……こういう記事を見て「マスコミ報道はバカがバカを再生産するシステム」と決め付けるのは早計。産経新聞では生活面にこのコラムを掲載した10月26日、経済面にまともな解説記事を出しています。
決算期をまたいで持ち越す赤字の「繰越欠損金」が、巨額の不良債権処理で拡大。決算で利益が出ても繰越欠損金で相殺される場合、法人税が免除される会計ルールがあり、同制度を利用できるのは銀行業界に限らない。しかも、繰越期間は日本では最大7年だが、海外は15年程度認められる事例もあり、日本が特殊なわけでもない。
読者の求める記事を書かなければ、そもそも読んでもらえない。安部さんのコラムで主要読者層にサービスしつつ、きちんと考えたい人には詳細な情報を提供する。新聞記者に良心はあります。無料のウェブ版は広告頼りなので、どうしても安直な記事が中心となりがち。それだけ見て判断するのでは片手落ちでしょう。
というか、マスコミ報道の「ウソ」とやらを攻撃する人々の持ち出す「根拠」って、たいていマスコミ報道や大手出版社の刊行物を基礎にしているのだから矛盾している。まあそれだって、個人的な偏見だけを根拠にしてる人々よりはずっとましなんだけど。
私は産経新聞を購読し、過去記事検索用に Web-S も契約しています。Web-S は紙面掲載記事を地方版以外ほぼ全て収録した正統派の電子新聞なので、ウェブ派の人なら単独契約でもいいかと思う。私は通勤途中と昼休みに読むこと、一覧性の高さなどから紙媒体を常用していますが……。
社員寮にいた頃は、読売なども読みました(寮が購読していた新聞なので食堂からの持出しは厳禁)。有料の媒体だけにマトモな解説記事が載る傾向は、どの新聞も一緒だな、と思ったものです。
昔は各社のサイトの目立つ位置にあった購読の案内が最近は画面の片隅に追いやられてる。無料ウェブ版の利用者に宣伝してもほとんど無駄だと分かったのでしょう。ようするに今回も結論は同じ。マスコミも商売、記事のレベルは読者のレベル。鏡を見て唾を吐きかけるのは愚の骨頂です。
補足すれば、従来はパッケージ販売だったので読者のレベルがよくわからず、手探りで低級な記事と高級な記事を配置してきたのですが、ウェブ版の登場により、読者のレベルが如実に分かるようになった、そして予想以上にそれは低かった、と。そういうことなんじゃないですかね。
件の記事、イザ!で公開されてました。Sankei Web で非公開なのにイザ!で公開、という事例がちょくちょくあるわけですが、どちらも産経デジタル社の管轄でしょう、どんな判断なのか理解に苦しみます。イザ!を実験場として、いろいろ試しているのかな? ともかくこの記事で引いた事例は、事例として不成立。
喜ばしいことなのに残念に思ってしまうのが私のレベル。