運命の手から逃れるのは困難だが試みる権利は誰にもある
2001年9月11日にアメリカ国内で起きた航空機事故(ハイジャック&建物への体当たりによる抗議の意思表示と考えられている)を発端として、米国が中央アジアや中東地域への軍事介入を行おうとしている問題。とりあえず、アフガニスタンを攻めてアメリカにとってつごうのいい政府を樹立しようとしているようだ。一度は挫折した「第二次グレートゲーム」へのカムバック。一方において、航空機事故については、本気で「アフガニスタン政府」が犯人だと信じる者は少ないだろう――ましてやアフガニスタンの一般の住民は、まったく無関係。他方、アメリカが何らかの「対応」をすることは当然と見られる。したがって、どこまで非論理的なごり押しや「強引な理屈」が自国民や世界に支持されるか、いいかえれば世界の人間のお人好し加減はどのくらいか、多くの米国民も理性では筋違いと分かっているようなのでそのへんの揺れ、アメリカのホンネと建前、すごんでみせる態度と無意識の不安のせめぎあいが、みどころ。
また、軍事行動につきものの、自分を美化し「敵」をはずかしめる「大本営発表」も楽しめるだろう。「湾岸戦争」でもヤラセ続出があとから判明しているが、今は情報が高速化しているネット時代なので、もっとリアルタイムに見れるだろう。
アメリカは「なぜそれほどまでの怒りを買うのか」という点から国民の目をそらし、「敵は破壊活動家だから破壊のための破壊を行う。理由などない」とか「宗教的な狂信のための犯行である」などとしきりに示唆するが、最近の国際情勢を少しでも知る者からみると、まるで説得力がない。アメリカ崇拝のかたには悪いが、率直に言って、アメリカがやられたのは自業自得、という見方は非常に根強い――地球全体の5パーセントにも満たない「貴族」の国(のなかでもリクツで正義を振り回すタイプ)同士でこそ思いは無意識に抑えられているかもしれないが、同じ先進国だってそうモノトーンじゃない。アメリカに賛成していることになっているイギリスやフランスの掲示板をのぞいてみたらいい。ましてやこれまで甘い汁を吸われてきた95%以上の国では――。ブッシュ大統領は「約40か国が賛同してくれている」とかいうが、タテマエの賛成をすべて「賛成」に数えてすら、過半数の国は賛同していない。
アメリカの反撃姿勢、どさくさに紛れてというか勢いでイラクあたりも叩きたい、できればパレスティナも何とかしたいらしいが、これらの「アメリカからみて気にくわない=抗議活動やいやがらせなど反米ムードが強い」地域には、当然、そうなっても仕方ない原因がある。アメリカは原因のほうはあまり見ようとせず、結果としての抗議だけを潰そうとしてるようだ。
なお、アフガニスタンは、米ソの代理戦争以来20年を越える内戦で疲れ果てており、もともとそれどころの騒ぎでなかった。
テロ組織とどう戦うのか 米軍事専門家に聞く――「国連は無視していいい。米国が直接、攻撃されたのだから、自衛権を発動できる」と言うのは分からないでもないが、アフガニスタンが攻撃してきたわけでないのに……
「ラディン氏の居場所を特定できるのか」→「アフガンへの全面的な攻撃を行えば、見つけ出せるだろう」。ラディン氏ひとりを叩くために、日本より広いアフガン全土を火の海にするのが正義の戦いと言えるのかどうか。「ところで、ラディン氏は本当にアフガンにいるのですか」→「そう信じられているが、1人の人間の居場所を特定するのは難しい」。すべて焼き払ってみたら、どこにもいませんでした。さあ、次は、どの国を焼け野原にしようかな。うふ。
そもそも「ラディン氏が首謀者だ」という宣伝がいつのまにか既成事実化している。そういうことにしておきたい真意は分かるが、「政府発表」だけで、ころりと全面的に信じてしまう人々の精神構造は理解できない――これまであんなに何度も何度もだまされてきながら――。「戦争中の敵を殺すのと同じだ。有罪を証明するための証拠はいらない」だってさ。証拠なんててきとーでいいってことは、つまり、もし(例えば石油供給の死活問題で)イラクを叩きたいタイミングだったら、今回のハイジャック事件の首謀者は「イラクに潜伏してる」んでしょうね。当たり前のことだけど。
