趣味Web 小説 2011-09-23

新人教育は面倒だからこそ自分を追い込んで取り組む

1.要約

刑事や営業現場などを描いた作品には、新人が先輩の後ろにくっついて数ヶ月間歩き回り、先輩の仕事ぶりをひたすら観察し続ける場面が登場する。個人的には、理に適った教育法だと思う。デスクワークも同様に、研修中はひとつの机に先輩と新人が椅子を並べて仕事をするのがよい。また、新人は先輩の仕事の一部の下請けをして、新人の作業が止まると即座に先輩が困窮する仕組みとすると、コミュニケーションが促進される。

2.

「なんでもかんでも、調べずに考えもせずに、全部訊こうとするなー」とも、「時間ももったいないし、いつまでも考えてないで、先輩をうまく利用しなよ」とも言える。その間のどこに線引きするの?と言われたら、「ケースバイケース」としか答えようがなかったりします。

先輩と新人の距離を物理的に縮めることで、この手の問題はだいたい解決できる……という話は「質問できない新人」の簡単な指導法(2009-11-18)に書いた通り。この機会にもうひとつ、オマケで付け加えるなら、「右も左もわからない状態の新人に与える仕事」の選び方がポイントになると思う。

結局は新人教育の優先順位ということになるのだろうけれども、新人といえど、人員というのは毎月30万円くらいが吹っ飛ぶ高額設備。これを動作不良のまま放っておくことの損失は大きい。見えやすい小さなコストに惑わされず、新人教育には「損して得とれ」の精神で臨むことが重要だと思う。

教え育てる場面に「対話」の存在は必然だったのです。「ちょっとググればわかるのに」と言ってしまうことで、そういう対話の機会を断ち切っている可能性があります。

私は田中さんがこう仰っていることに賛成。そして、「新人が適切な質問をしない」ことより「先輩の放任主義」の方が問題だと思っている。何も教育せずに、ただ待っていたって、凡人が成長するわけがない。

自発的な対話をサボる言い訳に事欠かない先輩が、新人にコミュニケーション不足の責任を全部被せるのは無責任。対話が面倒くさいのはお互い様。先輩は忙しいからこそ、積極的に新人に話しかけざるをえない状況を、自分で作っていくべきなんだ。

先輩は、自分の仕事の一部を、新人に下請けに出す。下請けに出す仕事は、最初はきわめて小さな単位とし、1時間後には「できた?」「できてないとしたら、どこで引っ掛かっているの?」と問うていく。サクサク進めば1時間で終わる仕事を20くらいこなしたら、たぶん1週間が過ぎている。

その後は、小さな仕事の組み合わせで、2時間の仕事、3時間の仕事を発注していく。新人が作業を終えないと自分の首が絞まる。怒鳴っても成果は上がらぬ。こうなると、腹を括って時間を作り、手取り足取り教えるのが、長い目で見れば結局はいちばんいいとわかってくる。頭ではわかっていても身に沁みてわかるまで面倒なことから逃げ続けるのが人間。気楽に始めて自分を追い込み、いちばん面倒なことを、きちんとやるのだ。

新人さんは、初歩的なところで躓いていることが多い。「書類がどこのプリンターから出力されたのかわからない」「この書類、パンチで穴を開けちゃっていいのかな……」とか。そんなもの、イチから自分で調べるのは時間の無駄。場当たり的に吸収するしかない知識は出てきた順に詰め込む、「調べ方」のコツがあればそれを教える、といったことを、可能な限り教えていく。

新人の面倒を見ることになってからしばらくは、毎日最低でも30分間くらいは、新人に向かって何かを説明している時間でないとおかしい。目くらましのような小さな戸惑いと躓きを数百個潰すと、ようやく本格的な課題が見えてくる。新人をその地点まで導くことが、当面の目標になる。

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