潜在的にかなり悪質なスパイウェアながら、とても便利な Babylon 2.2 を安全に利用する方法。 無保証。
Babylon は、単語の上でクリックするだけで、英和、和英などの辞書引きをしてくれるソフトです。 現在の Babylon 4.x は、発音を音で聞ける機能や、複数の辞書を同時に引いて結果を並べてくれるなど、 非常に優秀なソフトになっていますが、シェアウェアです。
前身となった Babylon 2 は軽装版といったところで、 数年前には、フリーウェアとしてよく使われていました。 今でも入手可能で、基本機能は同じです。 無料で使えるので、お金の余裕がないなどの理由でシェア版をレジストできないかたは、試してみてはいかがでしょう。 できればやはり機能充実の最新版がおすすめですが……。
バビロン2.2の動作例: derived という単語をクリックしたところ
Babylon 2.2 のEULAについて、注意点を説明します。
このソフトは、個人利用のみが許可されます。 商用利用・教育機関・政府機関での利用は別途ライセンスが必要です。
このソフトは評価版であり、最終的な製品版ではありません。 Babylon Ltd.は、このソフトの機能の一部または全部を制限する権利を持っています。 制限がある場合や、制限について通知された場合、それに従わなければなりません。 例えば、もしソフト自体の内部に試用期間制限があって、一定期間経過後に使えなくなるとしたら、 それに従ってください。 (しかし、もしソフト内部には制限がない場合には、 あなたはメールアドレスや住所などの情報を提供する義務を持っていませんから、 Babylon Ltd.は、制限についてあなたに直接通知する確実な方法を持っていません。)
Babylon may choose to provide third parties with the content provided by you on the BSCT System or any part thereof, for advertising purposes or any other use.
当社は、あなたがこのソフトを使うことで得られたいかなる内容であれ、 それを第三者に、商用利用を含む任意の目的で提供することができます。
Babylon may gather statistics and other information
当社は、統計的およびその他の情報を収集することができます。
Babylon does not wish to receive any confidential, secret or proprietary information and material from you...ANY INFORMATION OR MATERIAL SUBMITTED OR SENT BY YOU TO BABYLON WILL BE DEEMED BY BABYLON NOT TO BE CONFIDENTIAL OR SECRET.
当社は、あなたから保護されるべき情報を受け取ることを望みません。 いかなる情報であれ、あなたから当社に提出されまたは送信されたものは、保護されるべき情報とはみなされません。
あなたがこのソフトを使うことによって直接・間接にBabylon Ltd.に送信する情報(例えば「今日はどんな単語を調べたか」という情報)は、 すべてBabylon Ltd.の所有物となり、広告配信などの目的で第三者に提供されることもあります。 あなたがこのソフトを使うことによって直接・間接にBabylon Ltd.に送信する情報は、一切、保護されません。 ご自分のプライバシーを守り、広告のスパムメールなどで迷惑しないためにも、 メールアドレスはもちろん、このソフトを通じて、一切情報を送信しないように、お勧めします。
以下では、その方法を説明しています。
bab_lite.exeは検索すれば他にもたくさん見つかるでしょうが、 上記のものは、Babylon 2系のファイナルである Babylon 2.2 Build 30 です。
重要: 既に説明したように、ライセンス上、このソフトを通じて送信されるすべての情報は Babylon Ltd. の所有物になり、 個人情報として保護されないのが原則です。したがって、このソフトを通じて一切の情報を送信しないように強く推奨します。 ファイアーウォールを使わないユーザは、 初期設定が完了するまで、インターネットとの接続を切ってください。 ファイアーウォールを使うユーザは、Babylon が外部と通信しようとしても、すべて禁止してください。 初期設定完了後は、普通にオンラインでもオフラインでも使えます。
