趣味Web 小説 2005-06-27

ネットで実名を出すと天変地異が起きるぞ論

例によって「ネットで実名を出すと天変地異が起きるぞ論」が大噴出していますが、実名系ブログや芸能人ブログを見て何も思わないのか。人気絶頂期の木村拓哉だってふつうに顔を出して街中を歩いていたんだけど。そういうこと、知らないのかな。

ちなみに、私は本名でもブログを開設しています。また私の本名は whois.jp で調べられます(注:参考情報1参考情報2を熟読のこと)。

私の本名を Google で検索すると、住所・収入・勤務先までわかります。私が公開しているからです(もともとは 2ch 管理人・西村博之さんの真似)。けれども、いたずら電話などの被害はありません。それは奇跡ではなく、ふつうはそういうものなのです。例えばネットショップを運営している個人事業主は、みな法の規定に基づいて本名・住所・連絡先を明示しています。彼ら全員がひどい目にあっているわけがない。天変地異論者は、もう少し世の中をよく見るべきです。

韓国をはじめ実名利用が基本の国は存在し、それなりにうまく回っています。匿名利用の道を残すのはかまいません。けれども、誰も彼もが必要もないのに匿名で情報発信し、そのことに何らの疑問も抱いていない状況が果たして望ましいのか否か?

総務省は SNS と老人世代のネット利用促進に期待をかけています。実名利用者が匿名利用者を人数で圧倒することにより、ウェブ情報の信頼性について各発信者が責任を負う世界を現出しようというのです。「実名を出して一定の節度と責任感を持って情報発信する」という常識を確立するのは、正しいことだと私は信じます。

例えばネットでの悪口に悩む店という問題。嘘や誇張がなく、言葉の選択も正しければ、訴訟を恐れる必要はありません。匿名でなければ発信できない情報は多くないのです。

補記

「完全な匿名はありえない」とはいうものの、現実問題としては少々のことでは匿名が破られることはありません。そのため事実上、カジュアルな誹謗中傷をノーリスクで行うことができ、多くの人々が誘惑に負けています。私はこの現状を素晴らしいとは思っていません。「面と向かっていえないことは書かない」という抑制ある態度を守って発言することがウェブの基本となるべきです。

「匿名を完全に排除すべき」と主張したいのではありません。匿名である必要もないのに匿名であろうとすることが常識となっている社会は、不健全だと思うのです。実名を出して情報発信しても、個人レベルでは得することがないのは事実。それは諸外国でも同様ですが、ではなぜ実名の情報発信者が多いのか。それは、実名で責任を負って発言することを称揚する文化があるからです。文化で勝つ他ない問題だから、学校教育の提案が出てくるのです。

私は複数のブログを本名を明かして運営しています。最初から自分を知る誰にでも読まれる可能性があることを引き受けて書き始めたのですが、意外に制約を感じないこと、そして実際、問題の起きないことには驚かされました。オフラインで最初に出会った友人・知人らに対するのと同じ態度を通せばよいのです。これは決して難しいことではない。それは私以外の本名系ブロガーの方々も異口同音に話していることです。いたずらに怖がるのではなく、今そこにある声にも耳を傾けるべきです。

一方、当サイトではハンドルネームを使ってきました。私は表裏のある人間なので、裏側メインで運営するサイトを本名で運営したくなかったからです。ただし電話やメールで問い合わせがあれば、本名・住所・電話番号を個々の読者に開示してきました。仮名での発言も(最終的には)全人格的に責任を負う意図によります。

けれども、重大な問題が生じない限りは情報を伏せておきたい。私の本名で Google 検索して「徳保隆夫は**のハンドルネーム」とわかってしまうのは嫌です(詳細)。会社の上司にはサイトバレしていますが、これ以上は勘弁してほしい。そこで読者の皆様のご協力をお願いしてきたのでした。

追記(2005-06-30)

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