「米国は引渡しには興味はないと思う」→くちをすべらせた。「ラディンを引き渡さないから」が「国連制裁」の口実なのに。まあ国連制裁のこと自体、一般の人は知らないからいいのか。
「ソ連がアフガンに侵攻し、結局撤退したように、アフガンは侵攻しにくい場所だ」→ソ連の支援を受けた当時のアフガン政府に対するゲリラ活動、テロ活動を支援したのは、アメリカ自身じゃん。「我々アメリカ政府が裏から介入したからソ連の侵攻は失敗した」ってとこでしょう。そしてそのときばらまいた武器、アメリカが訓練したゲリラが、いま‥‥。(ラディンは当時、アメリカの宣伝でもソ連と戦う英雄だった)
「テロリストを支援するのは、テロの共犯だ。そんなことをする政府は存在の権利を失う」→その言葉の通りにこころを入れ替えて、アメリカ政府が存在する権利を失わないことを願います。皮肉でなしに、まじめに。
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2001.09.17 BBC 日本時間00:47発: America widens its war targets:「テロリストに安全な居場所を与えるような国は、どこであれ、米軍の逆鱗(げきりん)に触れることになるであろう。60か国が対象となる可能性がある」とラムズフェルド国防長官。約200ある世界の国々のうちの60もの国が、アメリカの軍事攻撃の対象になる可能性があるという。→ 日本語対訳(917)
Photos quoted from NATO - Refugee Convoy, NATO Killings
コトバで「空爆」というと、ただ透きとおったひびきかもしれないが、空の上に星があるように、空の下には人がいる。
写真の説明によると、「コソボで、避難民を輸送中のトラックをF16が上空から目ざとく発見、米パイロットは空爆を続け、75名を殺害した」のだという。KLA(コソボの急進的組織(過激派))を「支援」するための行動だが、一般には「NATO不要論のなかでNATOの存在をアピールした」と解釈されている。出撃した兵士たち自身は、いやいやだったらしい。
比較的情報が出やすいユーゴですら、真相は、よく分からない。ましてやチェチェンやイラクなど、攻撃をした側自身の「公式発表」以外、ほとんど情報がない。劣化ウラン弾のことだって、たまたまばれてしまった氷山の一角なのかもしれない。
Grdelica Canyon の鉄橋破壊も悪名高い。軍事的には橋の破壊が目的だったのに、わざわざ列車が橋を渡っているときに攻撃し、多数の乗客が犠牲になった。シューティングゲームでもやってるつもりなのか。
列車が高速すぎてよけられなかったと言い張ったが記者会見で見せた説明用のビデオが、細工されていた(早回し)というオチ。
ボタンひとつでこの結果。べんりな世の中になったものだ。人間だったモノの姿が識別できるだろうか。この婦人は「狂気の無差別テロにあった」と思いながら死んでいったのかも、しれない。
セルビア人の住む郊外の町に、ある夜、NATOはミサイルを撃ち込んだ。こんな「部品」を病院に運んでも仕方ない。軍需産業をうるおすと、副産物として奇妙な肉塊が生じるものだ。スライム状にとけかけた人間。そしてまた肉塊。
ユーゴスラビアのコソボだけに限っても、アメリカ(NATO)のテロ活動の結果は本当にひさんで正視に耐えないが、劣化ウラン弾の影響でアメリカ兵自身も、のちに人間とは思えない形態の赤ん坊の親になる。アメリカ兵も被害者なのだ。そんな兵器を自軍の兵士に使わせる軍上層部、ひいては兵器を製造する企業に責任がある。何を思いながら息を引き取ったのか。いったい何を? 平和のための正義のタタカイ? たしかに世界平和のためなら命を捨てる人もいよう、が、ご承知のように、コソボもまたNATOの介入で、平和どころか、かえって泥沼化しただけだ。もし空爆の効果で「平和」になっていたと仮定しても、それは暴力による支配と言わざるを得ない。
何を思いながら、死んでいったのか。ただれた全身、火の苦悶のなかで。ゆえなく殺された者たちが残したのは、沈黙の叫びだけ。なんと言っているのだろうか。「復讐してほしい」と? それとも「もうひとりでもこんな目にあってほしくない」と?
