装星機ガジェットロボ

装星機ガジェットロボ [公式サイト]

Amazonカスタマーレビュー

低年齢向けの非常にシンプルなRPG

少年たちがパートナーのガジェットロボに指示を出して異次元人と戦うRPGです。主人公は小学5年生ですが、難易度は低学年向け。セーブデータはひとつ。

本作では「移動」が省略されており、「自室を出る→行き先を選ぶ→イベント発生→戦闘→勝利→自動的に自室へ戻る」の流れで1話終了します。イベントは会話だけで進み、選択肢は登場しません。一部声あり。画面に登場するのは2Dのキャラ絵と吹き出しくらい。イベント中の移動も完全自動、背景画が変わるだけ。絵本を読むようなプレイ感覚です。

行き先の選択では、本編の物語が進む場所(赤星/建物)とサブイベントのある場所(青星)しか画面に登場せず、迷う心配なし。本編での戦闘回数は決まっているため、レベル不足ならサブイベント(敵が弱い)に挑戦。サブイベントでは仲間たちの性格や生活が見えてきます。

3Dのロボが激突する戦闘は、ジャンケン風で運要素が強い。戦闘中のHP回復手段はなく、互いにHPを削り合う。赤>青>緑>赤の3すくみで、攻守双方が色を選択。自分が赤アタック、敵が青ガードなら100%ダメージ、赤ガードなら50%、緑ガードなら10%です。逆も同様。雑魚は特定の色で攻撃・防御しますが、ボスは毎ターン色を変えます。運に頼って低レベルで進むもよし、サブイベントで鍛えて悪運に備えるもよし。指示をサボると、ロボは自動で行動。派手で長い戦闘CGは省略可能。

簡単といわれるドラクエやポケモンも、シリーズが進むにつれシステムが複雑化し、今や大人でも全容の把握が困難な複雑さ。だから本作の大胆に簡素化されたシステムと10時間でクリアできるボリュームには需要があります。

しかし本作は漢字を多用している(ルビなし)のが大失敗。想定ユーザーには遊べないゲームに。漢字をやめる(orルビを使う)か、戦略性・難易度・容量を上げるか……。甥っ子に贈ったが、漢字でギブアップされて悲しい。

mk2レビュー

good

【概要】

少年たちがパートナーのガジェットロボに指示を出して異次元人と戦うRPGです。主人公は小学5年生ですが、難易度は低学年向け。

【簡略化されたイベント処理】

本作では「移動」が省略されており、「自室を出る→行き先を選ぶ→イベント発生→戦闘→勝利→自動的に自室へ戻る」の流れで1話終了します。イベントは会話だけで進み、選択肢は登場しません。一部声あり。画面に登場するのは2Dのキャラ絵と吹き出しくらい。イベント中の移動も完全自動、背景画が変わるだけ。絵本を読むようなプレイ感覚です。

行き先の選択では、本編の物語が進む場所(赤星/建物)とサブイベントのある場所(青星)しか画面に登場せず、迷う心配なし。本編での戦闘回数は決まっているため、レベル不足ならサブイベント(敵が弱い)に挑戦。サブイベントでは仲間たちの性格や生活が見えてきます。

【ジャンケン方式の戦闘】

3Dのロボが激突する戦闘は、ジャンケン風で運要素が強い。赤>青>緑>赤の3すくみで、攻守双方が色を選択。自分が赤アタック、敵が青ガードなら100%ダメージ、赤ガードなら50%、緑ガードなら10%です。逆も同様。OCゲージがたまると強力な技が使えます(タッチペン必須)。弱い敵は特定の色で攻撃・防御しますが、強敵は毎ターン色を変えます。運に頼って低レベルで進むもよし、サブイベントで鍛えて悪運に備えるもよし。戦闘中、能動的なHP回復手段はなく、毎ターンの自動小回復のみ。アタックとガードに専念できます。

指示を一定時間サボっていると、ロボが自動で行動。ロボに自意識がある設定なので、これは自然な展開。よほど運が悪くなければ負けないので、ロボ任せでもあまり問題ない。ちなみに本作では戦闘ごとに中断セーブを勧められるし、セーブは一瞬で可能だから、ふつうは毎回セーブすると思う。安心設計でよい。

また、派手で長い戦闘CGムービーは省略できます。一手毎に間をおくのでサクサク感は乏しいものの、それでも戦闘時間は1/3になります。1ターンごとにLボタンひとつでCGのON/OFFが選択できる親切設計で、必殺技だけCGを見る、といった判断が可能。

【自由度の低さが本作のいいところ】

簡単といわれるドラクエやポケモンも、シリーズが進むにつれシステムが複雑化し、今や大人でも全容の把握が困難な複雑さ。またプレーヤーが能動的に大勢と話し、イベント進行に関係する話とそうでない話を分別整理して、とるべき行動をとらないと先へは進めない。当たり前といえば当たり前なんだけど、これが意外と難しい。小学校低学年くらいだと、親の手助けなしにポケモンをクリアできない子は、じつは少なくなかったりします。

