3 : 04 Mozilla 0.9.2 簡易起動

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Mozilla 高速起動法

2001年 7月 5日
記事ID d10705

Mozilla については 1.0 が出たら一般向けな特集をするつもりだったのですが、掲示板3のほうでご質問があったので、予告編みたく書いておきます。これは、一般向けの解説じゃなく、β版(開発途中のテスト版)を使う話なので、これを見て「モジラって初心者には無理そう」とか誤解しないでくださいね。正式公開版(たぶん Mozilla 1.0 という名まえになると思いますが)のときは、インストールから何から、日本語でできるようになるはずなので、英語がまだ不得意というかたも心配ご無用です。

なにも今すぐインストールする必要もないので、ふだんオンラインソフトとかあまり使わないかたは、正式版が出るまで待ったほうが良いと思います。そういうかたは、どんな新しいブラウザが開発中なのかな?とかの興味で以下お読みください。なお、このメモの主題は「高速起動法」なので、ブラウザの紹介的なキャプチャ画像とかは、ないです(それは、すぐ下の別記事とかにあります)。それと、この記事の情報のほとんどすべては、まったく経験的なもので、正式なアナウンスがあったわけでもなく、手元の環境ひとつでしか動作確認されてません。その点にご注意ください。

さて、どうやらネスケ6の起動の遅さにこりてモジラを不信の目で見てるかたもおられるようですが、無理もないことでしょう。

が、以下の方法を使うと、モジラは、羽根のように軽く、IEと同様かむしろもっと速いくらいの速度で起動できます。といっても、もちろん、あなたのマシンのメモリとかがもともと不足気味の場合は分かりませんが……。とりあえず手元の環境でのレポートということで。(最近の Mozilla は、以下のワザを使わなくても、ネスケ6よりは軽く起動します。)

ネスケとモジラは別のこと

ネスケ 6.0x は Mozilla のマイルストーン18(開発作業の進行の目安となるステップ18)を使っていたわけで、ぜんぜん未完成の、開発途中のものをエンジンにして一般公開するという、かなりやばいことをやってたわけです。動作が不安定だったのも、重いのも(通常、高速化というのは、工程のあとのほうでやるものでしょう)ありうべきことで、結果論ですけど、どうもIEとの戦いを挽回しようとあせって、さらに泥沼にハマってしまったという感じがします。ネスケが開発途上の中途半端なゲッコーエンジンを使っているからといって、それだけみて、ゲッコーは、こんなものか、と思わないでください。くだいていえば、もはや Mozillaとネスケは別、と考えてください。開発途上の不安定なエンジンを乗せた危険な自動車を「これが最新、業界随一の標準準拠。今すぐダウンロード!」なんて一般公開するところからして、その姿勢を疑われます(結果オーライだったら良かったのですが、ネスケは賭けに負けたという感じ)。

これは、ネットスケープ社への批判であって、モジラプロジェクトのことじゃないです。以下「モジラ」というのはモジラプロジェクトの「モジラ」というブラウザのことで、ネスケ6の話じゃないので、勘違いしないでください……。

原理

まずハッキリさせておきたいのですが、みなさん、「IEは起動が速い」と思っておられるでしょうが、なんで起動が速いと思いますか。Windows のシェル(エクスプローラ)とIEは統合されてますよね。この意味は、IEのコンポーネントの核心部は、OSを起動するときにシェルといっしょに起動されてるハズだ、ということです。Windows のブート(シェルまで含めた立ち上げ)は速いですか? かなり時間がかかるでしょう。誤解を恐れずおおざっぱな言い方をすれば、Windows のシェル起動に要する時間に含まれてる部分を足すと、IEの起動も、トータルではネスケ6なみに(あるいはそれ以上に)重いと思います。体感的に「IEを起動する」ときは、じつは、IEの核心部は初めから常駐してすでに起動しているので、ざつにいえば、「見えないウィンドウですでに起動して待機していたのを可視状態にしただけ」だと解釈してください。――歴史的意義は素晴らしいが今では4000円は高すぎるあのエディタが使うのと同じトリックです。

