趣味Web 小説 2006-06-28

Advice357 海月屋

ご依頼人と Web サイトのご紹介

トップページから2つにわかれ、一方はイラスト・アイコン・スキンを主にしたサイト(こちらを主にしています)で、もう一方は自己流で勉強したことを忘れないために作ったHP作成支援サイトです。

なにか思いつくたびにどっと追加したり、長い間更新がなかったりで、サイトの更新はばらばらです。

デザインは改装を繰り返していましたが、ここ1年ほどこの状態で、これからもこれでいきたいと思っています。

どちらもシンプルデザインを意識しているつもりです。

ウェブサイト作成支援サイトについては、数年前に一度、備忘録でご紹介したことがあります。当時、管理人のくらげさんは学生さんだったかと思いますが、現在は会社員とのこと。なぜ海月屋というタイトルなのかわからなかったけれども、ハンドルネームがくらげさんだったのだと、ようやく理解しました。

3月には何かご病気で入院されましたが、全快されたようでよかったです。退院に間に合うようにアドバイスを書くつもりだったのですが、もう6月……。アドバイス依頼より今日までの間に、ここ数年、主に更新されているイラストサイトが大改装されましたね。マークアップが改善されたり、交流系 CGI の新設・改装が進んだり。いっそう美しく整ったデザインとなったように思います。お疲れ様でした。

ご相談の内容

最初はひっそりとイラストを展示するつもりで2002年の夏にはじめたサイトなんですが、いつのまにかかなり大きくなってしまいました。

2つのサイトといってもいいほど別な内容なので、どちらかを名前を変更して独立させるかどうかも考えていますが、リンクしている人がいることを考えるとできていません。

訪問者はけっこういると思うのですが、反応はあまりありません。

自分が気づいていないこともあるかと思い、サイトデザインについて誰かの意見を聞きたかったので、よろしくお願いします。

サイトデザインの良し悪し(内容とデザインがあっているかどうか、見やすさや移動しやすさ)、コンテンツのばらつきや量などについてご意見をいただきたいです。

アドバイスいろいろ
1.サイトの分離について

更新が続いているイラスト系サイトは既にサーバも分かれており、URI に「kurageya」の文字はない、といったことを考えますと、イラスト掲載とのサイト名を変更することには賛成します。

サイトを移転したり閉鎖したりするのは管理人の自由といってよく、実際、長らく更新の止まっているサイトを閉鎖してみても「どうされました?」なんてメールが来ることは滅多にありません。主に閲覧者の立場から「閉鎖する前に考えてほしいこと」という記事を書いた私ですが、じつはマイナーなサイトを過去にたくさん閉鎖しており、そのあたりの実情はわかっているつもりです。閉鎖でさえその程度の反応なんです。移転や改名くらいは、気ままにやってもかまわないと私は思いますね。

しかしながら、少しでも無用の軋轢を避けるためには、更新の止まっているサイトはなるべくそのままにして、現在進行形のサイトに変化をつけるのが得策です。

つまり総合トップページと作成支援サイトには手を加えず、イラストサイトの名称変更を検討すべきです。

現在、イラストサイトから総合トップへのリンクは1箇所しかなく、リンク案内も xrea サーバのトップへのリンクを推奨していますね。かなりの期間、そのようにしているわけですから、アドレス上の独立については、十分に告知されているものと思います。

アクティブに更新されているサイトの読者には、訪問頻度の高い熱心な読者が多いため、変化への対応力も高いといえます。サイト名を変更したいということであれば、思い切ってやってかまわないと考えます。無論、いつまで経っても新サイト名へリンクテキストを変更してくれないケースも多いでしょうが、それらのリンク元からやってくる閲覧者は決して多くないはずです。どうしても無視し難いケースについては、メールでリンクテキストの変更願を出すことを勧めます。

「趣味のWebデザイン」も複数回のタイトル変更を経た名前です。大規模な移転も1度経験しました。それでも熱心な読者の方はついてきてくださいました。移転も改名も、閲覧者からみてあまり望ましいものではないのは確かですが、管理人が我慢してストレスをためるようなものでもないと思っています。

くらげさんの美意識にしたがって決断されるとよいでしょう。

2.反応を増やすには

「大勢が訪問しているはずなのに反応があまりない」のは、異常なことではありません。たいていの人が、自分が他サイトを訪問しても何ら感想を書かない事実を忘れてしまい、「どうしてだろう?」と思っていますけれども、ようするにそれがふつうの状態なのです。