「わたしは身内を殺された、犯人に厳罰を」という気持ちは、よく分かる。アメリカの政策に恨みや怒りがある人々とアメリカ(政府)のあいだのことに、無関係な人が巻き込まれたのだから。だからこそ、アメリカに恨みがある人々とアメリカ政府のあいだで、話をつけてほしい。関係ない民間人をこれ以上、巻き込まないでほしい。無惨な死がいかに多くの人のこころに深い傷を残すか。人が死ぬとは、どういうことか。いま殴られたばかりなのに、無関係なのに殴られたらどんなに腹が立つか、理解できないのだろうか‥‥。
中東の石油の確保? パイプラインの権益? 軍需産業を軸にした景気のてこ入れ? カネと呼ばれる紙切れを集めるためなら地球なんて惜しくないという大統領であることは京都議定書の件からも想像がつくけれど、できることなら、どうか先々まで考えて賢明な判断をしてほしい。戦争に負けたことのない国、空から爆弾が落ちてきた経験のない国には、難しいのかもしれないが、助言してくれる友だちくらい、いると思う――。
2001.09.16 [The president] has told Americans the country is at war with the "barbarians" who launched suicide attacks
大統領は国民に告げた。「我がアメリカ合衆国は、自殺的な体当たり攻撃をするような『蛮族たち』と、もっか戦争状態にある」関係者が明らかにしたところでは、空爆ないしミサイル攻撃のほか、地上部隊の投入も検討中。 - from America prepares for war, BBC News → 日本語対訳(916a)
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"There is no pleasure in life anyway, so I don't care if the bombs come and I have to die along with my children," said Leilama, a 38-year-old mother of six in Kabul. "But the United States should know that the Afghan people are not their enemies."
「(二十年に渡る内戦、異常気象、米ロのごり押し制裁による貧困等で)どっちにしても生きていてもつらいことばかり。だから爆弾が降ってきて子どもたちといっしょに死ぬハメになったとしても、かまわない。」レイラマさんは言う。アフガニスタンの首都カブールに住む。6人の子の母親だ。「でもね、アメリカの皆さんに、ひとつだけ知ってほしい――アフガン人がやったことじゃないんですよ」
From Las Vegas SUN: Fearing Strike, Afghans Flee Kabul
――実際、前回のモニカ・ミサイルを撃ち込まれたにもかかわらず、アフガン人の多くはアメリカに親近感を持っている。コール事件のときも「もしまたミサイルを撃たれたら嫌いになるだろうが、今のところは、アメリカに好意をいだいている」と。
2001.09.16 Global message of caution for Bush(ブッシュは慎重に対応してほしいと世界各地から) BBC News 日本時間 9月16日22:59発。――日本語対訳(916)。アメリカの武力行使の是非について、イタリア、ドイツ、アメリカ、オーストラリア、シンガポール、エジプト、パキスタンの見方。
2001.09.16 いつもは速報力で定評のあるバトルワッチ系で今ごろ「最後のハイジャックは米軍が撃墜??」の衝撃!! 〜なんて扇情的な見だしで流してるらしい。「米軍機が撃墜の可能性も」というのは、すでに共同通信が11日に配信した公然情報なのに。
のみならず、14日の記事をよくみてほしい、「または撃墜された」‥‥「少なくとも」4機‥‥乗っていた「とされる」‥‥全員死亡した「と発表された」、このカギかっこでくくった含みのある表現については、例えば、日航123便の疑惑をご存知のかたならすぐピンときただろう。風聞的なリーク情報をいっさい無視して、いま現在、確実に言えそうなことだけを簡潔にまとめればこうなる。テレビあたりで浴びせ流していることをまとめてみても、来年のきょう読めば「こんなふうにだまされていたのか」となりかねないからだ。ついでながら、この件の場合、ホワイトハウスなどに突っ込むことを考えれば、どっちにせよなかの人は死ぬのだから、撃墜するのは合理的であり、仮に撃墜したとしても素早い良い決断としてわたしは支持する。
2001.09.16 Afghan opposition leader dead(BBC)|Afghanistan's Anti-Taliban Leader Masood Confirmed Dead: Report(People's Daily):マスドが死にました。これでひょっとすると、たちまち両陣営が和平に向かい、今年中にアフガン内戦は終結、中央アジアに平和と安定が訪れた可能性もあるのに、あと一歩、というとき、タリバン政権が確立してはつごう悪い方面からの(内戦への)軍事介入の口実ができる――ばかばかしいほど、うまいタイミングで。
なにせ、マスドが重傷を負ったのは、9月9日だそうですからね。
