RealPlayer は、単体でもインストールできますが、Netscape Communicator をインストールするとデフォルトでくっついてくるフリーウェアで、ご承知のようにウェブ上の .ram などのストリーミング・コンテンツ(音楽とかラジオ番組とか)を受信するのに使うものです。.wav や .mp3 の音声は通常、ファイルをぜんぶダウンロードしてから再生が始まるのに対して、ストリーミングだと受信したものをすぐ(必要最小限のバッファリングで)どんどん再生してくれるので、低速な回線でもすぐ聞けるというメリットがあります。自由民主党・党歌『われら』
http://www.jimin.or.jp/jimin/jimin/touka/touka.ram
のような脱力系で大笑いしてストレス解消したり、新井昭乃の「妖精の死」
http://www.jvcmusic.co.jp/ram/vicl-60043-9.ram
を試聴したり、そのほかウェブ上で無料提供されている語学学習のコンテンツを利用するなどいろいろ使い道があって良いものですが、ネスケといっしょに入れると勝手に常駐(パソコンを起動すると同時に勝手にそのアプリケーションもバックグラウンドで起動すること)してタスクトレイにあの青い風船みたいなの が寄生するのをうざいと感じるかたも多いと思います。ストリーミングでBGMやウェブ放送局を流しっぱなしにするようなユーザならともかく、たまにしか使わないのに5~10MB程度のメモリを食うのは、環境によっては迷惑千万(めいわくせんばん)。もしメモリが64MBとかのマシンだったら勝手に10MBも使われるのは死活問題でしょう。
「Netscape 4.78 リリース」では、そーゆーときには窓の手の「自動実行」タブで削除しとけばいいと書きました。一般に、勝手に常駐するものは、レジストリの「HKEY_LOCAL_MACHINEうんぬんRun」に記述されてるので、この部分を安全に書き換えられるツールを使えば常駐解除できます。が、RealPlayer の場合、アプリ自身のメニューに常駐をやめる設定があるので、そちらを使ったほうが良いです。これは一般論としても当たり前のことですが、RealPlayer の場合、窓の手から設定を変えても RealPlayer は次回起動されたとき自分で常駐の設定を元に戻しちゃうみたいなので、アプリ自身にもう二度と常駐すんじゃねーぞてめえ今度、風船だしたらアンインストールするから覚悟しやがれと言ってナシつけないとダメっぽいです。
以下、画面例は、ネスケにくっついてきた RealPlayer Basic 6.0.9.584 の場合。バージョンによっては、多少、違うかもしれませんが、以前もこんな感じだったので、だいたい同じと思います。
タスクトレイの を右クリックして、ポップアップするメニューの Preferences ... を選択。(RealPleyer のウィンドウがすでに開いているときには、メニューの View → Preferences でも同じ。)「Preferences」(ユーザのお好みしだいに設定)というダイアログが出るので、General タブの下のほうにある「StartCenter」の「Settings...」ボタンをクリック。
すると「StartCenter Settings」というダイアログが出るので、「Enable StartCenter」(スタートセンターを有効にする)というチェックを外してみてください。
敵もさるもの、すぐには言うことを聞かず今度は「StartCenter Benefits」というダイアログを出して「スタートセンターが有効だとステキなことがいっぱい! 詳しくご説明いたしますと、あーだこーだ。というわけで、本当に無効にしていいんですか」とねばりますが、かまわずYesと答えると、Enable StartCenter のチェックが外れます。Benefits(利益)といっても、「常駐させとけばより高速に起動できる」という当たり前のことのほか、「StartCenter 経由で役に立つ情報をお届けします」のたぐい。べつに常駐してなくてもリアルプレーヤーの起動は重くないし、「Real.com からのホットな最新情報!」なんてべつに受け取りたくねーと思えば、OK をクリックしてダイアログを閉じましょう。タスクトレイの が消えて、つかんでいたメモリをその場で解放(RealPlayerを起動中でなければ)してくれます。次回以降のマシン起動時には、もう常駐しなくなります。
もし常駐(StartCenter機能)をもとに戻したいときは、RealPleyer を起動して(手っ取り早くは .ram ファイルをひらけば良い)、メニューの View → Preferences から上と逆のことをやれば簡単にもとに戻せます。
Christmas Card in 2000 sent from © Seppo Leinonen.