1日に100人が訪問して掲示板に10個の書き込みがつくようなサイトが稀に存在しますけれども、例外中の例外というべきです。そのようなサイトこそ異常なのであって、基本的には真似しようとしても真似できるものではありません。

基本的な考え方は、こちらに書いた通りです。あまり景気のいい話はできません。

ぜひ感想をお願いします、とか、何かご要望があればお応えします、などと日記に書いてもほとんど何も返事がない。ちょっとガッカリしてしまうわけですけれども、単なる DL 報告でもないよりはマシなのですね。本当に DL 報告もなくなってしまうと、そういったことに気付かされます。

DL 報告もないなんて管理人の方にもちょっと問題があるのではないか……と思われますか? そういうケースもないとはいえませんが、たいていは違いますね。くらげさんのサイトでも、DL 報告の100倍くらい、アイコンやスキンはダウンロードされているはずです。報告掲示板が毎日にぎわっている人気サイトだって同じなんですね。たいていの利用者は、一言も感謝の言葉を口にしません。「とりあえずダウンロードしただけで、実際に使うと決めたわけじゃないし……」とか思っているうちに忘れてしまう。

とはいえ、こんな話ばかりでは気が滅入ってしまうかもしれませんね。

くらげさんは CGI 設置や、ブログのカスタマイズに長じていらっしゃいますから、少しだけ、積極的な対策についても書いてみます。

現状、訪問者からのフィードバックの方法は3つあります。掲示板、日記のコメント欄、メールです。アイコンやスキンをダウンロードしてからお礼を書くまでのステップは、1.表紙に戻る 2.掲示板へ行く 3.書き込みをする 以上3段階。メールやウェブ拍手も3段階ですね。日記へのコメントは、1.個別記事をクリック 2.コメントする 以上2段階。リンクを1~2回たどるくらい、それほど面倒ではないのですが、1ステップで感想を書けるようにすることは可能です。

例えば、ページのレイアウトを縦2段組としまして、サイドバーにミニ掲示板を設置してみてはいかがでしょう? ape board による作例otd での作例などを見ての通り、スキンひとつで掲示板の方は作れそうですよね。問題は掲示板の埋め込みでしょうか。iframe は XHTML1.0 Strict では使用できない要素。レンタルブログパーツでは標準的となっている JavaScript で呼び出す方式なら iframe を必要としませんが、自分で設置する CGI でこの方式をサポートしているものは少ない!

というわけで、ちょっと頑張って探してみました。

JS 呼び出し式の掲示板 CGI で安心して世評が高いのが inobbs です。設置簡単、動作安定。まず問題ないと思いますが、もし使い方がよくわからないということであれば、JS 呼び出し特化型の旧版 inobbs を利用されたらよいと思います。inobbs では書き込みフォームの呼び出しが必要なので1ステップでの書き込みはできないのですが、いくつか書き込みが見えていることが、精神的な敷居を下げるのではないでしょうか。

その他の JS 呼び出し式の省スペース型掲示板としては電光!のような1行掲示板タイプも人気があります。SSI が使えるなら蓄々一行掲示板もお勧めできますね。これらは1ステップでの書き込みが可能。

この手の埋め込み式掲示板であれば、あちこちに設置しても、更新されるログファイルはひとつです。ひとつ書き込みがあれば、掲示板が読み込まれる全ページに更新が反映されますから、仮にサイト内全ページに掲示板を表示しても、レスポンスのための書き込みチェックの手間は大きくありません。

ただ……いつもいうことですが、頑張ってサイト内の全ページから掲示板に書き込みできるようにしてみても、決して掲示板への書き込みは3倍、4倍になんてなりません。長期的にはわからないし、逆にごく短期的な効果ならあるかもしれない。けれども、私は結果を保証できません。最悪、全然フィードバックが増えないということもありえます。

手間暇かけて掲示板を設置するだけの価値があるかどうかは、まあ、微妙なところなんですね。

ここで話は最初に戻りまして、やはり「同人」活動をやるのがお勧めなんです。常連のお客さんを見つけて仲良くなりまして、サービス事業者とモニター会員のような関係を築いていくことが可能であれば、それがベストではないかと。なかなか、誰かと仲良くなること、そしてよい関係を続けるのは難しいのですが、それでも、というところ。

新作ができたら、毎回、「どうかな?」と意見を求められる相手、そこでやる気をうまく引き出してくれる言葉を返してくれる相手がやっぱりほしい。どこかの誰かさんに期待してもそれはまず無理な話で、ある程度、特別な関係がそこには必要なんですね。

