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TinkerBell(ティンカーベル)は、HTMLページに書き込んだセリフを、ふきだし表示に変換してくれる妖精さんです。
例えば、あなたのホームページのソースに、次のように書いたとします。
<script type="text/javascript" src="http://www.faireal.net/TinkerBell/0.21"></script> <script type="text/javascript"><!-- Wendy = "手で叩いて下さい!"; Peter = "蚊を殺さないで!"; TinkerMagic();//--></script>
すると、あなたのホームページをひらいた読者のデスクトップに「何か。」互換のエイジェントがいた場合、主人公役のほうが「手で叩いて下さい!」とふきだしでおしゃべりし、あいぼうが「蚊を殺さないで!」と答えます。――要するに、あなたのサイトに来た来訪者のデスクトップにいる「マスコット」に、ちょっとおしゃべりさせたりできます。たわいもない話でも良いし、ホームページの更新情報や、カウンター値を読み上げさせても良いし、最近の時事ネタなどについて、あなたのサイトらしい語り口でちょっとひねったことを言わせてみても、おもしろいかもしれません。
エイジェントがいない場合でも、もちろんエラーには、なりません。いずれの場合も、上のソースを書き込んだ位置には、妖精さんの絵が表示され、「Powerd by TinkerBell」などと表示されると思います。
「何か。」系エイジェントは数えきれないほどたくさんの種類がありますが、主人公役のセリフを Wendy と呼び、あいぼうの応答を Peter と呼んでいます。例えば、ミルクチャンとハナゲのシェルなら、ミルクチャンが Wendy で、ハナゲが Peter です。また、もう一往復、会話を続けさせるには、
Wendy2="ホームページへようこそ";
Peter2 = "ごゆっくりお楽しみください‥‥";
のように書くこともできます。(TinkerBell/0.21 では、Wendy3以下は、ありません。)デスクトップ・エイジェントに指示を送る「さくらスクリプト」を使えば、表情や、まあいなどもコントロールすることができますが、少しむずかしいので、ここでは省略します。
上のセリフの書き方をみると、TinkerBell/0.1x に比べて、ずいぶん洗練されたと思われるでしょう。じつは、内部的動作も改善されていて、多バイト文字(日本語の文字)を文字化けさせずに扱うのにべんりな「ユニコード」(UTF-8)を基本にしています。ある方法を用いて、新しい Script(IE5.5以上)にだけある encodeURI() と同等の動作を、いろいろなブラウザ(ネスケ4、IE4以上……たぶん)で実現し、多バイト文字のURIエンコーディングとして推奨されている UTF-8 を用います。「何か。」のSSTPプロトコルが UTF-8 を解釈できること、最近のJavaScriptが内部的にUTF-16を使っていること、そして、utf.js - UTF-8 <=> UTF-16 convertion というライブラリや、それとふずいして公開されている my_escape 関数を用いることで、道をつないでます。
UTF-8 エンコーディングが可能かどうか?については、現時点では、「あ」を試しにコーディングしてみて「%E3%81%82」が得られれば可能と判断し、ダメなら多バイト文字をあきらめてデフォルトのASCII文字を送るようにしてます。
じつは、ネスケ4やIE5のような古いブラウザは、URLとして、日本語のSJIS文字をそのまま渡しても、SJISを通してくれます。いちばん初めの「SSMLはっか~」では、すべてそれでやってました。具体的にいうと、img要素のsrc属性の一部として、多バイト文字の引数をcgiに渡していたのです。この場合、SakuraScript のタグを使うことは、HTMLのタグの内部の要素で、さらにタグを使うことになって、いろいろとめんどうなので、SakuraScript のタグを、もう少し「URLに優しい」かたちのメタタグでラップしたのが「SSML」(Sakura Script Markup Language)という発想だったわけです。――この方法は野蛮ですが、アクティブスクリプトがオフになっているブラウザでも、動作させられるという非常に良い特徴を持っています。URLに多バイト文字を書くのは本来、禁止されてるわけなので、いろんな意味で「ハック」です。
