0.

虫っ 町の昆虫ものがたり

『虫っ 町の昆虫ものがたり』の攻略メモです。多分、需要は少ないと思うけど、多くの人ががんばって作ったゲームソフトなのに、2000字以上の感想や攻略のヒントがネット上にひとつもないのはかわいそう。なので、私が書きます。「かわいそうとかいうなーっ!」て怒られるかもしれないけど。

1.

『虫っ』はコンピュータRPGです。基本的な対立構造は、人間の都市開発によって乏しくなった自然環境をめぐるミツバチとスズメバチの土地争いです。主人公であるナナホシテントウは、知り合いのミツバチに加担して紛争に介入、「暴力による淘汰」を主張するスズメバチと対立します。

主人公チームは地域のあちこちで便利屋のように働いたり、「将軍」配下の暴力による排除から弱い昆虫を助けたりして、声望を高めていく。結果、少しずつ仲間の昆虫が増えていきます。

ちなみに主人公のナナホシテントウは最後まで戦いません。チーム編成を決め、仲間に戦い方を指示するだけです。それゆえ、チームが全滅しても主人公は元気ですので、瀕死の仲間をアジトへ連れ帰り、治療することになります。よってこのゲームでは、全滅にペナルティはありません。ゲーム的には、全滅すると自動で体力が全快し、全滅するまでの行動は無駄にならない、というわけです。

スズメバチ側のリーダーは「将軍」です。「将軍」は肉食の蜂を中心に連合軍を結成して各地で占領作戦を展開しますが、主人公チームにどんどん占領地を奪われ、追い詰められていきます。また度重なる敗北は、一般のスズメバチの「暴力による淘汰」思想からの離反を招く。そこで「将軍」は各地で種族間対立を煽り、多くの昆虫が自発的に「暴力による淘汰」へと向かうように仕向けますが、その詳細はあまり描かれません。

主人公チームがカブトムシまたはオオクワガタを仲間にするのが、物語前半の目的です。「ミツバチは弱い」という設定があり、実際、頑張って育ててみても、体力が伸びないので終盤のボス戦では一撃死してしまいます。結果、もともとはミツバチとスズメバチの対立だったはずが、後半戦にミツバチの出る幕はありません。逆にカブトムシなどの大型甲虫は極めて強力で、最後まで頼りになります。

【注意】この先、物語の結末を記述しています

さて、ミツバチ側が仲間に引き入れたカブトムシ(またはオオクワガタ)はバランスブレイカーであり、危機感を持ったスズメバチの「将軍」もまた、カブトムシやクワガタを次々に仲間としていきます。

ただし物語の舞台となる地域では海の近くまで山が張り出していて、開発が進んでいるのは海沿いの狭い平地のみ。山間部は自然が残っているから、大型甲虫に「将軍」の危機感はなかなか共感されない。そこで「将軍」は遠い外国から連れてこられた大型甲虫に「帰郷を支援する」と持ちかけます。

一方、海外の大型甲虫から主人公チームに加入する者も現れ、かくて小さな草原で始まった戦いはエスカレートしていきます。「将軍」が頼みとした最強の昆虫ヘラクレスオオカブトとの頂上決戦、そして海辺に追い詰められた「将軍」派残党の掃討戦で物語は終幕を迎えます。

悪いのは自然環境を破壊した人間だ、乏しい環境資源が養える生命には限りがあり、「暴力による淘汰」は必要だ、スズメバチは、ただ「生きたい」と願ったのだ、という「将軍」に対し、「話し合いによる解決」を求める主人公たち。RPGの常だけれども、最後は力のぶつかり合い。

誇り高い「将軍」はついに戦闘能力を失うも、屈従を拒否します。夕日の中、「将軍」は海へ飛び去り、自害します。ミツバチの女王とスズメバチの女王は和解し、共存と衰退の道を選択するのでした。

2.

