けだかさは、けだかくないものを遠ざけようとする孤高の意志、弱さをさげすむ強い意志によって、なかばみにくい。ある種の身分差別を肯定するという点において、けだかくあろうとすることそれ自体が、すでにけだかくないという自己矛盾を内包しつつ、なお、そのものの内発的な特性ゆえに、みずからの矛盾を否定することさえゆるさない。――弱いからさまよい、てさぐりし、うろたえる。その弱さがけだかさだ。
――ミムナ・エレウェモス
2001-05-04 - 「google」が躍進、トップはヤフー 検索エンジン利用調査:先月、Googleが,Webの巨人であるYahoo!をも,出しぬいてしまう可能性があるのではないか?
という記事を読んだときも、なにを今ごろ、とちょっと驚いたが、今どき、よほど特殊な理由でもない限りヤフーを常用するユーザなどいないだろう。そもそも今のヤフーはグーグルのエンジンで走っているのだから、グーグルがヤフーを追い抜くか追い抜かないか、というのは、いかにも核心を外した話だ。
のみならず、ネットワーカーがグーグルを常用するのは、量的な「検索力」(たくさんのページがヒットする)の問題じゃなく、「グーグルはネット全体のリンク構造を解析してページの重みをかなり適切に推定しているから」、要するに、重要なページがおおむねリストの上のほうに来るから、という理由が大きい。そして、消えたページでもキャッシュされているというべんりさ。この2点に触れずにグーグルをほかの検索エンジンと比較するなんて、ますますピンぼけな話だ……。
で、そのようなグーグルの特徴を前提にしたうえで、さらにその先の話――グーグルのユニークな先進性と限界、べんりさと危険さを語るべきだろう。グーグルは複雑でおもしろい問題を、はらんでいる。いろいろな意味で。これは、もっと時間があるときにゆっくり書くべきネタだ。
自分自身、検索エンジンはグーグルだけで99%、ことたりている。グーグルがなければ書けなかったであろうネタも少なくない。この強大なパワーが魅力でもあり恐怖でもある。「妖精現実は無数のサイトからリンクされてグーグルの重みづけが上位なのでグーグルに好意をいだいているのだろう」と単純に思う人もいるかもしれないが、逆にいうと、グーグルが意図的に無視したら「いながらにしていない存在」になってしまうかもしれない。「妖精学」「アストロロギア」「偽春菜」「アフガニスタン」といったことに興味を持った日本語圏のユーザがほぼ必ず妖精現実に来るのもグーグルの偉大なちからだが、このちからは、あまりに大きく、むしろ不安な気持ちにさせる部分がある(といっても、いまのところグーグル側が独裁的に重みをつけてるわけじゃなく、主観ぬきの数学的モデル――重みの高いサイトからたくさんリンクされると重みがあがる、という「民主的」なしくみ――によって、サイトの重みを計算しているだけなのだが)。
ほかにもグーグルは、いろいろと考えさせる問題をはらんでいる。例えば――話が飛躍するように思えるかもしれないが――学歴や家柄などでなく、真に独創的な才能がある者がちからをもつ個性と実力の時代になったとして、それは本当に「伸び伸びと生きやすい社会」か? 自分にとっては明白なことだ、が、実力のレベルで世界が動くとしたら一般には息苦しいかもしれない。たとえ話的にいえば、社会の枠組みは理想的で、政治家はみな有能だとしたら――。あなたは「社会が悪い」だの「政治が悪い」だのと簡単には責任転嫁することができなくなり、無能な政治家や無能な上役をあざ笑うことでこころのバランスをとることもできなくなるからだ。
個性的な価値観を認めあうのは、もちろん望ましいことだろうけど、そうなるまでのあいだ、過渡期の混乱は避けられまい。
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進展する掲示板:すれすれ http://mion.wisnet.ne.jp/bbs/3/?list=0 → http://www.faireal.net/kissa/?list=1
「今宵はどういう風の吹き回しでしょう。ダンスなどしたことのない貴方が」
「恐れながら、風は西からも、東からも吹きそよぐものでございます」
「まあっ‥‥。あなたのお相手は男のかたかしら。それとも女のかた?」
「お望みのままでございます、王后陛下」
絶対運命黙示録 - ♪ばらは ばらは けだかくさいて ばらは ばらは うつくしくちる
んーたんびー。うつくしさは罪
