趣味Web 小説 2006-12-07

「意見」と「命令」

紛糾している部分の議論はさておいて。

芦屋:坂本,この「貴方の営業ご担当者様が販売活動しやすいように工夫しています」という表現は,抽象的で意味不明じゃないか。意味が分からないから,「先方へのアピール」になってないんじゃないか。説得力もないよ。ここは,具体的な事例を使って修正すべきだな。どう修正すればいいか考えてよ。

坂本:いや,ここはこれでいいんですよ。この文章はあえて抽象的でいいんです。いろいろ,イメージを膨らませてもらう効果が出ればいいんですよ。

芦屋:駄目だよ。そんなんじゃ「いい加減な提案」と思われてしまうよ。もっと,訴求力を持たせなきゃ。それには,具体的に書いた方がいい。

坂本:なんで,そう言い切れるんですか?絶対正しいといえるんですか。なら,変えますけど。

芦屋:そういう問題じゃないだろ。お前が自主的に変えなきゃ意味ないだろ。納得して変えなきゃ,何もならないだろ。

坂本:自分は,これでよいと思うんですよ。でも,変えろというなら,変えますよ。私は,芦屋さんの部下ですしね。

芦屋:お前,嫌な言い方だな。まあ,分かった。じゃあ。俺はいいよ。もう,言わない。俺はチェックしないから,次長と部長に見せてきなさい。

坂本:そうですか。じゃ,そうさせてもらいますよ。

1対1の議論には勝てなくても、豊富な経験から正しい判断を下す人はたくさんいる。そういう人を活かすための役職制度でもある、と思う。「全社員を平等に扱い、議論で勝った意見を採用する」というやり方でうまくいっている組織を見たことがない。

新入社員研修のグループワークで早速体験したことをひとつ。

「話し合い」で対抗意見をぶっ飛ばして主導権を握ったつもりが、どうも不満顔が目立つ。そこで多数決を採ってみたら、案の定。提案者も支持者も私の批判にうまく反論できないが、それでも「徳保くんの主張は採用し難い」という人が多かった。私はスパッと諦めて多数意見に鞍替えしましたが、結果的にそれで成功だったと思う。

グループを組み替えたら、最初から議論をリードする指導者肌の人と一緒になった。多数決も何もない、いきなり彼の色で方針決定。私は例によって天邪鬼を発揮したものの、「ま、そういう意見もあると思うが、ここはこれで行こうよ」無論、快諾する。結果的にも大成功。でも失敗してもグループの雰囲気は悪くなかったのではないか、と思った。

経験上、ということになるけれど、仮初の理論武装に成功した意見ではなく、大勢の心をスッと掴んだアイデアを採用するか、全責任を負う人の決断に従うか、このいずれかの道を選ぶことが組織運営に禍根を残さないコツ。個々の挑戦には成功も失敗もある。問題は、その先だと思う。

で、芦屋さんのテキスト。お前が自主的に変えなきゃ意味ないだろ。納得して変えなきゃ,何もならないだろ。ここがポイントかな。

部下が納得する必要はないと思う。ただ、納得していないからといって、上司の足を引っ張るようなことをしない、それがルール。違うかな?

上司のコメントには2種類ある。ひとつは意見、もうひとつは命令。意見には反論していいし、従う必要もない。命令には従う、ただし最初に一度だけ、自分の意見をいってよい(多忙時や急ぎの案件ではその限りでない/後でブツブツいうのはよくない/でも1年くらい経ったら解禁)。

芦屋さんはどこで躓いたか。

それは自分が全責任をかぶる「命令」を回避し、納得による(精神的な)共同責任を押し付けるため「意見」をゴリ押ししようとした、そのとき。

こんなことのために芦屋さんは次長や部長を巻き込んだパワーハラスメントを計画・実行し、ダークサイドに落ちることになるのだから、人生どこに落とし穴があるかわからない。

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