趣味Web 小説 2007-10-26

「岡田斗司夫×いいめもダイエット」問題 その後

1.

「岡田斗司夫×いいめもダイエット」問題 雑感(2007-10-16)の予想は全部当たった、と思う。岡田斗司夫さんはパブリシティ権という言葉を思いつかなかったので、苦し紛れに誤って著作権侵害といってしまった、というだけのこと。

でもこれ、ネットユーザーの無知だって問われていい。この話題を取り上げたブログの記事を数十も読んでみたけど、ひとつとしてパブリシティ権に触れていない。ITmedia の記者さえパブリシティ権を知らない風で、岡田さんもかわいそうだ。そりゃ一般人がパブリシティ権を主張する場面なんか滅多にないだろうけど、不勉強には違いない。

なお、私の一番いいたいことは16日の記事に書いた通り。ここでは繰り返さない。

2.

岡田さんのブログに寄せたコメントを転載しとく。

「洗脳社会」以来の愛読者です。せっかく本が売れてきた矢先の「いいめも」騒ぎを残念に思っていましたが、今回の説明で岡田さんの主張はよくわかりました。ただ、何らかの権利なくして、他者の自由な行動を妨げることは不可能です。とくに「残念に思う」程度のことでは。

岡田さんが「著作権」の侵害、として抗議したのも、やはり権利に基づく抗議という形を模索した結果だと思います。しかし日本の法律・判例に当たる限り、いいめもは著作権を侵害していません。そのため「事実誤認で合法サービスを潰すのか」「誤った法律知識を有名人が吹聴するのは許せない」といった反発が広がったものと思います。

ではいいめもは無謬だったか。そうではありません。いいめもは、岡田さんの「パブリシティ権」を侵害していました。著作権侵害という主張は事実誤認として取り下げることを表明した上で、あらためてパブリシティ権の侵害事案という認識を提示されてはどうでしょうか。

今回の記事をよく読めば、岡田さんにとって問題なのは、レコーディングダイエットへの誤解が広まることだったとわかりますが、「著作権」についても同様に、誤解が広まることを許せないと思う人がたくさんいます。前記の件、ご検討いただければ幸いです。

「誤解されたくない」は岡田さんとその批判者に共通するキーフレーズなので、ここを基点とすれば問題は解決できる、と考えた。

著作権云々の批判は「それは本筋じゃない。揚げ足取りだ」と思う。でも著作権にこだわるのも、「太っ腹になれ」という弾さんの記事に「人を成功困難なダイエット法に導くツールは認められない」と反発するのも、構図は同じ。

岡田さんから見て瑣末なことでも、こだわっている人が現にいる。別に全員を説得したいわけじゃないし、と放り投げるのも一手だけど、いま岡田さんが著作権侵害と主張したことの誤りを認めて、パブリシティ権の侵害だったと主張しなおすのは、コストパフォーマンスのそう悪くない対処法だと思うのだが、どうだろう。

3.

パブリシティ権入門。岡田さんがいいめもダイエットに対して抗議はできてもサービス停止を強制することは困難で、実際、「お願い」という形になった事情が理解できる。

4.

岡田さんが一部分の引用を認めないとしていることに反発している人がいるんだけど、お願いをするのは自由なんで、著者の意思を尊重しようと思う人はそうすればいいし、一部分の引用は法で認められた権利なんだから自由に行使したいと思う人は、やっぱり思う通りにすればいい。

「希望を述べる言論の自由」を認めない、という主張は解せない。言論の自由を軽々に侵すべきでないよ。他人が「嫌がる」ことを許容できない、みたいな感覚には与しない。違法でなくても嫌なものは嫌だ、といえる世界がいいに決まってる。そうでなきゃ法律は無謬で変更不可能ということになってしまうじゃないか。

人を怒らせたくないと思うあまり、自分の(現行法下で)合法な活動に対して人が怒ることを許さない、みたいな転倒が起きている。部分引用を岡田さんが許可しないのは岡田さんの自由だが、無許可での引用を法は認めている。それ以上、どんな勝利を望むのだろう。

みんな、「合法だが許せない」ものに怒りを表明する権利を奪われても全然気にしない、のか?

引用は著者に無断で行うことができる。引用の範囲は、名誉毀損などになってはならないが、基本的には自由。法律がそのようになっていることには、理由がある。しかしもちろん、現行法は無謬ではない。議論の余地はあると思う。岡田さんを啓蒙・説得したいなら、「バーカバーカ」じゃなくて、正攻法で行くべきだ。

あほか済んじゃう話なら、問題視する必要はなかろうに。いやまあkotorikotorikoさんの場合、面白がってるだけっぽいけど(それはそれで)。

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