エアコン設置費は、1校あたり約5000万円と見込まれ、全校に付けると約300億円が必要という。
私が小中高の12年間通った私立の小中高一貫校では、毎年設備費を積み立てて、「3年に最低ひとつは何らかの設備改修を行う」ことにしていた。トイレ改修などに当たると、ほとんどが積み立てに回って単純には8割くらい払い損になることもあるのだけれども、昔の積立金で校舎や講堂が建ったのだから、お互い様。
公立校は、お金を溜め込むことができないのがつらいよね……。
横浜市立金沢高(金沢区)など同市立高3校では昨年度以降、保護者が資金を出し合ってエアコンを設置した。金沢高は今年6月、リース会社と10年契約を結んでエアコンを取り付け、空調整備費として保護者1人あたり、年間5000円を負担している。
その手があったか! なるほどね。これなら、修学旅行を1泊減らすか、ちょっと近場へ変更すれば金銭的な問題はないな。
金額が小さいので「自分で負担すりゃいいじゃんか」とは思うのだけれども、実際にはそれがなかなか難しい。金額の問題ではなく、計画を立案実行する意志、そして「追加負担」という発想を大勢に納得させる方策の問題なんだろう。とくに保護者は3年で入れ替わってしまうのに、10年契約を実現しているのは驚嘆に値するところ。どうやって異論を打ち負かしたのだろう……。
こういう前例が積み重なって、保護者が主導権を握って教育環境を整えていくことが、特別なことではなくなっていってほしい。
ちょっと待て、公立学校なんだから行政に訴えるのが当然じゃないか? 私は、そのようには考えない。貧窮者への支援は公立校の生徒でも私立校の生徒でも同様に行うべきだし、逆に富裕層の子女が、単に公立校に合格したからといって進学費が安く済むのは不合理だと思う。私立校の保護者たちは設備費を積み立てて20年前にクーラーを設置していた。公立校で同じことができない方がおかしい。
つまり、クーラー代を払えない人に対する何らかの支援ならわかるが(それは修学旅行の費用積立などについて部分的に実現している)、クーラーそのものを公費で設置するのが当然だとは思わない。まず保護者自身が、自分の希望を実現する教育環境を実現できるような環境や制度を作ることが先ではないだろうか。
直感的には、年額5000円の負担を(ほぼ)直接の受益者に納得させることより、368万人の市民に負担を求めて受け入れられることの方が簡単だ、みたいな感覚には首を傾げるということ。しかし実際には簡単なんだろうね、議会に働きかける方が。
ニュージーランドの公立学校と主体的に学校運営に関わるPTAについて。興味深く読んだ。