私は avex に同情的。商売としてグッズを展開する際に、「恋のマイアヒ」のキャラクタ商品は avex が独占するべきだ、という考え方は十分理解できます。
AA のモナーのみならず、3次元化されたモナーもまたフォークロアとみなして間違いではないと思う。ではフォークロアであるモナーを、どのように独占的に販売していけばよいのか。フォークロアなのだから、同じ見た目のぬいぐるみなどが販売されることを差し止めるのは難しい。ただ、avex に1円も入らない形でモナーグッズが「恋のマイアヒ」と関連付けて販売することだけは制限できるのではないか? avex の主張が通らないとすると、誰でも「恋のマイアヒ」の人気にただ乗りして儲けることができてしまう。「恋のマイアヒ」の企画・製作・広告に労力と資金を注いできた avex にとって許容し難い事態です。
「モナー」ではなく「のまネコ」と名前を付けたのは、商品の名前で差別化を図るためでしょう。同じ名前の商品なのに、avex の許諾を受けたものだけ「恋のマイアヒ」のキャラグッズとして販売される、といった状況は間違いなく消費者の混乱を招きます。だから「のまネコ」という名前を独占するのです。見た目は同じでも、名前で本物を識別できれば、消費者も小売業者も扱いやすい。(参考)
ただそれだけの話が、(例によって)ウェブでは問題視されます。
ひとつは、庶民の趣味から生まれたものが他人の金儲けの種となることが許せないという意見。「電車男」や「痴漢男」が嫌われたのと同じ理由です。これは無理筋だと思う。ウェブでは簡単に同調者が集まるので「常識」「人間として当然」といった方向でゴリゴリ固まりがちなのだけれど。
もうひとつは、avex に対する不信感。端的には3次元モナーのグッズ展開が制限されるのではないか、という不安がある。もちろん、反「のまネコ」陣営が散々論じている通り、著作権の見地からはありえない話。登録商標の「のまネコ」を使わず、「恋のマイアヒ」に絡めた売り方をしなければ問題ない。9月8日の段階で既に「モナー」等の既存のアスキーアート・キャラクターを使用されることを何ら制限するものではございません
といっている相手に、それ以上何を求めようというのか。
西村博之さんの公開質問状は、ひとつの妥当な解です。water bouget と浜崎あゆみグッズを見比べてください。浜崎あゆみの知名度にただ乗りしない形で販売される限り、「のまタコ」という名称はともかく、横棒を小さく足を大きくし伝統的な図案に近付ける絵柄修正を行えば、差し止めできる道理がない。(注:浜崎ロゴは伝統的なスタイルを少し崩しており、のまタコは明らかに浜崎ロゴに酷似しています。伝統的なスタイルはフォークロアでも、浜崎ロゴは著作物として認められるはず。となると図案の修正要求には一定の理がある)
2ch 周辺では、「AA はみんなのもの」であるが故に、特定の大企業が大規模に商品展開すると激しい反発を招くケースが少なくない。西村博之さんの問題提起が(デザイン修正、浜崎あゆみとの関連付け禁止を条件に)のまタコ黙認で決着すれば、「大人の判断」をネットの住人に啓蒙する好機だと思います。
のまネコと圧力の件ですが、その後今日まで、圧力の気配すら感じません。
【avex】モナー酷似の「のまネコ」商品化は汚いだろ(2005-09-06)で人気を博した津久井箇人さんの【のまネコ問題】これまでのまとめと今後(2005-09-27)を読みましたが、相変わらずの内容。まとめサイト群もそうですが、ウェブでは何故か「大人の事情」への理解がない。社会の慣行に則った異論が無力なのは寂しい。
ビジネス的には問題の本質はフリーライドの是非(著作権は道具のひとつ)。「恋のマイアヒ」も「2ch」もタダ乗りはされたくないに違いない。だから墨香オンラインの件に違和感はなく、kyoumoeさんの批判はいかがかと思う。
avex は CD 特典のマイアヒ・フラッシュの提供と「のまネコ」の商標登録を中止。がっかり。