基本操作

DSの2画面を横に並べて使うタッチペン操作オンリーのゲームです。

個人的にタッチペン操作のゲームには苦手感があるのですが、この作品には自然と馴染めました。「ボタン操作ができたらなあ……」という場面がない。

たとえば、「歩く」「飛ぶ」という概念がなく、地図をタッチすると、「その場所へ移動したことになる」のです。タッチペン操作が苦手な「移動」を大胆に省略しているのですね。あるいは、アイテムは8種類しかなく、様々な場面で使用する定位置の「進む」「戻る」を1回タッチするだけで全てのアイテムを把握できます。これくらいシンプルだと、十字キーでちまちまやるよりタッチペン操作の方が早い。

あとは反応の速さですね。戦闘中、敵の強烈な攻撃が見えてから慌ててアイテム欄を開いても回復が間に合う。イベントは紙芝居方式なのですが、「進む」をタッチすると瞬時に次のテキストと絵が表示されます。マップ移動も同様で、絵的に地味な分、気持ちよく反応してくれます。

マップとアイテム

昆虫は小さく、町や森はバカでかいので、ふつうのRPGにすると広大なフィールドで道に迷うことになってしまいます。それに、あまり売れそうにない作品なのに、CG予算が青天井になりかねない。そこで、『虫っ』のマップシステムは独特のものとなっています。

まず最上位のマップは、なんと文字による地名リスト。ふつうなら略地図にして、タッチ操作で移動させようと考えるところですが、プレイヤーの都合を考えるならこれが一番。『ドラゴンクエスト』シリーズの移動魔法「ルーラ」の地名リストが世界地図そのものとなっているわけです。物語が展開するにつれ、リストは充実していきます。

中位のマップは5×5のマスで区切られ、初期段階では半透明のシートで覆われています。好きなマス目を選択してタッチペンで「銀はがし」のようにこすると、シートが削れて隠れていたその土地の様子が見えてきます。7割程度の面積をはがすと音が鳴り、そのマス目が全開になります。

中位マップの画像は空や高台から撮影した写真を加工したCGで、数百メートル四方程度の地域を示します。中位のマップ内の1〜3箇所は、下位のマップへと通じています。

下位のマップも5×5のマスで区切られています。基本的な仕組みは中位のマップと同様です。下位マップの画像は人間目線の写真を加工したCGです。「空には敵が少なく、草むらなどに多い」といった、画像と連動した敵配置がされています。

シートを削る過程でアイテムや敵に遭遇すると、その瞬間にマス目は全開となり、アイテムなら拾うかどうかの選択、敵なら有無をいわさず戦闘になります。

昆虫の世界なので通貨はなく、アイテムも基本的に自然物です。なので、アイテムは一晩休むと自動的に復活します。アイテムを使い果たしたら、各地を巡って拾い歩けばよいわけです。なお各アイテムは9つまでしか持てないため、ボス戦の前後にはアイテム収拾の巡回が必要になるでしょう。

ほとんどの敵は一度倒すとそれきりになります。しかしそれではボスに勝てない場合のレベル上げに困りますから、多くのマップに1マスだけ、何度でも敵と戦えるマスが用意されています。マス目をタッチするだけですぐ再戦できるので、レベル上げは楽々です。

基本的に物語が進むのは下位マップで、中位マップは移動の障壁に過ぎません。どのマップも一度開けたマスはそのままなので、アイテムを拾うために再訪する際に戦闘を考慮する必要はありません。ただし物語の展開上、マップが「将軍」に再占領されるケースが稀にあります。

マス目の開け方には制限がなく、下位マップの入り口、アイテムのある場所、ボスが存在するマス目(全て固定)だけを開ければ、イベント戦闘以外は全て避けられます。セーブデータは3つ作れるので、ひとつを探索に当てれば、容易に低レベル攻略ができます。

以上の説明から推察される通り、「ダンジョン」や「マップの仕掛け」は存在しません。が、私はそれを欠点とは思いません。

戦闘

RPGって主人公が平和主義者でも戦闘抜きでは話が進まない。本当に戦闘を排除すると「アドベンチャー」というジャンルになるらしいです、理由は謎ですが。

仲間になりうる昆虫は18種類くらいのようですが、択一の選択を迫られる場面がいくつかあって、私は全てを知りません。

『虫っ』では攻撃力、防御力の概念がありません。戦闘行動は「チップ」と呼ばれるカードになっていて、各昆虫は初期状態で1〜2種類のチップを持っています。レベルが上がると、体力、チップの種類(最大4つ)、チップの枚数が増えていきます。

