素朴な実感として。テレビ放送の録画をはじめたら、DVDのレンタルをしないようになりましたね、私の場合は。年間数百枚のDVDとCDをレンタルするヘビーユーザーだったので、数ヶ月は逡巡しましたけれども、結局のところ、録画したものを視聴するだけで時間切れになることがわかったのです。
オンラインDVDレンタルの発送希望リストに入れたものの、たいてい貸出中になっていた「相棒」シリーズは、テレビ朝日の再放送でほとんど視聴できました。名作映画はテレビ東京が昼間に放送してくれています。私はあまり興味ないけど「CSI」「プリズンブレイク」「24」「HEROS」みな地上波で放送してます。
だからもう、録画しまくって、時間の許す限り見ても見ても見切れない。
以前、Gyao@Showtime を紹介したけど、じつは半年以上、利用していない。
映像と音楽のコンテンツにDVDレンタルを中心として月平均2万円くらい浪費してたんだけど、チューナー2つとHDDで4万円くらいかけてW録画できるようにしたら、月平均2千円くらいに激減。これが半年続いてる。1.8万円×6ヶ月で10.8万円の節約になったから、1.7万円の除湿機を買った。貯金ばかり増やしても仕方ない。
しかしまあ節約といえば聞こえはいいが、ようするに金を払わぬフリーライダーになったというだけの話。録画ができなくなれば私はまたDVDのレンタルなどを再開するに違いなく、私的な録画に補償金が必要という意見に、私は説得力を感じる。
ただ個人的には、補償金よりDRMの方がいい、と思っています。計画経済より市場経済がいい。自在にDRMを設定し、いちばん儲かるような規制方針をコンテンツ毎に探求できる社会なら、市場が最適解を見つけてくれるでしょう。
テレビドラマなどレンタルDVDや映像配信の需要が見込める番組は1次コピーも禁止、バラエティ番組はタイムシフト視聴のみ許可、とかね。バラエティ番組もDVDで傑作選が出たら、DVD収録に収録された回は視聴不能になる(笑) 案外、それくらいの厳しい制限が、市場の答えかもしれないよ。
まあ、やってみなきゃわからない。わからないと思うから、計画経済ではなく市場経済を推すのです。
タイムシフト視聴が嫌われる理由は、CMの効果が落ちるから。テレビ放送の「ガンダムOO」や「コードギアスR2」のCMには、Gyaoやbiglobe動画が登場する。もう自分で録画する必要ないんだよ、という宣伝。CMで成り立ってる無料の動画配信サイトがテレビCMを打つ、シュールな感じ。すごい。
オンラインの無料動画配信を利用してみると、CMを早送りできないことに気付く。なるほどな、と思う。確実に見せられるCMなら、高い広告費を取れるわけか。
1次コピーすら禁止した方が権利者の利益になる、と予想する根拠のひとつがこれ。動画配信がポピュラーになれば、1次コピーを禁止してもタイムシフト視聴の需要は満たせるし、しかも今より儲かる。私的録画禁止でも9割方の視聴者は歓迎すると思う。録画予約の面倒や録画ミスの悲しみから開放されるのは嬉しい。
例によって例のごとく「声の大きな少数派」の激烈な抵抗が予想されるが……。
明日から、半年後から、というのは時期尚早としても、10年、20年後には、一般家庭からテレビ放送の録画機が消え去ってもいいんじゃなかろうか。