要するに、IEとの起動競争では、IEはフライングをして、すでにゴールの近くまでこっそり行って待っていて、ほかのブラウザは一般には1から起動するので、結果は見えてます。また、コンポーネントを起動して待機してるわりには、IEは起動がちょっと遅いとも言えます。

理論的な背景は以上ですが、これは「IEは卑怯だぞ」とかの話でなく、シェルと統合してるのだから当然のことだし、「ずるい」方法であれなんであれ体感的に速けりゃ「勝ち」です。エンドユーザには、それがすべて。で、IE逝って良しゲイツ嫌~いとかの低次元な感情論でなく、ハッカーらしく頭を使って「じゃあモジラだって同じ手を使えば体感的に速く起動できるのでは?」と、建設的方向に発想してみましょう。この記事の読者なら、OSの起動と同時に立ち上げるには、どうすればいいかくらい分かるはず。

その1、原始的

単にスタートアップにモジラを放りこんでおくだけでも、試してみる価値あるかもしれません。OSのブートは数十秒~数分かかるでしょうから、それがさらに5、6秒伸びても体感的には、あまり気にならないかも。MSの悪口言いまくる暇に試してみてください。モジラが1個起動してれば共有コンポーネントはアクティブなので、2枚め以降のモジラのウィンドウは軽く開くでしょう。つまりIEと同じ立場。

スタートアップがださいと思えば、レジストリの Run のとこに入れたらいいでしょう。

その2、-turbo モード

最新版のモジラでは、ありがたいことに、このトリックがアプリ側に実装されてます。まさにオープンソース哲学、To hack or not to be; that is the program. (とにかくなんとかするか、死ぬか。それがプログラミングだ=ハムレットのパロディ)――IEと同様に高速に起動できないなら起動できるように何とかする、できなければ負け、この厳しい淘汰あってこそ、物事が洗練されてゆくし、IE側ものほほんとしておれなくなるわけです。アプリ側の新機能を使えば、単純にスタートアップに入れるより、ずっと強力……。スタートアップから自分で起動したものは、アプリを終了すれば終了してしまいますが、下記の方法だと、つねに Mozilla はバックグランドで待機していてくれます。

つーわけで、やり方をご説明しましょう。といっても、単に上のワザに -turbo スイッチを足すだけです。このスイッチについては、知る限りではアナウンスされてないので、まだテスト段階みたいです(もちろん開発コミュニティ内部では正式にアナウンスされてるでしょうが、自分は一ユーザなので詳細不明)。単純にスタートアップにふつうにモジラ(へのショートカット)を入れておくほうが、原始的だけどあんがい使えるかも。しかし、-turbo を使うと、OSの起動とともに、ホントに不可視で待機してくれるようになって、おもしろいので、試してみてください。コマンドラインから指定するより、モジラを起動して、「Edit - Preferences - Advanced」の「Enable Quick Launch」にチェックを入れるのが安心でしょう(下の画像参照。-turbo スイッチと完全に等価かは不明)。プライベートなスイッチを直接いじらず、パブリックに公開されてるインターフェイスを使いましょう(微笑)

(画像)設定メニュー

当たり前ですが、このスイッチは即効性じゃないです。次に Windows を起動したときから意味を持ちます。β版なんで、こーゆーときは、さっそくOSを再起動。もしまずいことが起きたら、今の操作が原因と切り分けられるからです。ほかにあれこれやってしまうと、万一、翌日 Windows を起動したとき不具合が起きたら、何が原因か悩むでしょう。

で、再起動したら、今度は「さっそくMozilla が速くなったか試す」のではなく、まずはタスクマネージャをひらいて、何が起きてるか慎重に観察してください。Mozilla のウィンドウが可視になってないにもかかわらず、次のように(画像の下から3行め) mozilla.exe が動いていたら、とりあえずOK。