昨年12月に紹介したレイノネンさんのクリスマスカード「ホワイトクリスマスになるといいね☆」 東京以南の緯度にお住まいのかただと「ホワイトクリスマスになるといいね」というのは、単なるロマンティックな希望のように思われるかもしれませんが、そのときにもご説明したように、これはフィンランドの、それも北極圏のサンタさんのいる場所のお話です。ごらんのようにクリスマスイブのラップランドだというのに、地上に雪がなく、世界の子どもたちに配るプレゼントを載せたトナカイのそりが立ち往生しています。そこに空から白いものが……サンタは嬉しそうに「やれやれ、ようやく雪が降ってきた!(これで出発できる!)」トナカイが「雪じゃないよこれ。……どうやら京都議定書のようだな……」(書類は作成されたものの死文化して破り捨てられた)
下の謎めいたタイトル「あめゆじゆとてきて(みぞれを取ってきて)」というのは、ある物語で死にかけた女性が言うことばですが、ここでは「みぞれまじりでもいいから、雪を持ってきてくれ」という意味の辛辣(しんらつ)なパロディーになっています。かの「サンタクロースっているんでしょうか」のパロディー「ちゃうねん、バージニア。おるにはおるが、もうすぐ死ぬで」が中間部に入っている意味も、これで納得できると思います。
こういうふうに説明してしまうのはヤボですが、少しひねりすぎで分かりにくすぎたかもしれません。とっても恥ずかしがりやなので(てへ)、変にひねった表現で本当の気持ちを隠すわるいクセがあるのですが、本当は、問題意識を持ってほしいと思っているのですよ。すぐ現実に何かできるわけでないとして、まず問題を意識することが大切だから……。地球温暖化、炭素税(二酸化炭素排出量規制)といった話は、自分たちには関係ない国際政治の難しい話だと思われるかもしれませんが、最近の異常に暑い夏(まあ今年だけの偶然かもしれませんが)を思えば、肌で感じられる実感もあるのではないでしょうか。
「ガイア逝って良し」(地球なんて死んで良し)とか「伝えてください。かつて地上にニンゲンという生物が存在したと」といった意味のフレーズは、決して終末論的な悲観を述べているのでなく、挑発的な反語なのですよ。
マザーグースの「だれが殺したクックロビン」のパロディーが、とんでもなく強烈な皮肉であることもこれでお分かりになるかと思います。
A jazzy poem - 音のないジャズ。ピアノ(Pf)、クラリネット(Cl)、パーカッション(てきとーに) + your imagination! ※これは楽譜である。楽譜は眺めてもつまらない。「読者」としてでなく、創造的な「演奏者」として、かかわるべし。「あめゆじゅとてきて」NOTEもごらんください。
――ピアノ低音マルカート、オクターブのユニゾン、スタッカートの歯切れより快速なリズムにのせて、クラうたう
Pf: あめゆじゅとてきて、くっくろびん
Cl: たーひーやひーや、らぁらー
あめゆじゅとてきて、くっくろびん たーひーやひーや、らぁらー
(5拍子クロスリズム)うーたたかすた、うーたたかすた、おまえもな、おまえもな。うーたたかすた、うーたたかすた、おかちまち、おかちまち。
♪あめゆじゅとてきて、くっくろびん たーひーやひーや、らぁらー
あめゆじゅとてきて、くっくろびん たーひーやひーや、らぁらー
(クロスリズム)いたいの|いたいの|とんでい|けいたい|のいたい|のとんで|いけいた|いのいた|いのとん|でいけい|たいのい|たいのと|んでいけ|
