結局、ドラクエが好き

10数年ゲーム離れしていた私が Nintendo DS を手に取ったのは、DS版「ドラゴンクエスト検DQ4)」のテレビCMがきっかけでした。これがとても面白く、一気に2周、3周。こんなに面白いなら他の作品もやってみるか、というわけで、いろいろな作品に手を出してみました。

「テイルズ オブ ザ テンペスト(TOT)」「テイルズ オブ ハーツ(TOH)」「テイルズ オブ ジ アビス(TOA)」、DS版「ドラゴンクエスト后DQ5)」、DS版「クロノ・トリガー(CT)」、DS版「ファイナル・ファンタジー掘FF3)」、「ワールド・デストラクション(WD)」、「ポポロクロイス物語(PC1)」、「ドラゴンクエスト察DQ7)」、「アーク・ザ・ラッド2(ATL2)」、「アーク・ザ・ラッド3(ATL3)」などなど。

こうしてRPGばかりやってきて思うのは、「自分は結局、ドラクエが好きなんだな」と。最近も、オールドスタイルRPGの新作として登場した「セブンスドラゴン(7D)」を遊びながら、ついつい「これがドラクエだったら……」と考えてしまう自分に気付かされました。

ルーラ

DQ4の次に遊んだGBA版「ファイナル・ファンタジー機FF1)」の時点で早くも「これがドラクエだったら……」が出ました。イベントで街とダンジョンを行ったり来たり。大して広いマップでもなく、歩いても大した手間ではない。それはわかっていますが、それでも、と。

「ルーラがほしい」と思ったのです。ルーラとは、ドラクエに登場する、空を飛んで一瞬で訪問済みの街へ移動する魔法です。戦闘中と屋根のある場所を除き、キャンセル不可のイベント中以外は、いつでもどこでも使えます。しかも「キメラの翼」という冒険の序盤で買える消費アイテムでも代替できるのです。

以後、同じ不満はドラクエ以外の全ての作品で感じました。

TOTの場合

TOTでは広大なマップを端から端まで歩いて移動する必要があります。物語が進むと船が港をつないでくれますが、内陸の街やダンジョンなどの遠いこと、遠いこと。泣きそうになりました。

同様に広大なマップを用意した「ドラゴンクエスト次DQ8)」の場合、街から遠く、複数回の訪問が予想されるダンジョンのほとんどが、ルーラで移動できるようになっています。しかもルーラなら港まで移動する手間もない。港から港へ船で移動できれば同じこと、じゃないんですね。

TOAの場合

TOAでは、終盤になってようやく飛空船の自動操縦が可能となり、行き先を選ぶだけで自動で移動してくれるようになります。しかしこれもルーラの代わりとしては使い勝手が悪い。

街を出て、飛空船に乗り、浮上して、メニューを開き、行き先を指定し、移動先で船を降りて、街に入る。なんという手間でしょう。ルーラなら、街の中で用事を済ませたら、建物を出さえすれば、すぐに移動できます。お城で王様と話したら、ベランダ(?)に出てすぐルーラ、とか。

しかも飛空船の自動操縦の場合、着陸可能な場所が街の付近になかったりします。いちいち少し離れたところに着陸して、歩いて街に入らねばならない。ドラクエで飛行する乗り物を入手したときも、そういうことはあります。でも2回目からは、ルーラで行くから、その手間がありません。

レガイア伝説と天外魔境の場合

「レガイア伝説(LL)」はPSで発売されたRPGで、システムがコンパクトにまとまった私好みの作品です。ルーラはありませんが、ほぼ同等の効能を持つ消費アイテムを安価に買えます。「天外魔境掘陛軍3)」も同様です。……が、いずれの道具も、いったん街を出ないと使えない制約あり。

これは移動用の術があるPS2版「天外魔境供陛軍2)」や、移動用機械のある「オリエンタルブルー 青の天外」でも同様。ドラクエなら、例えば城のようなダンジョンで屋上など天井のない場所へ出たら、そこから直にルーラで街へ帰れるのです。その感覚に慣れてしまうと、他のゲームはキツい。