(画像)タスクマネージャ

ごらんのように、メモリを10~20MB程度、食ってます。ちとメモリーイータ。正式版では、もう少し節約されるかもしれないとしても、環境によっては、無視できない量でしょう。モジラを日常的に使う場合か、または、メモリが最低でも128MBある場合でなければ、この常駐は、やめたほうが良さそう……。それと、メモリリークしてたらいや~ん、なので、とりあえず上の数字はメモしておいてください。

もし仮にここで mozilla.exe が起動してないとしたら、なんかうまく行ってないわけです。(上の画像で、アパッチや EdMax が走ってますが、これは手元の環境ではOSと同時に起動してるやつで、正真正銘、ブート直後の状態です。-turbo がきくと、モジラが見えないにもかかわらず、ホントにこうなります。

では、デスクトップの Mozilla のアイコンをクリックしてみてください。パッと起動するハズです。おおぉ、これは気持ちいい……。――でも、β版なので、安心するのは、まだ早いっす。Mozilla の窓をぜんぶ閉じて、数秒待ってからまたタスクマネージャをチェック。そしてまた Mozilla を起動。――この操作を数回(心配なら10回くらい)繰り返してみましょう。メモリがリークしてます? たぶん問題ないとは思うのですが、もし万が一、常駐プロセスのほうのメモリ使用量がどんどん増えたり、プロセスが2個3個と増殖してたら、なにかまずい事態が発生してます。放っておくとOSがハングするので、常駐解除して、タスクマネージャからそのプロセスを kill してください。手元では20MB程度で止まりますが、ほんのわずかに漏れてるかもな予感もします。環境によっては、βなので多少の不具合は仕方ないです。正式公開版を待ちましょう。フィードバックを送れば数夜後には直してもらえるかもしれません……。

ちょっと脅かすようなことを書きましたが、手元では今のところ問題ないし、たぶん、あなたの環境でも問題ないと思うので、ご安心ください。ただβ版で遊ぶというのは、ゲームで遊ぶのと意味が違うってことで。

注意事項

モジラをインストールする途中でも、「When possible, use Quick Launch for faster startup times」という指定ができるダイアログ(デフォルトではオフ)が出ます。ここにチェックを入れてインストールすれば手っ取り早いのでは? と思うでしょう。たぶんそれでいいけど、なにげに、おすすめしません。べつに試してみて不具合が出たわけでも、モジラのインストーラを疑うわけでもないですが、デフォルト(チェック・オフ)の状態でインストールして、あとから設定メニューでいじったほうがぶなんです。β版なんで起動できないこともよくあるわけで、そのとき、ここにチェックを入れたことが原因なのか、素で起動できないのか、分からなくなるし。

つか、このチェックボックス、初めてインストールしたときに「おっ、これは?」と、なんでも試したがる若気のいたり(いつか大けがするって)、チェック入れてみようかなと一瞬、考えたんですが、そのときなんか「やめたほうがいい」という予感が……。起動できないくらいべつにβ版だからよくあることだけど、Quick Launch ということは何かを常駐させるっぽい。最悪のケースを考えると、ちゃんと起動できないでメモリを食いまくりCPUを100%使ってOSを麻痺させる困ったexeがOS起動と同時に起動する設定になってしまう。そうなったら何度リブートしてもムダ。昔の autoexec.bat だったら、DOS からその困ったちゃんを消せばいいけど、最近のソフトはレジストリの
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Run
なんか使って常駐きめこむことが多いわけで、OSが麻痺したら regedit も正常に機能しないかも……。まぁそうなっても、なんとかすればいいわけですが、めんどっちい。これにひきかえ、あわてて常駐なんかさせなければ、動作が変なら使わなければいいだけ、わやになってもリブートすれば済む話。

というわけで、当たり前ですが、ちゃんと動作するのを確認してから、常駐させたほうがぶなんです。

それと、動作確認がとれ、Quick Launch もうまく行ったとした場合ですが、将来、アンインストールやバージョンアップの上書きインストールでつまずくかもしれません。例えばアンインストールしようとしたとき「モジラは現在、動いてますんで、削除できませんよ、お嬢さん」とか言われたら、「モジラなんか起動してないのになにぬかす」といからず、常駐解除してからOSを再起動するか、またはタスクマネージャで見えないモジラを殺してから、もう一度やってみてください。