♪あめゆじゅとてきて、くっくろびん たーひーやひーや、らぁらー
あめゆじゅとてきて、くっくろびん たーひーやひーや、らぁらー
(Take 3+3+4)
ポコタ、ポコタ
ひめちゃん
ポコタ、ポコタ
ひめちゃん
マリベ、マリベ
タンバリン
マリベ、マリベ
タンバリン
テツコ、テツコ
みるくちゃん
ハナゲ、ハナゲ
みるくちゃん
♪あめゆじゅとてきて、くっくろびん たーひーやひーや、らぁらー
あめゆじゅとてきて、くっくろびん たーひーやひーや、らぁらー
(improvisation:cl)あーーーーだいかんらんさんちーからー、つーかれーた、うーまの、たーまねぎが。あーおく、すきとーるー。ほけきょーねんじまーせーよ
(「ねんじませよ」の「ま」で、つっこむ)♪あめゆじゅとてきて、くっくろびん たーひーやひーや、らぁらー
あめゆじゅとてきて、くっくろびん たーひーやひーや、らぁらー
あーーつく、ねむたいー、ひーるのやすみー。てつろーは、おもうのだったー
(「おもうのだった」の「だ」で)♪あめゆじゅとてきて、くっくろびん めーてーる、まてーる、がいあー
あめゆじゅとてきて、くっくろびん めーてーる、まてーる、がいあー
はーはなる、だいちーは、びょうげんきんをー
ちじょーに、はびこーる、びょうげんきんをー
やっつける、たーめーに、体温をあげたーーー
びょーげんきんは、ねつによわいーので、免疫系のオンダンカ
♪あめゆじゅとてきて、くっくろびん たーひーやひーや、らぁらー
あめゆじゅとてきて、くっくろびん たーひーやひーや、らぁらー
(はぎれよく)高熱の夏、死の夏、夏の死、やっつける、らくらいで、やきつくす、清浄の、空気ーーー
(「空気」で入る)♪あめゆじゅとてきて、くっくろびん たーひーやひーや、らぁらー
あめゆじゅとてきて、くっくろびん たーひーやひーや、らぁらー
だーれーが、ころしーた、くーくろびん
だーれーが、ころしーた、くーくろびん
だーれーが、ころしーた、くーくろびん
Repeat ... perdendossi
――クラリネットの高速なツッコミと、ワルツっぽい少女のセリフを中心に早口言葉的なかけあい。
(Intro)
Cl: さんたくろーすって、おるねんか?
Pf: さんしんぶんに、きいてみそ
おるねんか?おるねんか?おるねんか?
おっちゃん、おるねんか!
……
(陽気に――Percは、ずっとバックでリズムを刻む)
おっちゃん、うーちーは、8歳やーーー。クラスメートが、さんたくろーすなんておるかアホいうけど、おらへんねんか? 妖精のなかまかと思うんやけど?
Cl: ちゃーうちゃう、ばーじにあ、さんたくろーすは、妖精とちゃうで
おっちゃん、おるねんか?
ちゃーうちゃう、ばーじにあ、おるもおらんもあらへんねん
なんきょくも、ほっきょくも、こおりがとけだしてー
おっちゃん、さぞかーし、なんぎやろ
ちゃーうちゃう、ばーじにあ、氷がとけよーが、地球が滅ぼうが
ちゃーうちゃう、ばーじにあ、さんたくろーすのらちのそと
存在するすべての情報が現実で
そしてまぼろしの黙示録
そーやそーや、ばーじにあ、まっぴるまに芝生で
そーやそーや、ばーじにあ、日射病で死ぬで
あほぬかせ、日射病?んななまやさしーものかッ
こーかがくすもーぐ、だーいおきしーん
れーっかうらん、魔法使いさりん
第七の封印とけば「わざわいだわざわいだ地に住む者は」
そーやそーや、ばーじにあ、芝生の妖精がみえへんのは
そーやそーや、ばーじにあ、煙が目にしみて~
妖精は隠れてるーけど、いるーてか?
ほな。さんたくろーすもおるねんか?