だから本作の大胆に簡素化されたシステムと10時間でクリアできるボリュームには、需要があると思います。

bad

【漢字を多用】

本作は漢字を多用している(ルビなし)のが大失敗。想定ユーザーには遊べないゲームになっています。漢字をやめる(orルビを使う)か、戦略性・難易度・容量を上げるか、よく検討して選択してほしかったです。

本作を甥っ子に贈ったのですが、漢字でギブアップされて悲しい。いつも私が一緒についていて、セリフを音読してあげられるなら、問題なかったのですが。従兄弟夫婦は子どものゲームに付き合う暇がないという。

子どもって、とりあえず文字さえ読めれば、意味はわからなくても深く考えずにゲームできてしまうもの。そうだからこそ、意外と大人な話をたくさん含んでいたドラクエを、当時はまだ幼稚園児だった私の弟なども楽しくプレイできたわけです。

あるいは、10歳未満向けのマンガ雑誌に掲載されている作品だって、案外、物語は難しくて、漢字もそれなりに使われていたりします。でも、100%ルビが振られているから、意味不明なりに読むことができて、絵の迫力などで楽しめるのです。10数年後に読み返してみて、初めて理解できたマンガは少なくありません。

このゲームでも、設定の根本的なところは、なかなか理解が追いつかない。ガジェットロボはふだんは15cmですが、特殊空間の中では15mまで巨大化して戦えます。だけど、このゲームではロボが巨大化する様子が画面に登場しない。だから甥っ子は、ロボがふだんは15cmサイズだという設定がピンとこず、いつも15mサイズなんだと思っていた。でも、それで何も困らないんですよね。

ともかく、漢字の件は、本当に惜しい。残念ですね。

【セーブデータがひとつ】

本作のセーブデータは、メインがひとつ、中断用がひとつ。一瞬でセーブできるから、各戦闘ごとの中断セーブが苦にならないのはいいのだけれど、ようするにセーブデータが非常に小さいわけで、容量不足でセーブデータがひとつになった、ということはないだろう。

ワイヤレス通信で協力プレイや対戦プレイができるので、1人1本買ってほしいという意図はわかる。でも、個人的には残念な仕様。

【いつもニューゲーム】

ゲームを起動すると、既にセーブデータがある場合も、タイトルメニューで最初にカーソルが合っているのは「ニューゲーム」。こういう、誤操作を誘発するようなメニュー作りはどうかと思う。

comment

【本作の想定ユーザー層】

20〜30歳代のゲームプレーヤーが自分で遊ぶという基準で考えると、あまりの難易度の低さ、戦略性の欠如、ボリューム不足に愕然とすることになります。なので、mk2にレビューを投稿されているような方々が自分でプレイする作品としては、お勧めしません。

ゲーム世代より年上の、ゲームが苦手な世代ならどうか。主題歌が水木一郎さんだし、ドンピシャなのかも。明白に子ども向けのキャラとシナリオも、往時の作品へのオマージュと考えられる。素朴なビジュアルも、ゲーム初心者にはとっつきやすいかもしれない。でも、メインターゲットとするには需要が小さ過ぎないか。

やはり想定ユーザーは10歳未満の子どもでしょう。となると、漢字の多用は大問題。総ルビの説明書があれば大丈夫、と考えるのは、辞書があれば読めない漢字はないと考えるのと変わりません。ポケモンは日本一売れているソフトなので、きちんと研究して、普遍的に応用できることは真似してほしいと思います。

【ロボットについて】

ガジェットロボの本体は「コア」と呼ばれており、頭+胴、背中、右手、左手、足の5箇所のパーツを交換してカスタマイズできるようになっています。パーツは5箇所それぞれについて50種あり、ダブりはない。ゆえに50^5=50×50×50×50×50=3.125億通りの組み合わせになる、という計算。

実際には、初期装備はかなり弱く、パーツを交換する動機付けがされています。同様に、中盤までに手に入るパーツはどれも、後にほぼ全面的にパラメータが上のアイテムが登場します。ただし物語の各段階において、各々3〜5種類のパーツが選択肢となるよう工夫されています。そのため、ワイヤレス通信による協力プレイや対戦プレイの際に全参加者が同じ見た目になる可能性は低いです。

またパラメータの強弱とは別の軸も用意されており、パーツリストの縦の列を揃えると、統一感のある装備となります。レベルを上げればパーツが弱くても勝てるため、気に入った外見を優先することも可能。

ひとつ残念なのは、敵ロボの外見。次元ロボやICロボなど、ガジェットロボとは根本的に違うメカのはずなのに、みんなガジェットロボに見えます。オーバードライブも同様で、何が変わったんだかわからない。ロボに善悪はないとしても、陣営を見分けるポイントのようなものは用意されていた方がいいと思う。

ともあれ、ロボの自由なカスタマイズはいかにもゲームらしいシステムで、メーカーが本作の最大の特徴として前面に押し出しているのも納得。どのパーツを装着しても3Dバトルが破綻しないのは見事です。このシステムを前提とすると、原作・タイアップなしでロボットものに挑戦した意図は理解できます。

