4 : 06 英語でチャット

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「アメリカ人とのチャット」対訳版

2001年11月23日
記事ID d11123a

英語について

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[af] アフガンねた

2001年11月23日
記事ID d11123

2001.11.23

それなりに平和な生活を回復していた多くの町を、介入した諸国の軍隊は、ふたたび滅茶苦茶にした。この点は評価が分かれるだろう。必ずしも好ましいとは思えない。しかし「最後までやり通す」つもりがあるのなら、まだ良い。――いちばんまずいのは、また中途半端で引き上げてしまうことだ。10月2日の記事でも書いたが、むしろ占領して、統治してもらうくらいのほうがありがたい。ここまで来たら、やり通してもらうしかないし、たぶんそうなるだろうけど、「湾岸戦争」がそうだったように、だれも見ていないと思うと軍事も政治も暴走する面がある――当時と違って、今は「ネットが見ている」ので、それが潜在的に大きな抑制力になると思う。

自分で壊しておいて、「タリバン崩壊後の」なんて自然崩壊したみたいなくちをきくのは、いくらなんでもおかしいし、難民対策だの復興支援だのいうが、進軍しなければ難民は流出しないし、爆撃しなければ町の復興なんて悩まないでいい。けれど、壊しちまったもんは仕方ねー、善後策を考えるしかない。例えばアメリカの置きみやげのクラスターボムのばらけた不発弾を、どうやって除去するか。撒くのも除去するのも無駄な出費だが撒いたからには除去しないと困る。踏むと爆発するらしいから。

ともかく、今、アメリカが安易に手を引くといちばん困るのは現地の普通市民なのだ。「前回と同じ」になってしまう。意味も分からず「戦争反対、アメリカは即時撤退せよ」などと言っているかたは、この点も考えてほしい。

説明

諸国がアフガニスタンに対してしようとしていることは、うまくすれば、実際にアフガニスタンに住む諸民族にとってプラスになる部分も多い。そういう部分を最大限、確保するとともに、その裏で先進国などが、現地にとってフェアでないとりきめなどをして暴利をむさぼり現地がこれ以上、理不尽なつらい目にあわないよう、さめた目が見つめていれば役立つ。そもそも今回の軍事行動も、もう少しまともな情報が行き渡っていれば、あり得なかった。まさに「民主的に」国民が支持したのだから。「報復と称して、資源的野心から、終わりかけている内戦の火に油をそそぐような軍事介入など、言語道断。もしそんなことすれば確実に大統領職を失うだろう」という考えの人が多数派なら、こんな決断できなかった。――反政府側のマスードが死んで、本当に内戦終結したかもしれなかったのに。――

へんな話だが、アフガニスタンの諸民族は、ちょうど迫害されたユダヤ人のように、結果として(物質的には)良い方向に行くかもしれない。「過程」がむごすぎるが、これだけ理不尽にいじめると、世論もやや同情にかたむく。見殺しにするしかないやるせなさの罪ほろぼしに何かしたいという人も出てくる。もとより情報がある層でアフガンに対する6+2の2を支持する者は、ほとんどないが、今回のことはアメリカが狙っているのと逆の意味での一般に対するショー効果もあるようだ(それも分かっていて見切ったのだろうけど、相手が計算に入れた「大衆の愚鈍度」は、変化するパラメータだ)。

進軍側のおもわくは、たぶん「たくさん金を使って軍事行動を起こしたのだから、カスピ海の資源関連の権益は、たっぷりいただきたい」。被害側からいえば「町を破壊されて、そのうえパイプラインの利権もとられて足台にされて、あとは放置では、かなわん」と言いたいところだが、これほどやられた被害者心理としては、焦点の合わないうつろな目で「爆撃が終わるなら、何でもいい……」かもしれない。軍事行動自体でさまざまな「成果」をあげたけれど、ここまでやらかしたら、ついでにとれるものは何でもほしいだろう。けれど、どうケリをつけるか難しいのは、誰が見ても明らかで、なにより当事者は良く分かっている。そして……ユーゴを見てもコンゴを見てもパレスティナを見ても、アメリカは外交が下手。腕力があると、だいたい、ねばり強く交渉するのが下手だろう……第三者の立場の諸国の助けが必要だが、アフガニスタンごときのためにアメリカとの外交関係を犠牲にしたい国は恐らくないだろう。

2つの不安要素

もとをただせばラディンが初めの(そして昔からの)口実だった。口実だからどうでもいいようなものの、慎重に処理しないと「ただの便宜上の口実」では済まされなくなってくる。あれこれで支持者たちは態度を硬化させたろう。

「容疑者を秘匿するのは容疑者と同罪」というのは暴論で、裁判を受ければ死刑になるような重大な犯罪者をかくまっても、日本の刑法の場合で考えても最長でも懲役2年にしかならないし、事情によっては刑を免除される。身内(親族)であるとか、聖職者が教会に来た犯人をかくまった場合とか。「死刑犯」をかくまったから、おまえも死刑だ、などというのは、現代のまともな刑法では、あり得ず、だからこそ「彼らには普通の裁判を受ける権利は、ない」などと、めちゃくちゃの上塗りを重ねているのだろう。言い換えれば、まともな裁判では有罪を立証できない可能性が高く、実際、今回はラディンは関係ないのかもしれない。……ただ、この点は、もう暴論を押し通してしまった以上、今さら無思慮に止めるのは、かえって良くなく、めちゃくちゃな論理だけれど、そのまま進んでもらうしかない。

「元アンティ・タリバン」も怖い。彼らは、会議には招かれているが、政権をまるまる与えられないことは、ほぼ確定している――。タリバンは少なくとも何割かの地元の支持があったが、アンティ・タリバン側は、国際的にも現地的にも信頼されていないようだ……。

ここに一枚の写真がある。BBCが11月19日の記事の一部として流したものだ。

爆撃機から爆弾を投下されたのか、大きなキノコ雲。それが山のむこうに見える。眺めているのは反タリバン側の若者だ。キャプションによると、クンドゥズ付近が爆撃されているのを撮影したもの。そしてこの記事を信じるかぎりでは、米軍は、タリバンが秩序を回復した町をふたたび滅茶苦茶にしているだけでなく、反タリバンの抵抗ゲリラが支配してる側の町も爆撃しているという。事実とすればこれは暴走で、十年後、二十年後の「結果」が怖い。「ラディンをかくまうアフガン政府(タリバン)を攻撃する」という口実だったのに、アンティ・タリバン側まで爆撃するにいたっては、もはや「口実の面ですら」何の正当性もない。将来的にタリバン、元タリバンは、おとなしくなるかもしれないが、戦闘しか知らない元アンティ・タリバン側のゲリラ兵は、満足な発言力を確保できなかった場合、タリバン側のしわざに見せかけてとんでもないことをしかねない。これまでの口実の使い方からすると、各国はアンティ・タリバン組織の犯罪を非常に取り締まりにくい状況だからだ。――

付記

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