趣味Web 小説 2011-04-19

リフレ派は死んでない

今回の天災でサプライサイドとデマンドサイドが同時にズタズタという異常事態に陥り、
(単なるマクロ政策では)超インフレが到来しかねない(そもそもみんなが勝手に経済活動=生産や消費を行うだけで大規模停電等で社会インフラ自体が崩壊しかねない)状況となり、
(今までの「田舎者は死ね」思想は無かった事にして)取り敢えず復興土建でサプライサイド&デマンドサイドを同時にカバーしなくてはと焦りまくり、、、
、、、というのが今のリフレ派(ネットリフレ派)のテイタラクですわなあ。

私は相変わらずリフレ支持。当然、このような意見に対しては異論があります。

  1. 実際問題として、震災後の日本経済に目立ったインフレ傾向は見られない。間もなく基準改定が控えているので、+1%未満なら実際にはデフレと考えていい。個別の商品分野を見れば値上がりしたものもあるけれど、全体としては相変わらず金融緩和が望まれる状況だと思う。
  2. 東日本大震災によって失われた日本の生産力は、全体に対する割合としては大きくない。2008年第2四半期からの莫大な需要減を回復できていない状況で、今もって日本経済は需要過小で生産能力が余っています。震災前、デフレギャップは60兆円という試算もありました。政府予想の被害額16~25兆円は主に資産の被害で、毎年の生産力への震災の直接的な影響は1兆円程度と予想されています。つまり、デフレギャップは全く埋まっていない。
    四半期別GDP速報 2011年1-3月期・1次速報(2011年5月19日)
  3. 人々が避難生活を送っている地域のGDPは1兆円程度でも、サプライチェーンを通じて日本経済全体に影響があるのであって……というのはその通りだけれども、自動車の生産にせよ何にせよ、1年も止まっているわけではない。長期的にも代替が不可能な生産物は多くないので、サプライチェーンは被災地の復興を待たずに回復します。ですから春の間は直接被害の10倍の影響があっても、1年間の累計ではGDPに10兆円も影響しないという試算が出てくるわけです。
  4. 二次被害として生じた電力不足はたしかに大きい。今年度中は厳しい。けれども、生産力と電力消費は比例しません。第1次オイルショック、第2次オイルショックでは数年にわたり日本のエネルギー消費量は低下しましたが、いずれの期間においても平均すれば日本経済はプラス成長を実現しています。
  5. リフレ派に巨額の復興投資を支持する方がいるのは、供給力の回復を焦っているからではないでしょう。国全体の経済発展を目指すなら、被災地の復興より効率のよい投資先は多々あります。例えば、法人税減税でもした方がよほど生産力の増強には役立ちます。ですから、被災者を助けたいという思いと、消費の萎縮を補う大きな政府支出が必要、という状況認識が巨額の被災地支援への支持につながるわけです。

とはいえ……私自身は復興に数十兆円も投じるのが正しいとは思わないな。精緻なプランを持っているわけではないが、考え方の骨子は、近日中に書く予定。追記:書きました↓

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