みんな信じたなつかしの自作自演ヤラセ写真。これ出たときはホントにイラクはひどい国だと素直に思ったものだけど。でも、たとえこれ信じたとしても鳥が死んだから人殺しが正当化されるって、考えてみると、感傷的なおとめチックな生き物なのね人間って。ていうか、日本人って、ニヒルぶってみても根は優しいんだよね‥‥焼夷弾の絨毯爆撃で地獄の火の海になった歴史の記憶、核攻撃を受けた経験があるから――そういう経験がない国の国民とは多少、感性が異なるのも当然なんでしょうね‥‥それに戦争に情報操作、宣伝工作はつきものだから、これに関してアメリカが特に嘘つきだってわけじゃない(大本営発表だってインチキだらけだったみたいだし)
2001.09.16 アメリカでは今回の事件以降、アラブ系住民が白人市民から暴行を受けたり、いやがらせを受けているという――まるで無関係な相手でもおかまいなしなのか。だったら、アフガニスタンの市民をむしけらのように虐殺するのも平気なのかもしれないが、じつのところ、アフガン人はアラブですらないのだが‥‥。例えばタジク人や中国のシンチアンウィグル自治区のモンゴル族ほかもイスラム教徒だというだけで、「同じようなもの」なのだろうか。ひいてはアジア人も「異教徒」なのか。正しいのは白人キリスト教徒だけ、なのだろうか。昔も今もそしてこれからも。
2001.09.13 1:35、パソコンの電源を入れてメールチェックをしたら、未読が500も。件名「大変なことになりましたね〜」「どうごらんになりますか」などとあるが、文脈が不明。自分たちが話題にしてることだからといって、こっちも知っていると決めてかからないでくだされ。なんせネットを見てないときは、テレビも新聞も雑誌も何もない山奥にひとりでいる。しかも、最近、ネットにつないでもHTTPサービスの利用は少ないような。
以前「黒磯の事件で」とか「くやしいあの金メダルは絶対、日本のだ」とか言われたときも思ったが「黒磯の事件」「あの金メダル」じゃ分からないんだって! これだけ多くの参照がありながら、だれも実体の話をしてくれないのは気持ち悪い。「うわさの○○事件で」みたいにマスメディアの見だしを参照しないで、自分なりに実体を書いてほしい。そうすれば、あなたが何を気にしているのか分かって、お返事もしやすいのだ。
というわけで、浮き世の義理でBBCを見てくるからしばらくお待ちくさい。2:11
2:13 - おおトップの記事になってる。Tuesday's attacks on the World Trade Center か。このワンフレーズを入れてくれれば、すぐ何が起きたか分かるのに、500通もメールが来ながら、だれも何が起きたか説明してくれないんだもん。ちょっと読むから待ってくださいね。
2:16 - 理解完了。そういうことか。
では疑問にお答えしましょう。
アメリカの戦争論――これがキッカケじゃないよ。1月の時点でサミュエル・バーガーが We must understand as a nation that we are engaged in a wholly new battle against an international terrorist network in dozens of countries と。我が国はテロリスト諸国と全面戦争をするのだ、と、もう一年近く前から息巻いておるのです。今ごろ驚かないでください。ただ戦争をするには、もっともらしい敵が必要ですが‥‥(将来、危険になるかもしれないものは、叩きつぶしておく、という明快な論理のほか、おれさまの強さを世界に見せびらかしておいて、何かのとき無言の圧力をかけるという人間的発想、さらに、その弾薬なんかを製造する産業界からヨウカンの入った箱を渡され「よろしくたのまれて」いるのでしょう)
Osama――こういうことがあれば、証拠があろうがなかろうが、必ずオサマのせいにされるのもパターン。前回のコール爆破も。証拠不充分でも犯人にされて標的にされます。前々回の大使館爆破では、実際に、軍がミサイル79発だかアフガンにうちこんでます。米大統領とモニカさんの「不適切な関係」(←当時の流行語)が問題になっているとき、いきなり米軍がアジアで派手な軍事攻撃を行い庶民の目がそっちに行ったので、ぞくにモニカ・ミサイルと呼ばれてます。そのときスーダンに撃ったほうは、結局、民間の無関係な施設を破壊しただけでした。充分な証拠も、話しあいもないまま、いきなり巡航ミサイルをどばどば撃っておけば、『長期的には』ただでは済まされないのは当然でしょう、いろんな意味で。
たとえ話的にいえば、東京都知事が悪い人で(単なるたとえで実際のことじゃないですが)凶悪事件の容疑者を都庁の秘密の部屋にかくまっているとしますよね。んで、その悪い人をやっつけたい「正義の味方くん」が湾岸あたりから東京都に巡航ミサイルを79発うちこむ。そしたら東京都民は迷惑するでしょう。――たとえの意味:アメリカ=正義の味方、都知事=アフガン政府、容疑者=オサマ、迷惑する都民=アフガンの一般の人々。
「several clues suggesting the involvement of Saudi dissident Osama Bin Laden」またこのパターン。前回のコール爆破のときと同じなので、当時の記事を見てもらったほうが早いけど「ラディン氏が『関与』(指揮、命令じゃないよ)してる可能性があると『ほのめかすような』(明示するんじゃないよ)いくつかの『手がかり』(明白な物証じゃないよ)がある」ってだけ。しかし、ラディン氏は謎な人物で、本当にこういうことを指揮できる指導者だ、という見方と、過激だけれど実際のちからはあまりなく単に憎まれ役にされてるだけ、という見方と、両方あって、本当のところは、だれもよく分からない。
タリバン――9割方、直接的には関係ないであろう。できることならアメリカにこういうことをしたい!(=今回のことをみて、ざまあみろ)という空気『も』あるだろうけど、たとえやりたくても、これだけのことを自力でやるちからは、ないだろう。内戦で北部同盟をやっつけることにさえけっこう苦戦してる。
