趣味Web 小説 2003-09-28

99%の無関心 3

Scrap Bookを読みにいったら、やたらと更新されていて困った。こっちは一人で、しかも先週はあれこれあって更新できなかった(する気になれなかった/あるいは優先順位の問題で……)ということもあるので、反応が遅くなってしまった。というか、今日もまともに反応する気はなくて、まあ夜になったら気が変わるかもしれないけれど、少なくとも現時点ではない。

アノレヲの中の人とアルヲの中の人は別ですよ。とアノレヲさんはおっしゃっていて、そりゃそうだろうと思う(というかアルヲさんは現在の***さんでしょ)のだけれど、要するに私がいいたかったのはアノレヲさんの文章は「成功者は語る」って感じだよね、という感想。プロジェクトXを見ていて、「何でそう都合よく奇跡が起きるのかな? 徹夜して頑張れば私にも奇跡が起きますか?」と愚痴るようなものです。

ただ、プロジェクトXは「あなたもきっと成功できますよ」とはいわない。あくまでも、「かつてこうして運良く成功した人がいました」という作りだから安心できます。私はアノレヲさんに恨みはありませんが、「あなたもできるアクセスアップ」という記事には辟易していて、目に留まるたびに批判するということを繰り返しています。それらをまとめて「あなたにはできないアクセスアップ」というテーマで記事も書きました。今回のことも、私にとってはそうした一連の流れの中にある行動だったわけです。

と、ここまでが長い言い訳というか、状況説明というか。

今日、いいたいのは、「ごめんなさい」ということです。

アノレヲさん自身が、読者をミスリーディングしつつこっそりと(しかし読者の眼前でぬけぬけと)皮肉をいう手法をとっているのだから「私は別に悪くない、アノレオさんの狙い通りに騙されただけだ」といってもいいのかもしれない。けれども、わざわざ皮肉を皮肉であるとお書きになったところを見ると、ミスリーディングが効きすぎていたのは意図せざるところだったのかもしれない。

私がDIMEの話題を興味深く読みつつも概ね過小評価する傾向があるのは、世の中の大半の成功は99%の無関心を突破できないという認識があるから。みんなお釈迦様の掌上で走り回っているに過ぎない。

私はこの持論を何度でも語りたくて、いってもいってもいい足りなくて、いつもうずうずしています。その目的のために、アノレヲさんの茶目っ気にいささか悪乗りしてしまったのは、いわばネタばらしを無視してネタにマジレスするようなもの。無粋をお詫びします。

なんか調子が出てきたので続きを書きます。

言葉を精査せずに内容だけが重要と書いたのは、たしかにいささか脇が甘かった。へぇ~ボタンの話題で勝ち組になったのは僕秩だけだったわけで、いや、他のサイトも僕秩経由で紹介されたから失敗だったというわけではないのだけれど、成功のレベルが違いすぎるわけで。

とはいうものの、たしかに個々のネタを見比べたら、僕秩が特別よいわけではないということはへぇ~ボタン騒ぎで明らかになったのだけれど、結局poxyさんのいう総合力では僕秩が圧倒的でした。へぇ~ボタン情報をキッチリ集めて膨大な資料集をサっと組み上げた抜け目のなさは、さすが「たま=サップ」ネタにおいて突風に足止めを食らわせ、話題(=アクセス)の中心地へとステージを上げた僕秩の凄みを見せ付けてくれました。

僕秩は超ド級のネタを一定頻度で繰り出しつつ、集まるアクセスを一過性のものとしない努力を重ねてきたわけで、その総合力は過去の積み重ねがモノをいっているわけです。過去を無視して、現時点におけるネタのよしあしだけをいったら、例えばこのサイトは未だにギリギリ4桁のアクセスがあるけれども、何も更新しない日がホント増えたし、書いている内容は過去に書いたことの繰り返しでしかないし、どうしようもない。だから、現時点でここより内容の充実しているサイトは他にいくらでもあると思う。

小さい企業が大企業よりもいい製品を作っても、その段階では売れ行きに劣る面があるのは、そりゃ致し方ないことですが、ホントにいい製品なら確実に伸びていくはずです。小包自由化以降シェア0%から這い上がり業界1位となったヤマト運輸のような企業はいくつもあり、例えばMicroSoftもそうだったのだろうし、住宅の部品化と工場生産比率の飛躍的向上で大成功した積水ハウスもそう。

浜崎あゆみはエイベックスだからあれほど売れるんだ、というのは事実かもしれない。けれども、エイベックスが昔からカスネタばっかりつかんでいたら浜崎に出会った頃にはボロボロになっていたはずで、その後の成功はもっと小規模にとどまっただろうと考えると、それは浜崎の開花時に実力を養っていたエイベックスの勝利ではないかと。要するにこの世界は複利式+変動金利制になっているので、過去が重要なのです。現在の利率と元金の追加状況だけ見てもしょうがないのではないか。

モンゴル800のように、いきなり傑作を引っさげてデビューし200万枚突破といったケースを見ると、本当にいいものならいきなり売れてもいいはずだ、逆にダメなものならいきなり売れなくなってもいいはずだ、と思うけれども、例外は例外と認識しなければならない。過去を見ずに、現在のことばっかりいってもしょうがないのであって、そこでやはり「継続は力なり」という言葉が出てくるから、結局はアノレヲさんと私は同じことをいいたいらしい。