FFシリーズの場合

とくに参ってしまうのがFFシリーズ。どの作品にもルーラがない。どんな山も平気で越えられる飛空船が手に入るまで、とにかくつらい。ちなみにFF3の場合、最後までそういう乗り物は手に入らない。

セブンスドラゴンの場合

7Dも移動に苦労する作品。スタート地点でしかパーティーメンバーの編成ができないので、敵の特性に合わせてメンバーを組み直したいのだけれど、そこへ戻るまでが大変なんです。

一応、ドラクエの「旅の扉」みたいな瞬間移動装置が街の近くにあるのですが、これがどういうわけか、街から微妙に離れた場所にあって使い勝手が悪い。「テイルズ オブ レジェンディア(TOL)」では必ず街やダンジョンの入口付近に瞬間移動装置がありました。これは当然の配慮で、なぜ同様にできないのか、と思う。

それにダンジョンから街まではテクテク歩く他ないわけで、戦闘に苦労する→歩いて街へ戻り、体力を回復→瞬間移動装置まで歩く→最初の街へ戻る→(以下略)という手順をいちいち踏まねばならない。

それでも全ての街の近辺に装置があるならまだいい。ないんですよね、これが。こうなると悲惨で、なんとダンジョンを通過して戻らねばならなかったりします。何度も通過するダンジョンは、クリア後に抜け道を発見してショートカットできるよう工夫されていますが、そもそもルーラがあれば足りる話でしょう。

あるいは、とある村には道具屋しかない。進行方向のダンジョンに出る敵に苦労していて、お金がたまったから武器や防具を買い揃えたい、と。そのたびにいちいちマップを歩き、通過用ダンジョンを通って、前の街へ行って買い物し、また歩いて戻る……うがががががー、となりますよね?

余談:ドラクエの馬車=移動型のギルド管理所

DQ4〜6の場合、そもそも馬車システムが用意されていて、メンバーの選択はいつでもできる仕組み。テイルズも同様。ただ、個人的には馬車の方が納得できます。テイルズの場合、戦闘してる3〜4人が倒れたらゲームオーバーだけど、ドラクエなら馬車から仲間が飛び出す。その方が自然ですよね?

あと馬車では戦闘メンバーを戦闘中にも交換できるのが大きい。テイルズの場合、まあ大体ボス戦の近くにセーブポイントがあるからだろうけど、初対面のボス相手にぶっつけ本番で挑まねばならない。馬車システムなら、相手の行動パターンを見て、メンバーを柔軟に入れ替えられます。

7Dのようにパーティー編成のたび、いちいちギルド管理所へ戻らねばならない作品はドラクエにもあって、DQ7と「ドラゴンクエスト掘DQ3)」がそう。それでもとくに7Dだけイライラが大きいのは、やはりルーラがないから、ということに尽きると思う。

乗り物の乗り捨て

FF4のように、それ自体をイベント化している例もあるんだけど、割と乗り物の乗り捨てって、後で面倒くさいことになったりする。

例えば、洞くつの入口に乗り物でやってきて、乗り捨てる。洞くつをクリアすると、イベントで入口とは別の場所へ移動してしまう。それから再びその乗り物を使いたくなったら、さて、どうすればいいの?

ドラクエのルーラは万能で、ルーラで移動した先に、船や馬車も一緒に移動する。無茶苦茶なんだけど、ゲームの都合を優先する。こういうゲーム的な割り切りが随所にあるのが、ドラクエの凄いところです。

「ワイルドアームズ(WA1)」のアースガルズは、世界の裏側に乗り捨てても、笛を吹くと地中から登場するすごいロボット。船を乗り捨てた場所を忘れて悩まされた作品だけに、この便利さにはビックリ。そんな機能があるなら主人公らが乗り込んだときも地中を通って海を渡ってほしいのだが……。

それでもアースガルズは古代文明の遺産の巨大ロボットなので理解できなくもない。おかしいのはDQ8のキラーパンサー(乗り物)。一部例外はありますが、だいたい世界中どこで鈴を鳴らしても颯爽と登場してくれます。おいおい、っていう。これもドラクエならではの割り切り。

