生産性の低下が問題ならデフレではなくインフレになるはず、という意見は理解できる。しかし「明白な嘘」とまで言い切るのは危うい。現下の生産性の伸び率低下が将来不安を引き起こし、消費を低迷させる、という理路がある。片岡剛士さんの『日本の失われた20年』では、きちんとその説を紹介した上で、説明力が弱いことを論じている。片岡さんの議論は、論敵の主張を性急に「明白なデタラメ」「トンデモ」と決め付けるより、よほど強力だと思う。
はてブも参照のこと。ただ、「将来不安こそ消費抑制の原因」という説は、博士号を持っている経済学者の著書にもよく出てくる。記事中の様々な各論や記事タイトルには賛同できないが、根っこの部分については判断を保留したい。
私自身はデフレこそ将来不安の原因だと考えている。だが、「リフレが実現して数年経っても将来不安は持続し、消費の伸び悩みが続く」可能性はある、とも思っている。だから、「バカなことをいうな」風に批判することはしない。
えっ!? と思った部分に補足記事が出て、私の書くことがなくなってしまったケース。
参院選の序盤に菅直人首相が消費税増税に言及して大いに話題になったので、私も何か書こうと思ったけど、過去の記事に書いたこと以上の何も出てこなかったので、そのままに……。
労働基準法を無視したモーレツ系の会社が批判されるのは、「ズルい」からだと思う。グリーは本当にやる気に満ち溢れた社員ばっかりで、残業を「強制されている」社員など、存在しないのかもしれない。それでも、社員の健康への関心より仕事への意欲を価値観序列の上位に据えてしまう企業は、同業他社と競争条件が対等ではない。
この話題、「安請け合いをしないでほしい」というお願いならわかるが、コミュニティからの排除をチラつかせた圧力によって価格統制するのが正義と考えているような人がいるから、怖い。談合と何が違うんだ、それは。他人がどんな報酬で満足するのも勝手じゃないか。
消費者はそりゃ無料が一番いいに決まってる。経済を考えるなら、生産者の損得だけじゃなく消費者の損得も考慮しないと。経済学は消費者の利益に光を当て、談合が功利主義的に肯定されないことを示した。功利主義に反対であって、別の理路から談合をよしとするなら、それもいい。ただ、その哲学は知りたい。