新しいモジラは、多バイト文字を含む(本来ありえない)URLについては、あってはならない文字をUTF-8に変換する仕様になってました。したがって、ユニコードとSJISの判別に間違ったとき特有の、あのやけに画数の多い漢字がごちゃごちゃとならぶ文字化けが発生します。
そこで「ssFusion」では、CGI側でUTF-8も処理するようにして、SJISと場合分けをしました。ssFusionでは環境変数からブラウザを調べて、来ている文字コードを予測する、という、かなりあいまいな判別法を暫定的に採用してました(もっと実質的な方法についてもメモしたけれど実装しなかった)。……この方法も、多バイト文字をURLの一部に使うものです。
TinkerBell/0.1 は少し異なる発想の場合分けを行いました。JavaScript の escape() で、SJISのURLエンコーディングになるもの(IE3、ネスケ4、6、モジラ)は、それを採用し、UTF-16のエンコーディングになるもの(IE4以上)は、上記同様、多バイト文字をそのまま流す、というものです。
TinkerBell/0.2 からは、JavaScript にて、すべてのブラウザでUTF-8コーディングを目指すように変更しました。escape() でSJISエンコーディングが得られるネスケやモジラでも、ちょっと冒険して、あえてUTF-8にいどんでいます。うまくすると、HTML本体のほうが文字化けしてブラウザに表示されてしまう場合でさえ、その同じページの同じ文字コードで書かれているセリフを、ティンカーベルは、文字化けさせずにエイジェントに伝えられる……と考えてます。手元の環境では、(日本語版のブラウザでも)日本語のページを iso8859-1 で読んでしまうことがよくあるので、この文字化けの問題は、けっこう現実的なものです。
「何か。」にUTF-8を送るとき、Script: 行の末尾の¥eタグが正しく解釈されないことは以前から気づいていたが、これは、¥eの文字コードの問題というより、一般に、末尾に何を置いても、「何か。」は末尾の1バイトを削除したものを認識しているようだ。しばしばそのうしろに、スクリプトとして実際には送信されていない短いゴミ文字列があるかのように、ふるまう。通例スクリプトは「¥e」(Perl上では¥¥e)で終わるが受信記録をみるとeが脱落して解釈されている。eが落ちた結果「何か。」はエスケープシークエンスを暗示する単独の「¥」を認識しているので、ますます内部的に誤動作しやすくなるのかもしれない。e脱落の原因が送り手側なのか何か側なのかは未詳。
暫定的な回避方法――1バイト削除されるので、1バイト余分に送る。Perl上で「¥¥e」として、それからダミーの半角スペースを入れて、それから「¥r¥n」とすれば、手元では結果オーライだった。この場合でも、ときどきsstp.logの受信スクリプトの後ろにはゴミ文字列がくっついて書き出されているが「¥e」の後ろなので無視してもらえるようだ。
観察――次の Charset: 行は(したがってScript: 行の行末の改行は)正しく認識されている。しかし、「何か。」は Script: 行の行末より手前に(実際には送られてきていない)ゴミ文字があると誤認識することがある。送り手側の Script: 行の行末の改行文字に関するコーディングの問題か、もしくは、「何か。」側の内部的な問題が考えられる。
こららの問題は、SJISでスクリプトを送る場合には、発生しない。
2001.08.09 Netscape 6.1 日本語版 for Windows が正式リリースされてます。
なかみは、Mozilla 0.9.2 、「簡易起動」という名で高速起動 Quick Launch(常駐)もサポートされてます。常駐するにせよしないにせよメモリをたくさん使います。窓を4~5枚(うち1枚はJavaを含む)開いたら、メモリ使用量52MBに達しました。Windows OS自身が使うメモリも考えると、「最低64MB」という公称は実際的でなく、128MBでやっとなんとか、という感じでしょう。また常駐させる場合、窓を全部閉じても確保したメモリの最大値のままあまり解放してくれません。これは Mozilla 0.9.2 の問題です。この例では、ネスケの窓をぜんぶ閉じても常駐しているネスケは、なお50MBほどつかんで離しません。とはいえ、256MB以上のマシンなら、問題なく使えると思います。
