で、この記事に引っ掛けられる読者が続出、と。
氏家さんの発言を、もう一度、冷静に読み返してください。メディアが「知の格差」を作り上げたのか、それとも視聴者が自ら思考停止を望んできたのか。多くの視聴者は自ら情報の判断を外注に出す選択をしているのに、なぜか高いプライドを持ち続けて自分の本当の姿に気付かない人も少なくないらしい。鏡を見せられてさえ、マスコミに責任転嫁して精神の安寧にしがみつく。IT Pro の事例が示す「事実」は何か、よく考えてほしい。
そして、この記事のタイトルは本当に事実から導かれる結論なのか、それとも庶民にとって耳あたりのよい空想の物語なのか、検討してほしい。
CK さんの記事こそ「ブログの読者やはてなブックマークの利用者なんて、こうやっておだてておけばイチコロ」という内容なのです。例の B 層問題とか、白燐弾は化学兵器とか、人権擁護法案は平成の治安維持法とか、ネットに生き、常に複数のチャネルからの情報を得て、その価値を自ら判断して、情報のポートフォリオを管理している私たちネット人
に自省を促す事例には事欠きません。
夜郎自大、自戒すべし。
関岡英之「拒否できない日本」などでも話題の日米規制改革および競争政策イニシアティブに基づく日本国政府への米国政府要望書、Wikipedia でさえ実際には日本社会の改造指令書というべきもの
なんて書いているくらいで、Google で「年次改革要望書」と検索すると、アメリカが日本を滅ぼそうとしているんだという陰謀論がガンガン出てきます。
テレビで話題になったのは9月以降だったと記憶していますが、ウェブでは8月から大いに話題となっていました。それで、「政府の嘘やマスコミが報じない真実が簡単に手に入るのだから、ウェブはやっぱりすごい」みたいなナイーブな意見があちこちで書かれていたことを覚えている方も多いでしょう。
さて、「日米規制改革および競争政策イニシアティブ」とタイトルにある通り、改革に勤しむのは日本とアメリカ、両方なのです。そしてアメリカが日本に要望書を示しているように、じつは日本国政府もアメリカに対して要望書を示しています。
日本はこれほど多くの要望をアメリカに突きつけているのです。長大な4年目の成果報告(原本)から明らかなように、日米双方がお互いの要望の多くを受け入れて改革を進めています。
かつてジャパンアズナンバーワンなどといわれた頃には、アメリカが日本の属国になるとかいう陰謀論が向こうで流行り、日本系ロビイストの「暗躍」が問題視されました。道具は進歩しても、人は進歩しません。
岡田斗司夫さんが以前、「考えるのが評論家の仕事、一般人に頭を使わせるな」と主張されていました。一理あります。ただし、たいていの問題は価値観闘争に帰着しますから、結論は多数決で決める他ない。となると、知識人が「みんなも考えてね(=私の意見に賛成してください)」と訴えるのも無理からぬ話です。