セブンスドラゴン

セブンスドラゴン(特典なし) [公式サイト]

Amazonカスタマーレビュー

新納一哉演出の2DオーソドックスRPG。勇者のいない現代風DQ3という趣で、7職業各4パターンの計28種のキャラクターから4人を自由に選んでパーティーを編成し、ドラゴンによる支配から世界を救う。ターン制コマンド選択式バトル、敵遭遇率は高い、セーブポイント少ない、アウトフィールドあり。

ギルドが主人公、という珍しい作品です。作中、連呼されるのはギルド名だけ。各メンバーが賞賛される場面は皆無です。プレーヤーのギルドは序盤の活躍から英雄視され、ビジュアルでも明瞭に表現される世界の危機に立ち向かいます。そして冒険のついでに世界中の人々の小さな願いも叶えていく。

戦闘の難易度はプレイスタイル次第。技スキルの組み立てや装備品の開発に知恵を絞り、足踏みせず前進すれば、スリリングな展開を楽しめます。逆に敵遭遇率の高さを活かしてレベルを上げれば、ゴリ押しも可能。このとき収集系のクエストが作業感を緩和するアクセントになります。

ビジュアルには特色があり、人を大きく建造物を小さく描いて、今風のキャラ絵とファミコンRPG同等の画面情報密度を両立。下画面のマップは可能な限り1画面でフロア全体を見せます。古いRPGの画面が持つ見通しのよさを、3DCGを上手に使った上質な2D風表現など、現代的な意匠で復活。フロワロを払うと明るくなる表現がいい。

この作品を快適にプレイできないときは、スキルを調べてみてください。ナイトの「ウォークセーフ」、侍の「鬼の形相」、プリンセスの「月明かりの詩」、ヒーラーの「インビジビリティ」「クラフトマナ」など、一応の対策が見つかることも。初期メンバーに固執せず、プレーヤーの都合を優先することを勧めます。

なおセーブポイント不足で困っている方は、DSを閉・開すれば電池が切れない限り中断・再開できますので、緊急避難としてご利用ください。

(2009-03-21 改訂)

SEGAアンケート「セブンスドラゴン」

【好きなところ】

オールドスタイルのコンピュータRPGを、「2D表現」「コマンド選択式ターン制バトル」「声なし」「シンプルなイベント演出」といった形式をきちんと守りつつ、現代の環境・技術を活かして作られたオリジナルの作品……という事前の期待にきちんと応えてくれたのが、「セブンスドラゴン」の素晴らしいところです。

DS版DQ4・5などに満足感はあったのですが、リメイク作品ゆえに「10数年前の技術では実現不可能だったがオールドスタイルRPGと相性がいいシステム・イベント」を追加できない、という制約がありました。本作のフロワロは、まさに現代のオリジナル作品ならではの仕掛けですよね。「アウトフィールドを隅々まで歩き回る」ことの動機付けとして、このようなアイデアは昔からあったのかもしれませんが、セーブデータの容量はもちろん、画面内からフロワロが一掃された途端にパーッと陽が差して明るくなる表現、これはSFC以前では実現不可能だったと思う。動的な処理が必要なので、PSでも実現困難かもしれない。

プレーヤーの動機付けがアイテムの価格だけだったら、最小限のフロワロ踏みしかしなかったでしょう。画面が明るくなる演出があったから、「世界の隅々まで光を取り戻すんだ」というゲーム的使命感を持って、アウトフィールド上のフロワロを1本残らず払えたのだと思います。フロワロに埋もれた遺跡や小屋を発見していくのが、単なる作業となっていないのは、この作品の美点です。

また武器や防具が強く、レベルアップの恩恵が小さいので、どの段階でも気兼ねなくメンバーの入れ替えができる設計になっているのもよかったです。Lv75超ならともかく、Lv60以下なら忘却の海玉の使用にも躊躇が要らない。単純にメンバーの入れ替えが自由でも、その代償が大きすぎて実際には難しいという作品が少なくない中、本作はよくできていると感心しました。

【嫌いなところ】

古い作品が好きで、SEGA AGES Vol.32のファンタシースターPS2移植版などを楽しくプレイしているのですが、やはり、「昔のまま」ではつらい部分もあります。前述のSGA32版PSでは、移動速度を速くする、エンカウント率を下げて経験値と獲得金を逆比例で増やす、という設定を選ぶことができて、私は迷わずそれらを選んでいます。「セブンスドラゴン」をプレイしてみて私が思ったのは、「自分はたしかに最近のRPGにはついていけないけど、かといって古い作品の全てが好きなわけじゃないんだよな」ということでした。

私のパーティーでは侍(鬼の形相)とナイト(ウォークセーフ)が不動の地位を確保しました。どちらも好きなキャラですが、いなきゃ困るから好きになった……ような気がしないでもありません。

不満があってもスキルで対応できるからいい、というのは話が違うんじゃないかと思います。エンカウント率が低くて素材が集まらないとき、敵を呼び寄せるスキルがあったら便利だね、みたいな。フロワロのダメージは個人的には納得していますが、これも怒る人がいるのは理解できます。ドラゴンの絵が大きいと付近にいるドラゴンが乱入してくれないことへの不満も同様。やはり戦闘回数を減らしたいのが平均的な感覚なのかな、と。 結局のところ、昔のゲームの「不便さ」「不快さ」までコピーしてくれなくていいよ、というのが最大公約数的なところなのかな、と。

