ホワイトカラーエグゼンプションが話題になる昨今(2007-01-09)にも書いたことだけど、サービス残業をさせている会社がボロ儲けしているかというと、たいていそんなことはない。
日本電産の永守重信社長がハードワーク礼賛のコメントをして大勢に批判されている件だけれども、夢物語みたいなことをいっても仕方ないわけでね。日本電産の平均給与と社員数の積を計算して売上と比較するに、人件費率の高い会社なのは間違いない。
能力以上の給料がほしければ、基本給が割といい代わりにサービス残業しないと同僚の眼が厳しい会社か、基本給がペラペラな代わりに残業代のきちんと出る会社、このどちらかを選ぶしかない。どっちにしたって残業するのは一緒。このときサービス残業の非合法を承知で高い基本給を望む人は少なくないはず。
*生産性が高く、短い勤務時間と高い給与が両立している会社は、優秀な人しか入れないから、あなたにはおそらく関係がない。
労働時間が延びれば生産力が上がる、なんて経営者失格! とかいう人もいる。無意味な批判だね。自分で生産性向上の方策を思いつかないなら、所詮は「就職先は慎重に選びましょう」で終り。しかしながら、こっちが選べるような会社が、そんないい労働環境なわけがないだろう、よほど幸運でもない限り。
残業したくないなら、能力通りの給料で我慢するしかない。それでいいんだ、と割り切れば、いろいろな職場があると思う。私の勤務先とか。上場してる民間企業でも、大勢が定時帰社してるところ、あるんですよ現実に。ちゃんとそういう会社を探せばいい。
まあ、こういうのは、自分ひとり奮闘してもしょうがないんで、最初から自分と近い考えの人の集まっているところを探すこと。能力以上の給料がほしい人も、分相応でいい人も、それは同じ。
私の勤務先では、残業が「許されない」。能力のない人が労働時間の長さでリカバリーする道を封じられている。そんなのイヤだ、ボクは能力以上の給料がほしいんだい、という人も世の中には多いはずで、日本電産みたいな会社にも需要はあるんでしょう。いろいろな会社があっていいと思いますよ。転職は自由なんだし。
日本電産の社員満足度(平均値)は、おそらく広報さんのいう通り本当に高いのだと思う。しかしこういうご時世なので、給料を削って労働時間を短縮し人を増やす方向を目指すのかも。合法化、ってやつ。現在の社風を愛しているであろう社員たちはご愁傷様。
……個人的に気になるのは、規制派の主張って、人は就職先を選ぶことができる、という前提に同意してないんだよね。だから、どこに就職しても、大丈夫なようにしろ、と。だけどサービス残業の多くは労働者の心の問題だと私は思っていて、労働者が自ら望んでやってる面が強いと思うわけ。
ようするに、能力以上に給料がほしい、基本給の高さで報いてほしい、と。ブラック企業をぶっ潰せ、不買運動をしろ、なんて人も散見されるのだけれど、それで社員が喜ぶのか、っていう。
あと、日本電産は残業代を払っていないという前提でみんな攻撃してるけど、そもそも社長はそんなこといってない。弊社では残業がデフォです、といってるだけで。だから、きちんと残業代は支払われているのかもよ。あんまりそういうこと、気にしてる人がいないみたいだけど*。