趣味Web 小説 2006-04-06

ゲーム脳問題:えこひいき

同庁生活安全局に事務局を置き、ジャーナリストの江川紹子さんや京都医療少年院の精神科医、岡田尊司氏、首都大学東京の前田雅英・都市教養学部長ら心理学、教育、法律の専門家ら十五人が委員を務める。

岡田尊司さんか……。岡田さんが医療の専門家枠だとすると、結論は見え透いているような気がします。ともあれ、ゲームを擁護したい人はベストセラーを書かなければダメですね。「テレビゲームと子どもの心」は売れていないのかなあ。目下、期待の星は久保田競さんの「バカはなおせる」ですね。読みやすいので、お勧めしたい。

脳内汚染 いまどき中学生白書 ゲーム脳の恐怖 テレビゲームと子どもの心―子どもたちは凶暴化していくのか? バカはなおせる 脳を鍛える習慣、悪くする習慣

ところで、森昭雄さんの「ゲーム脳の恐怖」や岡田尊司さんの「脳内汚染」などのゲーム批判にガンガン反撃する人は、たいてい「疑似科学に怒りを燃やす正義の人」を装っている。彼らが東北大学の川島隆太さんの提唱する「脳を鍛える」云々を看過しているのはなぜか。ひとりで全ての疑似科学を相手にできないのはわかる。でも、同じゲーム業界の話題くらい、拾ってもよさそうなもの。川島さんは総じて森さんのような出鱈目ではないが、少なくとも「脳年齢」は大いに誤解を招く言葉であり、科学を騙っているといっても過言ではない。この点だけは強い不満がある。

「ゲーム脳」はテレビ CM になっていないし、100万部も売れていない。「脳を鍛える大人のDSトレーニング」は2800円と高価なのに売上100万本を突破。まやかしの「科学」をご都合主義で利用している、誤解を招く言葉遣いで金儲けしている、というならゲーム業界の方がよっぽどひどい。「脳年齢」に「実害」がないというなら、「マイナスイオン」だって放っておけばよかったろう。

結局、気に入らない意見を潰すために科学がどうのこうのとかいっているだけで、ほんとうはそんなもの、どうだっていいんじゃないか、『正論』だけど『方便』なんだろう、と勘繰りたくもなる。無論、事実はそうではなくて、ゲームが好きな人は「脳年齢」の非科学性が見ても見えない、聞いても聞こえないのですね。人は見たいものを見るのです。いくら気をつけても、まだ足りない。

川島隆太教授監修 脳を鍛える大人のDSトレーニング 川島隆太教授監修 もっと脳を鍛える大人のDSトレーニング

期待できますという書き方に留めているのが、監修を務めた川島さんの良心だとは思う。

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