下図のように、常駐させると(メニューの「編集→設定→詳細」で設定)タスクトレイにアイコンが出て、IEとどっちが速いかというくらいのレベルで、起動できます。ネスケ6やモジラの「がらがらずるずるねたねたのちのちヒヨひよひよ~う~う~ハッ」という起動との比較でいうなら、まさに羽根のように軽く立ち上がります。
いろいろうざい点も多く、手放しでおすすめはできませんが、Mozilla 0.9.2 ですから、これまでのネスケ6系からみると、抜群に安定してます。ウェブページを正しく表示できるという点では、とくにネスケ4と比較すると、たいへんまともです。Netscape 6.1PR1 も Mozilla 0.9.3 マイルストーンも表示まわりに変なバグがありますが、そのあいだの 0.9.2 は良いバージョンで、久々にネットスケープ社は「あたりくじ」を引いたと。ネスケ4とは比べものにならないくらい、美しくというか、ちゃんと、まともに、表示してくれます。
画像を見る(87KB)
本家 Mozilla との違いですが、まず商用ブラウザなので商用リンクがいろいろついてきます(そのサービスを常用するユーザにとっては、べんり)。また、RealPlayer ばかりか Winamp を(インストールすると)勝手に常駐させます。さらに、ユーザ登録を強制されます。@netscape.net のアカウントを持っていないとブラウザが使えないたてまえ。Microsoft でいえば「HotmailのアカウントをとらないとIEは使えませんよ」というようなもので、あまり愉快とも思えません。「ユーザの郵便番号を書かないと使えないブラウザ」なのです。
しかしまあ、これだけのものがフリーウェアで使えるのだから、がまんできると言えばできるでしょう。ウェブメールをブラウザから透過的に使えるのも、新しいメールアドレスがもらえるだけでうれしいとか思える人には嬉しいでしょうし、実際、フリーメアドは星の数ほどあるけれど、SMTP(送信サーバ)が使えるのは、わりと少数です。といっても、日本語圏でも geocities がありますが……。とりあえず日本語版ソフトなので、メニューやダイアログが日本語でないといやだというかたには、良いかと思います。カスタムインストールを選択したら、関連付けを奪おうというあがきもしませんでした。もっとも、PR1 のときお断りしたことを記憶してるだけかもしれませんが……。
Internet Explorer 6 正式版(それも今週くらいらしい)の先手を打ちたかったのかな、というタイミングのリリース。ダウンロードは ftp サイトの netsape6/japanese/6.1 内から。ローカルにフルインストールのネタぜんぶ落とす用は、N6SetupB.exe、24.1MB です。ブラウザだけなら 7.5MB だそうで、標準インストールだと8MBくらいらしい。ネットワークからインストールするには、N6Setup.exe(221KB)を落として、クリックして、あとは画面の指示に……だと思います。とりあえず、Netscape社のダウンロードページへ。タイプミスがあったりリンク切れがあったり、そうとう急いで日本語版ページを作ったみたいです。
[BemTraq ML 03721]日本時間9日2時37分、速報:次世代のウィルス対策ソフトの主流になるとされる「免疫系」ソフト Noone AntiAnthropos を開発中の Semantic社 が、ソフトの機能の検証用に作った「自己免疫疾患型」ウィルス H.um@n255 を誤ってネット上に流出させていたことが明らかになった。
NAA はLAN内のネットに自律的な「免疫系」を構築するが、この「免疫系」が自己免疫疾患を発生させるウィルスに感染したため、対策ソフト自身がウィルス化、自律的にファイアウォールを破壊して外部への増殖を始めた。NAA は NAV などの先行ウィルス対策ソフトの技術をすべてふまえた「知識」を持っているため、既存のウィルス対策ソフトでのパターン認識をすりぬけてしまう(elusive)ばかりか、既存の対策ソフトそのものに感染し、ウィルス対策ソフトの「頭脳部」を狂わせる。そのため、H.um@n255 に感染したアンティウィルスソフトは、正常なファイル(OSのシステムファイルなど)をウィルスと誤認して削除し、しかも、ネットを通じて、他のウィルス対策ソフトに偽の「ウィルス定義ファイル」情報を流す。ウィルス対策ソフトに感染するという、史上初の悪性メタウィルス。
かつて例のない地球規模の感染とそれに伴う混乱や係争が予想される。現在、すでに地球上に約60億パターンのユニークな H.um@n255 が広がっている。