チップには攻撃の名称と「数字A±数字B」という数字、攻撃の種類、残り枚数が書かれています。数字が「18±10」なら、「8〜28」のいずれかのダメージとなります。攻撃の種類には単体、複数、全体があります。チップの残り枚数は戦闘毎に回復します。

『虫っ』の戦闘は最大4対4で、戦闘中のメンバー入れ替えはありません。敵側も助っ人を呼んだりはしません。タッチ画面の上に敵、下に味方のアイコンが並びます。

戦闘はリアルタイムで進行します。敵味方とも前回の行動から一定時間後にアイコンの前にチップが登場しますので、味方側はこれをタッチペンでどんどん弾き飛ばして敵アイコンにぶつけていきます。チップの登場はランダムなので、運不運で勝つ(負ける)ことは少なくありません。

手持ちのチップを全て消費すると、ザコ戦では「逃げる」(必ず成功する)、ボス戦では「守る」となり、ボス戦で全員が攻撃不能になると体力が残っていても全滅扱いです。マップのマス目を全て開けていっても、終盤のボス戦では、手札を使い果たしての負けがガンガン出てきます。

なお経験値は戦闘参加メンバーで分配され、途中で戦闘不能になったキャラの取り分はゼロです。ただし時々イベントで全員に経験値が入ることがあります。

連続戦闘

1回、戦闘をする毎に、敵のレベルが1ずつ上がっていきます。体力や、技チップの枚数が増えます。得られる経験値も次第に増えていきます。敵のレベルはマップを移動しても変わらないので、新規加入したレベル1のキャラを、適当に場所を変えつつ効率的に育てることができます。

アジトに戻って休むか、特定のアイテムを使用することで、敵のレベルを下げることも可能。瞬殺できるギリギリのレベルに調節して戦闘を繰り返すのがよいと思います。

パーティー編成

体力の高低とチップの内容・枚数がキャラクターの個性です。チップの性能は全く成長しない(枚数が増えるだけ)ので、レベルを10くらいまで上げて最大4種類のチップを見た段階で、「これ以上は育てても意味ないかな」と思ったキャラは控えに回しましょう。

カブトムシは体力の豊富な最強キャラの一種ですが、前半で加入するため、チップの最大攻撃力は控えめ。その代わり、チップの枚数がすごい。一撃の期待値×枚数=合計ダメージ期待値は終盤でも随一。他の3匹が手札を使い果たして「守る」になってしまった中、孤軍奮闘してボスに競り勝つこともしばしば。

コーカサスオオカブトは終盤に登場して一気にレギュラーとなる実力者。体力はカブトムシを超えますし、「27±4」という性能の安定した強力な単体攻撃があり、「運が悪くともこのチップ4枚で100ダメージ……」などと計算が立ちます。

アリジゴクは全体攻撃が最初から使えるので、後半戦ではレギュラー候補となります。『虫っ』のボスはたいてい部下を引き連れ3〜4匹で登場するため、早く数を減らさないと回復が大変です。一見、威力が平凡であっても、全体攻撃の合計ダメージは最強の単体攻撃をしのぐため、きわめて有用なのです。

味方で回復ができるのはスズムシとヒグラシくらい。加入の早いスズムシには全体回復があり、終盤でも回復アイテムを節約したいザコ戦では大活躍します。

が、前述の通りチップの性能は進化しないため、強力な全体攻撃をしてくるボスとの戦いでは、アイテムで回復しないと間に合いません。また回復チップがいいタイミングで出てくれるかどうかは運次第というのもつらいところです。その点、アイテムの使用は技チップとは別枠ですし、完全にコントロールできます。ボス戦では回復役をパーティーに入れず、攻撃に重点を置いてパーティー編成をするのが基本です。

