趣味Web 小説 2006-05-13

報道の抜け道:平塚5遺体事件の「真相」

平塚5遺体事件、先日の高校生が中学生を殺害した事件と同様、どうも報道向きでない事情を多々抱えた事件のようであり、早々にフェードアウトしていくだろうと予想していたのですが、今週のワイドショーでダントツ1位の放送時間となったとのこと。私には視る暇がないのだけれど、どれくらい踏み込んでいるのだろう。

この手の事件について情報がほしければ週刊誌を読めばいい、というか、週刊誌を読むしかない、というのが従来は相場だったと思う。1誌あたりせいぜい70万部しか売れない(ワイドショー系)週刊誌はニッチ媒体だけに、倫理基準を緩く設定して、人々の下世話な興味を満たすため頑張っています。テレビ局はニュースとワイドショーの使い分けでうまいことやっているとはいえ、やはり数百万人が視聴するだけに基準が厳しい。今でも、そう変わっているとは思えないんだけどな……。

で、その週刊誌さえ平塚5遺体事件では逮捕された50代女性が19年も育てた娘を殺してしまった理由を書いていない。まあ、書いてないけどいわんとするところはわかる、ようにはなっているのだけれど。でまあ、こんなの、テレビでは無理だろうな、と思っていたわけで、肝心な部分を報道もできないのにテレビがいまだにガンガン取り上げ続けていたことを意外に感じたわけです。

そして今日付けの産経新聞朝刊を見て、驚きましたね。産経新聞は一般紙のはずなのですが、ズバリ書いていたのです。もっとも、記者の原稿ではありません。WiLL 編集長・花田紀凱さんによる「週刊誌ウォッチング」というコラムです。以下、後半部を引用。

肝心の千鶴子容疑者と首を吊って自殺した義理の息子山内峰宏氏、岡本利加香さんの関係についてはどこもハッキリ書かない。

『週刊朝日』(5月19日号)が「ただならぬ関係」、『週刊新潮』(5月18日号)が「禁断の親子関係」、『アサヒ芸能』(5月18日号)でさえ、「異様な関係」と逃げている。

千鶴子容疑者と峰宏氏の関係は『新潮』によると「19歳も年下の、義理の息子との関係を表沙汰にはできない」。

一方、峰宏氏と利加香さんの関係については『アサ芸』が峰宏氏の遺書に「死にたい。一緒にさせて」とあり、利加香さんも母親との口論の際、「一緒にいさせて」と言ったと二人の関係をニオわせている。

そう、この事件のキイ・ワードは「三角関係」なのだ。

なのに、週間各誌(ワイドショーも)が、他のことはかなり踏み込んで書きながら、「三角関係」という言葉だけは頑なに使わないのが不思議だ。

利加香さんが20歳だったら書いていたのかもしれない。あと、現代日本社会のタブーがどこにあるのか、という点で興味深いと思いました。週刊誌まで足並みそろえての自主規制、見事なものです。そして、産経新聞を見て、こんな抜け道があるのか、と感心もしました。

ちなみに5月9日付産経新聞朝刊掲載の「正論」欄は聖学院大学客員教授・作田明さんの担当で、タイトルは「風説に過ぎない日本の治安悪化」でした。有料会員ならウェブで読めますが、無料では公開されていません。花田さんのコラムも同様です。無料で公開するとクレームがうるさいのかもしれない。テレビもそうだけど、タダで見てる人間が一番口うるさい、という印象はあります。

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