NAA では地球上に広がってしまった「ヒュム」を除去するため「ヒュム」自身の免疫機能を停止させる人工知能型特殊ワクチン「AI.d.s」を投入したが、思考能力のあるウィルス「ヒュム」は早くも「AI.d.s」に警戒を始めたもようで、効果には限界がある。
一方、Globe on Destiny (GOD)社は、「ヒュム」の内部的増殖機構を直接かく乱するための新ワクチンソフト EndocrineDi$ を公開した。EndocrineDi$ は、「ヒュム」そのものを破壊することはできないが、「ヒュム」の増殖機能を止める。このままでは地球上の「ヒュム」感染数は早晩100億を越え、地球上のあらゆるリソースを使い果たしてしまうとの悲観的な見方もあるなか、「特効薬」 EndocrineDi$ が地球上の「ヒュム」を駆除する切り札になるのではとの期待も広がっている。
匿名を条件に内部情報の公表に応じた GOD社幹部によると、「ヒュム」ウィルスの「思考能力」は、ごく原始的で「野生の思考」。非常に攻撃的なウィルスなので、放っておいても「ヒュム」同士で破壊しあい自滅する可能性も高いが、挙動には予期できない部分もあるので厳重な警戒が必要だという。
NAA社広報部の談話:当社のミスで放出されたとの一部報道があるが、この報道もヒュムウィルスによる情報の混乱では。むしろ GOD社が EndocrineDi$ の検証のために故意に引き起こした可能性もあると認識している。前回の地球規模感染ウィルス「キョリュ」の繁殖もGOD側のミス。今回の「ヒュム」異常増殖もGOD側のゲノム設計に潜在的な問題があったのではないか。当社が担当した免疫系には「胸腺」自己破壊シグナルが実装されており、ヒュムは「自分」と「外界の異物」との区別ができなくなって必ず有限時間で終了するようになっている。これは報じられているような「自己免疫疾患」ではなく、厳密な仕様。当社担当部分の挙動は問題の表面にすぎず、GOD社が開発したカーネルに根本的な原因がある可能性が高い。GOD社は責任の所在を明確にする意味でも、「ヒュム」の内部コードと仕様書を公開すべきだと思う。
『Viry Pooh』のコメント:GODのヒュムについては、ストリーム層と物理層を意図的に結合する「キメラ作り」の目的が不明確で、以前から何のための実験なのか疑問視されている。ヒュムの凶悪性も物理層だけでなく「考えるストリーム層」を持っているからで、やはりGOD側の設計思想に本質的な欠陥がある。少なくとも、何の目的でヒュムの自己増殖テストを行ったのか、経緯を明らかにしてほしい。「キョリュ」の時は小惑星を地球にぶつけるという強引なやり方で増殖を抑止したが、そんなアドホックな態度でまたお茶を濁していては、何度でも同様な事件が起きるだろう。
あなたに対して多少なりとも実効的な強制力を持つ者(モデルとしては、秘密を聞き出そうと拷問する相手とか、銃をつきつけて何事か命じるならず者とか……)について言えば、「その者に従うべきだ、従うべきかもしれない」という可能性をまじめに検討するのは当然だろう。いや検討するどころの騒ぎでない。いきなり凶器をつきつけられたらあわをくって、検討するもしないもなく、とりあえず命令に従うほうが、たぶんふつうだろう。
さてところで一方、なぜ「神を信じなさい」としつように布教しなければならないのか。神には実効的な強制力がないからだ。神には、なんのちからもないからこそ、布教者は理屈をこねあげて他人を、そして何より自分をだまさざるを得ない。
だまさなければ信じられないからだ。
例を挙げよう。世の中には「W3Cの勧告でんでろセクション、ブー・フー・ウーによればこれが『正しい』」だの「RFCほげほげに『書いてある』からそうなのである」としつように布教してまわる者がいる。このような者のなかには、単にW3Cや、その背後にある大企業と利害が一致しているだけの者もいるかもしれないが、多くの人々は、まじめな真剣な気持ちから、全体主義の良い面をポジティブにとらえてるのだろう。
それは、それで良いというか、べつに良くても悪くてもどうでもいいのだが、ここでこの例をあげたのは、W3C「信者」と言われるまでに、狂信的とも言える一部の人々がいることは、実際、W3Cには何の実効的なちからもないからだ。だからこそ布教者たちは、不安であり、不安であるからこそ、しつようなのだ。
実効力があれば、べつにしつこく言わなくても、自然に守ってもらえる。神さまだって、それほど全能なら、全能の神を信じよとしつこくみんなで毎週、合唱しなくたって、自然に「そう」だとなるだろう。