まとめ

繰り返しになりますが、モジラは、まだ開発途上のβ版的なものです。無理して今すぐインストールする必要ないです。試してみたいかただけどうぞ。とくに、高速起動については、慎重に……まだ実験的な新しい機能っぽいですし。常駐指定したあとで、万一、なにかの弾みでモジラがちゃんと起動できなくなった場合、スタートアップフォルダにあるショートカットを削除すれば、OSと同時に起動しなくできます。可視的に起動できなくなったと思っても、不可視的に起動してることは(モジラに限らず一般的に)よくあるので、変な感じがしたらタスクマネージャで様子を見てください。

FAQ

「ネスケ」と「モジラ」ってどう違うの?
自分も詳しくは知らないのですが、Mozilla というのは、ある企業の製品じゃなく、世界中の有志のプログラマが協力して開発してるオープンソースのブラウザです。ちなみにソースコードですが、bz2 で圧縮して20MBとかいう猛烈な量です。一昔前のPC(ハードディスク1GB)だったら、ハードディスク全部を使ってもソースがテキストとして入りきらない。ものすごいプロジェクトです。もともとはネスケ4、つまり、ネットスケープ社が公開した Mozilla 4.x のソースを利用したらしいですが、機能面では、もはやネスケ4とは、事実上、まったく別のブラウザ。で、ネスケ6というのは、この「ネットスケープ社がモジラプロジェクトに使わせて、モジラプロジェクトが改良開発したコード」をネットスケープ社が「逆輸入」して、自社製品に採用したものです。単なる想像ですが、開発途中の未完成段階な「Mozilla」をまがりなりにも有名な Netscape の6として一般公開することについては、モジラの開発者としては複雑なものがあったのでは、ないでしょうか。むろん、ネットスケープ社としては、ボランティアな農民を使ってみのった果実をもらうつもりでタネ(ソース)を分け与えたわけで、モジラプロジェクトもこの関係を承知のうえでやってるわけでしょう。
Mozilla 4 の時代に、Mozilla 0.9 とかのバージョン番号が謎です。
Mozilla 0.9 というのは、Mozilla 4.x との連続性でいうと、Mozilla 5.0.0.9 の略らしいです。すると正式公開が待たれる Mozilla 1.0 というのは、形式的には Mozilla 5.0.1 です。なお、現在の Netscape 6.x は、Mozilla 5.0 です。ネットスケープ社が Mozilla 4 のソースをオープンにしたことで生まれたプロジェクトだそうなので、歴史的経緯から、形式上、Mozilla 1 とは Mozilla 5.0.1 のこと……なんですが、Mozilla 4.x(ネスケ4) と Mozilla 5.0.1 (いわゆる「Mozilla 1.0」)では全面的にソースが変わってるようです。ネスケ4以下と互換性はあるけれど、HTMLパーサーとしては、ぜんぜん別次元のもの。というより、もっと強く、「世の中にまともなブラウザがないので、ないものは自分で作るしかない」というのが開発動機に入ってると思います。だからクラシック・テーマをかぶせると「偽春菜」な意味で「偽ネスケ」と言いたくなります(笑) それをぱくった「ネスケ6」の本質をずばり言えば「偽偽ネスケ」。
どっからダウンロードできるの?
http://www.mozilla.org/releases/
Win32 / Mac / Linux ……などのうち、該当するのを。Windows の場合「talkback enabled Installer .exe」というのがインストーラ付き(クリックするだけでインストールできる)。で、ネスケ時代からの問題なのですが、インストーラを使うと、.html とか .jpg とかの関連づけをごっそり奪いまくろうとします。行儀が悪いです。ZIPアーカイブのほうを使えば安全ですが、インストーラでも、Windows Integration というダイアログが出たとき、デフォルトの「Yes」じゃなく「No」をクリックしとけば、だいじょぶです。
インストールしたけど起動できないよ?
現在のネスケ4や6よりよっぽどましとはいえ、β版なんで……。とくに初回起動でつまずくことがよくあります(初回だけクリアしてしまえばあとはOK)。起動できなかったり、起動しても下の画像のように表示が乱れる場合。これはネスケ 6.1 PR1 でもよくなるみたいです。
(画像)正常に起動していないMozilla