2001-05-01 - サーバーに自動的な自己管理能力を与えることはちょっとしたリスクも伴う。つまり、自己回復する力を持てば、それと同じくらい自己破壊力も持つことになるのだ。‥‥「自動的に行動を起こす機能にはいくつかのリスクが伴う。しかし、正直なところ、他に選択肢はない」
from IBMが自己回復能力を持つサーバーの開発に着手
2001-05-03 - これまで、ブロードバンドの利用方法は、ほとんど映像の比較的単純な配信に限り議論されていた傾向がある‥‥しかし、双方向ブロードバンドネットワークとしての「ユビキタス・ネットワーク」は、誰でもリッチコンテンツの受信者であると同時に、発信者となりうるところに意味を求めるべきだと思う。
from 脱サーバーがもたらす新たなブロードバンドの利用
中央集権的なサーバとサーバを利用するクライアント(ユーザ)たち、という「ふたつの身分」の制度が消えてゆくべきこと、そのことには見かけ以上に本質的な意味があること、については前から繰り返し説明しているが――例えば「真の双方向というのは、単なるIPの問題だけじゃなく、ひとりひとりが(当然、ブロードバンドの)対等なサーバでないといけない」と始まるArticle 1前文――、上記の記事には、次のようなコメントもある。
WWWに限らないが、手元にある情報を、サーバーに「アップロード」する際には、送信操作の労力に加えて、必ずと言って良いほど、「他人様に見せる」為の編集の手間を要していた。ピア・ツー・ピアでは、少なくとも情報に統一書式を求めて効率を追求するというよりは、刻々と変化する手元の情報を、「そのまま(as is)」活用するような方向に発展すると期待したい。
まさに妖精現実のポリシーだ。ふつう書き手は文章をきちんと書き上げ、たぶん推敲(すいこう)したりしてからアップロードするかもしれない。けど妖精現実では、下書きが終わったとたんにアップロードすることが多い。アップロードというより、「サーバのハードディスクに上書き保存」という感覚で、ちょうど [Alt]-[F]-[S] などを叩いてローカルで上書き保存するように、 [Ctrl]+[Alt]+[←] - [F5] を叩けばリモートも同期するようになっている。もはや「FTPソフトを起動してリモートでカレントディレクトリを移動してローカルでアップロードするファイルを選択して……」といった過程は、あまり意識されない。アップロードしたのを自分もHTTPで見て、語句が抜けてるところなどに気づいたら、ちょっとなおしてまた[Ctrl]+[Alt]+[←] - [F5] を叩くだけでいいのだから。要するに、サーバのHDを決して「完成した著作物を置くハレの舞台」としてではなく、単なる日常の(編集確認の)作業フォルダ、のようにとらえている。
以前、ある古参の人が、文章をアップロードするのは「娘を嫁にやるようなもの」だと言っていたが、とんでもない。みだりに肩肘張った文章は、「きちんと見せる」「頭のいい書き手だと思わせる」ための「プロトコル的雑音」のせいで、かえってSN比が低下して情報が薄まりさえしかねない。くどくどしい「入学式」とか「開会の言葉」のようなものは要らない。純粋に思考の流れがあれば良く、ごてごてした額縁は要らない。
高踏的な文体そのものを楽しむ趣味を否定するつもりはないが、実用的にいうなら、べつに難しげな用語などならべなくても、内容が核心をついていればそれ自体がちからになるだろうし、難しい用語をいっぱいならべても内容が空虚ならそれで終わりかもしれない。
以前からの読者は気づいておられるかもしれないが――妖精現実の記事は、けっこうあとから足したりひいたり並べ替えたりすることが多い。一時的な作業用メモなのだから、「作業」が済めばメモ書きなどほかしていいわけだし、作業中に気づいたことがあったら、忘れぬうちにどんどん書き足せばいい。昔の人は、いちど公開した文章をひっこめたり簡単に書き換えるのは「無責任」だとか言い張るかもしれないが、そんな発想は著作物の公表が特別なハレの行為であった時代の遺物にすぎない。チャットにせよ掲示板のカキコにせよ、要するに「雑談」なのであって、あまり改まって「著作物」とかいうのは、かえって違和感があると思う。そして……重要な政治的決断がなされるのは国会本会議においてでなく、もっとうちわの事務レベルの場面においてだし、数学者のあたまに深い定理がふとひらめくのは論文執筆中というより散歩中や入浴中なのだ。
