趣味Web 小説 2009-03-12

雑感:カルデロンのり子さんの話題について

しばらく前から話題になってるカルデロン一家の話題。不法入国した両親の間に生まれた中学1年生ののり子さんは、両親と一緒にフィリピンへ行くか、家族と離れて日本に残るかの選択を迫られているという。家族全員で日本に残りたい、と主張して裁判に負けたが、一家は市民団体の支援を受けて戦い続けている。

個人的には……。全寮制の中学校は日本にもたくさんある。家族と離れて暮らせない年齢でもないと思う。あるいは、なんかもう日本に残っても嫌なことばっかり多そうだし、フィリピンへ行った方が、そりゃ最初は悲しいだろうけれども、長い目で見ればメリットが多いのではないか、と思ったりもする。

他人事だから簡単にそんなことをいえるんだ、といわれれば、それはそうだ。とはいえ、外堀は既に埋まっているのだし、周囲がフィリピン行きにネガティブなことばっかりいうのは疑問だ。敗色濃厚の戦いをしているのに、負けた場合のことを一切考えず勝利を「信じる」のは、無責任だと思う。

支援者はいいよ、自分は結局、結果がどうあれ日本に居続けられる。最終的に苦しみを背負う人に対して、「弱気になっちゃダメだ」とかいって、結果が悪い方に転んだ場合の備えをさせないのは、自分の願望を押し付けて現実から目を逸らし、将来の悲劇を小さくする努力を放棄することだ。

自発的か強制か、という違いは決して無視できないが、日本から東南アジアやアフリカへ移住した人は何人もいる。両親の祖国とか、自分の中に流れる血だとか、そうしたことに興味関心を持たせて、フィリピン行きに多少はポジティブな動機付けをしてあげるような、そうした配慮をする人が周囲にいるといい。

残念ではあるけれど、小さな希望を持ってフィリピンへ行きます、という心構えができるような、そういう準備も進めておくのが大人の仕事なのではないか。

フィリピンで生まれ育った両親が、どう考えても娘が暮らすには日本の方がいいという。自分のルーツに誇りを持てないのは、寂しい話だ。この騒動、フィリピンの人はどう思っているのだろう。

補記:

この手の素朴な「人口減少で労働力が不足する」論には明確に反対。

この記事を書いた頃には既に、様々な経済指標が日本経済の不況入りを指し示していた。いま思えばのんきな記事だったな。

余談:

私が通った高校には、アメリカやオーストラリアからの留学生がいた。ロータリークラブの支援で1年間の長期ホームステイ。

英語圏の人ってすごいな、と思ったのは、事前に日本語を勉強してきた人が一人もいなかったこと。辞書を1冊。ホントそれだけ。授業は100%日本語なのに、どういうつもりなんだろう。彼女らを受け入れるロータリークラブの名士さんたちもすごくって、英語をちっとも話せないで受け入れている人が大半。

留学生には親切な女の子が数人くっつき、1~3ヶ月くらいで日本語を話せるようになる。ちなみに、親切な女の子の英語の成績が悪いほど、留学生の日本語が上手になるという反比例の関係がある。たまに男子留学生もいて、そうすると壊滅的に英語のできない男子が周囲にくっつくから、彼は日本語が完璧になった。

とすると、ホームステイ先の家庭は重要ではなく、学校での人間関係が重要だということ。たしかに高校生という年齢を考えれば、家ではほとんど何も話さず、同年代の友人とばかり会話することになるだろう。

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