リレミト

ルーラと並んで「これがドラクエなら……」と思わされるのが、ダンジョンの脱出。ドラクエの場合、一部の例外を除き、リレミトという序盤で覚えられる魔法にて脱出が可能。リレミト→ルーラで簡単にピンチを脱出できるのです。

長大なダンジョンをいちいち歩いて帰らねばならないつらさを思い知ったのがTOLでした。雑魚戦でも時間がかかる調整だけに、帰途だけで30分とかザラ。いくらなんでもこれはないだろう、と。

テイルズオブシリーズは伝統的にダンジョン脱出手段が乏しいのだけど、他のシリーズ作品の場合、帰り道をショートカットする工夫があることが多いんですよね。

典型的なのが、行きは仕掛けを解くために右往左往させられるけど、帰りはまっすぐ最短ルートを通過できる、というもの。あるいは、意外と多いのが、ボスを撃破したり目的を達成すると、イベントで街などへオート移動するというもの。TOLはこれらの工夫が少ない作品で、毎度、苦労させられました。

ちなみにFFにはテレポという魔法がありますし、LLや天外3でも安価な消費アイテムで脱出可能。道具もたくさん持てるので、私はいつも20個以上ストックしてました。

困ったのが天外2やMk3版「ファンタシースター(PS1)」など。ダンジョンの先に、アウトフィールドを経由せず直で街があったりするのです。

ルーラのような手段でその街へ行くことは不可能で、リレミトの代替手段を使っても、常に入った側の入口に戻ってしまうから、ダンジョンの先の街へは、毎回、ダンジョンを通って行き、ダンジョンを通って戻るしかない。天外はともかくPS1の方は、けっこう気になりましたね。

メタルスライム

ドラクエでは、第1作からメタルスライムが登場しています。レベルアップにランダム性を絡めたボーナス要素を用意する、という試み。プレーヤーの心を鷲掴みにする奇跡的なアイデアです。防御力が攻撃力を遥かに凌駕するとき、一定確率で「1ダメージ」を与えるというシンプルな工夫がこれほどの効果を生むなんて。

メタルスライムが画期的なのは、「強くない」ということ。倒しにくいが強くない、それでいてトップクラスの経験値を持っている。こういった敵が登場するRPGは意外に少ない。

もっとも、DQ1でメタルスライムを狙ってレベルアップを図った人は多くないと思う。さすがにDQ1ではまだ、「メタルスライムがたくさん出て、一見、敵の逃走で終了する無駄な戦闘が続くように見えつつ、1〜3時間レベル上げに費やすなら明らかに効率のいい場所」という調整は行われていません。

じつのところメタルスライム撃破時に得られる経験値(775P)は他の終盤に登場する敵(キースドラゴン180P、ダースドラゴン350P)と比較して圧倒的とはいえません。確実に撃破できる終盤の敵を次々倒す方が経験値獲得の時間効率が高くなります。

DQ2に登場したはぐれメタルは10150Pという桁違いの経験値を持ち、テパ地方を彷徨う戦略に意義が与えられています。しかしその出現率の低さ、運次第の撃破率ゆえ、戦略としては採用しづらいものでした。ようするに希少なボーナスモンスターという以上の意味を実質的に持っていなかったのではないか。

そうしてみるとDQ3のガルナの塔は、エポックメーキングな存在だといえそう。ガルナの塔の特徴は、メタルスライムが高確率で登場し、5〜10分に1回くらいのペースで撃破できること。ダーマ神殿で転職したキャラがレベル1に戻ってしまうことの救済策だと思うのですが、この意義は小さくありません。

スルスルと物語を進めてしまうと気にも留めることのない場所なんだけれども、じつはそこでレベル調整ができる、という。できる限り戦闘を避けてガルナの塔まで辿り着き、メタルスライムに的を絞って戦えば、ゲームクリアの所要時間を大幅に短縮できるのです。

特技が豊富になったSFC版DQ6以降になると、「しのびあし」「くちぶえ」のコンボで戦いたいときだけ戦うスタイルが完成。以降の新作・リメイク作のほぼ全てで、このスタイルを踏襲しています。

今のところ最新作のDQ8では、旧修道院跡地、川沿いの道、トロデーン城、サザンビーク東の森、風鳴りの丘というように、じつに5箇所もレベル調整ポイントを用意。序盤さえ切り抜ければ、あとは無駄な戦闘を一切する必要がない親切設計となっています。

