趣味Web 小説 2007-10-29

Gyao かわいそう

「灼眼のシャナ」のプロデューサーがニコニコ動画を批判したラジオが話題になった。DVD を買ってくれなきゃ生きていけない、という訴えに、値段が高すぎる、という反応が。だからニコニコ動画で見ているんだ、という開き直り。

こういう話をする場合、とりあえずとっつきやすいところで GyaO@ShowTime のラインナップを確認することをお勧めしたい。Gyao では、なんと「シャナ」全24話が1932円です。これでも高いか。

「ひぐらしのなく頃に解」が1~3話無料、4話以降は1話105円で配信中。手頃な値段だと思う。犯罪に加担して開き直って世間に理解されるような価格とは思えない。ちなみに「ひぐらしのなく頃に」は全26話で1543円。DVDをレンタルするより安い(画質が違うけど)。

テレビの番組表みたいに毎週決まった曜日に決まったアニメをニコ動で流す。初めの一週間は無料で流す代わりに、テレビのように広告を入れる。それもイメージ広告じゃなくて、インターネットのインタラクティブ性を十分に生かした広告で、マイリストからその人の好みを識別したターゲット広告のようなものが好ましい。

「ガンダムOO」とか、数は少ないけど無料で最新話を放送してますよね、Gyao は。1話につき105円分の広告を用意するのはたいへんな話だし、権利関係の問題だけでなく、無料ネット配信モデルでは番組の充実が難しい面があると思う。

ともあれ、正直なところ、ニコニコ動画にまともな権利処理を期待するより、Gyao にコメント機能を期待する方が、可能性があるのではなかろうか(私も要望は出してます。みなさんもぜひ!)。まじめにやってる会社がニコニコ動画に客を取られて大赤字というのは、あまりにもかわいそうというか、理不尽な話だと思う。

レンタルDVDは、DVDが発売されないと見れない。いくら安くても、昨日放送された番組を見る、ことができない。Gyao は頑張ってると思う。無論、ラインナップの貧弱さは明らか。あの作品がない、この作品がない……。でもこれ、メジャーが存在せず、JASRACもない映像業界の限界なんだよね。

それでもアニメはまだいい。私はアニメを見ることはほとんどなくて、実写のテレビドラマや映画がメイン。あとはバラエティ番組と報道関連。そういう番組って、Gyao はもちろんニコ動にもほとんどない。せいぜい数分の断片だけ。ネット配信だけで満足できる未来はきそうにない。

あと、Yahoo!動画も Gyao も流行ってないみたいなので、ネット配信メインの番組制作なんてのは夢物語なんじゃないかという感じはしなくもないです。

コメント機能の面白さ

この秋、ニコ動でいろいろな動画を楽しむには、やっぱり元ネタを知ってた方がよかろ、と思ってアニメ番組も見てみるようになった。でも何だかよくわからない作品も多い。「ドラゴノーツ」とか。話がさっぱり頭に入ってこない。

で、ちゃんと録画して、CMを全部見て、自分の中で言い訳を作ってから、ニコ動で本編を視聴してみた。なるほどね、本編動画をコメント付きで見たいという人の気持ちが、よくわかった。悪口三昧といえばその通りですが、何だそりゃ、って思うところで突っ込みが入ると、やっぱり面白いんだよね。

「あれっ?」と思ったら解説が入るし、みんなおいてけぼりな展開になれば、呆然としてる人たちのコメントが並んで安心する。これはいいな、と。でも、コメント機能さえあれば1話105円で数万人が視聴するようになるのでしょうか。どうも、そうはならないような気がします、残念ながら。

追記(2010-12-21)

その後、ニコニコ動画は著作権侵害コンテンツへの対応を強化し、数年のテストを経て2010年には多くのテレビアニメの最新話を1週間無料で配信するようになった。有料配信の利用者は少ないまま。1話105~315円(パックなら1話80円程度からある)と手頃に思えるが、人気作品でもなかなか1000人の壁を破れない。最高でも5000人に満たない状況。絶望的な感じがする。

他方、経営が悪化したUSENは黒字化の目処が立たない無料配信の「Gyao」や有料配信の「Showtime」をYahooなどに売却した。Gyaoが映画の無料配信をしても全く話題にならなかったのに、「YouTube」が無料配信を始めたら「革命だ!」なんて騒ぎに。USENの手を離れた後も、Gyaoはずっと「かわいそう」なまま。

テレビ番組を丸ごと無断でアップロードすることは、現在のニコニコ動画ではほぼ根絶されている。YouTubeにはチラホラ残っているが、それも減り、近年は「Dailymotion」や「Megavideo」などが人気。一時期は中国の動画共有サイトがよく使われたが、アクセス遮断で利用が減少。その他、HD対応の「Stage6」が人気を集めて間もなくサービスを終了するなど、巨人YouTubeの周辺で動画共有サイトの興廃が繰り返されている。

2010年にはNHKと民放キー局の動画配信サービスが出揃った。どれも投資に見合わない状況だが、縮小均衡に甘んじる決断もできず、展望が開けぬままもがいている。アップルの「iTunes Store」は世間的には成功例扱いだが、ネットが破壊した市場を補完する規模には程遠い。

2011年7月の地デジ完全移行を前にテレビの買い替えが進み、「アクトビラ」「ひかりTV」「J:COM オン デマンド」などのテレビ向け配信サービスが勃興したが、どれも成功には程遠い。家庭用ゲーム機 Wii の1000万台販売達成に勢いを得た任天堂の「Wiiの間」も、成果を数字で示せないそうなので、惨状が想像できる。

有料配信が苦戦している理由はkawangoさんの書いていることに尽きると思う。権利者に断りなくコンテンツをコピーできるなら、結局のところコンテンツの価格はゼロになってしまうということ。

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