bab_lite.exe をクリックしてインストールを始めます。多言語対応のインストーラで最初だけ英語で「何語でインストールを進めたいか選べ」と言ってくるので、Japanese にポッチをつけて次へ進めばあとは日本語になります。
すべてデフォルトのままで進めば簡単にインストールできます。 途中、個人情報を尋ねられますが、すべて空欄のままで次へ進んでかまいません。 このとき、「ユーザ情報は後から登録することもできます」という内容の英語のダイアログが出ますが、 単に閉じておけば問題ありません。
「マウスボタンの設定」というダイアログが出ます。推奨は「コントロール + マウスの右ボタン」。[Ctrl]を押しながら単語の上でクリックすると、Babylon が機能する設定です。
「次へ」進むと、ファイルのコピーが始まり、「セットアップ完了」となります。「はい、プログラムファイルを起動します」にチェックが入ったデフォルトの状態でそのまま「終了」を押せばOK。タスクトレイに青い地球のかたちのアイコンが常駐します。
英和辞典のデータをインストールするには、 full_jpn_dict50.exe をクリック。 WinZip Self-Extractor というダイアログボックスが出て、プログレスバーが最後まで進むと Update completed successfully (辞書データの更新終了)。[OK] をクリックして終わり。
英英辞典のデータも同様にインストールして、辞書を切り替えて使うことも可能です(英英辞典は必要なければ、インストール不要)。
タスクトレイの地球のアイコンを右クリックして「カスタマイズ...」。 次の4つのタブを設定をします。
以上の全設定が済んだら、もうインターネットへ接続しても大丈夫です。
バビロンは単語をテキストとして認識するのではなく、光学文字読みとり方式で、図形として文字認識をします(なので画像のなかの英単語も翻訳できます)。バビロンは、その環境で常用されているフォントのクセを調べて、文字認識の能力を自分で最適化しますが、この最適化はCPUパワーを必要とします。そのため、インストール直後、数時間~1日程度に限って、Babylon 2.2 は多くのCPUリソースを使用することがあります。Windows 95/98のような不安定なOSに Babylon 2.2 をインストールした場合、直後しばらくは、マシンが不安定になる可能性があります。最初の一日だけなのでがまんしてください。
Babylonは巨大なCPUパワーを使うという誤解がときどきあるようですが、あくまで最初の24時間くらいだけです。 古い Windows 95 マシンでさえ、Babylonは快適に動作します。
この記事が無保証という意味は、プロキシを使えと設定したとき Babylon が100%その設定を守ってくれる保証はできない、という意味です。
この機会に、ZoneAlarm フリー版のようなパーソナルファイアウォールを導入して、 Babylon の通信を明示的に遮断するのが、やはり確実です。 常時接続の時代のセキュリティの基本として、強く推奨します。
最新のバージョンである Babylon 4.x は、シェアウェアですが、日本語の単語の上でクリックすると和英翻訳、 英語の単語の上でクリックすると英和翻訳、しかも英英辞典や百科事典も同時起動可能……といった具体に、大きく進化しています。 Text-to-Speachエンジンを利用して発音を耳で確かめることもできるようになっています。
Babylon 4 にはユーザが作った手作り辞書データがたくさんあり、中には「ドラゴンボールZ用語辞典」のような趣味に走ったものもあります。 本体さえ入手すれば、いろいろな辞書データを自由に取り込めます。
この記事は「あくまで Babylon 2.2」(2002年9月17日)の改訂版です。 旧版の方法で Babylon 2.2 を使うと、14日間などの使用制限がかかるようになってしまった、 というフィードバックに対応して書き直しました(掲示板での要望#1051)。
2000年ごろまでよく使われていた Babylon 2 は、 フリーウェアに近い(具体的な試用期間制限のない)デモ版ないしテスト版といったものでした。 2000年8月ごろから Ver.3 へのバージョンアップ、シェアウェア化が始まりました。 このサイト(妖精現実)では、Babylon 3 を紹介しつつも、 2000年9月以降にもフリー版の 2.2 を使う方法を紹介していました。 2002年前半には、Vector.co.jp に Babylon 2.2 のフルセットがあったので、フリー版を導入するのは簡単でした。 しかし、2002年9月までにこのフリー版は削除されてしまい、 記事で紹介したミラーのリンクもリンク切れがあいつぐなど、 新たに Babylon 2.2 を導入するのは、少し面倒になってきました。 それでも試用期間制限もなく2.2を使えたのですが、 2003年になってから、Babylon 2.2 は「もし」ウェブ経由で自動更新すると、 14日間の試用期間制限が課せられるようになったようです。
