趣味Web 小説 2008-09-08

録画なら無料、DVDレンタルなら370円

ちょっと前に、「テレビ番組の私的な録画自体、商売の機会を減じており、コンテンツ業界としては補償がほしい」みたいな意見が盛大に叩かれていた。

これはテレビ番組への興味関心によって感覚の違うところで、例えば私の場合は、素朴に彼らの意見に頷けるものがある。

ちょうど今、東京では「1リットルの涙」が再放送されているのだけれども、私は1、2話を録画し忘れた。それで3話以降の録画を見る前に、1、2話が収録されたDVDの第1巻をレンタルしようかな、と考えている。

もともとそれほど見たいと思っていた作品ではなくて、リアルタイムに放送されていたときには全く関心がなかった。ところが放送終了後に周囲でこの作品の感想を話す人がポコポコ現れた。とくにいい話は聞かないが、人に何事かを語らせる力があるらしい。それで、機会があれば見たい、と思っていたんだよね。

結局、見たいと思ってから既に気付いているだけで2回も再放送すら見逃している。どうせまた1年くらい待てばまたまた再放送があるんじゃないか。財布の紐が固い方々は、その程度の関心しかないコンテンツにお金を払う気にはとてもなれないのだろうが、私は300~400円くらい、払ってもいいんじゃないか、と思う。

そもそも録画環境がなければ、勤務時間と重なる夕方の再放送に関心などもつはずもなく、見逃したテレビドラマなど端から諦めていたはずで、これまで何度もレンタル屋へ足を運びながら全6巻のDVDを借りることはなかったのだから、やっぱり無料で録画できる環境は維持されるべき、なんて反論が出るかな。

んー、そこがやっぱり、私のセンスと違うんだよね。

高回転ならDVD1枚100円程度となるオンラインDVDレンタルサービス、ここ1年ほどは利用していないのだけれど、以前利用していたときには「1リットルの涙」をいつも発送希望リストに登録していた。

いま、近所の実店舗で借りると1枚370円だったかな。山手線の内側なので、まあこういう価格になる。なるのはわかるけど、370円だとあまり気乗りがしない。だからスルーしてきたんだけど、100円なら、という感覚だったと。

で、件の話題は私的録音・録画補償金についてで、機器1台あたり100円とか1000円とか、そういう話だった。私はUSB接続のTVキャプチャ2台でいろいろ録画して視聴していて、既に1000時間近く、何やかや録画して視聴した。補償金が1000円だったとしても、1番組10円未満。リーズナブル(すぎるくらい)だと思う。

つまりどういうことか。

あまり褒める声を聞かないが、気になる作品である「1リットルの涙」は、DVDだと全6巻、私としては200×6=1200円くらいなら、払ってもいいと思ってる。

価格的にピッタリなのはオンラインDVDレンタルを高回転で利用した場合なんだけど、私がそういうことを頑張っていた当時、「1リットルの涙」は人気があって、レンタルできなかった。かといって生活圏内の実店舗は370×6=2220円で、悩ましい価格。

いま「1リットルの涙」を再放送していて、私はこれをCMを飛ばせる状態で、無料で録画できてしまう。私がきちんとCMを見て、1回視聴したきり、HDDから動画ファイルを削除すれば、テレビ局的にはまずまず納得もできるのだろうけれど、果たしてそうなるものかどうか。

たまたまDVD第1巻に相当する部分を録画し損ねたので、370円を払おう、と私は考えているのだけれど、本来なら1200円を私は払うはずだったわけであり、その差額はどこに消えてしまったのか。

まとまらないので中断。後日、書き直すかもしれないし、これっきりかもしれない。

補足

念のために付記するけれども、私は DRM 支持。補償金は筋が悪いと思っている。ただ、とにかくタダにしろ、何でも自由にさせろ、それ以外は認めない、みたいな消費者には賛同できない。いちばん間違ってると思う。DRM 支持だけど補償金批判にも反応するのは、それが「より大きな敵」だから。

私はコンテンツ産業の存続を願っていて、そのために、彼らに真っ当な商環境が提供されなければならないと考えている。DRM フリーのほうが売れるなら、当然、商売の論理で DRM フリーのコンテンツが増えていく。それを最初から DRM フリーしか認めない、などというのは市場の規制そのものだ。

補償金制度もまた市場での競争を抑制するものだが、「録画orDVDレンタルorDVD販売という競争の中で、録画の圧倒的な価格優位がコンテンツへのフリーライドに基づいている不当競争を是正する」という文脈で、私としては理解できる。

補償金の設定には柔軟性がなく、また市場で決まるという性質のものでもない。しかし補償金の総額を最大化する、という発想で金額が決まるなら、間接的に市場が機能する。レコーダーの売上を過度に減らさない最大の補償金、といった考え方だ。まあ非現実的だが……。

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