ミンミンゼミは特殊なキャラで、敵を麻痺させるのが得意。麻痺した敵は事実上「1ターン休み」となるので、彼我の火力の差が大きい場合には、ぜひ連れて行きたい。短期決戦では押し負ける敵に長期決戦で勝つ戦法になります。ただしミンミンゼミ自身には強力な攻撃がないため、他の3匹の技チップの合計ダメージ期待値は、ちゃんと計算しておかねばなりません。

後で気付いて「えッ!?」と声を上げたこと

『虫っ』では、マップ画面に主人公らが全く表示されません。タッチペンのペン先が主人公なんです。

プレイ中、私はしばらくそのことに気付かず、しかも何ら違和感を持っていませんでした。そのあまりに自然なプレイ感覚に、私は衝撃を受けました。

もし画面に主人公を表示していたら、どうなっていたでしょうか。タッチした位置にもたもたとアイコンが移動して、あるいは違和感バリバリの瞬間移動をして、ペン先にあわせてカリカリとシートを削ることになったのかな。そして狭いマス目にキャラと敵とアイテムがひしめいて、見難くなってしまったでしょう。

どのマス目を開けようかな、と逡巡するペン先こそがまさにマップ上空を飛び回るナナホシテントウの航跡なのであり、プレイヤーの意志は主人公の意志と完全に一体化している(=ナナホシテントウに命令する神様はいない)ということ。

戦闘において4匹のメンバーの行動を操作する行為も、ナナホシテントウが飛ばしている行動指示そのものなんです。戦闘画面にナナホシテントウが表示されないのは当然の話で、各メンバーの技チップを弾き飛ばすペン先こそが主人公なんですよ。技チップの出現がランダムなのは、各メンバーの自主的な行動だから。そしていつでも自由にアイテムを使えるのは、それが主人公の行動だから。

絵本のページをめくるように進む本編ではさすがにプレイヤーと主人公は分離してしまうのですが、それでも『虫っ』の設計・演出はすごいと思う。

3.ボス攻略のヒント

ストーリー攻略に迷う点はないと思う。とにかく地図のマス目を全て開けていけばいいだけなので。

基本

「レベルを上げれば勝てる」というのはドラクエから変わらない伝統です。マップに開けていないマス目があれば、まず全て開けてください。パーティーメンバーをほぼ固定している場合、それだけでレベル的には十分なはずです。しかし新規加入キャラを一律に育てていくと、レベル不足になります。

多くのRPGと同様、『虫っ』でもレベルアップに必要な経験値は加速度的に増加していきます。各時点で最も大きな経験値が得られるマップで到達できるレベルには、自ずと事実上の上限が存在します。いつまでも苦行を続けても仕方ないので、30分ほど修練を積んでもダメなら、パーティー編成を変えた方がよいです。

問題対処
回復アイテムを使い果たす回復技のあるキャラを使う/セミで敵を麻痺させる
技チップを使い果たす合計ダメージ期待値を計算/回復技のある敵を最初に倒す
敵の攻撃で一撃死体力の高いキャラを使う(戦闘中の蘇生手段はない)

「技チップを使い果たす」場合は、戦闘中の行動にも注意が必要です。

全体攻撃のあるキャラで合計ダメージ期待値を稼ぐ作戦では、敵が多いうちに全体攻撃をしなければなりません。前述の通り、技チップは自分で選べず、手札からランダムに出てきます。よって、単体攻撃ばかり出る場合は、全体攻撃のあるキャラ以外は体力の高いキャラに攻撃を集中し、敵の数を減らさないようにします。すると当然、敵の手数が多く、味方の消耗が激しいので、回復アイテムの残量にも注意してください。

回復技のある手下を引き連れたボス戦

ノープランで突っ込むと「技チップを使い果たす」で負けます。

スズメバチ軍団戦(花咲町、他)

確率1/2で99ダメージを時間差で与える「毒針」が極めて強力。「回復アイテムを使い果たす」「敵の攻撃で一撃死」が怖い。

ヘラクレスオオカブト戦

スズメバチ軍団、クワガタ軍団との連戦の果てに対決するということもあり、初見では瞬殺されました。単体で登場するのですが、1ターン2回行動(チップが同時に2つ出る)で、片方は全体攻撃ですから、じつはラスボスより火力では勝っています。しかも体力が999もあって、短期決戦は不可能。