さんたーくろーすは、がーきめらに
おーもちゃをくばって、くってるおやじ
がーきめらがほろべば、れーいおふさ
不健康なちゅうねん、最近、腹が出て、煙突通れない
耳の山の近くでは原発、事故り、
トナカイのエサは、ほうしゃのうおせん
トントゥもトントゥも苦しかろ
そーやそーや、ばーじにあ、おるには、おるけれど
そーやそーや、ばーじにあ、もうすぐしぬで
♪あめゆじゅとてきて、くっくろびん たーひーやひーや、らぁらー
あめゆじゅとてきて、くっくろびん たーひーやひーや、らぁらー
(クロスリズム)いたいの|いたいの|とんでい|けいたい|のいたい|のとんで|いけいた|いのいた|いのとん|でいけい|たいのい|たいのと|んでいけ|
♪あめゆじゅとてきて、くっくろびん めーてーる、まてーる、がいあー
あめゆじゅとてきて、くっくろびん めーてーる、まてーる、がいあー
れーくいえむ、あえてるなむ、どーないす、どみね
どーないす、どみね
うーたたかすた、うーたたかすた、おまえもな、おまえもな。うーたたかすた、うーたたかすた、おかちまち、おかちまち。
ポコタ、ポコタ
ひめちゃん
ポコタ、ポコタ
ひめちゃん
マリベ、マリベ
タンバリン
マリベ、マリベ
タンバリン
テツコ、テツコ
みるくちゃん
ハナゲ、ハナゲ
みるくちゃん
イワテ、イワテ
イーゥワートブ
かめあり?
Come, Fairy!
♪あめゆじゅとてきて、くっくろびん たーひーやひーや、らぁらー
あめゆじゅとてきて、くっくろびん たーひーやひーや、らぁらー
(improvisation:cl)あーーーーだいかんらんさんちーからー、つーかれーた、うーまの、たーまねぎが。あーおく、すきとーるー。ほけきょーねんじまーせーよ
(「ねんじませよ」の「ま」で、つっこむ)♪あめゆじゅとてきて、くっくろびん たーひーやひーや、らぁらー
あめゆじゅとてきて、くっくろびん たーひーやひーや、らぁらー
(ふざけたワルツ調)もんでゅー、もんでゅー、らう゛ぃー、ねぱらー
もんでゅー、もんでゅー、らう゛ぃー、ねぱらー
ゴドー氏に、ちょねじゅせよ
ちゃんかんまんよ
がいあの、おばちゃんは、いったとさ。おらー、おらで、しーとり、えぐも
あるげー、あるげー、あるげっすむにーだー
(以下2行ずつ同時進行)
(Cl high)にんげんが、いきていた
(Pf)がいあー、がいあー
(Cl high)にんげんが、いきていた、よろしくと
死の灰のあめゆきを、妹(いも)に食わす
(Cl high)にんげんが、いきていた、よろしくと、ゴドー氏に
がいあー、いってーよし!
(Cl Climax)おつたえくださーーーーーーーーーぃ
(クラが伸びてるうちに)♪あめゆじゅとてきて、くっくろびん めーてーる、まてーる、がい・あ(即物的にぴたっと止まる)fine
Image: Quoted from Ympäristöaiheisia pilapiirroksia, © Seppo Leinonen, www.seppo.net, 2001.
セッポ・レイノネンの「今週のカートゥーン」より。重体の患者を治療する Intensive Care Unit(集中治療室)ならぬ Intensive "Who Cares?" Unit、ストレッチャーに乗せられて搬入されてきた患者は京都議定書の象徴か、はたまた病んだ地球そのものか。――医師A「体温が上昇している!」医師B「急げ、もっと大量に酸素を送りこめ!」助手USAがばかでかいボンベから患者に吸わせているのは CO2……
フィンランドのアイロニーには、とんでもなくブラックなことをエレガントに淡々と言ってのけるという味がひとつある(そのくせ、患者の目が×じるしになってるところが、なんかおちゃめ)。“一国だけ自分勝手なふるまいをして国際社会のルールに反する”というのがどこぞの弱小国だったなら、そっこう経済制裁、国連の非難勧告、CNNのスペシャルレポート「わぁなんて悪い国だろう」が出まくって、さんざん叩かれるところだが。「地球の環境に配慮することは、アメリカの経済に不利益だから支持できない」というのもすごいロジックで、その二枚舌に各国代表から思わずブーイングが出たのも無理からぬところ。いま楽しければ次世代のことなどどうでもいいというのも、人間的な発想ではある。切迫感をみなぎらせた医師・ナースたちの様子と、なんともとぼけた助手のまぬけな表情のコントラスト。透明な悲しみ。画像を縮小してあります。原画はレイノネンさんのサイトでごらんください。
