趣味Web 小説 2007-03-10

例によって棲み分け論を推す(オンラインブックマーク禁止問題)

オンラインブックマークされると検索エンジン避けが無意味になる、というのが「同人サイトのオンラインブックマークの危険性について」というサイトの主張であるところ、実際には「オンラインブックマーク禁止」の文字列が大量に検索されているのはどうしたことか、というご意見。面白い。

この「つれづれと思うこと」というブログでは、自らも同人系サイトを運営されている方が検索避けなどについて有用な情報を提供されており、バランスの取れた穏当な主張が展開されていると思います。お勧めです。

やおい系同人とかをやっていると、「気持ち悪い」みたいな罵言を受けることがあるという。私も現場を見たことがあります。「嫌なら見なければいいじゃない」「たまたま検索エンジンに引っかかって見てしまったのです」私はそんなのウソだと思いますけど、ここで「嘘をつくな」といっても水掛け論にしかならない。

なぜ認証制にしないのか、みたいな批判は当たっていない。現実社会でも、法律で区分されてはいないが、社会常識として棲み分けが行われている領域はいくらでもあります。ゴルフ場での服装マナーとかですね。場違いな人を空気の力で排除してうまくいくことは多いのです。

同好の士にはどんどん集まってきてほしい、でも望まないタイプの閲覧者は排除したい。その方法が果たして検索エンジン避けなのか……というと、微妙なところ。でもこれは管理人側ばかりは責められない。侵入者たちの万能の言い訳にされているのもまた事実だからです。場違いなところに入り込んだらすぐに帰ればいいものを、「うわー、キモイ、キモイ」といいつつどんどん読み進んで不愉快になり掲示板で文句をいう、頭オカシイ人が実際にいるのです。

原作者からサイトを隠そうというマナー、これも私は理解できます。二次創作の世界はお目こぼし産業。でもサイト間のリンクの張り合いは緊密だし、公式サイトはたいていつまらないからリンクを張る人が少ない。検索避けがマナーになっていなかったら、漫画やアニメのキャラクターの名前で検索したら、上位にくるのは軒並み同人系サイトになってしまいかねない。

やっぱりそれが著作権ホルダーに許されるとは思えない。隠せばいいってものではないだろう、という意見はわかるけど、実際には隠せばすむことも多い。

検索避けで著作権者が全くサイトにたどり着けなくなると考えている人は、まずいないはず。自分自身が、何らかのルートで同人系サイトに出会って、ファンになったりして自分でも作り始めたのだろうから、権利者が本気を出しても発見できないわけがない。それはわかっていて、せめて目障りにならないようにしようと頑張っているように見える。

「リスクはゼロになるけどお客さんもゼロ近傍になる方法と、リスクはあるけど1日1万ページビューの可能性もある方法、どっちを選ぶ?」こう問われた人に「前者を選べ」とアドバイスするのは酷でしょう。

意地悪するつもりがないなら、はてなブックマークのユーザらは、同人系サイトをそっとしておいてあげたらいいと私は思う。ブックマークするのは勝手だけど、人を傷付けてまですることか、と思う。知らなかったなら仕方ない。でも、わかっていてわざわざやらなきゃならないケースは多くないはずです。

自由を無駄遣いしていると、そのうちに制限されますよ。→無断リンク禁止派と闘う理由を問い直す:追補(2005-11-10)

前ブログで書いたけど、どうしても特定の相手からサイトを隠したいのであればパス制にするしかないんじゃないかと。しかしそれでも、申請してくる人が原作者でないのだと判断することは不可能ですよね。

同様に「SNS へ行け」という主張は違うと思うな。オフラインでの知り合い同士だけで閉鎖的にやるならともかく、ふつうはそれじゃあ寂しいので広く同好の士を募りたいわけです。mixi でも同人系のコミュニティ、たくさんありますよね。

でもそうした場所では、出版社の人とかが入り込む可能性を排除できない。同人系サイト潰しを趣味にしてるヘンな人も排除できない。「**のファンです、私もコミュニティに入れてください!」といわれたとき、安全性を審査をする方法がない。だからコミュニティを一網打尽にされかねないリスクがある。

パスワードとかで認証する仕組みなんて、そんなものです。ノーリスク路線なら閲覧者数はゼロ近傍で我慢するしかない。結局、程度の問題なのです。だったら、様々な「程度」のありようが認められていいと私は思う。

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