「リフレ+基礎控除の据え置き」が現実解だと思う。これだって、実際に地価が再び上昇したとき、守り通すのは並大抵のことではない。
……と書いてから約2年、まさかの展開が待っていた。
2010年12月16日、2011年度の税制改正大綱が閣議決定された。その中に、相続税の基礎控除と法定相続人比例控除の4割減が盛り込まれていたのだ。これには正直、ビックリした。しばらく民主党政権が続くのだろうから、自民党がやらない政策の内、私が実現を望んでいた政策は、どんどん実現してほしい。
土地や建物、現預金などの遺産には、相続税の課税対象とならない基礎控除がある。現在は5000万円の定額部分のほか、法定相続人1人当たり1000万円の追加部分がある。例えば法定相続人が妻と子2人の計3人の場合、「5000万円+1000万円×3人」の計8000万円が基礎控除。つまり遺産8000万円までは相続税がかからない計算だった。
それが定額部分が3000万円、追加部分が600万円と4割減に改められた。先のケースでいえば、基礎控除は4800万円で、それ以上は課税される。例えば夫が1億円の遺産を残して亡くなったとすれば、遺産から基礎控除を引いた「課税遺産額」は2000万円から5200万円に拡大。これをもとにした実際の相続税額は100万円から315万円に増える計算だ。
菅直人内閣の支持率は、このままいくと鳩山内閣を下回りそうだけれども、「支持率が1%になっても続ける」という意気込み通り、この税制改正はぜひ実現していただきたい。TPP参加も保護貿易と手を切る突破口として期待しているのだけれど、これはさすがに無理かな……。短期間ではゴタゴタが片付きそうにない。
明後日に迫った施政方針演説を注視したい。どれくらい本気なのか。個人増税なので、政局になれば槍玉に挙げられる可能性が高い。あっさり譲歩の材料にされてしまうようだと残念だ。施政方針演説の中で明確に言及されていれば、と思う。
相続税への言及はゼロ。残念……。