C-0036 TiMidity:フリーのソフトウェア MIDI 音源

ここに掲載している情報は間違っている可能性が非常に高いので、信用してはならない。これらの情報を信用してアナタが不利益を被ったとしても、それは全てアナタの責任である。

はじめに: Timidity の紹介

ソフトウェア MIDI 音源(以下、ソフトシンセ)を導入するなら、できるだけいい音を、安価に手に入れたいものです。

現在、 Windows 環境のソフトシンセには、 Roland の VSC 系(商用)、 YAMAHA の S-YG 系(商用)、オンラインソフトでは WinGroove (シェアウェア)や FPD98 (シェアウェア)などの選択肢があります。

僕自身この耳で聴き比べてみた感じではどれもなかなかいい感じの音で鳴ってくれます。が、これらとは少し毛色の違うソフトウェア音源が存在します。それが、「 TiMidity 」です。

「 TiMidity 」とは元々 Linux 環境で開発されたフリーのソフトウェア音源(のようなもの)で、現在様々な人の手によって開発が進行しています。

TiMidity の最大の特徴は、「音色」と「本体」が別々であるということです。普通の外部音源・ソフト音源がひとそろいの楽団だとすれば、 TiMidity は楽器と演奏者を別々に用意する必要がある、といったところでしょう。 TiMidity 用の音色セット( TiMidity の世界では「音色パッチ」と呼びます)は全ての音色の組み替えを自由に行うことができ、数百 MB にも及ぶ音色を使っている人も少なくないようです。

しかし、組み合わせが自由な反面、全ての音色を自分で一つ一つ割り当てていかなければならないという難点もあります。専門の知識を持たない人にとってこれは不可能に近い作業……ということで、比較的手軽に導入できる「音色セット」というものが各所でいくつか配布されています。その内容もピンからキリまであり、 4MB を切る軽量な物から、 33MB にも及ぶ巨大なものまで様々で、 33MB パッチともなると S-YXG100 や VSC-88 に勝るとも劣らない音で鳴ってくれます(単純に「音色のサイズ=音質の良さ」ではありませんが、そういう傾向にあります)。ちなみに別項演奏サンプルを聴けるようにしてありますので、気になる人は一度聴いてみて下さい。

また本体側にも、普通に再生するだけのプレイヤー型や、 WinNT 用のデバイスドライバとして機能するものなどいくつかの種類(類型)があり、フリー(自由)の精神のもとに MacOS や Windows 、 UNIX など、様々な OS 用に開発されています。

そして有り難いことに、 TiMidity は非常に処理が軽いです。無印 Pentium133MHz でも、十分鑑賞に堪える演奏をしてくれます。旧型のマシンしか持っていなくても手軽に高品質な MIDI 鑑賞ができるわけです。

と、これだけ素晴らしい TiMidity ですが、難点が一つだけあります。それは、前述のように導入に手間がかかるということです。

上で触れたように TiMidity は本体と音色が別々に供給されており、その大部分はパッケージングのない「手動インストール」が基本です。かつての DOS 時代にはそれが当たり前でしたが、最近になって Windows からパソコンを使い始めた人などにとって、これは結構大変な作業です。

※ Windows 環境用では TiMidi95/SS というプレーヤーがあり、こちらは音色と本体がセットで入手できるので導入が容易でしょう。

そこでここでは、 Windows ユーザーのために、 TiMidity プレーヤーの中でも最も高機能と思われる「 TiMidity++ 」と、ネット上でまとまった形で入手できる中でもっとも音質の良いと思われる 33MB 音色パッチの導入方法を、順を追って解説しようと思います。

※ MacOS や Linux での導入方法についてはよく知りませんので(爆)、出雲氏のサイトのリンク集から探して下さい…… m(_ _;)m

まあ、話の種にでもと思って一つお試しあれ(笑)

ダウンロード

まずは、必要なファイルのダウンロードです。以下にリストアップしたファイルを同一のフォルダ内に保存していって下さい。

TiMidity++ (プレイヤー本体)

現雲氏のサイト。「ダウンロード」のページから、 Windows 用の最新バージョンをダウンロードして下さい。「 Windows binary 」と書かれているのがそれです。

時々バージョンアップされているので、暇があればチェックしておきましょう。

33MB 音色パッチ

TiMidity++ の制作も手がけている出雲氏による、 33MB にも及ぶ音色パッチ集。13個に分割されたファイルを、全てダウンロードして下さい。これのダウンロードには時間がかかる(大体、モデム使用で一晩ぶっ通しくらい……?)ので、電話代にはくれぐれもご注意を…… (^^;)

TiMidity の場合、音色はサイズが大きければ大きいほど音がいい傾向にあります。各所で 4MB パッチや 10MB パッチなども配布されていますが、 TiMidity の素晴らしさを実感しようと思ったら、この 33MB パッチが最低基準と言っても過言ではないでしょう。