初めてモジラを入れるユーザでは、ならないと思うのですが、マイナーリリースのたびにβ版を入れたり消したりしてると、よくなるような……。で、こうした場合(起動できない場合も含む)どうしたらいいか、知る限りではアナウンスがないようですが、経験的にいうと、まずモジラのほうは閉じてから、スタートボタン → Mozilla → Profile Manager を起動して、Profile を削除してしまうと、けろりとなおります。削除のボタンをクリックすると、「メールデータとかもぜんぶ消えますよ。ほんとに消していいの?」と警告されますが、β版の Mozilla 0.9.x を使ってメールを送受信してるような珍しい人でもない限り、そんなの関係ないので、かまわず「Delete Files」をクリックして、Exit したら、もういちど Mozilla を起動してみてください。ネスケ4の Profile をインポートするダイアログが出てから、今度は正常に起動できると思います。たぶんだけど。
起動できたけど、ネスケ4のスキンだよ? あのあわい青灰色のスキンは、どこにあるんですか?
現在、モジラを入れると、初めは偽ネスケのスキン(Classic Theme)みたいです。あわい青灰色の「Modern Theme」に切り替えるには、モジラを起動して、メニューの「Edit - Preferences - Themes」にて「Modern」を選択してから、「Apply Modern」をクリック。「次回起動時から有効です」というメッセージが出るので、いっかいモジラを終了して、もういちど起動してみよう。もしくは、メニューから直接「View - Apply Themes - Modern」も選べます。
IEとモジラ、メリットとデメリットは?
まずウェブページの表示という基本中の基本をみると、標準仕様のうち、IE ならできるが Mozilla は未サポートなことも、いくつかあります。多言語対応もIEのほうが上。しかし、Mozilla がちゃんとサポートしてるけど IE は未サポートなものも多いです。<q> の引用符とか、<abbr> とか……。あと、font-family に例えば、英語用フォントと日本語用フォントを並べて書いた場合、Mozilla だと、英語用フォントにある文字は英語用フォントになって、ない文字は指定した日本語用フォントになります。これが仕様書通りの動作ですが、IE は、そこまで器用じゃないです。細かい点では、<caption> も IE は一部、未サポートですが、モジラはキャプションを表の下につけたりもできます。さらに細かな技術的な面でも、Mozilla のほうがしっかりしてます。
またIEになくモジラにあるべんりな機能として、PDFファイルやOperaみたいに、ページのフォントサイズを簡単かつ大幅に変えれるってのがあります。例えば、一般的な大きさのモニタで解像度が1000や2000だと、妖精現実の文字は大きすぎると思うかもしれません……こちらでは文字の大きさなど指定してなく単にピクセル数を指定してるだけなので、文字の物理的な大きさは、読者側の Px per Inch の問題ですが、ともあれ、そういうときには [Ctrl]+[-] を叩けば、どんどんフォントを小さくできます。逆に、文字が小さすぎて困るサイトでは、 [Ctrl]+[+] を叩いて、読みやすい大きさにできます。
ブラウザというのは、HTMLやCSSの表示だけでなく、いろいろな側面を持ってます。Windows 環境に関するかぎり、シェル(エクスプローラ)と連続しているIEは、やはりべんりですし、OSと合体していればこそのワザも使えます(それがまたセキュリティホールの原因ともなりうるのですが)。結局、各自が総合的に判断するしかないわけです。例えば、IEの自動プロキシ設定を用いてローカルプロキシ経由でウェブを見てる場合とか、IEの右クリックで iria を呼びまくってる場合とか、メーラとの関連づけ……などなど、ほかのソフトとの連携を考えると、W3C標準準拠だから使え!つーのもまぁ一般的にいえば短絡でしょう。ソフトというのはユーザが作業するためにあるツールであって、デ・ファクトなユーザの作業効率こそ核心であって、デ・ジュレなHTML文法は無視していいわけじゃないけど第一優先とも言えない面があります。
標準を守らないブラウザがあると世界中の人が迷惑すると思うのですが?
W3C、RFCの「教典」を絶対運命黙示録と思っておられるかたがたの信仰の自由を否定するつもりは、ないです。というより、自分自身、どっちかというと、「くさっても標準準拠、どのブラウザでも仕様書通りに表示されることが保証されるのは有り難いこと。早くそうなってほしい」と思ってます。それを前提として――