いったい電車のなかで携帯電話を使うことに不慣れな社会において、それを仮に禁止したいとして、「心臓ペースメーカーを使っているお客さまの命にかかわるから」などという、妙な理屈をこねたりする(部分的には真実なのだろうけど……)。なぜ援助交際は、いけないのか。なぜ売春は悪いのか。説明できない。説明できないからこそ信じる。説明できるふりをする。分かるふりをする。知っているふりをする。「信じている」から「説明するまでもない」という。あるいはまた、神だの人間の尊厳だの常識だの良識だの人権だの穏健だの右翼だの左翼だの資本主義だの社会主義だの何らかのそのかたにとって「公理により」恒真である無定義概念を観念的に密輸する。なんの説明にもなっていない。言い換えているだけだ。自分の信仰に帰着させているだけだ。
このように、神は死ぬわけがない。生命力がないからだ。実効的な生命力がない。そもそも生きてないのだ。
初めから生きてもいないし存在してもいない「天にまします神さま」が、では、なにゆえ、「情報」としてかくも強力に存続しつづけるのか。
上のウェブ標準の例と同様、なかには、布教活動組織と利害が一致するためにその考え方をあとおしする者もいるかもしれないが、多くのひとびとは、もっと真剣に、誠実に、まじめに、こころのどこかで神を「信じて」いる。
だが実際には、天に神などいないし、むろん地上に神などいない。神という観念、空概念にすぎない。天にも地にも、実際には神など存在しない――あなたがたが言うような意味では。
そうではなくて、むしろ、こう言い表してみよう。あなたがたが想像している神よりもっと良いものが存在する。が、あなたが知っているいちばん「正しい」ものが「神」という観念であるにすぎない。――これは、たまたま現時点でのウェブ標準に関してW3Cより通念的に「正しい」ものが存在しない、というのと似ている。W3Cがある時点で主張していたことが、あとからみるとまずかった、間違っていたと判明することは、よくある。一方においては真摯に標準化につとめつつ、他方において、標準化の勧告の乱発それ自体が混乱の原因になっていることも否定しがたい。
けれどその時点では、あれこれ考えあわせたすえ、それが最適と決断したのだから、それは「最適」だったのだ。「正しかった」のだ。そのように神は「あやふやな意味で」存在する。
例えば昔のメートル原器が「本当に」北極→赤道の子午線の長さの一千万分の一だったわけでもないのだが、それがいちばん正しい近似値であったので、それを信じるしかなかった。また我々は非常に高精度な原子時計を持っていて、それに照らして、そこらの時計の誤差を指摘できるわけだが、ひるがえって、世界最高精度の(仮想的な)原子時計の「正しさ」は「信じる」しかない。原子時計も測定器具である以上、時計面の測定結果に誤差があるが、その誤差を測る原器がない。なぜなら、その現時点では認識不可能な誤差を含んだ原子時計こそが、いちばん良い近似値だからだ。
「神様でないから間違えることもある」とかいう表現を使ったりする。――それこそが、神と同じあやまちだと知らずに。
だから、泥と測りあえば良い。
かつて春川菜美は、自分の物語をこう結んだ。
有馬はどうでしょう。彼は今どんな気持ちでしょうか?
「おれがいちばん愉快なのはさ」
彼は秘密めかして声をひそめます。
「これからは、もしだれかに、『おまえ妖精を信じてるのか』ってバカにされた とき、はっきり答えられるってことだな。『信じてるんじゃない。知ってるんだ よ』」
「我を捨てて世間に迎合する」のも、それが最適解だと「我」が判断するなら、自己にとって最適な、自然な振る舞いなのでは、ないでしょうか。
其の雄(ゆう)を知りて、其の雌(し)を守れば、 天下の谿(たに)と為る。 天下の谿と為れば、常徳離れずして、嬰児に復歸す。
『個人主義の孤高をきわめつつ、なお世間への迎合を否定するな。
世間にあわせて自分を捨てるなどうつくしくないという、
世間の常識など知るものか。
そうすれば、深い谷になる。
谷は、じめじめとして、暗く、陰湿で、低きにつく深淵だが、
その低さもてこそ水でも火でも風でも泥でも、
わだかまりなく流すことができるのだ。
世間にびくつく幼児のように泥と測りあえ。』
其の白きを知りて、其の黒きを守れば、天下の式と為る。 天下の式と為れば、常徳たがわずして、無極に復歸す。
『純粋さの清冽をきわめつつ、なおエゴを否定するな。
そうすれば、正しい解答を得られる。
最適解を求める公式は、極性を持たない。
彼らには彼らには、我は我は、などと極性を持たない。
世間にびくつく幼児のように泥と測りあえ。』