一度は行き詰ったのですが、連戦の途中でもパーティーの再編が可能だと気づき、私は以下の手順で突破しました。本作の最難関だと思います。

  1. 回復アイテムを使い果たすパターンです。連戦の途中で回復アイテムの補充(=マップに戻る)は不可能なので、ヘラクレスオオカブト戦までどれだけ回復アイテムを温存できるか、そしてミンミンゼミの活躍と一撃死の回避がポイントになります。
  2. スズメバチ軍団は全体回復のあるスズムシを中心とした二軍キャラで撃破します。ハチは確率1/2で99ダメージを与える「毒針」というチップを持っているため、「銀杏の実」で回避します。敵が減ってきたら回復を放り出して競り勝ちます。私は、スズムシ、アリジゴク、トノサマバッタ、ゴマダラカミキリで勝ちました。
  3. クワガタ軍団は火力は低いものの合計の体力がべらぼうに高いので、長期戦になります。全体攻撃の回数が多いアリジゴクと、高火力の大型甲虫を揃え、スズムシの全体回復技で回復アイテムの消費を抑制します。私はスズムシ、アリジゴク、カブトムシ、コーカサスオオカブトで勝ちました。
  4. ヘラクレスオオカブトは攻撃が強力すぎるため麻痺技のミンミンゼミと、高火力の単体攻撃を持つキャラ3匹を揃えます。私は、ミンミンゼミ、カブトムシ、キリギリス、コーカサスオオカブトで勝ちました。
    • 敵が麻痺している場合以外は、「銀杏の実」の残りを投入。ノーガードの殴り合いになったら絶対に回復アイテム不足で負ける。
    • 全体攻撃+単体攻撃をしのぐには体力が100必要で、それを下回ったら即回復。
    • ミンミンゼミの単体麻痺はチップ毎に効きます。単体攻撃が麻痺している場合は全体攻撃を耐えればよく、体力のキープラインは40。全体攻撃が麻痺している場合は単体攻撃を耐えればよく、ラインは60となる。全体麻痺より単体麻痺のチップの方が多く、この判断を誤ると回復アイテム不足に陥ります。

「将軍」戦

「将軍」の体力は800超、手下3匹の体力も軒並み200超という、「技チップを使い果たす」が問題となるラストバトル。また「毒針」がガンガン飛んでくるので、その対処も必要。

こう書くと簡単なんですけど、アリジゴクの代わりにスズムシ、ミンミンゼミ、ゴマダラカミキリなどを入れて敗北してまして、リトライ回数は多いです。

4.

コンピュータRPGにはこんな可能性もあったんですね。大胆な省略・記号化が見事。見た目は地味かもしれないけれど、この気持ちのいいゲーム感覚は新鮮です。

ウルティマとウィザードリィの発展系ではないRPGって、とても少ない。ポケモンだってマップの上を主人公が歩いていくわけでしょう。マップ画面に主人公らの姿が表示されないRPGというものがありえて、しかも何ら違和感を覚えない(しばらくプレイしてから気付いて「えッ!?」)、この調整はすごい。感心しました。

しかし『虫っ』を販売したタイトーの家庭用ゲームソフト事業はリストラされてしまい、開発を担当した株式会社マリオネットは約4年も新作がない。残念です。

5.

ゲーム本編に登場する虫は固定絵なんですが、本編で出会った虫は3DCGの昆虫図鑑に登場します。この図鑑の出来が素晴らしくて、このリアルな立体データをどこかで再利用できたらいいのにな、と思いました。

腐葉土の中で育つカブトムシやコガネムシのずんぐりした身体、朽木の中で越冬もするクワガタ類の平たい身体など、自在に回転可能な立体モデルだからこそ一目で伝わる情報がたくさん。昔、よく眺めていた昆虫図鑑にこんな3DCGがついていたら、とても楽しかったろうな……。