例えば、世界中の言語を英語に統一してすべて英語でやりとりするようにしたほうが、長期的には効率的かもしれないですが、現状のデ・ファクトで考えると、移行コスト(世界中の人に英語を覚えてもらう)があまりに大きすぎますし、いろんな言語で書かれた過去の資産が使えないのも好ましくないこと。W3C標準への統一もある意味、それと似てます――というと、極論すぎると思うかもしれないけど、やるなら大きな時間コストを覚悟し、充分な移行期間を設けないとできない、急には無理、という趣意です。「テーブルで平面デザインをしたりする邪悪な異教徒」(笑)を強引に改宗させようとしないことが、かえって良い結果を生むでしょう。
極端な話、もし仮に「UAはfontタグをサポートしてはならない。fontタグがあったり、liが閉じていなければそのページをレンダリングせずエラーメッセージを出さなければならない」というおふれが出たとして、んなのブラウザ開発者も一般のウェブ作者も絶対、拒絶するでしょう。ネスケ排斥どころか逆にW3C排斥運動が起きます。これは極端すぎる非現実な話としても、あんまり急に変えようとしすぎると、変わるものも変わらない(そこがW3C勧告のディレンマでもあるのでしょうけど)。
形式的なことが好きなかたなら「HTML 4.01 Strict や XHTML 1.1 ……というより、自分でタグを作れる XML ですべて統一できたら、どんなにべんりで気持ちいいか」と思われるでしょう。アンカーに name なんかじゃなく id で書きたいと思うでしょう。自分もそのひとりです。が、途上国で古いブラウザを使わざるを得ない環境の読者とかもおられることを思えば、できる限り後方互換に配慮するのが筋でしょう。とりわけ世界に向けて書いているページでは。形式でなく実質において本当にアクセス性向上を考えるなら、accesskey だなんだより「悪しき」テーブル・デザインのほうが百倍、効果があります。実際、accesskey がないと困るという手に障害があってポインティングデバイスを使えない読者より、float 属性を使われると困るネスケ4ユーザのほうが圧倒的に多いでしょう。――ただ手の障害は本人にはどうしようもないことですし、アクセスキーのサポートは今後、増えると思いますが、ネスケ4なんかは本人の意思しだいで、きょうにも使うのをやめられるわけで、ネスケ4での表示の乱れは無視します、ネスケ4はサポートしません、というサイトが今度、増えることも確実です。つまり、似た面もあるけれど、やはり同列には語れない問題です。
――そうは言うものの、例えば、国外避難生活の状況を伝えるフォトレポートのページなんかは、クールな XHTML で書いて書き手がいい気分になることより、現地でもちゃんと見れるということのほうが、はるかに大事。ネスケ4や古いブラウザでもそれなりに見やすいレイアウトになるようにtableでも何でも迷わず使う、文字色を変えたければfontを使う、背景色はbgcolorと書く。この観点は現実的にどうしても否定できない。途上国にむけて実際に発信する立場に立てば、そう思うはず。――
ともあれ、Mozilla の台頭と同期するようにIE側も標準準拠を前より真剣に(後方互換性を犠牲にしてまで、というレベルで)考えるようになったことなど、IEの好敵手であることは確実。この競争は、プラス面のほうが圧倒的に多いでしょう。標準準拠と言いながら、現状、モジラは、text-align: justify が未実装。仕様書では「義務的」じゃなかったかもしれないけど、IEには実装されてる。結局、現状は一長一短。
IE と Mozilla はそれとして、Netscape は、どうなるんでしょう?
モジラの生みの親だし、そもそも Mozilla はオープンソースなのでネスケ社が偽モジラを出す権利は、あるわけですが、Activation と称してユーザ登録(個人情報提出)を強制し、ユーザ登録しなきゃ使えない感じで無理やり自サイトに呼び込んでおいて「我が社のポータルは、たくさんのユーザが登録してアクセスしています」と言い張るあたり、なんか終わってるような……。MSは嫌いだからネットスケープ社の製品を使うというかたもおられるようですが、両社、どっちもどっちという気がします。
セキュリティ面でも、ネスケのブラウン・オリフィスはブラウザ史上最悪の大穴だし、CSS対応のでたらめさもさることながら、起動終了した瞬間にブックマークを破壊するというとんでもない大バグを作っておきながら修正パッチや謝罪はおろか、告知もしないあたり、まともなユーザがネスケを捨てたのは当然でしょう。MSを好きでない人ですら、ネスケに比べればIEのほうがいいと思ってしまう現実。べつに排斥運動なんかしなくても、ダメなものは自然と自滅すると思うし、そうあってほしいものです。