日本語で読める参考記事:『京都議定書』の運用ルール、ようやく採択
ネスケの4.78が出てます。4.77からの変更点ですが、リリースノートによると、Windows のホイールマウス(インテリマウス)のサポート向上、Sun Javaプラグインのサポート向上、細かいマイナーバグフィックス、AOL Instant Messenger と Flash Player 5 がバージョンアップ。だそうです。
なにかと評判の悪いネスケ4ですが、スタイルシートを無効にすれば(edit - preferences - advanced にて「Enable style sheets」のチェックを外す)、文字中心の軽量ブラウザとしてある程度、存在意義もあるのでは、ないでしょうか。
スタイルシート有効(デフォルト)でのブラウザ画面は、4.77と変わりばえしないので、あえてスタイル指定を無効にした場合の画面をキャプチャしてみた。スタイル指定に対する反応は妙ちきで予期できないネスケ4だが、スタイルをオフにしてしまえば軽快で明晰だ。文字色のような飾りを排した姿は見ようによっては、エレガントともいえる。画像を見る[24kb]
ダウンロードサイズ22.4MB、インストールサイズ59.7MB(手元の Windows 版でフルインストールの場合)。容量の半分は RealPlayer8 Basic 、更新されてないけど同梱されてるということのようです。インストールすると、勝手なことばかりしてうっとうしい real だけど、あればあったでストリーミングはBGMばかりか語学学習にも使えてべんり。勝手に常駐するのは不愉快ですが、そういうときは、窓の手の「自動実行」タブから「削除」すればEnable StartCenter のチェックを外せばOK。他方、インテリマウス対応うんぬんですが、手元で試したところ、ブラウザのヘルプをひらいたら中ボタンが使えませんでした(中ボタンクリックで閉じるの設定にしてるのですが機能せず。ネスケのメインウィンドウは、ちゃんと中ボタンで閉じます。また中ボタンの「ぐりぐり」は、ちゃんと機能します)。
いくらなんでもブックマーク文字化け問題は、もう修正されてると思いますが、判然としません……手元で試した限りでは化けません(なおってます)が、どのバージョンで直ったのかうやむやのまま。4.77で修正されたとする人もいましたが、窓の杜は当時、4.77では未解決だと主張していました。現在、窓の杜のNetscapeのページをみると、「v4.7xではブックマークの日本語が文字化けをおこすことがあります」という、あいまいな記述。誤報にならぬよう責任回避な書き方をしている面もあるでしょうが、それより、ネットスケープ・コミュニケーションズ社が問題が修正されたことはおろか、そもそも問題が存在すること自体、公式に認めていないというありさまで、そっちがむしろ不誠実です。たぶんどれかのバージョンの「いくつかのささいな不具合を修正」という表現のなかに含まれてるのでしょう。(文字化け修正は、実質的には、日本の一ユーザが使った非公式なパッチの適用が標準的な方法だった。もしこの親切なユーザがいなかったら、ネットスケープは今ごろ……)
なお、一般に、文字化け問題は4.74のエンバグと思われてるようですが、前にも書いたように、じつは大昔の4.51フィンランド語版でもまったく同じ問題がありました。窓の杜の「4.7x」というぼかした書き方でもじつはまだ誤報で、言語によっては「4.5x」でもブックマークが壊れます。といっても、窓の杜の読者のほとんどすべては日本語版か英語版しか使わないでしょうから、実用上、「4.7xの問題」で良いでしょう。
証拠画像:Netscape 4.51[fi] ――左が日本語版のブックマークを引き継いだ直後、右が次回起動時。Netscape 4.74[en]とまったく同じ文字化けパターン(ル→・#139; など)が生じる。つまり、この問題は 4.7x に特有では、ない。
考えてみると、ネスケ4の日本語版は4.75を最後にもうまる1年近く更新されてないわけです。内容が古すぎの文字化け修正情報のページがいまだに毎日たくさんアクセスされているのは妙だと思っていたのですが、「ネスケ4日本語版の“最新版”はブックマークを破壊するならず者で、ネスケ社がそれを一年も放置したままだ」という事実に着目すれば、あんな古ぼけた情報でもそれなりに需要があるのかもしれません。
