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Mozilla については 1.0 が出たら一般向けな特集をするつもりだったのですが、掲示板3のほうでご質問があったので、予告編みたく書いておきます。これは、一般向けの解説じゃなく、β版(開発途中のテスト版)を使う話なので、これを見て「モジラって初心者には無理そう」とか誤解しないでくださいね。正式公開版(たぶん Mozilla 1.0 という名まえになると思いますが)のときは、インストールから何から、日本語でできるようになるはずなので、英語がまだ不得意というかたも心配ご無用です。
なにも今すぐインストールする必要もないので、ふだんオンラインソフトとかあまり使わないかたは、正式版が出るまで待ったほうが良いと思います。そういうかたは、どんな新しいブラウザが開発中なのかな?とかの興味で以下お読みください。なお、このメモの主題は「高速起動法」なので、ブラウザの紹介的なキャプチャ画像とかは、ないです(それは、すぐ下の別記事とかにあります)。それと、この記事の情報のほとんどすべては、まったく経験的なもので、正式なアナウンスがあったわけでもなく、手元の環境ひとつでしか動作確認されてません。その点にご注意ください。
さて、どうやらネスケ6の起動の遅さにこりてモジラを不信の目で見てるかたもおられるようですが、無理もないことでしょう。
が、以下の方法を使うと、モジラは、羽根のように軽く、IEと同様かむしろもっと速いくらいの速度で起動できます。といっても、もちろん、あなたのマシンのメモリとかがもともと不足気味の場合は分かりませんが……。とりあえず手元の環境でのレポートということで。(最近の Mozilla は、以下のワザを使わなくても、ネスケ6よりは軽く起動します。)
ネスケ 6.0x は Mozilla のマイルストーン18(開発作業の進行の目安となるステップ18)を使っていたわけで、ぜんぜん未完成の、開発途中のものをエンジンにして一般公開するという、かなりやばいことをやってたわけです。動作が不安定だったのも、重いのも(通常、高速化というのは、工程のあとのほうでやるものでしょう)ありうべきことで、結果論ですけど、どうもIEとの戦いを挽回しようとあせって、さらに泥沼にハマってしまったという感じがします。ネスケが開発途上の中途半端なゲッコーエンジンを使っているからといって、それだけみて、ゲッコーは、こんなものか、と思わないでください。くだいていえば、もはや Mozillaとネスケは別、と考えてください。開発途上の不安定なエンジンを乗せた危険な自動車を「これが最新、業界随一の標準準拠。今すぐダウンロード!」なんて一般公開するところからして、その姿勢を疑われます(結果オーライだったら良かったのですが、ネスケは賭けに負けたという感じ)。
これは、ネットスケープ社への批判であって、モジラプロジェクトのことじゃないです。以下「モジラ」というのはモジラプロジェクトの「モジラ」というブラウザのことで、ネスケ6の話じゃないので、勘違いしないでください……。
まずハッキリさせておきたいのですが、みなさん、「IEは起動が速い」と思っておられるでしょうが、なんで起動が速いと思いますか。Windows のシェル(エクスプローラ)とIEは統合されてますよね。この意味は、IEのコンポーネントの核心部は、OSを起動するときにシェルといっしょに起動されてるハズだ、ということです。Windows のブート(シェルまで含めた立ち上げ)は速いですか? かなり時間がかかるでしょう。誤解を恐れずおおざっぱな言い方をすれば、Windows のシェル起動に要する時間に含まれてる部分を足すと、IEの起動も、トータルではネスケ6なみに(あるいはそれ以上に)重いと思います。体感的に「IEを起動する」ときは、じつは、IEの核心部は初めから常駐してすでに起動しているので、ざつにいえば、「見えないウィンドウですでに起動して待機していたのを可視状態にしただけ」だと解釈してください。――歴史的意義は素晴らしいが今では4000円は高すぎるあのエディタが使うのと同じトリックです。
要するに、IEとの起動競争では、IEはフライングをして、すでにゴールの近くまでこっそり行って待っていて、ほかのブラウザは一般には1から起動するので、結果は見えてます。また、コンポーネントを起動して待機してるわりには、IEは起動がちょっと遅いとも言えます。
理論的な背景は以上ですが、これは「IEは卑怯だぞ」とかの話でなく、シェルと統合してるのだから当然のことだし、「ずるい」方法であれなんであれ体感的に速けりゃ「勝ち」です。エンドユーザには、それがすべて。で、IE逝って良しゲイツ嫌~いとかの低次元な感情論でなく、ハッカーらしく頭を使って「じゃあモジラだって同じ手を使えば体感的に速く起動できるのでは?」と、建設的方向に発想してみましょう。この記事の読者なら、OSの起動と同時に立ち上げるには、どうすればいいかくらい分かるはず。
