同じ100人中50番目の人が、同じライフハックをやったら、みんな10番以内に入れますか?
そんなことはありえませんね。なぜならば、順番というものは相対的なものなので、みんなが同じ努力をしたら、結局、お互いの相対的な地位は変わらないはずなのだから。
別に、そのことと、「ライフハック」がウソかどうかは別問題。みんなが同じ努力を
することなどありえず、「やり得」の状況が数十年にもわたって続くことが珍しくないからです。
例えば、自転車の乗り方の指導法。子どもが1回も泣かず、怪我もせず、それでいて半月以内に補助輪なしで自転車が乗れるようになる指導法があるのに、それを学ぶ気の全くない親御さんが、やたら多い。そのせいで、毎日、毎日、日本中で子どもが泣きじゃくっているわけです。
公開されている方法であっても、ほとんどの人はそれを読まない。もっといえば、記事を読んだ人でさえ、肝心の実践をパスするのがふつうだと思います。
これらの記事は1万人以上に読まれましたが、実践した人は、一人もいないと思う……。
100%純粋に「ふつう」の人は、自己啓発の本など読まない。だから、「ライフハック」の記事が「ふつうの人でも成功者になれる」というときの「ふつうの人」とは、「そうした記事を読んで実践する」という1点に限っては「ふつうじゃない人」を前提としています。それを「欺瞞だ」というなら、まあ、それはそう。
でも、potato_gnocchiさんが仰っているのは、そういう話ではないですよね。「もし全員が実践すれば」なんて前提が成り立つことはないので、「ありえない仮定をして難癖をつける」の類だと思う。
それはそうでしょうね。「ふつうの人でも成功できる」と謳う提案の中には、実際にはふつうの人には手が出ないものが少なくない。
でも「自転車の乗り方、練習法」や「「質問できない新人」の簡単な指導法」くらいなら……。そうでもないか。読み返してみたら、「これも、ふつうの人には高コストすぎて無理っぽいな」という気がしてきました。
手間をかけて自転車のペダルを外したり戻したりするより、泣く子を怒鳴りつける方がリーズナブル。2ヶ月ほど多少の仕事の不便に耐えるより、新人の不出来を嘆いて愚痴をいう方がリーズナブル。そう思うのが、「ふつう」なんでしょうね。ま、人間なんて、そんなものですよ。
ライフハック記事は「読んで自分が既に実践している事を見つけて安心するため」読まれる、という説↓に得心。
[再掲]ライフハックの記事の読まれ方(strange)
格言教訓的なものなら、10個以内の短文の箇条書きにして見えるところに貼っておくと多少身につくかな。本の内容を身につけるなら、要約や紹介文を書く。
「難癖」で連想した話題。
近年の「読めない名前」に厳しい一方、あまり古風な名前も、匿名掲示板に集う人々のおメガネには適わないらしい。点数の付け方を眺めるに、何となくだけど、自分たちの世代の「ふつう」を子々孫々へ伝えていきたいという本音が見え隠れしているように思えてくる。気のせいかな。