(それならもっと短く書けばいいのに、ってのは私自身そう思います)

ところで私が浜崎をよく例に出すのは、大勢がそのよさを認める宇多田では論旨がうまく伝わらないから。あと、会社の同僚に熱狂的な浜崎ファンがいて、いつもいじめられていてかわいそう、というのが裏の理由。

ちなみに中高年の方にはダウンタウンを例に話をするとよく話が通じます。浜崎だと「知らない。若い歌手は宇多田ヒカル以外はみんな同じに見える」だったりするので。それにしても中高年の方って、未だにダウンタウンが嫌いなんですね。で、ダウンタウンも知らない方には、久米宏あたりを例に出すと、ようやくわかってもらえます。最初から久米宏を例に出せばいいって? でも若い連中には久米宏を知らない常識のない人間がいるんで困るんですよね。

閑話休題。poxyさんが指摘される通り、私は凡人の勘違いな夢は不幸だと思っています。それが信じられる夢であるうちはいい。あるいは、無理と断念してスッパリ諦めがつく夢ならいい。そういった留保をつけてよいのなら、私もpoxyさんに同意したい。

しかし世の中は、「何であんなやつが成功しているのに、どうしてこの俺は」という醜い嫉妬であふれかえっていて、その大半がたんなる身のほど知らずでしかないから、バカバカしいと思う。不幸だと思う。自分を信じているのなら、「しかしいつか自分もあそこまで辿りついてみせる」と展開していいはずだけれど、実際に口をつく言葉は「アー、俺はもうダメだ。世の中不公平だ」というのだから呆れる他ない。

ちょっとそういうことをいってみたい、というのはいいと思う。そういう気分になるときもあるだろう。けれど、始終そればっかりいっている人はどうしようもない。本能的には見果てぬ夢とわかっていながら、アタマがそれについていかない。じつに不幸なことではないのか。

夢を見るなら、信じられる夢を見るがいい。自分自身をすっかり騙し通せるくらいの夢を見るがいい。私はしばしば、そう考えます。

で、徳保氏。まあ、日記やらオモシロテキストやらを書くホームページを作った奴が「やり方次第で誰でも」デイリー200までホームページ育てられるかって言えばそりゃナシなんだが。その一方で需要と供給の関係さえちゃんと見極めればデイリー200なんて数字はそう難しくないと云うのは徳保氏、ご存知の筈だ。自分発のエンターテイメントを読みに来る読者が200人ってーと、こらちょっと辛いけど、情報を拾いに来る200人ならそんなに難しくもないよなぁ?って事さね。

ま、それにしたって「誰でも」ってわけではないんだが、敷居が低いのは事実だよな。つわけで、ココから先はいわゆる「テキスト」サイトがどうやって数字集めていくかって道筋で話が流れてくれると、俺を含めたアクセス厨読者には有益だぜ? 期待age。

敷居が低くなるのは、「可能」のレベルの話でしょう。たしかに、実際にYahoo登録サイトをしらみつぶしに見ていけば、作者を凡人に限るとするならば、テキストサイトで成功しているサイトより、情報系で成功しているサイトの方がずっとずっと多いことは明らかです。(註)

仮に、凡人が本気でアクセスアップを狙うなら、仕事として情報構築に努めればいいという話は、以前、書きました。しかしその場合、「動機」のレベルで大きな障壁が立ちはだかります。たぶん、口ではいくらアクセスほしいといっても、「好きなことをやりながら」という条件だけは取り下げるつもりがないらしい。つまりは「ありのままの私を愛して」といっているわけで、「そりゃあんた、数人が寄ってくれば御の字なんじゃないの」ということになるでしょう。

可能なら実際にできるのか、といったらそうではない。また意図しない形でアクセス増を招いて閉鎖するサイトがしばしばあることにも注意すべきです。だから結局、こうやって需要を見極めれば、まあデイリー200くらいは楽勝、なんて解説を書いたって、読者の1割未満しかそれを実践できないでしょう。

昔、荒廃の歌が「これからのアクセスアップはニュースサイトが狙い目だ」みたいな話を書いた。それは正鵠を射た意見のように思われましたが、ReadMeランキングから気づくことは、下位に行けば行くほどニュースサイトの割合が減るという事実。そして稀に出くわす下位(デイリー50未満)のニュースサイトで、更新頻度も情報量も上位サイト(例えばデイリー500以上)と同等以上のケースは皆無といってよい状況。

ニュースサイトの更新は、みな物理的に不可能ではないけれど、やはり動機の面でよほど強いものがなければ無理。そんじょそこらのアクセス厨ではどうしようもあるまいな、と感じたものでした。

註:趣味の個人サイトで1日数万もカウンターの数字が増えるなんて話は、テキストサイト界隈を除けば例外中の例外。頂点が凄まじく高い、というのはテキストサイト界隈の特徴です。ただし、テキストサイトで頂点クラスの成功をおさめる人がみな異能者であることを念頭におけば、本来その比較対照は新聞社系のWebサイト、有名人のWebサイトなどがふさわしいのかもしれない、という疑念はあります。

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