単にスタートアップにモジラを放りこんでおくだけでも、試してみる価値あるかもしれません。OSのブートは数十秒~数分かかるでしょうから、それがさらに5、6秒伸びても体感的には、あまり気にならないかも。MSの悪口言いまくる暇に試してみてください。モジラが1個起動してれば共有コンポーネントはアクティブなので、2枚め以降のモジラのウィンドウは軽く開くでしょう。つまりIEと同じ立場。
スタートアップがださいと思えば、レジストリの Run のとこに入れたらいいでしょう。
最新版のモジラでは、ありがたいことに、このトリックがアプリ側に実装されてます。まさにオープンソース哲学、To hack or not to be; that is the program. (とにかくなんとかするか、死ぬか。それがプログラミングだ=ハムレットのパロディ)――IEと同様に高速に起動できないなら起動できるように何とかする、できなければ負け、この厳しい淘汰あってこそ、物事が洗練されてゆくし、IE側ものほほんとしておれなくなるわけです。アプリ側の新機能を使えば、単純にスタートアップに入れるより、ずっと強力……。スタートアップから自分で起動したものは、アプリを終了すれば終了してしまいますが、下記の方法だと、つねに Mozilla はバックグランドで待機していてくれます。
つーわけで、やり方をご説明しましょう。といっても、単に上のワザに -turbo スイッチを足すだけです。このスイッチについては、知る限りではアナウンスされてないので、まだテスト段階みたいです(もちろん開発コミュニティ内部では正式にアナウンスされてるでしょうが、自分は一ユーザなので詳細不明)。単純にスタートアップにふつうにモジラ(へのショートカット)を入れておくほうが、原始的だけどあんがい使えるかも。しかし、-turbo を使うと、OSの起動とともに、ホントに不可視で待機してくれるようになって、おもしろいので、試してみてください。コマンドラインから指定するより、モジラを起動して、「Edit - Preferences - Advanced」の「Enable Quick Launch」にチェックを入れるのが安心でしょう(下の画像参照。-turbo スイッチと完全に等価かは不明)。プライベートなスイッチを直接いじらず、パブリックに公開されてるインターフェイスを使いましょう(微笑)
当たり前ですが、このスイッチは即効性じゃないです。次に Windows を起動したときから意味を持ちます。β版なんで、こーゆーときは、さっそくOSを再起動。もしまずいことが起きたら、今の操作が原因と切り分けられるからです。ほかにあれこれやってしまうと、万一、翌日 Windows を起動したとき不具合が起きたら、何が原因か悩むでしょう。
で、再起動したら、今度は「さっそくMozilla が速くなったか試す」のではなく、まずはタスクマネージャをひらいて、何が起きてるか慎重に観察してください。Mozilla のウィンドウが可視になってないにもかかわらず、次のように(画像の下から3行め) mozilla.exe が動いていたら、とりあえずOK。
ごらんのように、メモリを10~20MB程度、食ってます。ちとメモリーイータ。正式版では、もう少し節約されるかもしれないとしても、環境によっては、無視できない量でしょう。モジラを日常的に使う場合か、または、メモリが最低でも128MBある場合でなければ、この常駐は、やめたほうが良さそう……。それと、メモリリークしてたらいや~ん、なので、とりあえず上の数字はメモしておいてください。
もし仮にここで mozilla.exe が起動してないとしたら、なんかうまく行ってないわけです。(上の画像で、アパッチや EdMax が走ってますが、これは手元の環境ではOSと同時に起動してるやつで、正真正銘、ブート直後の状態です。-turbo がきくと、モジラが見えないにもかかわらず、ホントにこうなります。)
では、デスクトップの Mozilla のアイコンをクリックしてみてください。パッと起動するハズです。おおぉ、これは気持ちいい……。――でも、β版なので、安心するのは、まだ早いっす。Mozilla の窓をぜんぶ閉じて、数秒待ってからまたタスクマネージャをチェック。そしてまた Mozilla を起動。――この操作を数回(心配なら10回くらい)繰り返してみましょう。メモリがリークしてます? たぶん問題ないとは思うのですが、もし万が一、常駐プロセスのほうのメモリ使用量がどんどん増えたり、プロセスが2個3個と増殖してたら、なにかまずい事態が発生してます。放っておくとOSがハングするので、常駐解除して、タスクマネージャからそのプロセスを kill してください。手元では20MB程度で止まりますが、ほんのわずかに漏れてるかもな予感もします。環境によっては、βなので多少の不具合は仕方ないです。正式公開版を待ちましょう。フィードバックを送れば数夜後には直してもらえるかもしれません……。
ちょっと脅かすようなことを書きましたが、手元では今のところ問題ないし、たぶん、あなたの環境でも問題ないと思うので、ご安心ください。ただβ版で遊ぶというのは、ゲームで遊ぶのと意味が違うってことで。