しかし結果的にセールスが振るわず、ワイヤレス通信で友人と遊ぶ状況が極めて成立しづらくなってしまい、オリジナルの装備セットを追求する大きな動機を失ってしまったのは残念なことでした。実質的にソロプレイしかないとすれば、シンプルに最強のロボットを目指す方が動機付けしやすい。

【採点について】

独特:
4点/オリジナルのロボットもの、きわめてシンプルなRPG、という2点だけで類似の商品が皆無になるのは事実。こういう商品はあってよい。
映像:
3点/どんな組み合わせでも破綻しないロボのデザインは秀逸。他方、メニューやキャラ、イベント演出のビジュアルは貧弱だが、ゲームに支障はない。
音楽:
3点/水木一郎さんの主題歌をはじめ、懐かしい雰囲気で統一。驚きはないが安定していると思う。ただ、今時の小学生にウケるかどうかは謎。
熱中:
3点/大人の観点からいうと、ジャンケン方式の戦闘には飽きてしまう。OCゲージ消費技で星座をタッチペンでなぞる操作がアクセントにはなるが、十分とは思えない。が、ポケモンの戦略性の高さについていけない子どもには、この単純さが救いになると思う。
満足:
3点/難しすぎてクリアできないのが一番ストレスになる、という方もいます。この作品はこれでよい。
快適:
3点/戦闘のCGを省略できる、イベント中に会話のログを読める、セーブが一瞬、戦闘ごとの中断セーブなど、いろいろな配慮がある。
難易:
2点/簡素なゲームシステムに対して、テキストに使われている漢字の水準が高い。難易度のねじれがある。

【追記】

本作には買い物の概念がなく、ガジェットロボのカスタマイズパーツは、戦闘後に運次第で入手することになる。移動の概念がない以上、洞くつで宝箱を発見したりすることもないわけで、一部のパーツはイベントで自動的に入手できるけれども、大半のパーツは戦闘を繰り返す他には入手の方法がない。

なお戦闘中の能動的な回復手段や、戦闘補助アイテムなども存在しないため、買い物の概念がないこと自体は、とくに困らない。別項で述べた通り、レベルを上げればパーツは何でもよく、クリアするだけならパーツの入手運が悪くても不都合はない。

ともかく、ふつうに初回クリアまですすんでも、基本的にパーツは揃わない。私は特訓をサボったので、パーツ一覧がスッカスカだった。結局、5種類のパーツが揃ったのは初期装備のみ。他は一番惜しいものでも4つしか揃わず。2周目に進むと、敵が強くなって戦闘の緊張感が増し、戦闘後にパーツが手に入る確率も上がる。

ちなみに、3周目になると敵が相当に強くなって、互角の戦いとなるそう(私自身では確認していない)。戦闘前の中断セーブが本格的に意味を持つのは3周目からか。

でも、ジャンケンで「互角の戦い」をするのはRPGとしては理不尽だ、とヤミアーク戦では実感させられた。ラスボスのヤミアークはこちらの能力に追従し、少し上回る性能を実現する特徴があり、1周目ではほぼ唯一「互角の戦い」になる強敵。毎ターン、すごい緊張感。これほど強いのはラスボスだけで十分、という感じ。

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購入動機

幼い甥っ子へのプレゼントです。アクションゲームが苦手でロボットが好き。ポケモンのような自由度と戦略性が高いゲームは難しくて(きちんと)遊べない。……といった条件を満たす作品を店員さんに相談したところ、これがドンピシャと勧められたのが「装星機ガジェットロボ」でした。お店では甥っ子も喜んでくれたのですが、実際にプレイしてみたら漢字が多くて閉口させられました。私が一緒にいる間はいいのですが、毎週末100kmも移動するのは無理だし、いとこ夫婦は子どものゲームにつきあうつもりはないという。結局、私がゲームソフトを引き取りました。

自由意見

移動や売買をすべて排除して漫画を読むような感覚で物語が進み、戦闘はジャンケンの要領というシンプルなRPGは貴重だと思う。人気シリーズがみな複雑化してRPGは敷居が高いジャンルになっているので……。

戦闘のジャンケンは絶妙な選択。サイコロだと完全な運任せなので、パーティーゲームでもなければ精神的にきつい(PSのSimpleシリーズにサイコロ式の作品がある)。

このシンプルなシステムに、ロボットのカスタマイズを自由度として載せたのは良いアイデア。ようは装備品の選択なんだけど、見せ方がうまい。しかもパーツが弱けりゃレベルを上げればOKという調整が効き、見た目優先の軸が機能してる。プレーヤーが世界を改変できるのがゲームの美点。主役ロボの見た目を変えられるというのは、わかりやすい。

物語も音楽も主題歌も「らしさ」全開でいい。熱い展開のど真ん中で、主人公親子の合体必殺技を決めたら、ホント壮快でした。

いい作品だけに、漢字の問題がつくづく惜しい。ポケモンのサトシは10歳(小学4年生)でしょう。そのポケモンが漢字を排除しているのは見習ってほしかったです。

(2009-08-14)