無論、スーッと通り抜けてしまえば、そんな場所があったことに気付きもしないでしょう。ふつうに出てくる敵を倒し続けても全く問題なくボスを撃破していけます。しかし、戦略を練るのが面倒くさい、力押しで強引に勝ちたい、と思うなら、レベル上げが必要になるでしょう。そこでサクッとレベル上げをできる。それがドラクエの妙味なんです。

オーソドックスといわれるドラクエですが、私は、こういう作品を他に見たことがありません。

「3月から7月へ発売延期になったドラクエ9よりドラクエな作品」といわれた7Dでも、「倒しにくいが強くない、それでいてトップクラスの経験値を持っている」の条件をほぼ満たす敵:フロワロシードが登場しますが、その扱いは「希少なボーナスキャラ」の枠を一歩も出ません。DQ2のはぐれメタルよりもずっと非効率。

7Dでは獲得経験値にレベル補正があるため、レベルが十分に上がると、ふつうの敵をいくら倒してもレベルが動かなくなる。よって、「次レベルまでの必要経験値の半分」が確実に手に入るフロワロシードはカンスト狙いなら必須の対戦相手。ところが、その出現率たるや驚くほど低い。

カジノ

メタルスライムと同じような意味でドラクエの特殊性を示すのが、カジノ。

一見、単なる時間の無駄のようでいて、じつは景品の売却により、通常の戦闘を繰り返すよりも遥かに効率よくお金を稼ぐことができるのがドラクエのカジノです。また努力次第で通常その段階では入手できないクラスの装備品が手に入ったりもします。DQ5の青年時代編で、いきなりメタルキングの剣が手に入るのは有名。

便利な仕組みを世界のあちこちに埋め込んでおき、様々な工夫・努力によって道が開けるようにする、というドラクエ方式は、もっと注目されていいのではないでしょうか。

全滅≠リセット

作中世界のリアリティを根底から疑わせるに十分な「そんなバカな」だけに、これはもう仕方ないのかもしれませんが、ドラクエのように「全滅しても冒険は無駄にならず、所持金が半分に減るだけで、主人公は教会で復活する」というゲームが少ないのは残念なことです。

社会人プレーヤーにとって一番貴重なのは時間。それが敗北によって一瞬で無に帰すのはたまらない。個人的に、体力が全快するポイントではオートセーブを実現してほしいと思っているくらい。

アクションRPG(風?)の「聖剣伝説 Legend of Mana(LOM)」ではボス戦に敗北すると再挑戦を選択できたが、さらに一歩進めて、退却もできたらいいのに、と思う。イベント的には緊迫した場面で、撤退して修行しなおす暇があってはおかしいかもしれない。でもゲームの都合より、プレーヤーの気持ちが優先でいいはず。

なるほど、ドラクエのイベント演出の一部は、全滅してもゲームオーバーにならない仕様のせいで、しばしば全くナンセンスなものとなってしまっています。でも、「だからどうした」って思いません? 全滅して、「うわー」と思うけど、自分でリセットまでする人は少数派でしょう。

全滅=リセットという作品があってもいいけれど、現状、多すぎないか。「こりもせずまたやってきたか」なんてセリフを書きたくない演出家の気持ちはわかるのですが、誰のためのゲームなのか、という。ユーザーが本当に望むゲームデザインをしてほしい。

ようするに

ドラクエって、ユーザーの都合をスタッフの理想より優先しているんだよね。

どう考えたって、全滅しても自動で復活するなんてバカらしいでしょう。死ぬ前に開けた宝箱の中身とか、全部持った状態で復活するんだから、ものすごい奇跡だよね。船と一緒に移動するルーラとか、初級レベルの冒険者でも使えるリレミトとか。

メタルスライム高頻度出現地域やカジノも、それにハマって適正水準を遥かに越えたレベルになったり、強すぎる装備品を入手したりする人が現れるだろうけど、それでも……という潔さを感じます。

日本一売れてるRPGがこうなんだから、みんなもっと真似してくれたらいいのにな。

(2009-03-25)

(2011-10-31 改訂)