モジラをインストールする途中でも、「When possible, use Quick Launch for faster startup times」という指定ができるダイアログ(デフォルトではオフ)が出ます。ここにチェックを入れてインストールすれば手っ取り早いのでは? と思うでしょう。たぶんそれでいいけど、なにげに、おすすめしません。べつに試してみて不具合が出たわけでも、モジラのインストーラを疑うわけでもないですが、デフォルト(チェック・オフ)の状態でインストールして、あとから設定メニューでいじったほうがぶなんです。β版なんで起動できないこともよくあるわけで、そのとき、ここにチェックを入れたことが原因なのか、素で起動できないのか、分からなくなるし。
つか、このチェックボックス、初めてインストールしたときに「おっ、これは?」と、なんでも試したがる若気のいたり(いつか大けがするって)、チェック入れてみようかなと一瞬、考えたんですが、そのときなんか「やめたほうがいい」という予感が……。起動できないくらいべつにβ版だからよくあることだけど、Quick Launch ということは何かを常駐させるっぽい。最悪のケースを考えると、ちゃんと起動できないでメモリを食いまくりCPUを100%使ってOSを麻痺させる困ったexeがOS起動と同時に起動する設定になってしまう。そうなったら何度リブートしてもムダ。昔の autoexec.bat だったら、DOS からその困ったちゃんを消せばいいけど、最近のソフトはレジストリの
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Run
なんか使って常駐きめこむことが多いわけで、OSが麻痺したら regedit も正常に機能しないかも……。まぁそうなっても、なんとかすればいいわけですが、めんどっちい。これにひきかえ、あわてて常駐なんかさせなければ、動作が変なら使わなければいいだけ、わやになってもリブートすれば済む話。
というわけで、当たり前ですが、ちゃんと動作するのを確認してから、常駐させたほうがぶなんです。
それと、動作確認がとれ、Quick Launch もうまく行ったとした場合ですが、将来、アンインストールやバージョンアップの上書きインストールでつまずくかもしれません。例えばアンインストールしようとしたとき「モジラは現在、動いてますんで、削除できませんよ、お嬢さん」とか言われたら、「モジラなんか起動してないのになにぬかす」といからず、常駐解除してからOSを再起動するか、またはタスクマネージャで見えないモジラを殺してから、もう一度やってみてください。
繰り返しになりますが、モジラは、まだ開発途上のβ版的なものです。無理して今すぐインストールする必要ないです。試してみたいかただけどうぞ。とくに、高速起動については、慎重に……まだ実験的な新しい機能っぽいですし。常駐指定したあとで、万一、なにかの弾みでモジラがちゃんと起動できなくなった場合、スタートアップフォルダにあるショートカットを削除すれば、OSと同時に起動しなくできます。可視的に起動できなくなったと思っても、不可視的に起動してることは(モジラに限らず一般的に)よくあるので、変な感じがしたらタスクマネージャで様子を見てください。
2001.07.12 「Mozilla 高速起動法」は、それを書いた当時の速報のため、現在の最新のビルドと微妙に異なる点があります。すぐ下にあるように、最近のは常駐させるとタスクトレイにアイコンが出ます。ややこしいことに、安定系(Trunk)「0.9.2」にも、複数のビルドがあります。Mozilla 高速起動法の記事で紹介しているのは、2001.06.28の「0.9.2」ですが、現在の最新は2001.07.11の「0.9.2」です。さらに、開発系(Nightly)として、「0.9.2+」が併存し、その最新は現在2001.07.10のビルド(いずれも Windows版の場合)。
2001.07.12 「Mozilla 高速起動法」は、それを書いた当時の速報のため、現在の最新のビルドと微妙に異なる点があります。ややこしいことに、「正式リリース」(milestone release)「0.9.2」と同じバージョン表示「0.9.2」を持つ複数のビルドがあり、さらに、推移的なバージョン表示「0.9.2+」を持つビルドも併存します。Mozilla 高速起動法の記事で紹介しているのは、2001.06.28の「0.9.2」です。現在の最新は2001.07.11の「0.9.2」です。「+」がつく「0.9.2+」の最新は現在2001.07.10のビルドです(いずれも Windows版の場合)。いずれも、リリース当初の0.9.2と異なり、すぐ下にあるように、常駐させるとタスクトレイにアイコンが出ます。