Mozilla 0.9.2 追記

2001.07.12 「Mozilla 高速起動法」は、それを書いた当時の速報のため、現在の最新のビルドと微妙に異なる点があります。すぐ下にあるように、最近のは常駐させるとタスクトレイにアイコンが出ます。ややこしいことに、安定系(Trunk)「0.9.2」にも、複数のビルドがあります。Mozilla 高速起動法の記事で紹介しているのは、2001.06.28の「0.9.2」ですが、現在の最新は2001.07.11の「0.9.2」です。さらに、開発系(Nightly)として、「0.9.2+」が併存し、その最新は現在2001.07.10のビルド(いずれも Windows版の場合)。

2001.07.12 「Mozilla 高速起動法」は、それを書いた当時の速報のため、現在の最新のビルドと微妙に異なる点があります。ややこしいことに、「正式リリース」(milestone release)「0.9.2」と同じバージョン表示「0.9.2」を持つ複数のビルドがあり、さらに、推移的なバージョン表示「0.9.2+」を持つビルドも併存します。Mozilla 高速起動法の記事で紹介しているのは、2001.06.28の「0.9.2」です。現在の最新は2001.07.11の「0.9.2」です。「+」がつく「0.9.2+」の最新は現在2001.07.10のビルドです(いずれも Windows版の場合)。いずれも、リリース当初の0.9.2と異なり、すぐ下にあるように、常駐させるとタスクトレイにアイコンが出ます。

これまで、Netscape 4.x の Profile を変換してインポートした状態の画面をご紹介してましたが、Mozilla で Profile をゼロから作った場合、Netscape に(初めから勝手に)うんざりするほどついている商業的なブックマークは、なくなります。そのかわり、Netscape で使っていたブックマークなどもインポートされません。参考までに、Profile を新規作成した場合の画面例――Netscape から引き継いだ場合にくらべて、ツールバーがすっきりしてます。3段めに「ホーム」と「ブックマーク」のほか、Mozilla.org のリンクが2つあるだけです。

(サムネイル)
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(画像)mozilla アイコン 2001.07.09 Mozilla -turbo 続報: ちかごろのビルドは常駐させるとタスクトレイに入ります。ちょっぴりかわいい☆(→Mozilla 高速起動法

