趣味Web 小説 2007-04-27

ブラウザ戦争なかりせば

HTML4 との互換性を非常に大切にしている現行の XHTML について、「わざわざお勉強する意味あるの?」と問うのは、半ば反則ではないか。かくいう私も、「HTML で満足している理由」を説得的に語るのが難しいので、XHTML を使う人にボールを投げてしまうことが多いけど。

ただ、私は XHTML が HTML から引き継いだ「絶対に機械任せにできない領域」を引き継ぐ限り、そしてまた HTML 文書をそのマークアップまで含めて再利用する行為に大きな需要が生じない限り、ほとんどの人は今後もずっと HTML4 で満足できるのではないか、と予想しています。→いくらツールが進化しても(2003-03-29)

いま XHTML は text ではなく application だ、ということになっています。XHTML のソースを解釈するのは人間ではなく計算機が妥当、ということ。となると一般人に XHTML を意識させるのは無理な要求。XHTML 文書を作るのにテキストエディタなんか使うのは、一部のコーダーに限定されるのが正しい。

いま大勢が XHTML 文書をせっせと生産しているのですが、ブログや SNS の投稿画面で記事を書く人が大半。するとやっぱり、こうなる。

ここからわかることは、HTML4 だって世間の需要から考えたら高級過ぎたということですね。

フォームとか至らない部分もあるけれど、テキスト本文のマークアップは br と span と div があれば十分だったのでしょう。見出しも h1 と h2 の2段階くらいで支障なかったらしい。ハイパーテキストのハイパーたる所以である a 要素だって、URI 直書きでいいでしょ、というのがコンセンサス。

a 要素はもうちょっとていねいに考える必要があるにしても、他の要素の大半は、それが無くても HTML の普及に影響しない存在だったことが伺えます。ようするに HTML4 なんてのは PDF のようなもので、単にビューワが普及したのでデファクトスタンダードになっただけ。

マイクロソフト社がネットスケープ社を買収してブラウザ戦争があっという間に終結していたら、今頃、HTML Vista とかいう仕様が発表されて「HTML XP から乗り換える意味なんて無いよねー」とかやっていたに違いない。Mosaic の頃を思い出すに、W3C はブラウザ戦争があったから求心力を得たに過ぎないような……。

で、私が思うこと。

MS が HTML を引っ張り、HTML 98 で見出しやリストなど、いわゆる論理マークアップ系の要素を全廃していたら面白かったかもなあ、とか。HTML はブラウザに文書がどう表示されるかを指定する言語です、と仕様書に明記されてしまうアナザーワールド。

念のために付記するけど、仮に HTML が前段の歴史を辿ったとしても CSS のような仕組みがユーザに求められることには変わりない。今でもマークアップへの無関心とスタイルシート大好きの両立は珍しくありません。よって HTML の進化の方向性と関わりなくスタイル指定の仕組みは登場し、発展していたはずです。

Information

注意書き