趣味Web 小説 2009-12-08

難読名が多い時代を生きる知恵

1.

命名が「フリーダム」なのは昔からなんじゃないかな。歴史小説とか読んでいて、振り仮名がないと読みようのない名前がずいぶん多いな、と。私はそう思っているのですけれども。

ちなみにリンク先記事のキーワードとなる「有職読み」は「ゆうそくよみ」と読みます。かつて実名である諱(いみな)は軽々に口に出すものではなく、本来の読み方を避けるために音読みしたのです。ところが明治3年に諱と通称の併称が廃され、戸籍名に統一されて以降、単純に読みにくい名前を音読みするという使われ方が広まってしまった、という経緯があります。

諱は他人に呼ばれない名前だから、難読で不都合なかったんですね。その代わり、通称の方はふつう読みやすい名前だったんです。それを戸籍名に統一したときに、諱っぽい戸籍名にした人と、通称っぽい戸籍名にした人がいたわけ。だから明治時代って難読名の人がたくさんいるんです。有職読みが変化して広まったのにも理由があるのですね。

その後、戦後に人名用漢字の制限が行われたように、通称っぽい戸籍名(がいいよね、という考え方)がいったん天下を取ったと。それが今また、諱っぽい戸籍名が増えつつある、などと考えることもできるんじゃないでしょうか。

2.

ま、「有職読みが失礼にならない文化を復活させよう!」などと望んでも、今日明日の生活の足しにはなりません。当面は個人的な心がけでしのぐしかない。

以下、私がここしばらく実践しているライフハックをご紹介します。

  1. 自己紹介はフルネームで行う。
  2. 一見簡単に読めそうな漢字の名前でも、一律で「失礼ですが」と名前の読み方を訊ねる。

私の仮名の「徳保隆夫」も「とくほ」で迷われる方が多いらしい。本名の方は、一層そうらしくて。苗字は平凡ながら、名前の方がですね。よく考えれば他に読み方のない名前ながら、珍しい音の名前なので「本当にこれで合っているのかな」と腰が引けてしまうようなのです。

小さな親切運動というのがありますが、私の場合は「フルネームで自己紹介することが小さな親切の第一歩だなぁ」と思っています。

では相手の名を訊ねる方はというと。

相手が怪訝な顔をしたら、「じつは、お名前の読み方では何度も失敗をしておりまして。必ず一度はお名前を直接に確認することを心がけているのです」と率直に話してみてください。私の経験では、「いやぁ、いわれてみると私も失敗したことがありますよ!」なんて話が弾むことが多いですよ。怒られた経験は皆無です。

個人的にはこれで困っていないということもあり、政府が有職読みの復活キャンペーンをやることには、賛成しません。それが真に国民生活に資するものなら、勝手に広まりますよ。上から文化に手を入れる、という発想には慎重になった方がいいと思う。

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