これまで、Netscape 4.x の Profile を変換してインポートした状態の画面をご紹介してましたが、Mozilla で Profile をゼロから作った場合、Netscape に(初めから勝手に)うんざりするほどついている商業的なブックマークは、なくなります。そのかわり、Netscape で使っていたブックマークなどもインポートされません。参考までに、Profile を新規作成した場合の画面例――Netscape から引き継いだ場合にくらべて、ツールバーがすっきりしてます。3段めに「ホーム」と「ブックマーク」のほか、Mozilla.org のリンクが2つあるだけです。
2001.07.09 Mozilla -turbo 続報: ちかごろのビルドは常駐させるとタスクトレイに入ります。ちょっぴりかわいい☆(→Mozilla 高速起動法)
で、タスクトレイのモジラのアイコンをWクリックすると、最大化。モジラの窓が一枚も開いてない状態でタスクトレイのアイコンを右クリック→ exit すると、いつでもそのセッションでの常駐を解除できるので、前より安心して試せるでしょう(次回起動時以降もまったく常駐させないようにするには、設定メニューから Quick Launch をオフにしてください)。現状、モジラの窓がひらいてるとタスクトレイの右クリックから exit できないみたいです。不可視で待機してる「裏モジラ」と可視ウィンドウのモジラは実際には同じプロセスなんで、可視ウィンドウがある状態だと裏モジラは閉じれないという原理ですが、将来的には、タスクトレイで exit することでモジラをすべて閉じれるようになるのかも。
OSの起動と無関係に手動で常駐させるには、次の例のようなショートカットを利用することもできます。
実行ファイルがある場所を、C:\Program Files\Mozilla.org\bin とすると……
作業ディレクトリ:"C:\Program Files\Mozilla.org\bin"
コマンドライン:"C:\Program Files\Mozilla.org\bin\mozilla.exe" -turbo
前にも書いたように、-turbo というのが「裏モジラ」モードで起動するための隠しスイッチになってます。ターボと言っても、起動自体を本質的に高速化する「ターボエンジン」じゃなく、裏で起動して待たせておくもので、ふつうに起動するのと同等のメモリを食う点にご注意ください。GUIでは Quick Launch という名前になってます。
すぐ上の追記の「trunk」ということばの使い方が変だったので、直しておきました。細かい点かもしれませんが、せっかくフィードバックをいただいたので……。「0.9.2」というバージョン番号は安定系で、「0.9.2+」という「+」がつくバージョン番号は開発系だろう――と思ってたのですが(と言いたかった)、この点も、なんか微妙に違うらしい。といっても、あのメモ書きの主題は、「最新のビルドは、Mozilla高速起動法の記事の内容と、少し変わってるので注意!」というだけの話なので、一般読者の立場からは、そのへんの細かいことは、あまり気にする必要もないでしょう。
で、一般ユーザの立場からすると、「要するにどのビルドが良いのか?」という疑問になると思うのですが、結論からいうと「どれがいいとも言えない」です。開発版だから仕方ないことですが、「正式リリース」されてるバージョンに大きなバグが残ってることもあれば、「正式リリース」でない推移的なビルド(日付が最新のやつ)でそれが直ってることもあるでしょう。いまいちばんいいビルドも翌日さらに改善されるかもしれず、他方、きょうのビルドで変なバグが入っていてきのうのビルドのほうが良いかもしれません。「正式リリース」版は直前には大きなコード変更をしないように開発を凍結(freeze)させるので、致命的なエンバグが含まれる可能性が少なく、その意味では、ぶなんな、より一般向けの選択と言えます。でも、「正式リリース」よりその直後の中途半端なビルドのほうが、バグがつぶれてることもあります。
「正式リリース」といっても決してふつうの意味での「安定系バージョン」じゃなく、あくまでマイルストーン・リリース――開発途上の一里塚にすぎません。Mozilla 1.0 以降が出るまでは、ぜんぶβ版と思ってください。Freeze させるといっても、コード変更を完全停止してから「正式リリース」するまで非常に短いテスト期間しか設定されてないようです。個人的には、推移的バージョンであっても、今のモジラはネスケ6なんかに比べれば充分に安定していて実用にたえると思いますが……。(というか、ネスケ6も「正式リリース」なわけですが)
Help メニューのバージョン情報画面より‥‥
Mozilla のバージョン表示は、いろいろややこしい。Gecko/2001MMDD とある日付に注意すると、「0.9.2+」のほうが「0.9.2」より古い、という直観に反する状態になってることが分かる。「0.9.2 となってるのは安定系のマイナーリビルドで、 0.9.2+ は開発系のことだからこれでいいのだろう……」と勝手に納得してたら、どうもそういうわけでもないらしいです。まぁ、エンドユーザの立場からは、実用上、どうでもいいことですが……。