もう少し明るく考えるなら、ブラウンオリフィス、ブックマーク破壊……とネスケ4が次々ととんでもないことをやらかしたのは、わざわい転じて福とも言えます。仮にネスケ4がこれほどひどいブラウザでなかったら、それなりに使えてしまうので、新しいものを試すのが苦手な人々がそれをしつこく使いつづけ、結局、ウェブ上のネスケ4汚染が今ほど急激には改善されなかっただろうし、ニーズがある限り、ネスケ社もサポートを続けざるを得なかったかもしれないからです。ここは心機一転、ネスケ3がそうなったのと同様、ネスケ4のことは忘れて、ネスケ6をちゃんとすることに集中してほしいと思ってます――個人的にはモジラのほうをおすすめしますが、Outlook Express の Hotmail 連動がべんりと思うかたがおられるように、Netscape の Webmail 連携が重宝なかたもおられるでしょう。
4.78のリリース、第一感としては、正直、意外でした。4.77のときはモジラが若かったので Linux のひととかの需要があるのだろう……と思えたけれど、いま「4.78」って何の役に立つのか……。善意に解釈すれば、本当に単なるマイナーバグ修正だけ……ということでしょうか。現場の開発者としては、バグを修正したい良心があるのは当然でしょう。また、もっと経営的な「上層部」の判断として、「Netscapeは死んでいない」といちおうアピールしてみる意図もあるのかもしれません。しかし、ネスケ4のサポートを続けることは現状、プラクティカルな意味があるし、ネスケ4の直接の改善の形でCSS対応を良くするという道もあり得るわけで、「ネスケ5」というバージョン番号が空いているのは、あんがいだてじゃないのかも。
ネットスケープ社のネスケ6についてのたてまえからすれば「ネスケ4は obsolete である、当社はもうネスケ4をサポートしない」というのが筋ですが、現実問題として、そうしたW3Cピューリタニズム、モジラ原理主義は、Mozilla神のために128MBのお布施を捧げられる裕福な者以外には、とうてい受け入れられないでしょう。モジラがメモリ空間を節約するか、または、メモリをギガで数えるのが当たり前の時代になるまで(ごく近い将来でしょうが)、ネスケ4みたいな軽めのブラウザの需要は、あるでしょう。
ここで「モジラ原理主義」というのは、挑発的な表現ではあるけれど、単なる記述概念です。「W3Cの正しい教えを完璧に具現した存在であるブラウザを世界中に広めよう」という気持ちのことです。モジラが実際に、標準準拠を果たしている唯一のブラウザであるとすれば、この気持ちには、共感できる部分も大きいでしょうし、もし実際には標準準拠の不完全さが目立つようなら、「なまぐさ坊主の説教」とも見られるかもしれません。また、仮に不完全な点が多くても、それに対して率直で謙虚なスタンスであれば、好感を呼ぶでしょうし、仮に完全な標準準拠を実現していても、権威主義的にごり押しするようであれば、反感を呼ぶかもしれません。
まだまだ世界中には16MBのマシンを使っている者もいるでしょうに、公称64MB(実際には128MB)以上必要とするモジラは、けっこう要求が高いです。ネスケ4なら半分以下のリソースでも動くでしょう。
モジラを支持したいと思うかたの多くは、もちろんモジラの問題点も認識していると思われますが、なかには悪い意味で先走った動きの傾向もあるようです……若々しい改革精神は分からないでもないですが、今のモジラは、もっぱらモジラ自体のパブリックテストのために(フィードバックを受けるために)公開されているとみるべきで、それに照らして判断するような権威ある教典では、ありえません。布教活動は、標準準拠の看板からいつわりをなくしてからでも遅くないでしょう。灰色の教典でなく潔白な教典をもって。
例えば、list-style-image の透過画像を透過させられないネスケ6.1をもってきて「このブラウザで正しく表示されないページは正しくない」と言い張るのはナンセンスでしょう。表示が乱れるのはモジラの側のバグだからです。今は、ウェブ作者の側がモジラのバグに触れないようにあれこれ苦労している段階で、実際、6.1が正式公開されたのでやむなく list-style-image を透過画像でない画像に変更しましたが、これは「ネスケ4の機嫌をとっている」ときの、あのムダな労力を強いられる感覚そのものです。
