退却戦/専門家の情報発信 Vol.3

潮時(2004-03-04)

退却戦をはじめます。

individualist(2004-03-04)

著者が言いたいのは「専門家は個人の責任で情報発信するな」ではなく「顧客をバカにするな」ではないのかなあ。ただそれだけのことのような気がするし、「そりゃそうだよね」とも思う。

どうなんでしょうね。「技能未熟な人間がいるのは事実であっても、それを不用意に明かすことは組織にとってありがたいことではない。組織に迷惑をかけたくないのなら、よく注意して情報発信しなければならない。このときセルフチェックは信用ならないので、他律的なチェック環境を構築すべきだ」と私はいっているわけです。社会の潤滑油としてこの手の情報隠匿は一概に否定すべきでないと思っているのですが、こうした発想こそ「顧客をバカにしている」と思う方も少なくないのでは?

どうなんでしょうね(2004-03-04)

仰ることは、わかるつもりです。

ふつうのサラリーマンは所属組織に迷惑がかかることをしたくないので、もし上司公認(黙認でも可)のサイトであれば、自分の中でセルフチェックをきちんとやる強力な動機付けになるのです。こっそりとサイトをやっているとついつい気抜けしてポカをするような人でも、慎重になれるのです。

しかしながら、individualist の三中さんは、仮に自分のサイトの記述が原因で組織に迷惑がかかっても頓着なさらないわけですから、「上司が自サイトを読んでいる」ことが何の歯止めにもならないわけでしょう。三中さんのような方には、私の提案が無意味であることは理解できます。

「トクホン」は既出(2004-03-04)

趣味のWebデザインの徳保さんは、このままキャラが定着すると「新シュッシュッ王」「トクホン」とか2chスレで名前がつきそうな予感。

マジレスしますと、「トクホン」は既出です。

若者の失敗には寛容な場合が(2004-03-04)

「独り言を言う」ってどうなんだろう?

手許の新明解国語辞典は私に答えを与えてくれませんでした。「独り言する」といった動詞があれば、判断しやすいのですが。ちなみに、私は「独り言を言う」というフレーズを口にすることがあります。文章にしてみると……字面がやはり気になりますね。でも、見覚えはあります。

ところでいきなり本題の方についてコメントさせていただくわけですけれども、私が例示した方々が社会的に(あるいは組織の中で)許されるか許されないかでいうなら、許されるでしょう。私が例に挙げた中で致命的といえる失敗をしたのはミライさんだけですが、そのミライさんも許されると思います。まだ二十歳くらいの若手でしたから。年齢と立場が、彼女を最終的に許したと思います。何のお咎めもなしということはなくとも、具体的なペナルティは科されないかもしれません。

意外と、そういうところがありますよね、日本の社会は。これは、そう悪いことではないと思います。

未来のヒーロー像(2004-03-04)

現在、退却戦の途中なので、ちょうどいいタイミング。もちろん、もうちょっと肩の力を抜いていいだろうと思いますよ。というか実際、私がどれほど過激なことをいっても、みんな「ふーん」でお終いでしょう。最初から大幅に譲歩した意見を主張する人もいます(私も時にはそうします)が、今回、一度はとんがった主張をそのまま出してみたかったのです。なかなか、実社会でそういうことをできる機会は無いものですから。(実社会の議論は、最初から現実的な選択肢しか選びようがないケースはほとんどですよね)

別に僕は僕の会社や業界のことなんて知ったこっちゃない。

自分が面白いと思ってやった。それが原因で会社や業界の信用が失墜した。まあ、その責任を取って会社や業界を負われることはあるかもしれません。それは自分の責任です。でも、そのために会社や業界がどうなるかは僕の感知するところではない。僕が個人の楽しみのためにやったちょっとした「バカげたこと」のせいで傾くような会社や業界なんてそもそも大したことないですよ。実際にそんな事は起こりようがないと僕は思っていますし。

これからだんだん、Vins-T さんのような意見の方が増えてくるのかな。不安に思う方もいるでしょうが、私は「案外、それも面白いかな」と思っています。考えてみると、「自分の生き方を貫く人」というのは昔からヒーローだったわけですよ。私は所属組織を大切にする生き方が好きなんで、そうしているのですが、そういう生き方に誇りを持てない人が多いですよね、少なくとも私が生まれてからこっちの世界では。