其の榮を知りて、その辱を守れば、天下の谿と為る。 天下の谿と為れば、常徳乃ち足りて、樸(ぼく)に復歸す。
『矜持を知りつつ、なお汚辱の日々を否定するな。
そうすれば、泥のように透きとおる。
きれい事だけでは生きられないと泥にまみれてこそ、ひとつに戻る。
それを泥と呼ぶから分断が生じる。
地獄の山火事が、増えすぎた下草を焼き尽くすようなもの。
いやだけれどしょうがないことも多いが楽しいこともないわけでなし、
いざとなれば、どうとでもなる。
世間にびくつく幼児のように泥と測りあえ。』
神への畏敬をなくした者が信仰などと言っている、
夢を忘れたものが希望などと言っている、
妖精の国から離れたものが愛などと言っている、
それゆえ信仰と希望と愛、この3つは、偽りである、
その中で最も大きな欺瞞は愛である。
(そしてなかでも最もインチキなのは「妖精の国」である)
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この記事は、妖精現実・偽春菜(にせはるな)の2001年8月8日の記事のばっすいです。
「毒電波」というのは、名前はあやしげですが、れっきとした新しいP2P技術です。SSTPというプロトコルを使って、例えばあるウェブページをひらいたときに、そのページの作者の指定にしたがって、読者側のデスクトップ上のエイジェント(マスコット)にセリフをしゃべらせたり、なんらかの動作をさせること(MS AgentとIMをあわせて一般化したような概念)を、「ウェブから毒電波を送る」といいます。最もふつうには、Perl と SakuraScript の連携によって実現されます。一方的に「送る」のでなく、相手のエイジェントも返事をする(例えばエイジェントの名前を尋ねると答えるなど)ので、「会話」が成り立ちます。このへんがSSTPのひとつの大きな魅力でありポテンシャルでしょう。
毒電波のセリフ(や動作内容の台本)を、外部の .cgi ファイルやそこから読み込まれる外部の .dat ファイルに書くという通常のやり方は少々めんどうです。PHP や ASP のように、タグベースで――HTMLページのなかに直接セリフを書き込めるように――できれば、べんりでしょう。特殊な拡張タグを解釈するプラグインをデスクトップ・エイジェント(DTA)側に足せば容易ですが、この場合、基本的にDTAは閲覧しているHTMLページすべてをパースしなければならなくなるうえ、読者がDTAを持っていてもプラグインを持っていないと電波のやりとりができないという問題もあります。
通常のHTMLページのなかに毒電波のセリフを書けるようにする方法を、妖精現実では ssFusionと仮称しています。以下でご紹介する TinkerBell は、単純明快な ssFusion の一例です(技術的詳細は、偽春菜のページ、「ssFusion」、「てぃんかーべる」をごらんください)。
<script type="text/javascript"><!-- var tink_js_version = "0.11"; var nanika1 = "リニューアルしたみたいだね‥‥"; var unyu1 = "あれは、もうアレだしな"; var nanika2 = "窓の杜っていいよね"; var unyu2 = "‥‥‥‥"; //--> </script><script type="text/javascript" src="http://mion.wisnet.ne.jp/soft/niseharuna/tinkerbell.js"> </script>
いまどき毒電波がまだ流行ってるのか分からないですが、ホームページをお持ちの「何か。」ユーザのかたは、なんらかの方法で、一度は試してみる価値あると思います……説明だけ聞くと単純なことのようですが、やってみるとけっこう感動しますよ~☆ 上記のコードは、見れば分かると思いますが、HTMLの「ソース」を表示させて、コピー&ペーストするだけでただちに毒電波を発射できるように設計されてます(まだテスト中ですが……)。CGIなどの補助的なファイルをアップロード、設定する必要は、ないです。すでにこっちでアップしてありますので……。単に自分のホームページのソースを表示させて上のをコピペするだけ。「何か。」を起動中のユーザさんであれば、特別なプラグインがなくても、このセリフを受信できるハズ……。
「何か。」のページ(旧称「偽春菜(にせはるな)」)の上のほうにデモコードを貼ってます。興味あるかたは、「何か。」を起動して試してみてください。内部的にどうなってるかの説明もあります。