趣味Web 小説 2012-02-09

memo:政治雑感#3326

1.

変化を訴える前に、目指すべき社会像を語るべきと香山さんは仰る。でも、それを語って選挙で得をすることはない。一定の支持を得ればポジションを獲得できる評論家なら旗幟鮮明にする意味のある事柄も、選挙で1番にならなければ当選しない知事や市長の立場では、口をつぐむのが得策かもしれない。

というか、挑発されてもそこでは口をつぐむ慎重さがないと、地方の首長になるのは難しいんじゃないかな。総理大臣というのもそう……。価値観の多様化が進んだ現在、攻撃の糸口がほしい側にとって一方的に好都合なのが理念の話題だと思う。しかも「理念が見えない」といえば、万能の批判にもなる。ずるい。

個別具体的な話題になれば、選択肢が限られているから、どっちに与したら多数派の支持を得られるかがわかりやすい。私が思うのは、劇場型の政治家がやっているのは、多数意見と自分の意見が一致する話題を探すことではないか、ということ。

2.

なんとなくリンクしたけど、以下の文章にはほぼ関係ない。

私は、橋下さんというのは、「民意を反映しない政治」への有権者の不満の象徴だと思っている。大雑把にいえば、これまで長らく賢くて善意にあふれた人々が、荒ぶる庶民感情を受け流して善政を敷いてきたのだけれど、人々は「俺たちのいうことを聞いてくれたらもっと世の中よくなるはずだ」と思ってやまない。それで、橋下さんが当選した。

でも「橋下さんが倒れたら、また次の人が……」とはならなくて、たぶん、もう少しふつうの政治家が当選するのだろう。なので、橋下さんを倒すために必死になる側の努力が、空しいものだとは思わない。

小泉純一郎さんが総理大臣を勇退したあと、あれほど民意を汲み取るのが上手な政治家は、国政の場に現れていない。みんな最初だけちょっと期待を集めるけれど、すぐに支持率が落ちていく。たぶん、話題の選び方がうまくないのだと思う。小泉さんが最初から郵政民営化の実現に突き進んだらこうなってたのかも……というような感じ。いきなりTPPとかいいだしてはダメなのだと思う。

みんなの心を掴むようなことをいくつもやり続けて支持を固めつつ、だんだん人々の耳に痛い話や、大勢が不安に感じる政策にも手をつけていく。年金・医療改革の実現は小泉政権の真骨頂だったと思う。

小泉さんがやりたがっていた郵政民営化は、客観的には小さな話。橋下さんが市長になってまで実現しようとしている大阪都構想というのも、割とどうでもいいことに見える。が、とにかくやりたいのはそれなんだろう。当人の割とどうでもいい願いを実現するための支持固めとして、多くの人の政治への不満が解消されていく。結果、世の中のあちこちで悲鳴と快哉が上がる。

3.

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