話は変わりますが、ギルドを主人公にしたことで、やっぱりどうしても物語的につらい部分があるかな、と思いました。最強装備入手後なら、レベル1×4人でラスダンへ乗り込んでも、そのままスルスルとレベルアップしてラスボスを倒せてしまう。それはそれでゲームとしては面白いのですが、その場合、エンディングがどうもね……という。DQ3に「勇者」がいる意味、みたいな。パーティーに加える必要はないが登録は抹消できないギルドマスターを設定してもよかったような気がします。

【ご意見・ご要望】

倍速バトルや高速旅法については、オプションで常時そうなるように選べるとよかったです。

机越しに話しかける、少しずれていても買い物できる、みたいな融通もきくと便利だったのですが。

あと私はドラクエが好きなのですが、ドラクエのすごいところは、ゲーム世界のリアリティを無視してプレーヤーの都合を優先しているところだと思います。ルーラは天井のないところならどこでも使えて巨大な乗り物も一緒に移動してくれますし、リレミト、トヘロス、忍び足、盗賊の鼻、口笛、そして全滅しても所持金が半分になるだけで教会で復活するシステム+ゴールド銀行まで、「そんなバカな」といいたくなるような仕組みが満載じゃないですか。DQ8の錬金釜もそうで、釜を積んだ馬車は洞窟の外で待っているのに、錬金が完了すると音が聞こえる。理屈より都合が優先なんです。

本作では、鬼の形相やウォークセーフの効果の切れ目がハッキリしない。戦闘中の強化スキルもそう。それはそれでひとつの見識だと思う。でも、プレーヤーの都合には反していますよね。

そしてクエストやミッションの処理の煩雑さは、見識じゃなくて単に製作側の都合ではないかと疑う。ハントマンと依頼者の直接対話だけで全て完了する方が絶対にいいでしょう。オフィスを廃止してメニューと統合してほしい。そしてクエストの請負数の制限は廃止し、さらに「**集め」の途中では**を一時的にお店で売れなくする、といった気の利いたポカ除けも用意してほしい。

本作でも、いったん船を手に入れると、川でも沼でもどこでも入れるようになるでしょう。「そんなバカな」をやってのけている。でもゲームらしいゲームは、それくらいの方がいいと思うんです。

(2009-03-22)

club Nintendo プレイ後アンケート「セブンスドラゴン」

【満足したところや面白かったところ】

オールドスタイルのRPGを、「2D表現」「コマンド選択式ターン制バトル」「声なし」「シンプルなイベント演出」といった形式をきちんと守りつつ、現代の環境・技術を活かして作られたオリジナルの作品……という事前の期待にきちんと応えてくれたので満足しています。SFCゲームのリメイクの場合、10数年前に実現不可能だったアイデアはオマケ程度にしか登場しません。新作ならではの要素としてフロワロは素晴らしいです。画面内からフロワロが一掃された途端にパーッと陽が差して明るくなる表現には感動しました。

FC縮尺+2D風に見せる地味な3D表現、FC風にも対応した音楽もすごくいい。そしてメンバーの変更が自由なバランス調整には感心しました。武器・防具やパラメータ補正アクセサリが強力なので、気兼ねなく新人を投入でき、楽しめました。忘却の海玉のペナルティも絶妙で、レベルが下がってもスキル次第で戦局が有利になることを実感できました。

サブイベントや個性的な町人たちも面白く、救世の意欲を高めてくれました。

【不満なところやつまらなかったところ】

ギルドを主人公とするところに物語的な難があり、「パーティーに加える必要はないが登録は抹消できないギルドマスター」を設定してもよかったかな、と。で、最初に設定できるギルドメンバーは4〜8人程度とし、残りは、メンバーにないキャラが各地の宿屋に出現するので、それをスカウトしていく、みたいな。物語終盤になっていきなり新人を登録して最強装備を与えてラスボス撃破するとEDが変な感じに。

その他、DQ的なプレーヤーの都合を優先したシステム設計だったらよかったのにな、と思うことが多々。天井のない場所ならどこでも使えて乗り物も一緒に移動するルーラ、リレミト、トヘロス、忍び足、効果切れのダイアログ、口笛、全滅しても教会で復活+ゴールド銀行。また次回作では、クエストやミッションの処理はメニューで扱い、当事者間の会話だけで完了する仕組みを希望。ハントマンは狩人、便利屋稼業じゃない。クエストは善意で受けたい。オフィスを用意するならクエスト=賞金首退治とすべき。

あと倍速バトルや高速旅法はオプションで設定させてほしいです。

【ご意見・ご感想】

古い作品が好きで、SEGA AGES Vol.32のファンタシースターPS2移植版などを楽しくプレイしているのですが、やはり、「昔のまま」ではつらい部分もあります。前述のSGA32版PSでは、移動速度を速くする、エンカウント率を下げて経験値と獲得金を逆比例で増やす、という設定を選ぶことができて、私は迷わずそれらを選んでいます。

「セブンスドラゴン」をプレイしてみて私が思ったのは、「自分はたしかに最近のRPGにはついていけないけど、かといって古い作品の全てが好きなわけじゃないんだよな」ということでした。私のパーティーでは侍(鬼の形相)とナイト(ウォークセーフ)が不動の地位を確保しました。どちらも好きなキャラですが、いなきゃ困るから好きになった……ような気がしないでもありません。

全体として私はこの作品に満足しましたが、mk2などの評価サイトに見られる不満の声も、それはそれで理解できるところは多いです。私は「セブンスドラゴン」みたいな作品が、ずっと作られ続けることを期待しています。リメイクだけではさびしいです、やっぱり。だからスタッフには本当に感謝しています。

(2009-03-22)