数年前とか数ヶ月前とかの発言をひっぱってきて、「言ってることが変ってるぞ!!」とか批判する人いるじゃないですか。あれが僕は嫌いなんです。数ヶ月も経てば主張が変わるもんだろうと。
“ユニクロ”や“ニトリ”が真摯な商品開発と価格合理性で国民ブランドの地位を確固たるものとする中 【小島健輔さん 2009-07-31】
“ユニクロ”や“H&M”、“マクドナルド”や“ニトリ”で満足してしまうファスト消費文明が落日の日本を象徴しているように思う 【小島健輔さん 2009-08-04】
流石に五日間しか経ってないと「どっちなんだよ!!!!」って思う。
引用されている二つの記事に矛盾はありません。他社より明らかに安い価格で同等(以上)の品質を実現するためには、「真摯な商品開発と価格合理性」の追求が必要です。
マスを狙う企業というのは、個人的な理想を実現する商品ではなく、一般消費者の需要にマッチする商品を供給するために全身全霊を傾けるわけです。だから、ユニクロやニトリが現在の主力商品と同等の価格帯では絶対に実現不可能な品質を、メイン部署で追求することはない。こうした人々の努力があって、私たちの現在の生活が成り立っている。それは尊いことです。
ゆえに小島さんは企業の努力を賞賛します。他方、「そこそこ」レベルで品質には満足し、あとはひたすら価格を重視する消費者に、ガッカリしているのです。おそらく小島さんは、もう少し価格と品質の高い商品が主流となる世界を理想としているのでしょう。
小島さんのことを私はよく知りませんが、日頃の言動によっぽど問題があるのでもなければ、「変だな」と思ったらまず自分の読解力の方を疑った方がいいんじゃないか。自分の直感に全幅の信頼を置いて、言葉を切り取って他人をバカにするのは、なかなか危ない行為だと思う。
こういう話題になると、しばしば「誤解されるような文章を書くほうも悪い」とかいう人が出てきます。第三者ならともかく、当事者が言い出すこともあって、「ふざけんなよ」と思ったケースも。
そりゃ処世術としては、そう外れていない。実際、私は国語の成績に関してはだいたい世間の上位5%に入っていたんだから、世の中の大半の人がどれほど悲惨な読解力しか持っていないかは、よくわかる。自分の低水準を知るだけにね。だから、大勢に伝えたい言葉があるなら、よくよく注意して書かなきゃならない。
それでもね、自分が誤解に基づいて相手を嘲笑していたことを理解したときに、最初の言葉が「誤解されるような文章を書くほうも悪い」になるような人は、国語力云々とは関係なく尊敬できない。私にも当然、そういう面はあって、ついつい自分を守る言葉を発してしまう気持ちはわかる。だけどね。
せめて、本当は自分の誤読を恥ずかしく思ってます、というような、そういう雰囲気というか態度というか、あるじゃないですか。ウェブの端的なコメントからでは何とも読み取りようがないし、判断が付かないときは、なるべくいい方に解釈しようとは思っているのですけれども……。