新入社員が見学にやってきたので、ちょっと話を聞いた。
一部のネット上では「日本では履歴書は手書きじゃないとダメ」ということになっているようだが、オンラインでエントリーシートを受け付けているような会社なら、たいていワープロ印字でいいらしい。というか、「最初から手で書くなんて考えもしませんでしたが、何社からも内定をいただきました」という人が過半だったのが面白かった。
会社説明会に手書きとワープロ印字の両方の履歴書を持参して、どちらがよいか質問してから提出していたという人もいた。「で、答えは?」「ワープロ印字の方がいい、という会社しかなかったですね。だから6社目からはワープロ印字の履歴書しか作成しませんでした」「サンプル数は5か……」実験データとしては心許ないけれども、5連続でワープロ印字が選択されたなら、ふつう手書き版を作り続ける意欲はなくすよな。
そんなわけで、リクナビ経由で就職活動をするような方々は、手書きが嫌ならワープロ印字で押し通していいと思う。それで落とす会社の方が少ないようなので、わざわざ少数派の、時代に取り残されたような会社に入ることもないでしょう。
念のため。自由経済なのだから、手書きの履歴書を求める会社だって、あっていい。手書き履歴書の作成が得意な人が、そうした企業を目指すのも悪くない。手書きへのこだわりが「愚か」だなんて断定できない。手書き履歴書の強要を嘲笑している側にも、明確な論拠はないはず。事実の裏づけを欠いた意見の押し付け合いをしても虚しい。市場競争の結果で勝負しましょう。
自由経済というのは、人々が思い込みを捨てて多様な方針で突き進み、死屍累々の中から事前には想像もできなかった勝者が現れるところに、その良さがあるんだ。「みんな」の考えが「正しい」と決め付けたら、そんなのは計画経済と同じじゃないか。行政サービスなら、市場による淘汰が起きないから、仕方ない、常識に沿って運営するしかないのだが。