私が仮説を組み立てるひとつの方法。原則を絞り込み、ひとつの視点で多くの事象を見通してみる。すると「世の中には、あまりに多くの矛盾が放置されている」と気付き、愕然とさせられる。
「レイヤーの違う問題を一緒くたにするな」という批判は理解できる。なるほど、レイヤーの導入によって矛盾は解消され得るだろう。しかしレイヤーを分ける基準を「自明」で済ませている人が多すぎないか。自説に齟齬をきたさないように、結論から遡って、ろくな根拠もないまま恣意的に前提条件を決めていないか。
そんな手抜きでダブルスタンダードの誹り(そしり)を免れられるというなら、「多数派の特権に無自覚でいられる皆様はいい気なものですね」と私はいう他ない。直感的な違和感を絶対視して、理屈抜きに意見を表明できる特権に、せめて自覚的であってほしいと私は願う。
補記:本稿は自分が想定するレイヤーの分け方を根拠なく当然視することへの批判です。レイヤーを分けなければ矛盾が生じることに気付いたとき、自説の依拠する価値体系を謙虚に見つめ直すステップがほしい。