趣味Web 小説 2007-10-16

「岡田斗司夫×いいめもダイエット」問題 雑感

「世界征服」は可能か? (ちくまプリマー新書 61) いつまでもデブと思うなよ (新潮新書 227)

岡田斗司夫さんの本が、今年は2冊もベストセラーに。とくにダイエット本の方は30万部突破だそうで、その内容に触発されて「いいめもダイエット」というウェブサービスも作られました。

「いいめもダイエット」は順調に利用者を増やしていましたが、そこへ岡田斗司夫さんから抗議のメールが届いたのだという。

はてブ方面では、「アイデアは著作権で保護されない、だから岡田斗司夫さんの申し入れは難癖である」という方向で盛り上がっているみたい。

私はこれ、パブリシティ権の問題だと思う。「著作権」というのは単に言葉の間違いか、何らかの誤解なんだろうけど、岡田さんが直感的に「これは嫌だな」と思った感覚まで無視していいわけじゃない。

岡田さんの抗議文自体の正誤はさておき、「いいめもダイエット」の人気拡大に権利侵害の香りがすることは事実ではなかろうか。

「今後は岡田さんの名前を出しません、著書の名前を出しません」といったって、岡田斗司夫のベストセラーなしに短期間で5000人超のユーザーを集めることはできなかったはずだ、という見地に立てば、サービスの停止もやむなしという考え方には一理ある。不正なスタートダッシュを不問に付していいのか、ということ。

何か抗議を受けたとき、その抗議が形式的に間違っているからといって却下し、自らの非に気付かない、あるいはほっかむりをする、といったことに、私たちは散々怒りの声を上げてきたはず。杓子定規のお役所仕事、連中は人の心がわかってない、とか何とか。

無料で便利なサービスに金持ちが難癖を付けて潰すなんて許せない。消費者は自分の損得で敵味方を判別、敵の発言はひたすら粗探し、味方の問題には目も向けない。今回の騒動、私には、そういう構図に見える。

サービス停止は岡田さんの過剰な勝利だと私は思います。しかし「いいめもダイエット」に一切の非がなかったとするのもまた、行き過ぎではないでしょうか。

補遺

岡田斗司夫のレコーディングダイエットを実践するのにピッタリのツール、みたいな触れ込みでやってるサービスが勝手に作られたとき、著者から見てそれが完璧であることは、まずありえない。サービスの存在が具体的な害をなさずとも、「こんなものに勝手に俺の名前を使うな」と思うのは当然だと思う。

もちろん自分が企画段階から関与したって、あるいは正式に契約して名前を貸したって、サービスが完璧でないことには変わりがない。でも、それは納得のプロセスとして欠かせないものなんじゃないか。

岡田斗司夫さんの説明

私の推測、見事に的中。著作権云々のミスは認めて、パブリシティ権の侵害事案と表明すれば、騒ぎは収まると思う。

さらに余談

法律用語が出てくると、日本の法律ではその言葉はこう定義されていて、みたいな話になりがち。でも法律は人が作るもの、人が変えたいと思えば変えられる。議論のベースは法文ではなく人の心でしょう。

間違いを正すのは、もちろん大切なこと。でもね、相手が間違っていたからといって、自分が正しかったことの証明にはならないわけですよ。→永田偽メール事件と反省しない essa さん(2006-03-17)

熱くバトってる間はともかく、「勝った!」ならば、冷静になっていいと思う。敵を叩き潰せばそれでOK? そうじゃない、って、相手が置かれている立場に明日の私が立たされる可能性があるんだ、って、気付くことが多いのではないか。

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