みんなの党の予算修正案では、公務員や教員の給与を2割削減するという部分が注目されやすいみたい。私の考えは、3年前にBI@Kのコメント欄に書いた通り。
公務員になりたいと思う人が減って定員割れになるくらいまで待遇が悪化し、公務員になったら親が泣くくらいにならないと、国民の公務員叩きは無くならないのかな、と思っています。いまだに子どもが公務員になると親も親戚も友人も「よかったね」といいますからね。私の同僚も区職員に転職して「すごい!」「うらやましい」といわれてました。
かつて公務員が「羨ましくない」時代があった。当時の人々は「公務員の待遇を改善して優秀な人を雇い行政サービスの水準を上げる」よりも「減税」の方がいい、と考えていた。今もそれは変わらないと私は予想している。給与を2割削減すれば定員割れになるかもしれないが、政治家が先回りしてそれを防ぐより、有権者の判断に任せる方がよいと思う。
公務員の給与水準は大企業との比較で決められているそうだが、多くの国民は、官は民と比較して「勤務先の倒産」や「整理解雇」のリスクが低いと認識している。給与が大企業と同等なら、リスクが低い分、公務員の方が魅力的に思えるわけだ。官民格差をゼロにするなら、リスクの格差を相殺するまで官の給与を低く設定する必要がある。不景気で失業率が高まれば民間企業で働くリスクは高まるので、それに応じて公務員の給与を引き下げなければ(国民目線では)官民平等にならない。
多くの親が子どもを公務員にしたいと願うのは、民間企業でいえば、異動先の希望が間接部門に集中するがごとき状況だ。間接部門は利益率を左右する重要な仕事だが、まず売上げが伸びないと会社の発展はない。平均すれば優秀な人材が集まりやすいのは人気のある仕事。公務員が1番人気では、社会の先行きが心配だ。
まあ、bewaadさんが仰る通り、恒常的に緩やかなインフレが続けば、公務員の給与はインフレ率に即応しないので、民間より引き上げが遅れる。結果、自然と民高官低の給与格差が生まれる。この問題に限らず、デフレを脱却して緩やかなインフレに復帰して安定すれば、インフレを前提に構築された様々な再分配の仕組みが再び正常に動作するようになり、人々の不安や不満のいくつかを同時に解決すると予想されている。
だから、公務員の給与引き下げより、デフレの脱却に政治的リソースを振り向ける方が望ましい。でも、そういっている間に20年近く経過したわけで、デフレ脱却の政治的困難が大きいなら、公務員の給与引き下げで民が官を羨む悪状況を解消してもいいような気がする。国内でつまらない対立を続けるべきでない。
公務員が本当に低リスクかどうかは、あまり問題ではない。人々が低リスクと認識し続ける限り、公務員人気は揺らがない。つまり定員割れはない。
給料が適正水準になったら怨嗟の声がなくなるかというと、さにあらず。公務員にせよ客室乗務員にせよ、業務に必要な能力がない者が「自分ならもっと安い給料でも働くのに」と思うから厄介。
最後に残るのはこの問題。ただ、公務員の場合、納税者が考えを改めるまで人材の質より給与水準の方を取るべきだ。為政者のお節介で民意を無視して生活の実質を守るのは、民主主義の社会ではないと思う。