これまでもこれからも常連であり続けるお客さんを見つけるのが無理なら、スキン配布仲間のような、同業他社みたいなサイトの管理人さんと仲良くなるのが次善の策です。無論、これだって難しい。当然ですよね、趣味が同じだからといって気が合うとは限らないことは、中高の部活動や大学のサークル活動などで身に沁みていらっしゃることと思います。

結局、一人さびしくやっていく人が多い。それもわかります。経費と利益を見比べると、それが正解と思えるケースが、じつは過半数なのかもしれないのです。でも少なからぬ人は、単に食わず嫌い、果報をひたすら寝て待っているだけ。とはいえ、人事を尽くさずに天命を待ってもダメだと悟ることができない……それもまた人生といえば、そういうものかもしれませんね。

3.デザインについて

「基本デザイン」はさすがによくできていますね。シンプルな力強さの中に独自性をうまく織り込んで、レイアウトもスッキリまとめています。落ち着いた配色ながら、ありがちなクール路線に向かうのではなく、可愛らしさも追求している。長く気に入っているのも納得です。

「クールデザイン」は基本デザインでは少し物足りない人にぴったり。といって決して品を落とすことはなく、ベーシックな配色と画像の選択で多くの訪問者に好かれる画面構成を実現しています。空に鳥、水色と白ですから、まさに教科書通り。なるほど個性的とはいい難いけれども、たいへん手堅い。なかなかこういったレベルでまとめられるものではありません。

「キュートデザイン」「黒デザイン」も、手堅いデザイン。黄色背景に白文字で「手堅い」などと書くと驚かれる方もいるでしょうが、対象読者層を考えればこれもありえない選択ではないのですね。それに、注意して見るならば、読めなきゃしょうがない部分は白背景に黒文字になっているのだからお見事。

基本デザインが一番個性的で、代替スタイルに標準的な、いうなれば配布用スキン的なデザインを並べるのはよい戦略だと思います。下手な人がやれば独りよがりでしかないのですが、くらげさんの場合は個性的な基本デザインが最も読みやすく見易いのだから、素晴らしいですね。

なお表紙やイラストに関しては、大きな画像の色合いとの兼ね合いがありますから、現在のトップ絵については「基本」や「クール」が映えます。「キュート」は少し厳しい。「黒」はアリだがベストではない感じ。「シンプル」は万能(その代わりに諦めている部分が多々あることはよくご存知の通り)。トップ絵は時々変わるわけですから、あまり振り回されても仕方ないところではあります。

全体として、作風にマッチしたデザインだと思いました。自信を持っていただきたいですね。

4.コンテンツのばらつき

気にする必要は全くありません。更新したいコンテンツを更新していくのが一番です。

つまらない思い込みさえかなぐり捨てることができるなら、好きなようにサイトを運営していくことが、結局は自分自身の満足度を最大化できると、経験的にそういえます。

「こうありたい自分」「こうありたいサイト」について考えることが無意味だとはいいません。目標に向かって頑張るためには夢見ることが必要です。けれども、それが本当に「夢」なのか、「思い込みによる自縄自縛」なのか、時々でかまいません、見つめなおす機会も持ってください。

5.ナビゲーション

今のナビゲーションは、現状程度のコンテンツ量なので成立しているのです。2倍、いや、3倍くらいまで、このまま大丈夫かな。でも、それ以上になると、スキンのページをさらに分割しなければいけなくなります。アイコンの分類も、もっと細かくなっていくでしょう。

将来的には、ナビゲーションの階層がだんだん深くなっていくと思います。すると、現在はとりあえずホームに戻せばいいという方針になっている部分について、グローバルナビゲーションを準備する意義が大きくなってくるでしょう。全ページから掲示板や利用規約へ1クリックでいけるようにする、といったことですね。

まあ、今から心配するようなことではないかもしれません。ただ、例えば日記を読んでいて、「新作スキンを作りました」と書かれているときに、スキンのページに1クリックでいけたらいいのにな、と思ったりする。そのあたりに、次のナビゲーションについて考えるヒントがあるということです。

全ページに、他の全ページへのリンクを用意するのは現実的ではありませんよね。だから割り切りは必要なのです。では、どこまで割り切るのが妥当なのか。そのラインの見定めが大切なのです。繰り返しますが、今はいいのです、サイト全体がそれほどの規模ではないから。毎回、ホームへ戻ってもいい。

これから、の話です。

アドバイスは以上です。

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