趣味Web 小説 2011-09-26

映画とテレビとオンラインゲーム

1.

greeやモバゲーで大きな売り上げを実現できるゲームの作り方に関する記事はこれまでもたくさんあったが、これが決定版のように感じた。過去に目にした記憶のある論点が、全て入っている。そして、価値観の問題にもきちんと踏み込んでいることに感心した。

網羅的に物事を語れる人って、すごい。尊敬する。

2.

記事の内容についても少しだけ触れる。

やっぱり商売に王道はないんだな。コンソールゲームと携帯電話向けのオンラインゲーム(以下「オンラインゲーム」と書く)とでは消費者が違っていて、それぞれに適したゲームの作り方がある。「ゲーム」という言葉と、パッと見は似通っていても、両者をゴッチャにして語ることには実りがない。

これって、初期のテレビドラマと映画の関係に、通じるものがあるのかも。還暦前の方は、幼い頃にテレビに触れて、すっかりそれに慣れているのだけれど、いま70歳代以上で映画館に入り浸っていたような人々は、途中にCMが入る民放のドラマに対して、なかなか馴染めなかったと聞く。大長編映画の途中休憩は、お芝居の幕間と同じですんなり受け入れられるけれども、CMはどうしても許せず、「映画ってものを何だと思っているんだ」となった。

greeが『テトリス』などのレトロゲームを取り入れたように、テレビも映画を放送していった。往年の映画ファンは無粋なCMにプッツンきたが、それも次第に諦めの境地へと達していった。いま、「映画をテレビで放送するのは作品への冒涜」と怒る人は、ほとんど消えた。コンソールゲームとオンラインゲームも、一緒になるとは考えにくいが、次第に交流は深まっていくことだろう。

ただ、テレビドラマを全く視聴しない映画ファンは少数派だろうが、コンソールゲームファン(の大多数)もいずれオンラインゲームもプレイするようになるのかというと、それはどうかな……。

3.

テレビと映画館は違う。専用ゲーム機と携帯電話は違う。物理的な違いは決して無視できないが、やはり何といってもビジネスモデルの違いが大きい。とはいえ、「作品」そのものは、かなり重なっている。

映画ファンがテレビドラマを「映像作品自体で金を取れない低質なもの」とバカにしたようなことが、ゲームの周辺で、いま再現されている。テレビドラマは、当初は作品の前後にしかCMを入れていなかったのだが、それでは商売にならないことがわかり、本編の途中にCMを入れるようになった。それを映画ファンは「感動が台無し」「作品より銭が大事なカネの亡者」と嘲笑したのだが……。

映像メディアの主役は、映画からテレビへと移った。ゲームの主役も、コンソールから携帯電話へと移っていく……いや、既に利用者数では逆転が起きているのかもしれない。映画とテレビも、まず視聴者数で逆転が起き、後に制作費も逆転していった。映画ファンが悲しんだように、コンソールゲームのファンも悲しい。

今後数年が、悲しみのピークだろうか。主役交代がもっと明確になれば、オンラインゲーム叩きも落ち着いてくると思う。私は、その先の時代を見たい。

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