何年先のことかわかりませんけれども、ヒーローが街中を埋め尽くす社会は、一体どのようなものになるのか。それは体験してしまえばつまらないものかもしれませんけれども、まだ見ぬ世界に私の期待は膨らみます。そういう時代にも「きっと物語はあるはずだ」と私は信じていて、そこで「ヒーローがどのような人物として描かれるのか」興味津々なのです。

僕は通信業界にいますので、大手企業やメジャー企業、はたまた技術力で注目されているようなさまざまな企業って言うのが如何にいい加減かって言うのが良く分かります。っていうか、ここまで複雑になってしまった現代技術を扱う場合に、何処から見てもいい加減じゃないって言うのは現実的にはありえないです。

もちろん、この話は徳保さまが批判されているようなこととは全く無関係なんですけど、まあ、そんなもんだし、何処の企業でもそういうことに無自覚で会社やプロジェクトに不利な情報を個人ページで流してしまうバカは居ますよ、と。

でもいいんですよ、楽しいんだから(^^; それがばれて自分が組織に居られなくなったりするリスクは自分で背負うことになりますが。wwwは情報が玉石混合だという意味で、情報を利用する側が「at your own risk」であるのと同時に、情報を出す側も出し方次第では「at your own risk」で出しているんです。それで良いんじゃないですか?っていうか、そうじゃないと逆にこれだけの膨大な情報は上がってきませんよ。

情報量の増大が当然に歓迎すべきことかというと、私は疑問を感じるわけではありますが、まあこの流れは止まらないでしょうね。最終的に、勝つのは Vins-T さんのような考え方なのでしょう。現在、弊社にも Yahoo 株価情報の掲示板へあることないこと書いている匿名某がいるんですね。秩序破壊の綻びは、既に現出しているわけです。いろいろ、先のことを覚悟しておかねばなりませんね。

大丈夫!(2004-03-04)

考えてみると、医療系のアクセスが多いサイトで「日常」を描いているものはごく一部で、あとは医療関係の知識の集積であるとか、趣味の話とかになっているのですよね。まあ、そのほうがより対象とする人が多いから、とも言えますが。

やっぱり、現場で働いていると、内部批判みたいなのがバレると洒落にならない。そういう意味では、むしろ医学生のサイトのほうが、医療問題に対するストレートな意見が書いてあったりするのです。

こういうのって、学生のときのほうが教授との距離が近いような気がしていたのと同じなのかもしれない。

…単に、臨床の人々は時間が無いだけなのかもしれないけど。

今回、私は厳しいことを主張してみましたが、実際問題としては「ま、気をつけましょうね」というくらいでいいんじゃないかな(というか、ホントにそれ以上を求めていくというのは困難ですからね)。

Re:ScrapBook(2004-03-05)

徳保さんの出された例の中では、僕の感覚的には**さんのは失敗だったかな、と思う位で、そのレベルも苦笑程度ですけどね。

実際、そんなものなのではないかと。だから、私が指摘するまで世界は平和だったわけです。ただ、例えば一人怒らせたら、簡単にオオゴトになってしまう危険性をはらんでいたのは事実でした。私は確信犯で導火線に火をつけましたが、この行為を批判する人がもっといていいような気がしました。例えば「あなたが黙っていれば、案外、誰も傷つかなかったんじゃないの?」とか。

ただ、これは難しい問題ですよね。個人の責任で情報発信している場合の罠として、爆弾になかなか火がつかないという事実は見逃せません。ミスをミスと自覚する機会が無いから、実際に爆発事故が起きたときには、身の回りがでっかい爆弾だらけでもう大変なことになっていたりして。

まあ、徳保さんの言及対象の専門家は、一般的ではない、極めて限定された人々で、かつ、「従来のセルフチェックに限界があるなら、組織のプレッシャーを活用すべき」という部分は「出来ないのならば、何らかの形で是正すべきで、組織のプレッシャーを活用するという手段もある」という感じなのでしょうか。(*1)

それならば、実は、僕と徳保さんの認識は根本的には結構近いところにあると思います。

中略

(*1)

技術者であるならば、常日頃の技術的な勉強は必須だと思います(自分自身全然足りずに必死になっているわけですが)。ですが、技術をかえりみようとすらしない(自称)技術者という存在が結構な割合で存在したりします。