日常茶飯事である電話の会話をちくいち録音して保存しておく人は、ふつういないと思う。メールだって、その場の「やりとり」に意味があるのであって、やりとりされる文章そのものに永続的価値があるわけでもあるまい。ウェブの文章もまた同様だし、ひいては……。
「著作者の人格」でなく「著作の内容そのもの」が本当の中心だからだ。無責任も責任も、そもそも責任をとったりとらなかったりする著作者など「ない」。あるのは著作だ。
もちろん、タピオラも4番も知らないでいながら、ただただ作曲家名の表記は「ジャン・シベリウス」が正しいか「ヤン・シベリウス」が正しいか?といった議論に夢中になるような人が、深いたとえを察することができるとは期待していない(微笑)
「ホメーロス問題」の問題だ――。
「著作権」の功罪は、古代「ギルド」の功罪にも似ている。ある人が妖精現実の記事を引用して「妖精現実より引用」と書いたとして、その人がその引用文をアップロードするころには、妖精現実のほうでは、もう原文が変更されているかもしれない。あなたが「同一性保持権」を尊重してくれていても、オリジナルの側が同一性を自己解体してしまう――まるで稀薄すぎるアイデンティティの問題のように。
外部の環境との関係にあってその現れを常に変化させることによってこそ、妖精の国は永遠に不変だからだ。
あなたが妖精を見たと気づいたときには、もうその妖精は、いない。「花」と書くとき、花は失われている。初めからなかったから。
ただ「現れて」いただけだ。
妖精現実内の関連記事:著作権の未来|アノニマス・コペルニクス|教祖さま志望のみなさんへ
2003年11月8日 このメモでは、以前、「たいむぼっか~ん」というソフトを紹介していたが、 このソフトはWindowsのサービスにSJISの文字列を書き込むため、 多言語環境で使用すると、さまざまなトラブルの原因になる。
その後、いろいろなNTPクラインとを試した。 そして、少し古いソフトであるが、 Dimension 4が最も簡単に使え、 最も性能が良いと判断した。
AtomTime95 1.4b、Atomic Clock Sync、Neutron、また、シェアウェアではあるがAtomTime Pro v3.1aも試用した。 AtomTime Proは時計合わせのログ(どのくらいずれていたかの記録)を残せる点に、Dimension 4にない魅力を感じたが、 総合的には Dimension 4のほうが良かった。
この種のツールのなかには、1秒程度の誤差は「正確に合っている」のうちにしてしまうものがある。 Dimension 4は0.01秒単位まできっちり合わせようとしてくれる。 またNTPサーバを選択できなかったり、定期的に自動で時計合わせをしてくれるオプションが使いにくいものが多い。 Dimension 4は日本のNTPサーバを自由に追加・選択できるため、 ネットワーク遅延による不確定性の増大を減らすことができるし、 設定した任意の秒・分・時間ごとに定期的に時計合わせをしてくれる。 常駐によるリソースの消費も通常1MB未満で、かなり少ない。 もちろんフリーウェアである。
古いソフトではあるが、時計合わせには別に最新のAPIが必要なわけでもなく、 これが最も良さそうだ。ただし、ファイアウォールとの関係などで、使えない環境もあるかもしれない。
掲示板3を作り始めたのは「偶然」でした。依頼を受けて作り始めたら、自分でも「これは、おもしろい」と思って、妖精現実でも使う気になったしだい。初めは、管理者(そのサイトの運営者)がレスをつけるだけの単純なゲストブックのようなものを考えていたのですが、依頼者の希望は、だれもが下へ下へとレスを伸ばせるスレッド方式。だれでも書き込み(新規投稿=新しいスレッドを立てること)ができるのは、掲示板である以上、当然ですが、どのスレッドに対しても、だれでもレスを付けられる、というシステムは、ごくシンプルな掲示板にくらべると、ほんのちょっぴり制作がめんどうです。
いま掲示板に、次のように3つのスレッド(スレ)があるとして――
- アルメニアとアルバニアは違うんですか?
- Morino: 違いがよくわからん!
- Masumi: アルメニアって言ったらアルメニャックっていう蒸留酒が有名でしたよね。旧ソ連の一部。アルバニアはユーゴスラビアの近くのぜんぜん別の国です^^
- 陸奥A子さんて、まだ作品を発表しているのですか?