(画像)モジラが常駐しているタスクトレイ

で、タスクトレイのモジラのアイコンをWクリックすると、最大化。モジラの窓が一枚も開いてない状態でタスクトレイのアイコンを右クリック→ exit すると、いつでもそのセッションでの常駐を解除できるので、前より安心して試せるでしょう(次回起動時以降もまったく常駐させないようにするには、設定メニューから Quick Launch をオフにしてください)。現状、モジラの窓がひらいてるとタスクトレイの右クリックから exit できないみたいです。不可視で待機してる「裏モジラ」と可視ウィンドウのモジラは実際には同じプロセスなんで、可視ウィンドウがある状態だと裏モジラは閉じれないという原理ですが、将来的には、タスクトレイで exit することでモジラをすべて閉じれるようになるのかも。

OSの起動と無関係に手動で常駐させるには、次の例のようなショートカットを利用することもできます。
実行ファイルがある場所を、C:\Program Files\Mozilla.org\bin とすると……
作業ディレクトリ:"C:\Program Files\Mozilla.org\bin"
コマンドライン:"C:\Program Files\Mozilla.org\bin\mozilla.exe" -turbo
前にも書いたように、-turbo というのが「裏モジラ」モードで起動するための隠しスイッチになってます。ターボと言っても、起動自体を本質的に高速化する「ターボエンジン」じゃなく、裏で起動して待たせておくもので、ふつうに起動するのと同等のメモリを食う点にご注意ください。GUIでは Quick Launch という名前になってます。

Mozilla 0.9.2 追記2

すぐ上の追記の「trunk」ということばの使い方が変だったので、直しておきました。細かい点かもしれませんが、せっかくフィードバックをいただいたので……。「0.9.2」というバージョン番号は安定系で、「0.9.2+」という「+」がつくバージョン番号は開発系だろう――と思ってたのですが(と言いたかった)、この点も、なんか微妙に違うらしい。といっても、あのメモ書きの主題は、「最新のビルドは、Mozilla高速起動法の記事の内容と、少し変わってるので注意!」というだけの話なので、一般読者の立場からは、そのへんの細かいことは、あまり気にする必要もないでしょう。

で、一般ユーザの立場からすると、「要するにどのビルドが良いのか?」という疑問になると思うのですが、結論からいうと「どれがいいとも言えない」です。開発版だから仕方ないことですが、「正式リリース」されてるバージョンに大きなバグが残ってることもあれば、「正式リリース」でない推移的なビルド(日付が最新のやつ)でそれが直ってることもあるでしょう。いまいちばんいいビルドも翌日さらに改善されるかもしれず、他方、きょうのビルドで変なバグが入っていてきのうのビルドのほうが良いかもしれません。「正式リリース」版は直前には大きなコード変更をしないように開発を凍結(freeze)させるので、致命的なエンバグが含まれる可能性が少なく、その意味では、ぶなんな、より一般向けの選択と言えます。でも、「正式リリース」よりその直後の中途半端なビルドのほうが、バグがつぶれてることもあります。

「正式リリース」といっても決してふつうの意味での「安定系バージョン」じゃなく、あくまでマイルストーン・リリース――開発途上の一里塚にすぎません。Mozilla 1.0 以降が出るまでは、ぜんぶβ版と思ってください。Freeze させるといっても、コード変更を完全停止してから「正式リリース」するまで非常に短いテスト期間しか設定されてないようです。個人的には、推移的バージョンであっても、今のモジラはネスケ6なんかに比べれば充分に安定していて実用にたえると思いますが……。(というか、ネスケ6も「正式リリース」なわけですが)

Help メニューのバージョン情報画面より‥‥

Mozilla 0.9.2 (Gecko/20010628)
Mozilla 0.9.2+ (Gecko/20010710)
Mozilla 0.9.2 (Gecko/20010711)

Mozilla のバージョン表示は、いろいろややこしい。Gecko/2001MMDD とある日付に注意すると、「0.9.2+」のほうが「0.9.2」より古い、という直観に反する状態になってることが分かる。「0.9.2 となってるのは安定系のマイナーリビルドで、 0.9.2+ は開発系のことだからこれでいいのだろう……」と勝手に納得してたら、どうもそういうわけでもないらしいです。まぁ、エンドユーザの立場からは、実用上、どうでもいいことですが……。

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