そういう人達の何割かは、仕事とプライベートを完全に分けたがる傾向にある気がします。どうも、彼らにはそれが仕事の出来るビジネスマンという印象があるようで。それなら、僕は、仕事の出来るビジネスマンよりもオタクな技術者の方が好きですわ。そういう奴等の方が技術に真摯で信頼できる。

私は「セルフチェックは信用できない」と書きましたが、ほとんどの人はセルフチェックで足りるわけです。みんな、叩けば埃くらいは出るかもしれませんが、ふつう、わけもなく叩く人はいません。よほど目に付く大失敗をやらかさない限り、大丈夫なんですね。そしてたいていの人は、そんな大失敗にセルフチェックで対処できます。たぶん私の記事を読んで何かを反省するような方なら、(少なくとも今後は)セルフチェックでいいと思うのです。もしそうだとすると、私の記事はいったい何だったのかということになるわけで……。

とはいえ、「自力で目標を達成出来ないのならば、何らかの形で是正すべきで、組織のプレッシャーを活用するという手段もある」という視座を提供できたことについては、無意味でもなかったかな。こういう考え方自体は、いろいろ応用が利きますから。たぶん今回の一連の私の記事に何かを感じるのは、ある種の責任感が強い人が多いでしょう。しばしばそういう人は、自律の壁に苦しみます。自力で越えなければならない壁も時にはあるでしょうが、多くの問題は他律的環境の構築で対処できるし、それは決してずるいやり方じゃない(と私は考える)のです。

何はともあれ、ScrapBook の更新がたくさん読めてよかったです。みんなも読もう!

時間切れ(2004-03-05)

今晩中に終えるはずだった退却戦、ここで時間切れとは……。続きは土曜日の予定。

雑感(2004-03-06)

yosuke の日記 (2004年03月06日 1時11分)

ダメな人が組織内にいるっていうのは、それ自体は仕方がない部分だと思う。そのフォローができないなら、初めて組織としてダメなんだと思う。

理想をいえば、おっしゃる通りだと思うのです。けれども、個人でこっそり書いている日記の場合、そういったフォローの有無は明らかではありませんよね。みんながよい方向に想像してくださるならいいのですが、そうとは限りません。

組織のチェックが入っているのなら、「新人 Web デザイナーのお勉強日記」でも構わないのです。誰だって、最初は新米で右も左も分からない。知識も経験も足りないから失敗もたくさんする。それはみんなわかっているんです。しかし、それをきちんとフォローしている人がいるのか、というところが重要なんです。会社公認の日記なら、そこに記された数々のおとぼけ発言も笑って読み流せます。

私は先日、こう書きました。

堕ちた天使は歌わない 6

リンク先を見ていったら、延々と時間を食ってしまった。面白い。

あと、個別の事例が業界の評判に影響することの証左もいくつか。

狂人日誌 '04/3/6(Saturday)

最近、サイトで自分の身分をある程度の範囲で明かして、ほんで楽しむっていう雰囲気が微妙にあるっぽくて。そういうのはおいらもやってることなんだけどね。で、もちろん、それはそれで楽しいからいいとは思うんやけど、ちょっと注意しといた方がいいと思った。痛い目に合うかもしれないよっていうか、ちと心配だったりするので。あくまで参考までに、ここを参照のこと。どっちかっていうと、社会組織のイメージっていうあたりで、まぁ問題になるかもしれんってことだが。

個人がハロプロのタレントのファンだと表明することが所属組織のイメージに与える悪影響……そこまで気にするのもどうかと。でも、気にする人は気にするのかな。

おこのみで 04/03/04

それは他の業種にも当てはめられますなあと思いました。もし医師がメスどっかにいっちゃったとか日記に書いたらアウトですな。(*自分の職種では例えといえど恐くて書けません。)とのことですが、逆にそういう事実があるなら徹底的に公開した方がいい、という考え方をする人もいるわけですよね。むしろ業界の隠蔽体質を徹底批判するというような立場。私は業界のダメなところを日記で告白してもあまり意味がないと思っていて、問題があるなら内部で頑張って解決していくのが一番いい、という考え方なんですよね。

専門家の情報発信 記事一覧

  1. Vol.1 問題意識の原点[04.2.29-3.2]
  2. Vol.2 異論・反論と相対す[04.3.2-4]
  3. Vol.3 退却戦[04.3.4-6]
  4. Vol.4 感想戦[04.3.7-9]
  5. Vol.5 場外乱闘[04.3.7-13]