尚、 SoundBlaster 用 SoundFont を音色に使うこともできますが、ここでは書いていません。

33MB 音色パッチインストーラ

上記 33MB 音色の Windows 用簡易インストーラ。

SC-88 対応コンフィグファイル(自己解凍)

Rafarl 氏による、 TiMidity++ で SC-88 用の MIDI データをある程度正しく再生するための設定ファイル(音色の配列を SC-88 に近づける)。現在流通してる MIDI データの多くは SC-88 系列で作成されたものですので、これがあった方が何かと便利でしょう。(氏の許可を頂いた上での転載です)

尚、上の自己解凍ファイルは Windows 専用です。 Mac や Linux などの方の場合、通常の LZH 書庫版をダウンロードしてください。

これら以外にも、もし ZIP 形式のファイルを解凍できるツール( Lhasa 、 WinZip など)を持っていない人は、何か一つダウンロードしておいて下さい(僕としては、手軽に操作できる「 Lhasa 」をおすすめします)。

また、特に 33MB パッチのダウンロードには気の遠くなるような時間がかかりますので (^^;) 、 ReGetIria などのダウンロード専用ツールを用意しておいた方がラクです。

ファイルの配置

※ C ドライブの「 TIMIDITY 」フォルダ( C:\TIMIDITY )にインストールするものとして話を進めます。 D ドライブなど、他の位置にインストールしたい場合、以下の「 C:\TIMIDITY 」や「 C:/TIMIDITY 」を適宜読み替えて下さい(例えば、 D ドライブにインストールするなら「 D:\TIMIDITY 」、 PC-98 シリーズをお使いの場合は「 A:\TIMIDITY 」といった具合です)。

まず、ダウンロードした TiMidity++ 本体。「 timidity-w32-X_X_X.zip (「 X_X_X 」はバージョン番号)」というファイル名ですので、それを「 C:\TIMIDITY 」に解凍して下さい。

次に、音色ファイル。ダウンロードした中に専用の簡易インストーラ「 gusinst.exe 」というファイルがありますので、それをダブルクリックして下さい。 DOS プロンプトが開き、いくつかのメッセージが出たあと、

Directory:

と表示されますので、ここで

Directory:C:\TIMIDITY\gus_pat

と入力します。自動的にファイルのチェックが行われた後、今度は Please type 〜(リターンキーを押下して下さい) と表示されるので、 Enter キー(又は Return )を押下して下さい。作業が終わると、 Done: と表示され、終了したことが示されます。ここで Enter を押せば、ウィンドウが閉じられます。

最後に、コンフィグファイルの解凍です。ダウンロードした中に「 sc88set.exe 」というファイルがありますので、それを実行して下さい。すると、 TiMidity++ をインストールしたフォルダを訊いてきます。「 C:\TIMIDITY 」以外に TiMidity++ をインストールしている場合、フォルダ名を指定して下さい。
「解凍」をクリックすれば、「 88DRUM50.CFG 」「 SC88.CFG 」「 RELEASE2.CFG 」の3つが解凍されます。

通常の LZH 書庫版をダウンロードした場合、 TiMidity をインストールするディレクトリの中にある「 gus_pat 」フォルダ内「 inst 」フォルダにファイルを解凍してください。

これで準備は整いました。ダウンロードしたファイル群はもう不要ですので、削除しておいて構いません。

音色設定の変更

スタートメニューの「ファイル名を指定して実行」で「 notepad c:\timidity\gus_pat\timidity.cfg 」と入力して下さい。するとメモ帳のウィンドウが開き、設定ファイルが読み込まれます。

# Read another configuration file: source<file name>
#
dir c:/timidity/gus_pat/inst/GUS
dir c:/timidity/gus_pat/inst
dir c:/timidity/gus_pat/inst/release
dir c:/timidity/gus_pat
source default.cfg
source gsdrum.cfg
source gsdrum25.cfg
source sfx.cfg
source mt32.cfg
source power.cfg
source release.cfg

最初の方にこういう部分があるので、これを

# Read another configuration file: source
#
 
dir c:/timidity/gus_pat/inst/GUS
dir c:/timidity/gus_pat/inst
#dir c:/timidity/gus_pat/inst/release  ←行の先頭に「 # 」を入力する
dir c:/timidity/gus_pat
dir c:/timidity/gus_pat/inst/misc  ←加える
dir c:/timidity/gus_pat/inst/mazpat  ←加える
 
source default.cfg
source gsdrum.cfg
source gsdrum25.cfg
source sfx.cfg
source mt32.cfg
source power.cfg
#source release.cfg  ←行の先頭に「 # 」を入力する
source release2.cfg  ←加える
source sc88.cfg  ←加える
source 88drum50.cfg  ←加える

という具合に書き換えて下さい。

これで、インストール作業は完了です。「 timidity-gui.exe 」というファイルがプレイヤー本体なので、デスクトップ上にショートカットでも作っておくと便利でしょう。