こうしたたぐいのごまかし的な回避の知恵を「福音」と呼ぶネスケ社も冗談半分なのか本当に変に神がかっているのか、はたまたアニメファンの受けを狙ってるのか知りませんが、それでもなお、まともなHTML4ライターから見ればネスケ4よりずっと好意的に見られているネスケ6でありモジラ。今のところは――。逆にいえば、それほど嫌われているネスケ4。――とすると、論理的帰結として、それほど嫌われているネスケ4より相対的にずっと好ましいと思われているネスケ6というのは、絶対スケールに換算すると、あんまり好まれているとは限らない。嫌われ者のネスケ4よりは好きだ、暗黒よりはずっと明るい色だ、という相対的な話にすぎず、いろんな意味で微妙。今のモジラを見る限り、一部の関係者が夢想しているらしい「福音をたずさえてきた預言者」なんていう歓迎のされ方は、あり得ないでしょう。むしろありそうな話は、ネスケ6完成版の鳴り物入りのリリース翌日、妖精現実に「Mozilla 1.0 と IE6――めくそはなくそ」なんて記事が出て、「標準準拠をあんなに強調していながら、モジラは、実際には、こんな単純なCSSも正しくレンダリングできない」という実例を証拠画像入りで10も20もさらされてしまう、ということです。細かな不備それ自体をとやかくいうつもりはないですが、またぞろ不備がたくさんあるのにネスケ社が「これはMSIEより優れているのだ。IEは邪悪だ」とほのめかすとしたら……。こっけいというより逆効果でしょう。今でもすでに「標準準拠が来たぞ~」と叫ぶオオカミ少年になりかけてるのに。
けれど暗黒より明るいことを根拠に自分は純白の光だと信じる者が必ず現れるでしょう。そんな灰色の仕様のうえで。日本語のなかに(セムハム系の文字どころか)ウムラウトやアクサンのついたヨーロッパの文字を混在させられないネスケ4からみたら、たいていのものは、りっぱに見えます。歴史が教えるところによると、憎い共通の敵をほろぼしたあとには、たいていうちわもめが生じるもの。今はネスケ4排斥という一点で多くの人が一致していますし、いずれにせよ、今のネスケ4は早晩すたれるでしょう。
それは良いのですが、そのあと、W3Cが規定してない部分についてモジラが採用している実装がデファクトスタンダードになって、実質的にだれもが「モジラでの見えかた」を基準にし、気にする、「こう書いたほうがモジラではきれいに表示される」という発想になってくるとしたら、その状況を皮肉に感じる者もいるでしょう。
ウェブページを書く立場からすれば、IEであれ、ネスケ4の後継(もしでれば)であれ、ネスケ6であれ、要するに標準準拠であれば何でも良いのであって、HTMLを実用にたえる程度にちゃんとレンダリングしてくれればたくさんです。「標準準拠のブラウザならどれで見たってほとんど同じ画面だからブラウザの選択は単に好みの問題」と言い切れる日が早くきてほしいのです……いっそ世界中モジラだけになったっていい。ちゃんと表示されるのなら。
しかし、今のモジラのような、CSS以前に文字を正しく表示できないブラウザが国際標準になってしまうのは好ましいとは思えません。i18nと言いながら主要な国際語の一つであるアラビア語を綴れないのは、いかにも不本意。初めからアラビア文字をサポートしないと割り切ればまだしも、語頭だろうが語中だろうが全部、独立形にしてしまうモジラのいい加減なアラビア語サポートは、正確でエレガントなアラビア語表示ができるIE5に大きく水をあけられている点のひとつ。もちろんモジラのほうがすぐれている点も多いのですが、「標準準拠」の勝負は決して一方的でなく、一長一短。そしてウェブを書く立場というよりブラウザを使う立場からすると「標準準拠」だけが唯一絶対の基準でもなく、へたれたネスケ4のほうがずっとマシな面すらあります。
ネットスケープにしても、現場でモジラの開発に加わっている開発者のかたの気持ち(良いものを作りたい)と、経営陣のかたの考え(おかねを儲けたい)は異なるでしょう。
そんなあれこれのさなか、もう終焉と思われていた Netscape 4.7x が 0.01 バージョンアップしてリリースされたのを、あなたはどうごらんになりますか……?