これは「もし」の話で、ユーザには、ウェブ経由の自動更新を受ける義務はありません。 ソフトウェア利用規約のなかには、 「インターネット環境がないPCで使ってはならない」とはうたってありませんし、 機能が制限されましたと「相手から」通知してきた場合には、それに従わなければなりませんが、 相手の望むとおりに望むタイミングで「自発的に」バージョンアップする、というライセンス契約は結んでいません。 どのソフトのどの通信を許可するかしないかは、PCないしLANの管理者の専権事項です。 なお、ライセンス上、試用期間の長さは具体的に明示されていません。 オリジナルの Babylon 2.2 自体には試用期間制限はないようです。
自分自身は最初からファイアーウォールで通信を不許可にしているためか、 「14日間の試用期間制限が課せられるようになった」ということを、経験していません。 上記のように、そういうフィードバックもあって、間接的に事情を推察しているだけです。 最新版のライセンスを正規に購読する意思のあるユーザにとって評価版の試用期間の長さなど別にどうでもいいですが、 そんなことより、辞書で何を調べているかというプライベートな情報を収集して、勝手に使うというEULAは不気味なので、 その点ではユーザ側も自衛が必要。 ライセンス上、相手は情報を収集する権利を持っていますが、 あなたはそれに積極的に協力する義務までは負っていません。むしろ「送信された情報は保護されない」という条項に同意した以上、 むやみに送信しないように積極的努力をするべきです。
この問題の本質は、Babylon 2.2 をリリースしたとき、具体的な試用期間制限を設定せずどんどん流通させておき、 人気が出て広まったところでいきなりライセンス料を主張、という「サブマリン特許的商法」にあるようです。 Babylon 2.2オリジナル版自身に「試用期間」とか「回数制限」があるのなら話は明快ですが、 どうもそうではないところが問題で、 「オリジナル版」は制限なし、「オリジナル版+ウェブ更新版」は機能制限つき、 という構図のため、 Babylon側では、あるタイミングで――古くからのユーザにとっては導入後何年もたってから突然――「オリジナル版」を「オリジナル版+ウェブ更新版」に書き換える必要が生じ、結果として、もともとなかった制限を付け加えるため、 かれらは一方的に無許可でユーザのPCに外部から侵入して、Babylonのシステムファイルを書き換えることを行っています。
ところが、Babylon 2.2のシステムファイルはユーザの所有するHD上にあり、 ユーザはもともとEULAに同意して、正当な利用権を持って使っているわけです。 EULAによれば、Babylon ltd. はこのソフトの利用によるいかなる損害にも責任を負わないと言い切っていますので、 利用者としても、自衛のために、Babylon ltd. が自己所有のPCに勝手にアクセスして何かを書き換えるような行為を厳重に禁止するべきです (システムファイルを破壊されても、相手は免責されるので)。 インターネットへの接続を許可しなければならないという規定はないため(そもそも環境次第では物理的に不可能)、 オートアップデートを許可しないで使い続けても、ライセンス上は問題ありません。
Babylon がデフォルトの状態で(つまり何も制限せず好き勝手に外部と通信させた場合に)どの程度の個人情報を収集・送信するのかという点、 すなわち、そのスパイウェア性の有無・程度については、知る限りでは客観的なデータはありません。 したがって、あまり極端な決めつけを行うべきではありませんが、 その人がどんな単語を調べているのか記録して、その人が興味を持つと思われる広告を自動配信する、 といった挙動があり得ることは、ライセンスに明記されています。
ソフト自体は素晴らしいので、使ってみて気に入ったら最新版のライセンス購入も検討してみてください。 Babylon からお金をもらって宣伝しているわけではありませんが、 このような不気味な挙動があってさえおすすめしたいと思えるほど、PC上で英文を読む機会が多いユーザには本当に便利なアプリケーションです。
(2004年6月7日、一部更新)