- Masumi: 陸奥A子のファンです。最近の作品について知りたいです。
- Kaoru: りぼんには、もう描いてないですよね。
- Shizuka: わたしもファンですが最近、見かけませんね。
- このサイトの感想☆
- Doremi: 日々、常連愛読者と敵対者を増やしつつある。
- mika: そういうものさ(´ー`)┌フッ
2番めの「陸奥A子さんて~」のスレッドに、mika さんが「今でも集英社YOUコミックスから新作が出てます。」というレスをつけると、次のようにそのスレッドがいちばん上にあがります。
- 陸奥A子さんて、まだ作品を発表しているのですか?
- Masumi: 陸奥A子のファンです。最近の作品について知りたいです。
- Kaoru: りぼんには、もう描いてないですよね。
- Shizuka: わたしもファンですが最近、見かけませんね。
- mika: 今でも集英社YOUコミックスから新作が出てます。
- アルメニアとアルバニアは違うんですか?
- Morino: 違いがよくわからん!
- Masumi: アルメニアって言ったらアルメニャックっていう蒸留酒が有名でしたよね。旧ソ連の一部。アルバニアはユーゴスラビアの近くのぜんぜん別の国です^^
- このサイトの感想☆
- Doremi: 日々、常連愛読者と敵対者を増やしつつある。
- mika: そういうものさ(´ー`)┌フッ
もちろん、既存のスレッドへのレスでなく新規にスレッドを立てることもできます。その場合も、やはり新規投稿は、いちばん上のスレッドとして表示されます。いろんな掲示板に慣れてるかたには説明するまでもないことでしょうが、意味がよく分からないかたは、説明を読むより実際に掲示板3βで試し書きしてみると、すぐ納得できるかと思います。(現在、掲示板3βは半分テスト公開なので、きらくにテスト投稿してみてください。)
以上は概念的な説明で、実際の掲示板の表示としては、次のような感じに実装してます。
これがひとつのスレッドの例です。そして掲示板の1ページごとに、一定数(現在6)ずつのスレッドを表示するようになってます。たとえ2ページめ以降にあるスレッドでも、レスがつけば、その瞬間に1ページめのいちばん上のスレッドになって、それ以外のスレッドは、ひとつずつ順番が下になるしくみです。こういったしくみを安全、簡単に実現する方法については、機会があれば改めて説明します。
初めにどんな掲示板がいいかきいたら、「牛飼いとアイコンの部屋」の夜のアイコンの雰囲気で、アイコン(キャラクター)がふきだしでセリフをしゃべる形式にしたい、とのことでした。で、ふきだしは思ったより簡単に作れ、フローティングスレッドもやってみたら案外、簡単にできたのですが、さらに「投稿者があとから自分の発言を修正したり削除する機能」をつけてほしい、「そしてときどき背景の夜空に流れ星が流れてほしい」との要望。発言修正機能は、掲示板では基本的なものですが、「流れ星」……しかも、背景画像のアニメGIFで実現するのでは、うるさい感じなので(たしかに……)ときたまランダムに流れてほしい、というリクエスト。これはPerlでは実現できないので、JavaScriptでやりました。ネスケ4でも見れます。というか、非常に珍しいことですが、この掲示板は、「あの」ネスケ4でも、ほぼIEやネスケ6やモジラと同じように表示されます……もちろん細かい部分はダメですが。
いわゆる流れ星というより、上から下へ、ぴかぴかしながら漂う星で、ちょっとシューティングゲームのように見えないこともありません。星の軌跡はランダムで、ほぼまっすぐ落ちることもあれば、くねくね動くこともありますし、すぅっと動くこともあれば、のろのろ動くこともあります。下の画像は、そんな漂流中の「流れ星」が、レスを書き込む欄の上を通過している瞬間をとらえたもの。
パスワード欄の下に見えている「地球」は、じつはマウスカーソルで、IE6などのCSS2対応ブラウザでは、このように表示されます。カーソルですから、マウスを動かすと、それに連動してこの「地球」も動きます。じつはアニメーションカーソルなので、この「地球」は、くるくる回転しています。
カーソルがこんな形では使いにくいと思われるかもしれませんが、カキコするためにフォームの上に持ってくると、ふつうのカーソルに戻るのでご安心ください☆ なお、ネスケなどでは、もともとふつうの矢印カーソルのままです。
「掲示板の舞台裏」という題名をみて、スクリプトの動作原理やトリック、ハック、おもしろい隠しコマンドなどを紹介する記事かと思われたかもしれません。そういった話も、おいおい書くことがあると思いますが、今回は、まず順序として、だいたいどんな掲示板か、という紹介を書きました。スレとレスといった用語の意味が分からないと説明を進められませんし……。