むしろアフガン側としては、「げげ、だれがやったか知らないが、どえらいことになってしまった、これまでの不条理をふりかえるに、これでまたまたインネンをつけられ無関係の我が国にアメリカのミサイルやソ連の戦車が」とあわくってる可能性が大きい。現実的に考えて、アフガニスタンのような内戦で疲弊している小国が、自分からアメリカに全面戦争をしかけるわけない。かつての愚かな日本でさえ、もっと準備万端ととのえてから奇襲している。それにひきかえ、今のアフガンは過剰ともいえる厳重な監視下にあって、政府関係者ひとり飛行機(国際便)にのることすら禁止されている。これでもし万が一(まあ非現実かもしれないけど)アフガニスタンあたりから指揮をとっているとなれば、アメリカの情報能力がとほうもなくあほうか、あるいは分かっていながら、深慮遠謀があって、やらせたんでしょう。
いずれにしても、真犯人不明なのに、どこに「報復」するの? スーダンのときみたいに、報復した先は犯人でも何でもなかった、でも民間工場はミサイルで破壊しました、誤爆です、ごめんなさい‥‥を続けていたら、世界最大のテロ国家アメリカの名声がますます上がるだけで、いつか本当に精算させられますよ。今回のことは、ミサイル一発ぶんくらいには相当するのかもしれないけど、あなたが弱小国をふみにじり、うちこんできた爆弾の数は、この数万倍でしょう。
結論――とりあえず第一感は、そんなとこですが、まだよく分からないし、ホントの情報がどれだけでるのか、これまでのパターンから考えてもあやしいので、憶測だけでこれ以上あれこれ言っても仕方ないでしょう。自分がさんざんやってきたことでも、自分がやられてみるとイタイってか。
「な、七十九発も撃った! 敵である北部同盟にすら巡航ミサイルなんて一発も撃たれたことがないのに!」「ふ、それはキミが無邪気なおぼっちゃんだからさ」
「テロは間違っている。軍事的なちからでは問題は解決しない、平和的に話しあいで解決するのが正しい。だからテロリストは、ちからで叩け!」藁
――世間の反応は、どうなのかと、つらつらカキコみてると、けっこう正気でした:
「Military or physical response (against who?) will only increase bitterness」「Many people seem to think that it is okay to attack "the country that these terrorists belong to", whatever that means. ... However, I am sure this would not be the sentiment if said country were the UK, or Norway, or Australia. 」(テロリストが日本人だからといって日本に報復攻撃する、と考えれば日本語圏のかたも分かるでしょう)「The question that should be asked and is not is: "Why does this happen only to the US? ...」(あはははは)「More bombs and destruction won't do any good to anyone」「What concerns me is that the President and other officials will jump to conclusions about who was responsible for this attack.」(いや、単に口実がほしいだけなら、分かっていて飛びつくし、自分で自分が攻撃する用にテロリストを作ってしまうこともあるでしょう)「I have read many are writing US should act with patience. I would support it, if doing that STOPS the destruction. But I don't believe it would. 」(自分がやられそうになると「暴力はいけません話し合いで」自分がやりたいときは「話し合って分かる相手か暴力で」けけけ)16歳というかたのご意見→「I think that a general retaliation at this point in time would be foolish. Why risk starting yet another world war when we are still not entirely sure who caused this?」(「仕返し」っていうのは口実なのかもよ?)「I think America should now reform by changing its aggressive foreign policy which is an opening call to people it is repressing.」(あれだけ露骨にケンカを売れば買うヤツもいるよな、そりゃ。買ってほしくて売ってるのかもしれないけど‥‥)
おまけ――またぞろ「宗教問題」「宗教戦争」なんて見方してる連中がいるみたい。たしかに「教師を魔法で病気にした魔女を停学にする」だの「魔女を自殺に追い込む」一部では妙な事件もあるアメリカだけど、過激な抗議活動の標的にされる本質は「宗教」じゃあない。しいていえば、抗議活動運動の結束のシンボルのひとつ、ってくらいでしょう。また、もちろん、直接的に、ひとりひとりのアメリカ人(ないし何々人)が善いとか悪いという問題でもない。