア諸国が反タリバン側と共同の軍事行動をおこない、これをアメリカが支援しているらしい」などと書いてます(Marginal gains for MasoudAfghan factions fight, north claims gains)。他方、UPIによると、この前、インドから発信された「アメリカはタリバン政府に最後通告をつきつけた」について(多国籍軍のアフガン侵攻が近い、という、この人騒がせな記事)、アメリカ側は否定しているそうです(Adminstration: No Ultimatum on bin Laden)。

それはそれとして、パキスタンのメディアが「アフガン侵攻は、国連憲章でやるもよう」と書いてます(いわゆる多国籍軍)。Pakistani paper sees `allied forces' attack on Afghanistan、パキスタンとウズベキスタンは「米軍の侵攻」への協力を断っているが、国連憲章でやられると、「国連軍への協力」は拒めないのでは――という分析です。そして、れいの The United States warned last month that it will take military initiative even if five per cent involvement of Osama bin Laden in the bomb attack on USS Cole was established. というのを引きあいに出しています。もちろん、米軍艦が攻撃を受けたからといって「国連軍が仕返しをする」のはヘンだし、そもそもアフガニスタンがあの事件の犯人なわけでもないのですが、まぁ、国連は、ある程度、アメリカのものだし、アメリカは、ラバニ政権を作るのに何兆円も使ってるようなので初志貫徹というのは、ありうるでしょう(もちろんアフガニスタンの人々のことなど、なんにも考えてない)

パキスタン発NNIも、US, Russia, India to devise joint strategy on Afghanistan としています。これは、インド人のアフガン問題専門家がVOAのインタビューで語ったことで、アメリカ、ロシア、インドがアフガニスタンでの権益を守るため合同作戦をやるのでは、ということです。3国のおもわくは別々だが、タリバン勝利で内戦終結させたくない、という結論部分では3国とも一致している、と指摘。タリバンが勝つと中央アジアでのテロがどうこう、というのは、アメリカにとっては、むしろたてまえですが、チェチェン弾圧のロシア、カシミール問題のインド、にとっては、現実的に、イスラーム教徒の希望の灯になるようなことは怖いでしょう。また、パキスタンがタリバン政府を応援している関係上、インド政府からみると、パキスタンとつるんでるものは、みんな敵、という視点もあるでしょう。とはいえ、現段階では、多国籍軍というのは、まだ単なる憶測です。

ウズベキスタン

さて、パキスタン、カザフスタン、トルコにつづいて、おぉ、ウズベキスタンが米軍のアフガン侵攻には協力しないよん、と言ったもようです(Uzbekistan says no to bin Laden attacks)。約20年前のソ連のアフガン侵攻のときも、当時ソ連領だったウズベキスタンが踏み台になったようで、今回のアメリカの侵攻もあるとしたら、今度はウズベキスタンから行くのでは?という話がありました(なお、たぶんデマでしょうが、すでにウズベキスタン国境からロシア軍がアフガニスタンに入ったというウワサもありました)。ウズベキスタンってこのへんです(下の地図)

アフガニスタンと周辺諸国の位置関係(8kb)

ウズベキスタンがアフガニスタンにやや同情的ってことは、CNNの Russian troops, gunmen clash on Tajik-Afghan border の最後なんかにもちらっと書いてあって、つじつまは合います。ていうか、今は独立国なわけで、アフガニスタンは仲良くやってゆきたいお隣さんなわけで、アメリカやロシアの軍事侵攻に協力すれば、うらみを買ってあとあと面倒な事態に巻き込まれるばかり。できれば断りたいのは当然でしょう。

女性問題

国連がタリバンをまた非難して、女性の就学の権利を認めろだの言ってます。女学校を作りましょう、は、いい話だけど、そんな優雅な話の前に、このままだとこの冬、百万人餓死すると世界食糧計画が警告してるようですが。学校も大切だけど……。タリバンたちが「内戦が終わったら、女性にも教育を受けさせる」と繰り返し約束してるのは、たしかに百パーセント信じられるわけでもないのですが、百パーセント疑わしいわけでもない。本当にまじめに考えているなら、まず内戦を終わらせるということを考えるのが当たり前でしょう。女学校があろうがなかろうが、戦争やってたら落ち着いて勉強なんてできやしないもの。タリバン政府に対するテロも増えているらしいし。

また、女性の就学禁止って、なにもタリバンが始めたことじゃなく、ムジャヒディーンの時代からのことで、ムジャヒディーンは「娘を学校に行かせたな」といって父親を射殺しているという報告もあります(Amnesty: Women in Afghanistan: Pawns in Men's Power Struggles)。まぁ、それは過ぎたことだし、ムジャヒディーンの蛮行の数々を考えれば、女性「差別」くらいは、ものの数じゃないし、そのムジャヒディーンが「我々はタリバンと違って女性のみかたです」などとほうけたことを言って、国際社会にこびてるのも、まぁ気持ちは分かるとして、そういう事情をなにもかも熟知しているアメリカが「タリバンは女性を差別しているから、ムジャヒディーン側(ラバニ)に勝たせましょう」という態度なのがばかばかしい。万一ムジャヒディーンがまた政権をとれば、今度はラバニ派と反ラバニ派でもめまっせ。もともと内輪もめでラバニ大統領を追放した仲の悪い人々(追放した側とされた側。追放した側の内部も四分五裂)が、たまたま、いま反タリバンという一点で暫定的に同盟してるだけで、もし仮に権力がまわってきたら、そんな同盟とたんにくずれる……。

タリバン政府に問題があるのは事実ですが、反タリバン側のほうが、はるかに問題が多いうえ、これまでのタリバンたちの貢献(アフガニスタンに秩序を回復した)は大きいです。そのあたりを考慮して、国内状況の改善に協力していくというのが、まともな考えでしょう――タリバンだけを悪者と決めつけて一方的な制裁を課すのは逆効果だし、経済制裁によって一般の人々をこれ以上、苦しめるべきでは、ないからです。ただし、これはアフガニスタンを助けたいという目的がある場合のことで、アメリカの目的は違うところにあるので、おのずと答も変わるわけですが。追加リンク:Cole retaliation may be non-military


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